1 :
この子の名無しのお祝いに:
あーーーー唄いてぇ
2 :
この子の名無しのお祝いに:2006/10/29(日) 19:45:21 ID:OmjrnnPm
雪の進軍
一番 雪の進軍氷をふんで どれが河やら道さえ知れず 馬は斃れる捨ててもおけず
此処は何処ぞ皆敵の国 ままよ大胆一服やれば 頼みすくなや煙草が二本
二番 焼かぬ乾物に半煮え飯に なまじ生命のある其のうちは こらえ切れない寒さの焚火
煙いはずだよ生木が燻る 渋い顔して功名談 すいというのは梅干一つ
三番 着のみ着のまま気楽なふしど 背嚢袋に外套かぶりゃ 背の温みで雪解けかかる
夜具の黍殻シッポリ濡れて 結びかねたる露営の夢を 月は冷たく顔覗きこむ
四番 命捧げて出てきた身ゆえ 死ぬる覚悟で突喊すれど 武運拙なく討死せねば
義理にからめた恤兵真綿 そろりそろりと頚締めかかる どうせ生かして還さぬ積り
3 :
この子の名無しのお祝いに:2006/10/29(日) 20:03:34 ID:5K+nRp2X
またか
4 :
この子の名無しのお祝いに:2006/10/30(月) 20:09:36 ID:kEqEAVFh
事件当時とほぼ同じ服装でロケしたから
本当に遭難しかけた
と大竹まことが言ってた気がする。
5 :
この子の名無しのお祝いに:2006/10/31(火) 20:54:26 ID:ff+Q0ZKL
あまりの厳しさに、東京へ逃げ帰った俳優も......
6 :
この子の名無しのお祝いに:2006/10/31(火) 21:17:52 ID:lF0KPhoh
>>2 映画では、”どこが河やら―”と唄ってた希ガス
7 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/01(水) 16:55:37 ID:xjztUaCL
凍り付いた斜面を登ってくシーンと立ったまま野宿しているシーンで
一人、また一人と倒れていくところが印象に残ってます。
邦画で傑作と思う作品のひとつですね。
8 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/01(水) 21:39:17 ID:OUoRBztg
雪中を歩き回るだけの映画なんだけど、何度見ても引き込まれてしまう。
9 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/02(木) 22:53:34 ID:7HM3YavZ
>>2 何処が川原や一切知れず
だとず〜うっと思ってた。
>>7 まったく同感。今作ると今風のしらこい映画になりそう。
あのときのスタッフ・俳優陣だからあの雰囲気が出せた。
DVD で追加したシーンが画質違いすぎてワロス
真夏に見てよかった
12 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/05(日) 21:02:53 ID:c9SIiw34
目標、1,000スレ突破!
「△△△△△八甲田山スレッド△△△△△」を追い抜け!
あいつらまだ歩いてるんだろうなあ。
14 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/10(金) 19:22:39 ID:+qNlvyRf
>13
せっかく屯営まで帰ったのに、
津川連隊長に追い返されてちゃって・・・かわいそう
15 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/10(金) 21:16:14 ID:H+1zDhSb
>>13 あの遭難事件の後、吹雪の晩になると、青森5連隊の前まで行進音が聞こえた
そうだね。さ迷っているのかなぁ。
16 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/12(日) 06:35:48 ID:zKsT0aA/
陸軍第五連隊跡の学校(市立T中、県立A高)どっちも卒業した私が来ましたよ。
あ、ついでに、映画「八甲田山」はほぼT中の学区内が舞台です。
当初の目的地だった田代平に分校があったらしいです。
17 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/14(火) 06:18:31 ID:Hghw9iGx
>>16 お尋ねしますね。
その学校では遭難事件について何か教えていますか?
また、遺跡・資料の展示等はありますか?
18 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/14(火) 18:47:32 ID:0qW5q/kx
>>15 門の近くまでザッザッと軍靴を鳴らして遭難者一隊が吹雪の中現れたそうで、当時の兵士が
『ここは、貴様らの来る場所ではない!
演習訓練に戻れ!』
と、声を張り上げて命令したら
踵を返す音がして吹雪の向こうへ戻って行ったのを涙で見送った、というのを文献で読んだよ。
今でもあの季節には、ラッパの音や軍靴の音が聞こえるらしい・・・
19 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/16(木) 21:47:13 ID:miZqeCEy
そういえば公開当時、どっかのTV番組で新田次郎先生が執筆中に"話掛けられた"と言ってたっけ。
「自分は**連隊の**であります」と声がしたので、過労で幻聴かと思ったら、文献にその名があったと言う..
>てか、皆さん話が怖い(^_^;)
おまいら、あきらめるな!
一歩一歩前へ進むんだ!
21 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/16(木) 22:30:04 ID:miZqeCEy
ゆき〜のしんぐん・こおりをふんでぇ〜
22 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/17(金) 16:14:35 ID:Lm5asXfu
旅順で機関砲の前に突撃させられるのと
八甲田山雪中行軍ではどっちがマシだろう?
>>22 旅順の方が圧倒的に生還率高いと思うのは気のせい?
んんん、「二百三高地」?
高倉健と北大路欣也、かっこよかったなぁ。
25に激しく同意
27 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/21(火) 22:07:20 ID:M6+KLG55
「続、八甲田山」創ってけんろ
内容?生還者のその後ってところかな
28 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/21(火) 22:24:16 ID:OI9dGWKE
29 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/21(火) 22:55:00 ID:7PnFVYN+
>>23 結果論としてはそういえるが、八甲田の大遭難は、何10年に一度の寒波が襲ってきた
から、あの結果になった。事前的な確率から言えば、旅順の方が危険度が高いと考え
る方が自然では。
ラスト近くの、徳島大尉が神田大尉の棺の前で泣くシーン。
何度観ても涙が出てしまう…。
さて、そろそろ露営するか。
徳島大尉の少年時代の回想シーンに出てくる
古き良き日本の景色や風俗がたまらなく美しくて、
そんな時代の日本人と隔絶されてしまった現代人の自分がなにやら悲しく思えてきます。
33 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/24(金) 03:03:58 ID:viJRmGHC
木綿のシャツに小倉の軍服、ラシャの外套を重ね着、軍足(靴下)を2枚重ねて履き、
藁で編んだ雪靴を履いて、軍手を2枚着用。
そんな薄着で氷点下20℃にも達する冬山に入り込んだら、そりゃ死ぬ罠
34 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/26(日) 18:10:36 ID:7mYcAEIz
凍傷に罹るってどんな感じ?
そんでもって、予行演習の日が小春日よりで歩いていると汗が出るくらいだったというのが、また間が悪い。
偶然が重なるということが、あるんだよなあ。
36 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/28(火) 14:58:55 ID:Mdnezhrc
最後の田茂木野集落で、村人たちが天候が荒れるから登るなと止めるのを田舎者呼ばわりしてバカにして強行したらしい。
まあ、自業自得ってとこだな。
部隊は宮城や福島出身者がほとんどで地元出身者が居なくて、八甲田山周辺の気象に疎かったらしい。
東北でも北と南では冬山の厳しさは大きく違うし、農民出身ばかりで山に慣れていなかったらしい。
ちなみに田茂木野集落には遺体安置所があったらしい。
37 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/28(火) 15:01:09 ID:lA2TZWxI
λ....
前、ドライブで銅像茶屋に立ち寄ったら遭難の経緯とか記録した本があって
興味津々で立ち読みしたんだが、パラパラっと捲って凍傷で腕や足が
無くなった兵隊さんの写真がすぐに目に入って欝になってすぐに戻したよ。
「〇〇第一露営地」やら「後藤伍長発見の地」やら道路沿いに
看板があるとこを見ると、昔からの道が今も使われてるんだね。
夜中はおっかなくて走りたくないなw
あいつら今夜も歩いてるのかなあ...
紅葉きれいかな?それとも、ゆきーのしん( ry
41 :
この子の名無しのお祝いに:2006/11/29(水) 16:40:32 ID:7fnfD+jI
木村大作ってあんなにガラっぱちなのにキレイなカメラワークなのが不思議
42 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/02(土) 15:44:45 ID:3Youzi2H
>>22 機関砲で撃たれて体穴だらけにされて
激痛の中死んでいくよりは
冷凍睡眠の中でゆったり死んでいくほうが
遙かにマシだろ。
43 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/02(土) 17:55:31 ID:OQLIZo9z
またこの季節がやってきましたな。
そしてまた見たくなる予感
44 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/03(日) 22:40:31 ID:3l6LegMJ
なんか、八甲田山で米兵ふたりが行方不明らしいと聞いてきてみたが、、、あんまし話題になってないね
>>43 去年のクリスマス・イブに、部屋で一人で夜通し「八甲田山」「タクシー・ドライバー」
「ブラザーサン・シスタームーン」と立て続けに見たら若干気が滅入った。
同意W
49 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/04(月) 20:06:20 ID:lSpni1b5
50 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/06(水) 04:07:18 ID:TZVNB3DM
凍死直前、体が熱くなって着ている服全部脱ぎだすという噂があったけど
それって信憑性はあるの?
51 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/06(水) 11:41:34 ID:3s38wHQE
帰還した兵士の証言を記録したノートがそっくり残ってる。
まあ、雪中行軍遭難事件は長年に渡って闇に葬られたも同然の状態だったがね。
でも、わざわざ掘り起こそうとした郷土史家が何人かいて、結局みんな財産食い潰したそう。
生き証人や遺族を探して歩いたり、陸軍関係の人物探しや図書館通い、資料集めなど、何も手掛かり無い状態で着手すれば、相当費用かさむ。青森からの交通費、滞在費用も馬鹿にならない。
十和田湖町(当時)にいた郷土史家の協力と、聞き書きを重ね世に出した原作者新田次郎の功績無しには「雪中行軍」発掘は語れない。
それと、映画八甲田山はやっぱり創価絡みで資金豊富だったが、原作に無くて映像化に必要な部分の考証には随分苦労したようだね。
52 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/07(木) 18:10:36 ID:ZXixoxjA
自分もT中出身です。
当時は第五連隊の兵舎をそのまま教室に使ってたので隣の教室と内装が違ったりしてました。
すごく古い建物で不便だとは思ったけど別段恐いと感じたことはありませんでしたよ
登山をする者から一言いわしてもらいと、実は薄着・厚着て問題よりも
”防水&防風対策”てことのほうが重要。
薄着でも服(特に下着)が濡れてなくて(雪&汗)、防風対策ができていれば
なんとかなる・・・氷点下20度・強風の状況でも
(ただし本人が”元気である”て条件がつくが)
足先に唐辛子で、油紙で包んでた様な時代ですもんねぇ(^_^;)
山の神様に祟られる前に死にそう。
はっきょう打算
今夜も歩いてるんだろうなあ
八甲田山の話をすると、一緒に「聖職の碑」を思い出すのですが、彼等が学校登山した山って何処か覚えてる人いますか?
58さん、サンクスです。本屋で原作捜しても無いんで“?”ですた。
>八甲田の冬季踏覇もスゴイけど、3000m級の山に学校登山する信州人も並外れな気がしますw
この子達はぁ〜私のぉ〜命だぁ〜
せんせー!
61 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/12(火) 04:05:13 ID:xuue76Bh
そろそろ小隊ごとに出発するか・・・
あんな立派な教師達も、今じゃ絶滅危惧種。
>さて、行きますか。
63 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/12(火) 22:27:29 ID:Ky84X8Ff
>>52 あ、昔の筒井中出身者ですね。
私は昭和60年入学で、古い校舎は見たことありません。
新校舎の完成は昭和55年頃と聞いたような記憶がかすかにあるのですが。
自分は、あの斉藤仁を出した柔道部に所属しておりましたが、
柔道場、剣道場はかなり古い建物のようで、五連隊時代まで遡れるかもしれません。幸いにして怪談は聞かずに卒業しましたけど。
それと、筒中体育館向かいの官舎なんかが建っている辺に、陸軍病院があったそうです。
65 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/13(水) 21:05:36 ID:PJUgJRRY
>>59 千畳敷から2時間で頂上へいけるぜ。この山は小学生の遠足にぴったりだぞ
>>59ですが
>>65さんへ
>え、そんなモノですか?ウチの周辺に高いyamaは1つしか無く、(1200m位)下から登ると4時間かかるんでそれから推測してましたw有名なyamaは登り易いのかぁ。
気が触れて雪山だっちゅうのに素っ裸になっちゃう兵隊さんが大竹まこと?
冷え込んでくると観たくなる映画だな。
雪中で立小便をしてると、僅かな間に足元が凍り付いてしまって身動き出来なくなってしまう。
エキストラで参加した役者の中では、そうなったヤツをマヌケと皆で雪をぶつけたりして遊ぶのが流行ったが、
あるとき大竹が調子に乗って雪玉をぶつけまくったやつが振り返ると…
それは大村千吉であった。
正解は、鬼の形相の緒形拳でしたw
73 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/17(日) 14:05:43 ID:WgNTEg7N
緒形は冗談通じなさそうだなw
74 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/18(月) 00:50:47 ID:WzHdvdpD
江藤伍長殿でありましたか!
75 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/18(月) 01:19:22 ID:6zdg/Jrp
後藤伍長じゃなくて?
76 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/18(月) 01:27:39 ID:WzHdvdpD
>>75 史実は後藤房之助伍長
映画は江藤伍長
後藤伍長は宮城県栗駒(現栗原市)出身
くりこま歴史伝承館ってとこで後藤伍長の展示やってた
77 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/19(火) 14:31:01 ID:pkQwV+cu
新田次郎の原作で「劍岳」というのがあって、それの映画化権を
新田の息子が持ってたのを木村大作が譲り受けて映画化する
という企画があるらしい。
衛星放送の「活動屋・木村大作の春夏秋冬」という番組の中で
木村が松竹の社長に売り込んでた。
監督は木村大作自身がやるらしい。
へー(*_*)
79 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/21(木) 20:56:18 ID:8AkDLvhK
大作、元気なうちに撮っちゃいなよ。東映ばっかじゃなくて松竹や
東宝の大作見たいよ。
「六甲山 死のバーベキュー」
この間25日間だったか六甲山で難して助かった男性、雪が無くて幸運
だったが焼肉のタレは生存と関係無かったって・・エバラ可哀想。
>>77 「剣岳 点の記」ですか?
剣岳に初登頂した陸軍測量部(今の国土地理院)の柴崎技官のお話ですね。
いい話ですが・・・
ただ、原作には少しファンタジーなシーンがあるので、そこをどう描くのかな?
81 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/21(木) 22:47:50 ID:8YtEf2Qi
天は我等を見放した! 神田大尉
>>67 CDサイズのケースのDVDの解説書に俳優の名前が書いてあったよ。
とりあえず大竹ではない。
山行はいよいよ来月ですな。今頃は打ち合わせですかな。
84 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/24(日) 15:20:40 ID:0YSyTS65
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
>>83
靴下に入れる唐辛子買ってこよーっと。
懐炉に入れる桐灰も
吹雪いてきたな。山は荒れるぞ。
88 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/28(木) 20:36:48 ID:psmxGmGI
大竹まことの台詞
「どうだっていいじゃねぇかそんなこと。
こっちは温泉にどっぶりつかってさぁ・・」
ソリをひく隊員のひとりでしたね。
89 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/28(木) 22:25:55 ID:CzVrHcfd
大竹まことばっかり・・
90 :
この子の名無しのお祝いに:2006/12/28(木) 23:03:32 ID:FOJ8u8f4
>>70-76 ぶつけるどころか棒立ち状態を後ろから蹴り倒したらしいぞwww
高倉、北大路、三国等の主要キャストは撮影現場まで雪上車で行ったが
エキストラは本当の雪中行軍状態でなおかつ彼らのブーツやコートは
特別性で暖かくエキストラの兵隊役たち物とは別物だったとか。
自分もカナダにオーロラを見に行った時に"二重底のブーツや特別性の
コート"を貸与されたがマイナス20℃でも全く寒くなかった。
グローブのみ"スキー用の物"だったようで手が悴んで辛かった。
今日も吹雪くなぁ...
>>91 里も大雪だべ
>>90 シャレにならんなwwリアル世界でも階級差別。そのエキストラ皆さんも今頃は重鎮になってたらいいな。
映画とはいえ、三国役の山田少佐に腹立ったw
中学の頃、同級生6人くらいで放課後渋谷まで見に行きました。
見終わると、全員三国に対して「あいつ許せない!ムキー」とか激怒したのを思い出しましたw
まあ、映画なんだからはっきり勧善懲悪わかるように
メリハリつけるだろうし。
書物によると実際の山口少佐(実名)はもう少しイイ人らしかったようだゾ。
八甲田の雪をナメてたという責は免れないが。
>>93 > 映画とはいえ、三国役の山田少佐に腹立ったw
ちょっと待て、山田少佐役の三国じゃないのか?
役で「憎まれる」のは名優の証だね
「賽の河原を越えて」みたいなセリフが
何度か出てくるけど、賽の河原越えたら普通にあの世だよなぁ。
今より当時のほうがずっと迷信深かっただろうに
出発前に、この地名軽くヤバイとか思わなかったのかな。
けろろ軍曹
101 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/04(木) 21:15:23 ID:4CYUiVIZ
おらぁもう、ずぶんの考えでぇ歩ぐ!
103 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/06(土) 19:57:20 ID:FJvawJUz
>>99 軍隊の行動を迷信ごときで変えることなじょ出来んわなW
やばいと思った兵隊もおったろうが
爆弾低気圧ですね。
いつものことながら・・・
酸ヶ湯、積雪183cm。国内観測ポイント最大。
さーて、今日も歩くか
107 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/07(日) 13:44:45 ID:pbsLKbYk
関東は風強いけども雪さ無いわ、したっけ八甲田はしばれるべなぁ(元道産子)
108 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/07(日) 22:23:52 ID:mDpxBmol
志賀高原でスノーボーダー6人、遭難か
7日午後2時25分ごろ、長野県山ノ内町平穏の志賀高原・焼額山のスキー場へスノーボードに
出掛けていた岐阜県安八(あんぱち)町、安田智章さんの母親から、「『今、山の中でさまよって
いる』と息子からメールがあった」と110番通報があった。
中野署によると、行方が分からなくなったのは、安田さんら岐阜県から来た20歳代の男性らの
グループ6人。7日夕、このうちの1人と携帯電話で連絡がつき、同署は、その場で穴を掘って救
出を待つよう指示した。現場周辺は吹雪で、遭難対策協会関係者らが捜索している。
案内人を頼まないからこういうことになるのだ!!
109 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/08(月) 01:05:45 ID:KFq5Nms1
今日のプラネット・アース、
ペンギンの群れが歩く姿が、
八甲田山みたい、ってレスが多くてワロタ
110 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/08(月) 01:51:43 ID:MQQiIdeZ
村山伍長殿〜
>>108 だから秋吉久美子の到着を待てとあれほど...
112 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/08(月) 05:21:04 ID:UnRiz3M7
>108の遭難者は無事救助されたみたいだ。
白馬村の遭難者1名はまだ救助されていない…。
>>108 >案内人を頼まないからこういうことになるのだ!!
お前は案内料が欲しくてそのような事を言っているのだろう?
戦地で案内人を頼む軍隊がどこにあるかッ!
彼らにカップヌードルを喰わせてやりたかった。
>>114 お前は案内料が欲しくてそんな事を言っておるんだろっっ!
天は我を見捨てたか...
117 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/10(水) 08:41:50 ID:DtxMm/e2
中高年の登山って迷惑だよね
団塊世代は頑固みたいだし
救助ヘリ代300万〜500万(一回で)だってね。
118 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/10(水) 09:09:30 ID:zehU28Hu
>>117 電車は止めても実際は損害賠償の請求されるのは少ないらしい。
電車賃は前払いだからこれは実費が発生してるからね。
友人の兄弟が山で遭難して救助費用の支払いが多額で大変だった
とぼやきいていた。
ゴム長履いてれば助かりますかね。
120 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/10(水) 21:47:03 ID:DtxMm/e2
∧_∧
ミ ( ´・ω・) <ゴム長?どうだろ・・
⊂ ノ
┠し'(_)
≡ ┷┷
121 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/10(水) 21:47:52 ID:DtxMm/e2
耳ずれた
隊長、そろそろ野営を...
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/11(木) 22:06:43 ID:P71T9ock
神田大尉!神田を呼べ!
青森湾だ・・
馬立場はこっちだ。
按木森山を右前方に見ながら、前進。
雪中行軍を中止し、ただちに帰営をするっっ!
ザックザックザックザック...
大尉、帰路が判りましたっ!
130 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/15(月) 10:59:00 ID:HyUDh/To
愛蔵版のDVDのレンタル在庫がある場所知らないですか?>日本全国どこでも結構です
吹雪いて...前が...見えん...
132 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/15(月) 21:30:08 ID:48ALcHeU
いち、に〜、さん、すぃ…
「あっ、今弟がっ!」
>>132 違った!道迷ったのは加島さんだ。失礼しました、ゴメンなさいm(_ _)m
>>130 auの携帯ショップサイトで検索したら、2004.6.23発売(監督 森谷史朗)てヒットしましたが、これは違いますか?
>こっちも面白そう。北部機動隊八甲田山踏破(ドキユメント)
あれ、写し間違ってたらスマソ
137 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/16(火) 22:40:34 ID:Wf1iYNiT
>>135 あんちゃんがもっと早ぐレスすればよがったんだ〜!!
許すぃてくれ〜〜!!
DVDいま観終わったけど、冒頭のシーンとか、全然違うタイプの映画なんだけど
「ピクニック・アット・ハンギングロック」って映画思い出した・・・
なんかカメラワークとか、建物の雰囲気とか不思議に似てる気がした
あっちは夏山の遭難でこっちは冬山だけどさー
大部隊のほうが門から出発するシーンが女子生徒達がが馬車で校門から出ていくシーン思い出したし
ラストに自害する将校が「ピクニック」で自殺する女校長とダブった。
139 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/17(水) 00:03:58 ID:tphxcOMh
>>90>>92 大竹まことが話していたね。緒方拳のブーツを借りて履いたら
全く別物だったとか。
唐辛子が見づがらねぇ...靴に入れねば...
141 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/17(水) 21:07:35 ID:OKsLXR8L
Σ(゚д゚lll) 31連隊の計画書が!?
142 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/19(金) 18:58:59 ID:WFJvheK5
福島泰蔵大尉
「よく聞けい!明日早朝を期して十和田・八甲田に向け出発する、体調を万全に整えておけぃ!」
143 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/20(土) 06:25:29 ID:MqAk4CIR
福島隊、出発したらしいよ。
144 :
大門 圭介:2007/01/20(土) 15:53:34 ID:msQxVerC
うむ。
あちゃー、福島隊もう出ちゃったー?
146 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/21(日) 06:58:24 ID:/umaB41r
福島大尉
「今日は8km先の切明までだ!途中、琵琶平を通過するが冬の難所として恐れられた処だ、気を引き締めてゆけぃ!」
147 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/21(日) 16:59:25 ID:eCXduaSu
「軍歌、雪の進軍〜♪」
148 :
大門 圭介:2007/01/21(日) 20:09:03 ID:fXhsDD7f
そうか。
ゆきーのしんぐん こおりをふんでー♪ ザックザックザックザック
150 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/22(月) 06:42:47 ID:6ps0vPS6
福島大尉
「今日は銀山までの28km、ほとんどが急坂である。装備の点検を完璧にせよ!」
151 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/22(月) 08:59:45 ID:elpfNkAE
軍歌 ウルトラ警備隊の歌〜♪
今年のような気候だったらあんな悲惨事にはならんかったろうに
合掌......
153 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/22(月) 21:54:12 ID:g5lbF/BO
小峠までの予行演習では、あんな気候だったんだから油断は禁物だぞ。
軍歌 風のフジ丸の主題歌ー!
155 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 04:14:14 ID:Xw8UojyA
この映画のなかでしょんべん漏らしただけで死んじゃった人が
いたけどあんなんで死ぬの?
156 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 06:24:42 ID:fXLzK1+d
福島大尉
「目的地は宇樽部だ、いいか、岩は凍っていて滑るゾ。湖畔の枯れヅルや木の枝を握って前進するんだ!」
157 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 10:04:32 ID:fd3Pt0RJ
凍死しちゃうんじゃない?オシッコで
>>155 延々一人が書き込んでるのかしらセリフ書いてる人w
158 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 12:03:29 ID:X+Qw0trF
105年前の今頃
雪中行軍隊天候急変
今、引き返していればあんな事には…
159 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 17:55:50 ID:fXLzK1+d
今時分、先頭は馬立場あたりか?
子供の頃テレビで見てうろ覚えだけど、
手が凍ってそれが氷みたいにわれたシーンがあって大恐怖だった記憶がある・・・
そのせいでこれ観返す勇気がない。
そんなシーンあったっけ、、、忘れてもうた
162 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 19:58:58 ID:X+Qw0trF
>>161 映画には無いシーンなので
テレビドラマの方だと思われる
今頃はすでに大暴風雪の中死の彷徨中…
ザックザックザックザック............ザックザックザックザック.........
164 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 23:19:06 ID:u1hsSxvb
田代への道が発見出来ません!!!
165 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/23(火) 23:22:26 ID:X+Qw0trF
今の時間は第一屯営場所で雪壕を掘っている頃か
すでに凍傷になっている兵士もいただろう…
この頃の日本映画って既に「時代を映像で再現する」という力を大きく失っていた頃だけど
八甲田山はそういう方面での破綻が少なくて安心して観られるね。
「現代」が画面に入って来にくい山奥が主体の映画でもあるし
麓の場面でも雪景色が現代色のカモフラージュに随分と役立っている。
ちょっと現代を感じさせるのは森田健作の髪型くらいだった記憶が。
それって記憶違いかな?森田も短髪にしてたっけ?
毎年1月23日から数日実況中継が行われるなあ
もう少しすると「神田〜! 神田大尉を呼べ〜!」か?
(史実は「神成大尉」)
168 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/24(水) 06:08:33 ID:X6DAa9rY
>157
そうW
福島大尉
「各人、綱で腰をつなげ。前の者の足跡を見失うな!」
雪山のロケはどこで撮ったのでしょう?とうほぐ?
170 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/24(水) 09:10:24 ID:Ugmh9nuP
>>169 冬の八甲田山中でリアル雪で撮影されました
かなり過酷なロケだったらしく
発狂して裸になる役者さんは大変だったらしい
171 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/24(水) 13:35:20 ID:slc3enN1
子供のときに見たが、神田大尉がもっとしっかりしてれば
こんなことにはならなかったろうに、と思ったもんだ。
あの場に大隊長がいても中隊の指揮権は、中隊長たる
彼にあるのだから。
172 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/24(水) 22:45:24 ID:X6DAa9rY
神田大尉
「やはり我が隊がいるのはここら辺りかと思われます。ここから脱出するには、この駒込川の支流に沿って西に進み・・・・
この付近で方向を変え、馬立場へ進む意外に方法がないと思われます」
173 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/25(木) 00:38:34 ID:DO5ccGKn
そろそろ誰かが真っ裸になっているころ…
「1月と2月の八甲田は
一度踏み込んだら生きて帰れネェ。
白い地獄だニ。」
今日(つか24日)
焼山→蔦→谷地→黒森→田代→峠茶屋→火箱沢林道→萱の茶屋→雲谷→青森
で走破してきた。
帰って来てからニュース見たら
・城ヶ倉大橋で30代の女性が落ちて救出された。
・黒石でパトカーが滑って信号機壊した。
だって。
城ヶ倉通って黒石に出れば良かったなぁ。(=´ω`=)
175 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/25(木) 06:01:03 ID:/S5rMl9i
176 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/25(木) 06:30:43 ID:/S5rMl9i
神田「大隊長殿! 大隊長殿!!」
と叫びながら山田の前に行く。
神田「このままの時間経由は、ますます多くの隊員を失う。歩いているほうがむしろ被害が少ない
直ぐに出発させてください」
山田「いや、出発は明るくなるまで待て。昨晩は夜中に雪濠を出たのが間違いのもとだった・・・・
同じ過ちを二度繰り返しては」
神田「(全身で叫ぶ)昨晩は夜明けまで待つべきでした。しかし現在の状況は違う!出発!出発させてください!」
倉田「そう興奮するな、神田大尉・・・・」
神田。ハッとして倉田を見る。
倉田「(落ち着いた口調で)暗夜での帰路の発見は極めて可能性が少ない。明るくなってから出発しよう
明日になれば風も雪も少しは収まるだろう」
神田、暫く黙り込む。ちょっと頭を左右に振り、自分の場所へ帰り始める。その心の中の声。
神田(全く倉田大尉のいう通りだ・・・俺の頭は寒さと疲労のためにどうにか・・・それに何かもうひとつ・・・
そうだ、三十一連隊の徳島隊だ)
神田、元の場所の元の位置に立つ。
神田(明日か、明後日には必ずやってくる・・・徳島隊がこの敗残部隊を見たら・・・いやなんといわれても・・・
徳島大尉、徳島大尉に逢えば・・・生きる道がまた開ける)
177 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/25(木) 12:27:25 ID:EIQU4InR
あ〜また見たくなった
今日DVD借りてこよう
でも今時期は競争率高いんだよね(+_+)
>>170 レスアリガト、リアル八甲田か
>>174 城ヶ倉大橋?もしかして八甲田を彼方に望む近代的な釣り橋かな。
数年前の夏に橋から景色を眺めたような記憶が。
あそこ下までかなり距離あったわ。6階建てビルとかくらいの高さで
死にそうだな、落ちたら・・
近くに小さな温泉地があったんだな確か。
179 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/25(木) 22:35:50 ID:/S5rMl9i
そのブナの疎林を進んだ神田隊、横に広がり停止している。
神田、倉田、山田以下立ち尽くし、一同は全く声もない。
行手は鋭い急な斜面でとても上がることなど出来ない。
山田、眼をつぶりふらっと倒れかかるが、なんとか耐える。
神田、息を吐く、息を吸う、眼をつぶる。
吹雪のおさまった疎林の中はシーンと静まり返っている。
神田「天は・・・天は我々を見は放した」
血を吐くような悲痛な声が静かな疎林の中へひびく。
神田「(眼を開き)こうなったら露営地に引き返し、先に死んで逝った者と一緒に全員が死のうではないか!」
と、神田の傍の長谷部が足許へ声もなく崩れ落ちる。
江藤「長谷部!(雪沓で肩を蹴るがもう全然動かない)」
江藤、仕方なく銃を拾い枕許へ墓標のように逆さに突き立てる。
倒れたのは長谷部だけではない。神田の声がまるで引き金のようになり、隊員が次々と倒れかかる。
倉田「(この有様に顔色を変え力一杯叫ぶ)帰路が発見出来たぞ!ここに高地のあることに依り、露営地の位置が
分かったのだッ!」
倒れる寸前の者がハッとし、いや、倒れかかった者までが 吃驚したように倉田を見る。
倉田「全員露営地に戻り、馬立場へ急げば今日中に帰営が出来る!見ろ!(手を上げ)天候もあの通り回復してきたでは
ないか!!」
>175
積雪は、銅像茶屋付近が2mくらいですかね。
SWの屋根より高かったです。
>178
城ヶ倉大橋。八甲田の西になります。
八甲田に来る人は、黒石ICで降りてココを通ります。
ttp://www.jomon.ne.jp/~kkk/k_jyouga.htm 例年なら積雪で歩道部分は柵と同じ高さくらいに積もる
(車道と歩道の間にロープが張られて縁に近づくことは禁止)
のだが、今年は雪が少ないので滑って落ちることはないです。
夕方、ABAのニュースで防災ヘリが救助している映像が流れてたが
案の定、朝の新聞には載ってないです。
さてDVDでも観よ。
181 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/26(金) 20:51:46 ID:VhCgc2am
神田、その風と地吹雪、吹雪の中を歩いている。
しかし、今にも倒れそうで、従っているのは江藤伍長以下もう数名。
神田は心の中で血を吐くように叫んでいる。
神田「(倉田大尉殿!なぜそちらへ・・・ここはもう賽の河原、こ、これを越えれば大峠・・・駒込川はいけない!
そちらはいけない!!」
しかし、賽の河原の地吹雪と吹雪はますます強くなる。
神田「藤村!いや、江藤、江藤伍長!」
江藤「中隊長殿!!(とやってくる)」
神田「江藤伍長!ここはもう賽の河原、真っすぐ進めば大峠、小峠、田茂木野村だ!斥候となり先行、田茂木野村へ行け!」
だが、江藤は神田の様子に躊う。吹雪と地吹雪に倒れたのか遅れたのか、指揮班は神田と自分以外にいない。
神田「(決然と)倉田大尉殿以下は駒込川の渓谷だ、一刻の猶予も・・・田茂木野村へ先行して住民を雇い、雪中行軍隊、
雪中行軍隊の救助に当るのだッ!!」
江藤「ハイ、では・・・では中隊長殿!!」
神田「行けーッ!!」
江藤が頷いて進み出し、その姿が雪の中に消え始める。
神田、立ったまま見送っているが、体が倒れかかる。しかし、倒れず、一歩一歩その後を歩き出す。
神田―白い飛雪の賽の河原をただ一人で、足を踏み締め、踏みしめ、どこまでもどこまでも
進んで行く。
182 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/27(土) 02:08:51 ID:/uYMTpC2
今日DVD借りられた
1年ぶりにみた
この時期には必ず見て雪中行軍隊の冥福を祈ります
105年前の今日が神成大尉の命日ですね
合掌m(__)m
今でも八甲田山山中をさまよっているのだろうか
ザックザックザックザック....
グッフグッフグッフグッフ....
185 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/27(土) 15:14:16 ID:PWKSMGe9
軍医〜〜!!!
186 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/27(土) 17:43:19 ID:r8IbWCiw
大峠に近い賽の河原。
案内人5人を先頭に、三上少尉の指揮する五連隊の救助隊六十人が悪戦苦闘で進んでいる。
と、先頭の案内人が妙な顔をして立ち止まり指差す。
三上少尉以下が見る。
雪の中から石地蔵のようなものが立っている。
三上、近寄って見ると、胸まで雪にうずもれた氷の立像のような江藤伍長。
三上、慌てて軍医を呼ぶ。
駆けよる軍医や看護卒、花田伍長。
雪の中からその後藤伍長を掘り出し抜き出し始める。
−毛布を敷きその上に後藤伍長を寝かせ手当てが進んでいる。
江藤の顔にほんの少しだが赤みが出てくる。
三上,花田伍長などが息をつめ様子を見ている。
江藤、蘇生し唇が少し動き始める。
江 藤「(かすれた声で)中隊長殿・・・神田大尉殿」
三 上「神田大尉殿がどうしたのだ!」
江藤、なにかいおうとするがいえない。
三上、江藤の耳に口を寄せ、
三 上「山田少佐殿以下、雪中行軍隊はどこにいるのだ!!」
津村、木宮他の首脳部が、花田伍長の報告に、息をつめ顔が硬直したようになっている。
木 宮「大峠付近で発見したのは、中隊指揮班の江藤伍長だな?!」
花 田「はい、仮死状態にあったのを、手当ての結果蘇生したのでありますが、この江藤伍長の言によりますと・・・
雪中行軍隊は山田大隊長、神田中隊長以下全滅の模様・・・引き続き付近を捜索中であります!」
津村、木宮他真っ青になる。
187 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/27(土) 18:01:15 ID:r8IbWCiw
徳島、その雪原を過ぎて隊を停止させる。
ただ一人で引き返して来て立ち止まり、しゃがみ込む。
雪の中に横たわり永遠の眠りについている神田大尉。
その青白い蝋のような顔の唇から流れ出た、一筋の血が黒く乾いてこびりついている。
徳島、その神田の顔をじっと見つめている。
−神田の青白い顔が次第にぼやけてくる。
徳島の眼は涙で少しうるみかける。
神田、次第に生きている顔になり、徳島へ微笑する。
神 田「特島大尉・・・やっと約束通りに」
徳 島「(頷き)八甲田で・・・」
神 田「いろいろとご苦労されたでしょう」
徳 島「いや、苦労は、血の涙の本当の苦労は、神田大尉、あなただ!」
神田の顔、ニッコリ笑いかけるが、瞬間にそれはもとの青白い屍蝋の顔になる。
神田の枕許へうずくまってしまったような徳島、ギュッと血が出るほど唇を
噛みしめたちあがる。
徳島、涙に耐え隊員のほうに歩き出す。
188 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/27(土) 18:31:16 ID:r8IbWCiw
189 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/27(土) 19:07:03 ID:r8IbWCiw
名場面の書き込み、ご苦労様です。
出来れば最後までお願いしますねW
秋吉久美子マダーーー?
191 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/28(日) 01:32:01 ID:TFf/2K+R
192 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/28(日) 07:28:16 ID:meeSg4ka
>>190 期待に応えてW
徳島達が昨夜を過ごした開拓農家。
滝口伝蔵が息子の嫁の滝口さわ(21)を連れてきている。
徳 島「戸来村からこの宇樽部へ嫁に来た。だから実家に帰るために往復し、
道はよく知っているのだな」
伝 蔵「へい、その通りでございます」
さわはただ頭を下げる。
福 島「我々の今日の行程は中里までだが、途中には犬吠峠という難所がある。
雪のある一月にこの峠を越えたことがあるか」
伝 蔵「へえ、確か一度か二度・・・そうだな、さわ」
さわ、頷きペコンと頭を下げる。
伝 蔵「しかし、大将様、この通りの天気だし・・・さわがこれじゃダメ、峠は越せない
と言ったら、その時にはさわを叱らずに引き返してください」
徳島、流石にちょっと言葉につまる。
伝 蔵「銀山に働きに行っている倅の大事な嫁で、やっと誕生を迎えたばかりの子供も
いる。どうか大将様・・・(両手を突き)これだけはくれぐれも私からお願い致します」
もんぺで雪沓を履き、みのぽっちをつけた滝口さわ。
そのさわを先頭に宇樽部を出発して進んでいる。
犬吠峠の手前でさわが立ち止まり、手を上げている。
徳島以下は声もない。道は見えないが、さわの指先がくねって孤を描き、
さらに上がり、また上がり、峠の頂点に達する。
見上げる殆ど仰角一杯にまでそびえ折重なる山と山との稜線の僅かな
切れ目。
−ーズシンと胸にひびく、途方もないその山越え。
さわがさっさと歩き出し、徳島と隊員達が慌てて続き始める。
犬吠峠にかかり、さわを先頭に坂道を上がっている。
だが、吹き降ろしの向かい風と地吹雪で顔が上げられない。
徳島以下、お互いが離れないように麻縄で体を縛合って繋ぎ、さわを目標に、
喘ぎながら進んでいる。
犬吠峠へ進んでいるが風と雪の狂乱でにじるような速度。
飛雪の白い渦がさわも隊員も飲み込んでしまう。
だが徳島以下はとにかく全員が一本の麻縄の鎖だ。
それに飛雪に見え隠れするがーーその先頭にさわがいる。
続く
193 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/28(日) 07:29:46 ID:meeSg4ka
峠が近く坂道は急になり、向かい風が一段と激しい。
隊員達は寒さや痛さを越え手足の感覚がもうない。
さわに続く徳島の怒鳴るような号令も、風が吹き飛ばして伝わらず、一同は雪
の中を泳ぎ、ただ這うように進む。
だが、徳島以下は麻縄の鎖だから、足を捻挫の松尾伍長が倒れそうになって
も倒れず、隊員はバラバラにならない。
さわは深い雪をふわりふわり踏み越えて行く。歩けそうもない風がくると、ひょい
と雪の中へ身を伏せ、また歩き出す。
まるで風のリズムに体全体を合わせているような歩き方だ。
徳島、時々そのさわを見失い、
徳 島(案内人!案内人!)
と、必死で叫んでいる。
さわーー犬叫峠の頂点に立っている。
その顔が風の中でまるで童女のように輝いている。
徳島以下、やっと峠に達する。
さ わ「(ニコニコ)ここまで来たらもう大丈夫、弁当を食べましょう」
だが数珠つなぎの徳島以下は疲れ切って声も出ない。
さ わ「あっち、あすこが風がないから、あすこにしましょう」
峠で昼食を済ませ、羽井内に向かいもうかなり下っている。
風、雪、地吹雪もすっかりおさまり、山も谷も以外に明るい。
高 畑「中隊長殿、案内人は最後尾に」
徳 島「いや、このままでいい」
徳島隊、さらに進んで立ち止まり、道端に整列している。
さわ、徳島と並んで隊員に向かい、ちょっと恥かしい。
徳 島「案内人の生家が戸来の鹿田なので、案内はここまでとする」
さ わ「(ますます顔が赤くなり)じゃ、兵隊さん、みんな元気で・・・」
といってペコンと頭を下げ枝道へ歩き出す。
徳 島「気をつけ!」
さわ、吃驚して立ち止まる。
徳 島「案内人殿に敬礼、頭アー右ー!ッ!!」
さわ、慌ててドギマギと手を振りながらすたすた去って行く。
そのさわに、徳島は挙手と、他の者は頭ア右の徳島隊の全員。
つかれたピーW
乙
また来年も頼むな
乙
もう来なくていいよ
面白かったよ、ミニ上映会ありがとう、乙
八甲田で猛吹雪 40台立ち往生
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070128113729.asp
秋吉久美子キテターーー!
つかれたピーって・・・
シナリオ研にでもいたのか?信じられなーいっbyヒルマン
200 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/30(火) 19:28:55 ID:IW9jqxhc
>>199 いやいや(笑)シナリオを書き写しただけよ。
201 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/30(火) 21:11:17 ID:IW9jqxhc
最後の力を振り絞りW
土間に詰めている救助隊の五連隊の下士卒。
入ってくる徳島を見て、水を浴びせられたように総立ちになり、中には悲鳴を上げる者さえいる。
黒い外套は凍りついた雪で真っ白。雪焼けで顔はドス黒く、眼がぎらぎら光り、遭難した誰かの
亡霊としか思えない。
徳 島「三十一連隊の雪中行軍隊だ・・・八甲田を越えて来たが、宿舎の必要があるので、設営指揮官にお逢いしたい」
奥から出てきた救助隊指揮の木宮少佐、徳島を見て息を飲む。
下士卒を遠慮させ、木宮と徳島が二人きりで向かい合っている。
木 宮「負傷者を一人、三本木から汽車で帰したが、後は全員無事に?」
徳 島「その通りであります」
木 宮「ところで、八甲田ではなにも見なかったか」
徳 島「本日午前十一時、鳴沢で収容を待っている犠牲者の遺骸を一つ、それから賽の河原では午後三時四十分、
行軍指揮官神田大尉以下の遺骸を」
木 宮「(妙な顔をして遮り)賽の河原で?しかし、そんな?賽の河原はくまなし捜索し、遺体二十三体の収容を終わっておる」
徳 島「え?!(思わず声を上げる)」
木 宮「それも昨夜のうちにだ・・・(暗然と)指揮官の神田大尉は、今回の雪中行軍に責任をとるためか、凍え切った体に
最後の力を振り絞り見事に舌を噛み切っていた」
徳島、全身が全く硬直したようになってしまっている。
その家の裏。
裏口から木宮と徳島が出て来て木宮が指差す。
指差すまでもない、そこには雪の中に急造の遺骸安置所。
木宮、徳島を案内して進み立哨の兵が銃を捧げる。
その遺骸安置所の中。
木宮と徳島が入ってくる。
侘しい裸電球の下にズラッと棺桶が並んでいる。
その一番奥に黒くうずくまっていた人が顔を上げる。
神田の妻のはつ子、喪服の顔だけが白い。
しかし、徳島はまだなにか半信半疑で納得が出来ない。
木宮、黙ってどうぞと手で示し、徳島が近づき、はつ子が立ち上がり迎えて頭を下げる。
徳 島「三十一連隊の徳島です」
はつ子の表情がハッと動く。
徳 島「お別れをしたいと思いますので」
はつ子はなにもいわずにただ頭を下げる。
徳島、棺桶へ近寄り蓋を取って横に置き、中を覗き込む。
−間違いなく神田だ。
賽の河原で今日見たのと同じ青い屍蝋の顔。
だが、舌を噛んで流れた血だけはきれいに拭い取られている。
徳島、その神田の顔をじっと見つめる。
だが、どんなに見つめていても神田の顔は変わらない。
徳島の眼が涙で一杯になってくる。
しかし、神田の顔は依然として変わらない。
徳島、たまらなくなり目尻から涙が一筋二筋頬へ流れ出す。
その徳島へはつ子がしみじみとなにか訴えるように、
はつ子「八甲田では三十一連隊の徳島様に逢える・・・それだけが、今度の雪中行軍の楽しみだと申しておりましたのに」
徳 島「いや、雪の八甲田で逢った!自分は間違いなく神田大尉に」
同時に両眼からどっと涙が噴出してくる。
涙はあとからあとから噴出してとまらない。
−徳島は泣く、嗚咽はこらえるが、溢れる涙で徳島ははじめて泣く。
>>200 お、台本持ってんのか、いいなー
名場面、乙。
203 :
この子の名無しのお祝いに:2007/01/31(水) 07:01:43 ID:+eyzM4Lf
この場面も・・・
八甲田―山麓の田茂木野村
津村が二、三の連隊本部の者と自ら出迎えに来ている。
山田その他は橇に乗せられ、倉田と伊藤は救助隊員の肩にすがった徒歩で―八甲田から降りて来る。
救助隊が近づき、津村が二、三歩前に出て橇が止まる。
山田、津村を見ると、橇の上で起き上がり始める。
津 村「いや、そのままで」
だが、山田は橇の上へ起き上がりきちんと姿勢を正す。
倉田と伊藤は山田の橇の傍で津村に対し直立する。
山 田「連隊長殿、申し訳ありません・・・こんな不様な有様で」
津 村「いや、山田少佐、それより体のほうは?」
山 田「(答えず)今回の遭難の最大の原因は、山とか雪に対し、あまりにも自分にその知識がなかったからであります。
第二の原因は神田大尉の指揮権に強く干渉したからであり、全責任はこの自分にあります」
津村、なにもいわない、いや、いえない。
倉田と伊藤は粛然として立っている。
山 田「ところで連隊長殿、三十一連隊のほうは?」
津 村「予定より二日遅れたが全員八甲田の踏破を終わり、青森市内に宿泊し、昨日浪岡に到着・・・」
山田、流石に顔が少し硬張ってくる。
津 村「(少しいいよどみ)今日はその浪岡より、弘前の三十一連隊に向かっている」
山田、一、二度頷き、
山 田「・・・死んだ部下のことをよろしくお願いします」
と眼をつぶる。
倉田サンと伊藤サンはめちゃタフだな
205 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/04(日) 20:34:48 ID:yzEeQSpD
今年の実況は・・・・END?
206 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/04(日) 22:13:30 ID:O7reARQI
毎年自分の誕生日が来るとこのスレで遭難中なのが・・・ハァァ・・
207 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/08(木) 13:59:40 ID:GSyKj5Wx
案内人再婚age
208 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/08(木) 17:38:48 ID:S9D0VZEh
>>205 実況は?ですが、名場面のリクエストがあればどうぞ
209 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/08(木) 18:16:04 ID:s5YST4Fv
兵隊さん、みんな元気でー。
大竹まことってドラマ版にも出てたよな、徳島隊で結構目立つ役立ったような
記憶がある。
212 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/14(水) 12:56:56 ID:yt/rNIzl
秋吉久美子が来るのを待てと、口を酸っぱくして言ったのに...
こういうニュース聞くと、なぜか本棚にある「八甲田山」のDVD引っ張り出したくなってしまう不謹慎な俺。
冒頭に登場した第八師団司令部のロケ地は、昔俺が通ってた保育園の敷地内の建物だったなあ(遠い目)
で、"銅像ルート"の銅像って、あの伍長さんのでつか?
>215
営林局?
連続書き込みスマン。
>216
そうです。銅像茶屋の道路に出るコースなので銅像ルートと言います。
銅像茶屋の前はバスが2台くらい退避出来る分だけ除雪されています。
判り易く言うと「馬立場」にバスが待機します。
220 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 00:14:10 ID:91VqFAmu
>219
「白い地獄だに。」
221 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 00:42:42 ID:Bgsl4PLl
徳島大尉!神田大尉!
どうだ?暖冬の八甲田を歩いて見たいとは思わんか?
222 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 01:13:39 ID:BpKfYzhE
>>220 すまん、加藤嘉のその名台詞、うろ覚えだったよ。
ってか、いくら田舎者でも地元の人間は語尾に「〜に」なんていまさら付けないぞ(当時はどうだったか知らんがw)
いや現在、徳島と神田の亡骸の御対面…もうダメだ(ノД`)・゜・
>219
「白い地獄ニダ。」
224 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 01:23:15 ID:BpKfYzhE
観終わった。
笑いたければ笑ってくれ。…今日も目頭が熱くなってしまったよ
226 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 07:51:19 ID:M/J53cFH
八甲田で見たことは誰にも話してはならぬ
227 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 08:32:37 ID:JOuf6d4H
みのの朝ズバッで雪の進軍かかってたよ
228 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 08:40:45 ID:5PgK0MTV
>218さん、レスさんくすです。
>しかしあの気象状況でも八甲田に入る人が居るのに仰天。今回の雪中訓練は何が目的なのかな?
229 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/15(木) 09:53:13 ID:JOuf6d4H
やはり今回もロシアとの戦争をにらんで行われたのでは
いや、白頭山での戦闘ジャマイカ
>229,>230
それは近未来にリアルに起こりそうで、ヒキ(笑)
「八甲田山」も「バルトの楽園」もストーリーはいいのだが、シナノ企画が関わっているんで嫌い
吹雪の中を行軍することに意味があるとかなんとか
適当に理由を付けて、やってみたら案の定壊滅的被害。
あほらし。
MXで落として見終わったんだけど
ラストシーンはどんなのですか?
大隊長が病室でピストルを心臓に・・・ってとこで切れちゃってたんだけど
>>234 その後、諸国を渡り歩き色道修業を重ね、34歳のとき父の死によって遺産を相続。
以後20数年、京、大阪や江戸の遊里を舞台に好色生活を送る。
60歳になって浮世の好色を尽くしたとして、好色丸という船で女護が島に船出する。
ここには熱心なファンしかいないと思ってたので
(シナリオを持ってたり台詞を詳しく覚えてる人とかいるみたいだし)
>>235の回答には残念です
237 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/17(土) 12:54:58 ID:LqkC4BtR
>>236 MXで落としたやつなんかを見てるからだ。
DVD買え!
それより、おしえていただけませんか?m(_ _)m
MX厨は死んだほうが世のため人のため
どっかの山で凍えて死ね
だな。さまーみろw回線切って吊れよクズ。
241 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/17(土) 17:13:38 ID:mdF8QVG3
>>238 それではご期待にお答えして、山口少佐自殺の場面からENDまで。
青森―衛戍病院の一室
山田、寝台の枕元の椅子にきちんと腰かけている。
軍歌が聞こえてくる。得意の時にも苦難の時にも、青森五連隊、そして弘前三十一連隊が
雪中行軍に歌った、あの「雪の進軍」が。
雪の進軍 氷を踏んで
どこが川やら、道さえ知れず
馬は倒れる 捨ててもおけず
ここはいずこぞ みな敵の国
静かに左手で白衣の胸をまさぐっていた山田、右手の拳銃を心臓に当て、
ダアーンと銃音が響く。
青森市郊外・幸畑
五連隊雪中行軍隊の墓地。
山田、神田を中心に、その左右に百九十九名の墓。
青森市―ねぶた祭り
弘前の古風な武者絵と輝きを異にし、巨大で豪華なねぶたが次々と街を行く。
馬を投げ飛ばす大入道の武者、剣を抜いた坂上田村麿呂、凄艶な雪女郎のような美女。
太鼓、花笠、掛け声とそのハネ踊り。
―時の流れ、八甲田雪中行軍はもう七十年前だ。
幸畑・雪中行軍隊の墓地
林立する墓石の向うを墓の中央へ一人の老人が歩いている。
その義手と義足がなにか印象的だが、誰だか分からない。
八甲田連峰
田茂萢岳、前岳などが晴れ上がった空へ稜線を際立たせ、山腹からの視野には、田代平、鳴沢、
馬立場、ヤスノキ森、賽の河原などの緑一色の起伏の大平原。
その田茂萢岳の頂上に近い八甲田ロープウェイ山頂公園駅。展望台や周辺にいる人々。
登山姿も見えるが、殆どは観光客だ。そうした人々からポツンと離れ、行軍隊の墓地を訪れていた老人が立っている。
義手で義足、顔に深い無数のしわを刻みこませた、それはかってただ一人田代元湯にまで達した九十歳の村山伍長。
その村山伍長がゆっくり見廻す。緑の八甲田連峰やその広大な平原へタイトルがW始める。
三十一連隊の徳島大尉以下の雪中行軍隊と、五連隊の倉田大尉、伊藤中尉らは、二年後の
日露戦争中、極寒零下二十数度の黒溝台で、二昼夜飲まず食わずに戦い、続く奉天大会戦を
勝利に結びつけ、全員が戦死した。
今に残るのは、本州最北端の地に、うすれかける記憶で語り継がれるー八甲田山雪中行軍の
物語だけである。
タイトルの終わり頃からO・Lで、八甲田連峰は再び冬になりー静かに雪が降り始める。 (終)
うわぁ、涙がっっ
243 :
名無しさん:2007/02/17(土) 20:02:56 ID:QrLEg8Wk
>>241 御苦労様です。
これ見た人間ならラストの余韻の雰囲気が伝わるけど、
未見の人間には難しいだろうなあ。
>>238よ今からでも遅くないからDVD買うか、借りるかして見た
方がいいよ。
244 :
弘前在住です:2007/02/17(土) 20:44:31 ID:LQ0ZC0N9
>>241 GJ!この映画はネットで落とすのじゃなく、是非とも劇場の大画面でご覧頂きたい。
ラストで、義足引きずってとぼとぼ歩く村山伍長…(ノД`)・゜・
冬場は雪原の地獄だからこそ、地元民には緑や紅葉にけぶる八甲田の有り難みが
感じられるんだよね。
今年の春は到来が早そうだ。雪が溶けたらまた八甲田にバイクに跨って行ってみよう!
>>241 thxです。
そうね、DLしたのだと誰が誰やら分かりにくくて。
香山雄三出てなかったですか??
村山伍長って「俺の好きなように歩く」って言ってた人?(緒方拳?)
今時劇場の大画面なんて無理でしょ?
246 :
名無しさん:2007/02/17(土) 21:51:28 ID:dxeMmEvG
>>244 加山雄三が誰かわからんというぐらいなら、なおさら
せめてDVD画質でのちゃんとした視聴をした方がい
いと思うが。
ところで、永野軍医ってたしかフジの高島アナの父親
だったよな?
247 :
弘前在住です:2007/02/17(土) 22:25:06 ID:LQ0ZC0N9
>>246さんに指摘されたので、不肖私がお答えします。
加山雄三氏の演じた役柄は、歩兵第五連隊第二大隊本部付の倉田大尉殿であります!
>>245さんも再見の際にはよくご注目下さいます様に。そして仰るとおり、今では大画面で
観られる機会は殆ど無いです。某かの映画祭とかでは今でも上演される事がありそうですが・・
で、永野軍医役の竜崎勝氏の娘さんはご指摘通りスーパー競馬の高島彩アナですね
彩パンの父竜崎さんは渋かったねーー早世が悔やまれる
えっ知らなかった、マジで?
高島アナってただのアホじゃなかったのかw
ごめんよパパン
250 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/19(月) 20:37:25 ID:MynLVClx
>>249 以前フジの特番かなんかで「食いしん坊バンザイ」の竜崎さんの話題を
誰かが振ったとき彩パン、ボロボロ涙を流してたよ。まだ小さい頃に亡く
なったんだもんね。
竜崎勝さんはウルトラマンゾフィの人間体としても有名
254 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/24(土) 18:10:01 ID:bxeH2r+a
週末
「天は我を〜」
って言うらしいね
もう八甲田山なんて奇跡の映画は撮れないだろうな
木村大作も健さんも健在だけど老いたから無理、大滝秀治も三國も
高齢。脇を固めた藤岡琢也も丹波さんもいない。
257 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/25(日) 17:14:54 ID:UFrloA72
キムタク、渡ではいかが?
258 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/25(日) 18:05:03 ID:dfBY73Nv
>>257 長髪の陸軍士官などいない!!!
これだけで、奴は不適格だ!!
>257
渡: 「やーだよー。」
木村:「なん じゃ そりゃ。」
つか77年に撮影されたアノ映画は、今見てもスゲー。
撮りなおすことも出来なければ、撮りなおす必要も無い。
今ならお手軽にCGで雪崩も吹雪も、遠くにいる兵隊も作っちゃうんだろうな
天は我々を見放したかッ!!
「天は我に味方したか」
万俵大介さんの談
撮りなおしてもいいけど木村拓哉だけはイヤ。
最近邦画が盛り返してるというからキャスト、脚本、カメラ次第
ではいけるかな。
森谷司郎みたいな監督が今だと誰にあたるかわかんないけど。
いっそ、アメリカでやったらいいかもw
コマカイ処なんだけど、二泊目の雪壕で神田大尉のセリフ
「昨夜は夜明けまで待つべきでしたッ・・・しゅっぱぁ〜ツ、出発させて下さいッ」
この<しゅっぱぁ〜ツ>、声がデカくて長く延ばすから、何回見ても
「いきなり勝手に号令掛けた?」ように聞こえてしまうんです。
・・・あ、いや、それだけです。
265 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/26(月) 19:44:44 ID:Z471gwHe
>264
大隊長殿が
「いや昨晩は待つべきであった」
と眠そうな顔で言っていたので
起こそうとしてるんじゃねぇの?
顔の骨格が違うんだよ、若い俳優。
戦争ものをやってももう昔の味は出ない。
268 :
264:2007/02/27(火) 19:33:38 ID:BPhgQ/Ub
>>266 多分おっしゃる通りなんでしょうね。
デカイ声はそれでいいとしても、「しゅっぱぁ〜つ!」と長く延ばすもんだから、
一瞬「神田悩乱、突如号令!」に聞こえてしまうんですよ、アレ。
山田少佐の肩に手を置くかして、「出発!出発させて下さい」なら良いんだけど。
・・・ま、俺だけスかね、こんなコマカイこと考えてるの。皆さんすみません。
269 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/27(火) 21:06:35 ID:fw/vzJXA
渡辺謙ではいかが
270 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/27(火) 22:21:44 ID:820x22eJ
>>269 渡辺謙の歳だと児島大佐(丹波哲郎の役)くらいしかできんと思うよ
確かに精悍な頬を持った若手俳優っていなくなったねぇ・・・
それじゃ今井雅之にお願いしよう。
速水もこみちくんに出て欲しい♪
このスレを見ている人はこんなスレも見ていますに
二百三高地もありそうだ
275 :
この子の名無しのお祝いに:2007/02/28(水) 22:38:22 ID:R9xItRh+
参考までに配役
島田 正吾 : 友田少将(第4師団長)
大滝 秀治 : 中林大佐(参謀長)
高倉 健 : 徳島大尉(第1大隊第2中隊長)
丹波 哲郎 : 児島大佐(連隊長)
藤岡 琢也 : 門間少佐(第1大隊長
前田 吟 : 斎藤伍長(雪中行軍隊員)
北大路欣也: 神田大尉(第2大隊第5中隊長)
三国連太郎: 山田少佐(大2大隊長)
加山 雄三 : 倉田大尉(第2大隊本部)
小林 桂樹 : 津村中佐(連隊長)
神山 繁: 木宮少佐(連隊本部)
森田 健作 : 三上少尉(遭難救助隊長)
東野 英心 : 伊藤中尉(雪中行軍隊第1小隊長)
新 克利 : 江藤伍長(雪中行軍隊員)
緒方 拳 : 村山伍長(雪中行軍隊員)
栗原 小巻 : 神田はつ子(神田大尉の妻)
加賀 まりこ : 徳島妙子(徳島大尉の妻)
秋吉久美子: 滝口さわ(案内人)
加藤 嘉 : 作右衛門(田茂木野村)
花沢 徳衛 : 滝口伝蔵(宇樽部村)
山谷 初男 : 沢中吉平(熊ノ沢部落・案内人)
田崎 潤 : 鈴木貞雄(三本木の宿の主人)
浜村 純 : 中里村の老人
大竹 まこと :輸送隊員C
山本太郎くらいしか思いつかない
田崎潤が軍人じゃないってことがシブいね
蝦夷の血を表現したかったのかなあ
浜村純っていつから老け専門でやってたんだろ
自分がまだ若い頃すでにジジイ役ばっかりで、それ以降も
ずーっとジジイ。笠智衆をある意味越えたよね。
279 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/01(木) 22:25:18 ID:U9xMkTGE
>>275 ふと気づいたけど第4師団じゃなくて第4旅団じゃないかな?
あそこの師団は第8師団だし、師団長は立見中将だよ
>>276 山本太郎って、「バトルロワイヤル」で中学生役やってた人か
「新撰組!」は、いい面子がそろったけど、ガキっぽいイメージがあったなあ
同じ年齢でも、昔とは存在感がちがうねえ
281 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/01(木) 23:03:29 ID:22w1OV5X
>>277 あの人はマジで青森県出身だからね。八甲田山の台詞回しを見ても全国向けに噛み砕いた表現だなあと思った。
津軽弁ってのはホント、他県民の人には何言ってるのかわかんないからw
ちなみに田崎さんで印象深いのは「海底軍艦」の神宮寺大佐かな
んだねは
283 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/02(金) 07:01:51 ID:Ho6UPVBY
>>279 失礼しました。第4旅団が正解です。
八甲田山〈完全版〉のキャストの表が間違っており、
そのまま転記してしまったm(_ _)m
>>283 ヽ(´ー`)ノキニスンナ
浜村純第二弾
そんな訳で私の中では浜村さんは90過ぎてヨボヨボジジイの
イメージがあった。ある時TVで徹子の部屋をつけたら、ゲスト
が浜村さんだった。けっこう若い、ダンディ、元々背は高いし、
すらっとしてる。話し方もごくまともw
ア〜あれは芸風だったんだと浜村さんを見直したよ。
殿山泰司も私生活はシャレてたっていうし、昔は癖のあるうまい
俳優がいっぱいいたね。
>>275 ほんとオールスター総出演だなぁ
今はもう再現できない
若手、中年で骨太な感じがする俳優としては
池内博之
伊原剛志
小澤征悦
香川照之
佐藤浩市
高島政伸
高島政宏
細川茂樹
村田雄浩
みたいなところかな、でもこうしてあげてみると当時の役者に比べて
小粒な感じが否めないな
照英
288 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/02(金) 17:05:17 ID:Ho6UPVBY
そろそろ、「新八甲田山」の配役を
>>287 元マジモン自衛官だった今井雅之も外せないでしょー
彼には倉田大尉あたりの役で頑張ってもらいたいものだ
中年では
役所広司
大杉蓮
中井貴一
竹中直人
阿部寛
若手では
玉木宏
>>290 ビートたけしも入れたげて。
メリークリスマス、ミスターローレンス。
佐藤浩市を神田大尉でどうよ
>>291 >佐藤浩市を神田大尉でどうよ
うんいいかも。
ビートたけしは好きじゃないが軍曹顔だよね。
先日12chで見た「壬生義士伝」がすごくキャストが良かったから
佐藤、中井、村田ははずせないw
ただ、大滝秀治さんは存命だが早くしないとあっちに召されてしまうよー
浜村純の代わりっていっても庄司永健さんか今福正雄さんあたりか・・
八名信夫あたりも案内人役に入れたいもんだ。
あの人、以前は悪役オンリーのレッテル貼られてたけど、過酷な山を生き延びてきた
武骨な爺さん役も結構はまると思うんだけどな。長身なのがネックかな
八名信夫、軍隊組でぜひ。
案内人役には丹古母鬼馬二を推薦します。
>>293 庄司永健さん亡くなったはず。
連投スマソ。
オナゴの配役はどうだろう?
神田大尉妻が25〜30歳、徳島大尉妻が30〜35歳位がいいのかね?
案内人は16〜22歳位?
ちょい考えてみたんだけど、軍人の妻はどうしても高貴で古風、貞淑のイメージになるな。
思い浮かんだのは若村真由美、財前直美、羽田美智子、水野真紀、石田ゆり子あたり?石田ゆり子はちょい派手か。
案内人は出てこないなぁ。
>>296 ショボーン(´・ω・`)(´・ω:;.:... (´:;....::;.:. :::;.. ... ... ....:::::;.・´).
庄司さんも鬼籍に。知らなかった。ここに泉ありに出てたっけ。
山谷ハッポンさん健在ですから再登場でどうどす?
299 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/06(火) 19:39:14 ID:CcllfQ1n
初めて見た時、前田吟のカバンの紐が切れた場面で、
「おとうとが死んだのであります。」
が完璧な発音、訛り方で吉幾三が喋ってるのかと思った。
300 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/06(火) 22:29:45 ID:kK9wd9s/
「すんだのであります」「ゆるすでくれえ〜!」
ネイティブ津軽弁のイントネーションかと問われればちと微妙ですが、ありゃあ泣けました(ノД`)・゜・
誰もリメイクなど望んでない
ヽ(`Д´)ノウワァァァン
>>296 >>302 誰もってことないでしょう。
映画が無理ならTVのスペシャル枠で3時間くらいのドラマで。
TVなら木村大作も動くかもよ。
>303
「70年代に作られた、映画の方がマシだった」
と言われるのがオチかと。(´Д`)
TVじゃどうせ丹沢か秩父あたりでロケして、それに雪のCGかぶせるだけでしょ
まあ、いかにリメイクされようと、映像や音響・・その他諸々が観客に訴える迫力という点においては、
'77年公開の映画「八甲田山」を凌駕するものを作り出すのは難しいんじゃないかな
ゴツゴツした顔の役者が減ったから無理
国村隼
塩見三省
六平直政
あたりなんかどうかな?
>>308 ゴツゴツにもほどがあるよ〜その3人じゃ・・
だけど演技はたしかだから許す、って違うかww
>>305 >>306 何も77年版を凌駕しなくたっていいのでは?
八甲田の後日談ドラマでもいいや。緒形拳を語り部に。
>>309 まあ、言われてみればそうだね。リメイクするにしても、逆立ちしたって77年Ver.にはなれないんだからな。
後日談を作るとすれば、「失われた銃」のエピを巡って生き残った兵卒や案内人たちの「その後」を絡めていく・・
といった展開かな(新田小説版は後日談も重かったしなあ、「生き延びし者、すべて幸福にや非ず」みたいな感じで)?
独りでも援護してくださって光栄の至り。それとかなり原作にも
詳しいわ。新田原作は読んでるようだし。
なんで私がリメイクを、とレスしたかというと今TBSでやってる「加齢なる
一族」があるから。原作がしっかりしてるドラマはキャスト・脚本さえ
はずさなければいいものができると考えるから。
加齢なる〜もしょせん映画版(佐分利、仲代)を超えるものにはなってない
んでしょう?演者が違いすぎるよね。それでも視聴率はいいと聞いてる。
山口少佐は凍傷が激しく、到底拳銃の引き金を引けるような指でなかったらしいが。
したがって拳銃による自決は無理だった。
ノモンハンの現地指揮官のように自殺を強要されたという説があるが。
313 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/11(日) 19:23:26 ID:ti+831UW
>>312 山口少佐合意の上、軍医が処理したと考えるのが一番自然だろう。
もしリメイク作るとしたら、31連隊との絡みとか、脚色とかは控えめにして
出来るだけ史実に沿った物語を見てみたい。
ま、そうなると高倉健の役は不要になってしまう訳だが。リメイクとも言えんかw
青森連隊だけで作っても成立するよね。
秋吉久美子の役に上戸彩がキャスティングされそうな悪寒
317 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/12(月) 06:25:33 ID:qiiskTp2
>三十一連隊の徳島大尉以下の雪中行軍隊と、五連隊の倉田大尉、伊藤中尉らは、二年後の
日露戦争中、極寒零下二十数度の黒溝台で、二昼夜飲まず食わずに戦い、続く奉天大会戦を
勝利に結びつけ、全員が戦死した。
パート2はこれをやればいいんだよ
それにしても
音楽だけはいつも頭から離れない、別の映画のシーンでも音楽はこれが鳴っている。
>>317 へえー全員が死亡。やはり口封じの感があるわ。
余談ですが明治天皇は初めロシアとの開戦をかなり渋ってたそうですね。
>>318 口封じじゃないよ。黒溝台の戦いは、そりゃもう大変だったらしい。
>>316 東北弁上手なのでせめて堀北真希に…>秋吉役
ゴム長靴ってそんなに効能あるのかな
323 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/13(火) 18:44:38 ID:Y8VlwtKQ
>そりゃもう大変
酷寒のなか、暗夜不眠不休で長駆行軍、
総崩れ寸前の前線を支えたんだよねぇ。
全満州軍を救った立見師団・・・その中核に居たのが八甲田生き残りの・・
まぁソースは司馬遼だけど、そんな風に結びつけて勝手に感激してる。
しかし、そう言えば「坂の上の雲」黒溝台のクダリ、
八甲田遭難については全然触れてなかった記憶があるんだが。
325 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/13(火) 21:38:38 ID:tJbdRuQj
当時の写真を見ると、軍帽に耳あてがついてなく耳がむき出しになっていた。
耳がすぐ凍傷になったと思う。
326 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/14(水) 05:16:31 ID:FmaC6EOw
NHKも「坂の上の雲」をやるし、日露戦争ブームが起こるのは必定
徳島大尉の日露戦争の戦いも映像でみてみたい
徳島大尉役は2代目健さんキボン
327 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/14(水) 05:20:40 ID:q5OiQsUl
恐山
>>326 NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」放映予定
2009年から毎年秋に3年がかりで放送される。
放送回数は2009年に5回、2010年に4回、2011年に4回の予定。
【放送計画】(全13回・各回90分)
【第1部】2009年秋 【第2部】2010年秋 【第3部】2011年秋
第1回「少年の国」
第2回「青 雲」
第3回「国家鳴動」
第4回「日清開戦」
第5回「留 学 生」 第6回「日英同盟」
第7回「子規、逝く」
第8回「日露開戦」
第9回「広瀬、死す」
第10回「旅順総攻撃」
第11回「二〇三高地」
第12回「敵艦見ゆ」
最終回「日本海海戦」
八甲田エピソードは微妙。脚本家次第?
配役の香川照之、阿部寛はいいんだけどモックンが嫌だ。
>>321 自分としては新山千春を推したいな。ご当地出身だけあって、彼女の津軽弁は若手女優の中では際立ってます
(若手と言っても結婚してしまってるからなあ、何やってんだ黒田〜!)
そう言や、金子ゴジラの時、少し訛ってたような記憶が・・・>新山千春
ネイティブ青森人っていうと
津軽花子、三上寛、田中義剛、伊奈かっぺい、吉幾三がいるね
人間失格の太宰治は遭難時は子ども時代だろうか
女優だと現役では長内美那子、奈良岡朋子、木野花ぐらい?
男優だと松山ケンイチ、 吹越満、金八先生の警官の鈴木正幸とか舞の海とか元祖ムキムキマン?
テーマソングは作詞がもちろん川内康範で、演奏は矢野顕子とか人間椅子とか佐藤竹善とかゴスペラーズ??
鈴木正幸がいたーーwこうやって見ると異色なメンツだわ。
川内先生は月光仮面の人でもあるし、今話題だね。
アーティスト系でいえば「わだはピカソになる!」の故棟方志巧とか。
人間椅子好きだから名前があってなんか嬉しいw
あとアート系の人なら寺山修司とか?天井桟敷みたいな八甲田山を…
>>333 >川内先生演ずる村の長老。
「藁の雪靴。それと耳は耳毛伸ばして防寒ぢゃ!」
336 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/16(金) 20:44:13 ID:S3vYobO7
あの〜、そろそろ、まとめては・・・
337 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/17(土) 00:13:27 ID:/In2/Fqy
映画監督なら、旧制弘前高校出身の鈴木清順がまだ存命。
あとは下村天とか、他にも誰か居たような。
川島雄三、相米慎二、寺山修司などは没してるね。
相米慎二で思い出したけど、女優の黒柳徹子(トットちゃん)は南部町に疎開していたらしいよ。三戸の女学校に通ったらしい。
>>334 あの〜人間椅子は江戸川乱歩でしょ。
人間失格は太宰だよ、だ ざ い お さ む
玉川上水で愛人と心中した作家。
本名は津島某といい、地元津軽では旧家の家柄。
340 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/17(土) 23:00:31 ID:xseTYAlt
>>339 マジレスすると、
>>333とか
>>334の言ってる人間椅子ってのは青森出身のメタルバンドの事。バンド名だよ
確かに太宰とか乱歩の小説を題材にした曲作ってるけどね
だざいは
津島修治な
>>340 ('A`)青森出身のメタルバンドね…全然知らないわ
>>337 鈴木清順は八甲田撮るタイプとは思えないな、近作も狸御殿だし。
ハードな自然もの撮れる監督って今誰ですかね?佐藤純弥とか?
344 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/18(日) 11:08:41 ID:L4UaPiS+
恥ずかしくて出てこれなくなった339のいるスレはここですかw
346 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/18(日) 19:00:09 ID:ua4I5qqf
案内人殿に対し、敬礼!
あぼーん
ご静養中の皇太子妃が従僕さんとIちゃんを連れて奥志賀スキー場で
昨日吹雪の中午前2h、午後2h滑りました。
体調の波があり公務祭祀はできない割りに非常に体力の要るスキー
はできるそうです。情報では妃の妹ご一家も同じホテルに同宿だそう。
スケジュールがガラ空きの皇太子ご一家の警護に税金が使われるのは
百歩譲って許すとしても皇族でもない一般人の一家にも長野県警、他県警
の応援で多大な税金が使用されています。スレチでした。
349 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/19(月) 14:56:36 ID:jCRnr4hH
>>332 いや、テーマソングは是非とも生まれも育ちも弘前出身の菊池俊輔に・・・!
って、ものすごくヒーローっぽいテーマになるかもなw
>>349 雪の嵐に 囲まれた
八甲田で 立ちすくむ
旧帝国陸軍 青森五連隊〜♪
みたいな感じか?そんな八甲田山、イヤだ!
351 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/20(火) 08:29:03 ID:AtOgP49m
>>345 よく恥ずかしげもなく出てこれるな
日本人ではないのは明白
え?北海道出身の日本国籍ですが?
母方の祖先は会津で曾お爺さんは鶴ヶ城の戦に参加したよ。
父方の祖先は越中富山だよ。
353 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/20(火) 19:57:44 ID:iukRwk0m
初めてこのスレを読んでいたら
久々に八甲田山を見たくなったよ
今 DVDじやない、LDを出して見てるよ〜
354 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/21(水) 14:42:01 ID:InCI9m7Y
ほう
衛星劇場で木村大作が言ってた。
「雪の中をただ歩いてる映画なんか当るとは思わないよw」だって・・
企画時点では誰もヒットするとは思わないよね。
時代は日露戦争直前、軍人が大勢凍死する映画なんてね。今より左翼
は元気だったしな77年頃。
356 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/21(水) 18:21:39 ID:ki7dLSAp
「天は我々を見放したぁぁぁぁ!!!」
たしかあの頃「教職の碑」って映画もやってて、そっちは
「この子供たちは、私の命だぁぁぁぁ!!!」って叫ぶのよね。
絶叫系映画が多かったのかな。
>>356 聖職な。
こっちはつまんなかった。
か弱い子供じゃなくて、屈強な軍人の奇跡の生還・悲劇の遭難だから強烈だったんだよな。
山の雨風より八甲田の暴風雪のほうが百倍怖い。
北大路君、またも無念の死者組だった。
358 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/22(木) 10:40:03 ID:gNr35qCj
でも欣也の死に顔はキレイだったなぁ…(遠い目)
>>357 あれは、八甲田山でヒットしたので2番煎じみたいな感じだったからな
>>356 > 「この子供たちは、私の命だぁぁぁぁ!!!」って叫ぶのよね。
当時映画館で見たが、ここで笑う人がけっこういた。
テレビの宣伝も良し悪しだな。
361 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/22(木) 17:11:21 ID:gNr35qCj
「八つ墓のたーたーりーじゃー!!」も同じくらいだったかも。
今はあんなにインパクトある映画コマーシャルは見ないもんねぇ。
「八甲田山」では死ぬ前に思い出すねぶたの映像が秀逸!!
>>361 そんなシーンあったか?
あれは徳島が思い出すシーンだったと思うが、いつもの徳島ならば
苦しいと言えども、風向きとかそういう現実的なことばかり考えていたが
神田大尉のように幼いころの記憶を思い出す感動的なシーンだった多と
思うのだが。
363 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/23(金) 07:39:54 ID:tg7IM7gs
「ねぶた」じゃなくて「ねぷた」だねえ。
人形型のでかい奴が勇壮に出陣するのが青森ねぶたで、扇形の奴がユラリとくり出すのが弘前ねぷた。
賽の河原にさしかかる直前の徳島大尉の回想シーンに出てきますな。あの辺りを毎回見る度に、もう俺の
涙腺はスタンバイ状態ですよw
>>363 や〜やど〜!
あと、夏の十和田湖回想から、一転して吹雪の咆哮する湖畔へ逆戻り。
このシーンも大好きです。
健さんって若く見えるけど76なんだって・・
まだ2、3本主演してほしい。無理しなくていいから。
366 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/25(日) 09:06:09 ID:pfQLoSWO
ネットで当時の記録を読んだら現地の案内人にも凍傷になり片輪に
なった人何人もいたのにけっこう軍は冷たい対応だったと。
軍にとっては死者多数を出したから闇に葬りたかったってことかな。
映画は史実と違って別にいいんだけどね。
367 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/25(日) 17:11:17 ID:ghelMMbL
>>366 31連隊の福島大尉は責任を感じていたようだが・・・
368 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/26(月) 15:56:47 ID:YedV2N1S
邦画ファンにクイズです
八甲田山に出演している秋吉久美子と三國連太郎ですが、他にも2人が
出演している映画があります。さてその映画の題名は?
【ヒント】八甲田では三國が自決しますがこの映画では秋吉が自殺して
しまいます
旅の重さ
370 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/27(火) 12:28:10 ID:0iK+Ia4o
>>369 お見事、正解です。
高橋洋子主演「旅の重さ」は初々しい秋吉が家庭の事情もあり縊死して
しまう叙情的な映画でした。三國さんはドサまわりの役者役。
371 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/29(木) 03:14:41 ID:VJZTmvcP
【広島市映像文化ライブラリー名作映画鑑賞会】
4/22(日) 八甲田山
1977(昭和52)年 橋本プロダクション、東宝映画、シナノ企画 カラー 169分
監督/森谷司郎 出演/高倉 健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎
明治35年冬、“白い地獄”と恐れられた八甲田山で、青森と弘前の二つの連隊が
雪中行軍を敢行する。自然に逆らわずに進む弘前連隊と、自然に力づくでぶつかっていく青森連隊。雪山を舞台に男たちの壮絶なドラマが繰り広げられる。
開映 @10:30〜 A14:30〜 鑑賞料/大人500円・こども250円
http://www.cf.city.hiroshima.jp/eizou/4calendar.html
>>332 お隣の県ですが、我らがあき竹城もよろしく!
373 :
この子の名無しのお祝いに:2007/03/30(金) 18:27:39 ID:3PzOXx8I
>>372 岩手?>あき竹城とアナタ
青森5連隊の死者は岩手出身者が一番多かったのですよ。
374 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/03(火) 14:40:16 ID:JqX7U+GM
このDVDをみて、秋吉久美子タソ(;´Д`) ハァハァ になり、さっそくググって調べますたが、
すでにオバハンであることがわかり(´・ω・`)
375 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/04(水) 10:08:53 ID:Kj9xeT9I
そんなあなた、三ツ矢サイダーのCMに出ていた秋吉をごらんなさいな。
ピッチピチ、さわやか&可愛さ爆発の姿が見られる。映像見るチャンスが
あればいいね。唄は大滝瑛一。
スレ違いだけど秋吉久美子で好きなのは、「異人たちの夏」の風間杜夫のお母さん役だなあ・・・・
378 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/08(日) 11:53:30 ID:GLIHHGES
つ
昭和47年1月に青森駐屯の第5普通科連隊(陸上自衛隊第9師団)が
近代装備を用い八甲田山の雪中行軍に成功した。
八甲田山関連の講演を何度も行ってる山下康博氏、今現在も講演活動はしているんだろうか。
内容には賛否両論あるだろうけど、きいてみたい…
381 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/10(火) 08:53:30 ID:Ci+t/590
>>380 ふ〜ん山下康博ね
私だったら軍事評論家の田岡さんの八甲田遭難の論評を聞いてみたいよ。
せっかちな喋り方だけど面白いから好き。
382 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/16(月) 18:32:22 ID:4DZe+kls
>>380 オレは松木明知教授の講演を聴いてみたい。
山口少佐の死の謎についてね。
徳島大尉の少年時代を演じてた子役の人、
鋭い目付きが健さんにソックリだったよね。
384 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/18(水) 17:50:50 ID:QIS9KJeh
>383
子役を演じたのは石井明人。
「人間の条件」に出ていたようだが・・・・
>>384 「人間の証明」じゃなかったっけ?棟居刑事の幼少時役で…
387 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/20(金) 19:47:19 ID:KpWqwxSH
>>386 うんだうんだ「人間の証明」だ。
おらもお迎えがちかいだば m(_ _)m
388 :
386:2007/04/20(金) 23:39:03 ID:krDnUqom
>>387 津軽弁:そえんたごとしゃべらねで、もうわんかけっぱってみなが
標準語:そんなこと言わすに、もう少しがんばってみなさいよ
389 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/22(日) 14:06:19 ID:OPcxMcm/
ネィティブ青森の人に聞きたいんだけど「くだらない」を「はんかくさい」
って言いますか?いちおう北海道弁です。とうほぐ言葉が多いから・・
>>389 青森じゃないが、実家が岩手の北の方だけど「はんかくさい」は使う。
下らない、とかよりもっとキツイ感じだけど。
口だけの奴とか、使えない奴みたいなのに対して言ったり。
陰口でもはんかくさいとは言われたくねえな。
391 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/22(日) 20:36:24 ID:OPcxMcm/
>>389 アリガトウ、岩手のほうね。確かに軽蔑感込めて使うわ。
八甲田山の頃の秋吉はメンコイな。
392 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/22(日) 21:01:32 ID:OPcxMcm/
福島でもバカを「ほんでなし」と言いますね。
>>393 戦闘員がアホかわいいw
昨日遭難事件関連の本買ったけど、手足を無くした隊員の写真が載ってて痛々しかった。
最近見たTVで遭難した登山者がやっぱり手足を失っていて、冬山って本当に恐ろしいとgkbrしたよ。
>>393 「豪石(ごうしゃく)!」てのが間抜けだ。確かに秋田県では「怒る=ごしゃぐ」って言うからなあ。
しかし何だよこのバカ企画←褒め言葉
>>395かつて八甲田近辺を探索した頃、ぶらりと立ち寄った記念館にそんな写真が展示されてて
(((( ;゚Д゚)))…思わず手を合わせてしまったよ。四肢の先端を凍傷で失った江藤・村山のビッグネームが…
397 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/26(木) 21:28:47 ID:V83f/vz1
四肢を切断された生還者の人達は、明治天皇から義手と義足を頂いてましたね。
遭難者の英霊を想い自分の掛け布団にまで雪中行軍隊の刺繍をいれた明治天皇…ご立派過ぎる。
>>383 ソックリといえば、北大路欣也と神成大尉は似てるよ。
福嶋大尉はDQWのライアンに似てる。
前田吟がこの映画で丸刈りにしてしまって、寅さんではカツラをかぶって出演したと言ってたな。
寅さんのどの作品だろ
400 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/27(金) 04:08:56 ID:jeQSJty9
>>396 八甲田山の山中なら、銅像茶屋(後藤伍長の銅像の隣)に無料の資料室があります。
山麓なら、幸畑陸軍墓地隣りに青森市立雪中行軍遭難資料館があります。こっちは建て替えたばかりで新しいです。
401 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/27(金) 17:07:10 ID:NX3NwUZM
>>395 私も某サイトで遭難後の関連写真を見てたら、無造作に切断された脚が
積まれて置かれたのがあっておっかなかったです。
あと生存者たちって八甲田に関しては親族にも語らなかったようで、当時
はトップシークレットだったんだなって思った。
>>400 情報トンクス!自分が入ったのは、その萱野茶屋辺りの資料館だったかな〜。だいぶ前の話だけど、麦茶が美味しかったw
幸畑の資料館も興味があるね。GW中にでも暇を見つけて行ってみようかしら
403 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/28(土) 21:10:28 ID:tiZMa89r
青森市の「ねぶたの里」に撮影時に使用された雪上車が展示されていた。
スタッフ・キャストのサイン入りだったはずが、すっかりガリガリに剥げてしまっていた。
当時のスナップ写真には高倉・北大路・三國以下そうそうたる顔触れのサインが入っていたのに残念だった。
資料館にも行ったが、幸畑軍人墓地には立ち寄らなかった。
404 :
この子の名無しのお祝いに:2007/04/28(土) 21:45:19 ID:Y7SuaE0f
何年か前に遭難100年ということで大々的に慰霊祭をやって
それで区切りをつけたことになり、もうやらなくなったってホント?
(三十三回忌的なものなのか)
ウィキで闘将を調べてきた
末端組織である、趾、足、指、耳、鼻、頬などに生じやすく、診断そのものは、
受傷経過、視診により、容易。しかし、その深度や予後を推測することは、
熱傷と同様難しく、受傷直後から日数を要する場合がある。
受傷後に、深度が進行し、予後が悪くなる場合も。
深度は、表皮のみの障害を1度と呼ぶ。発赤、腫脹、加温後灼熱痛を認める。
真皮までの障害を2度と呼ぶ。1度に加えて水疱形成を認める。
皮下組織にまで障害が及ぶと3度になり、皮膚の壊死、潰瘍が認められる。
脂肪、筋肉、骨に及ぶ壊死を4度と呼ぶ。血清水疱、潰瘍形成、黒色状皮膚を認める。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%8D%E5%82%B7
406 :
406:2007/04/30(月) 21:01:53 ID:PH1fb/EO
× 闘将
○ 凍傷
407 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/01(火) 05:49:19 ID:4ulL9wbq
>>405 恐っそし過ぎるで((°°;)プルプル(;°°))
408 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/01(火) 14:21:42 ID:46g0E2M7
東北新幹線は田茂木野集落のすぐ脇通るらしいね。
八甲田トンネルと田茂木野トンネルの間で、時速300qなら一瞬だと思うが。
409 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/01(火) 20:39:11 ID:cj6EODN4
有名な登山家で遭難した長谷川さんも足の指何本か失ってたよね。
冬山登山では凍傷にかかるのも止む無しだったんだろう。いくら装備
しても凍傷になる可能性はあるし。だけど100人以上もの凍死者って
悲劇だよ。
410 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/02(水) 15:44:00 ID:ZEVojvnC
岩手山の夫婦遭難、山頂近くで男女2人の遺体発見
連休を利用して1日に岩手県八幡平市の登山口から岩手山(2038メートル)に登った岡山県の夫婦が
遭難し、岩手県警などの捜索隊は2日正午すぎ、山頂近くで夫婦とみられる男女2人の遺体を見つけた。
遭難したのは、岡山県玉野市槌ヶ原、自動車整備工場経営福森国雄さん(58)と妻の陽子さん(46)。
遺体で見つかった2人は凍死とみられ、山頂から約100メートル下ったところに倒れていた。
岩手署や家族によると、2人は4月28日〜5月4日に旅行を計画。岩手山には1日午前6時ごろ入り、
同日午後3時ごろに下山予定だった。午後6時ごろ、陽子さんから岡山県の兄に「山頂付近で遭難した」と
携帯電話で連絡があったが、その後、つながらなくなっていた。
最終更新:5月2日14時38分 読売新聞
>>406 早とちりして「闘将」をググってみたら、「拉麺男」とか「ダイモス」とか、そんなのしか引っかからなかったじゃねーかw
412 :
406:2007/05/03(木) 11:37:32 ID:5oHpCnLh
>>411 ごめんよー。
しかも慌てて訂正しようとしたら自分の番号も間違えたし・・・orz
413 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/03(木) 13:20:25 ID:7GP60OfO
八幡平は八甲田山系に繋がってるんじゃないかな?
県は違うけど。
5月の連休なのに遭難するんだね。山も自然も怖い。
>>413 八幡平アスピーテラインの除雪が始まったというローカルニュースを
聞けば「春が来たな〜」と思います。@岩手県民
415 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/04(金) 10:55:33 ID:S6blIZG6
>>414 デストトップの壁紙を6月頃の八甲田山系にしてます。
山の頂には残雪あると思いますが街にはもう雪無いですよね?>岩手付近
桜は咲いてますか?北海道ではこれから桜開花のようですが。
こちら南関東なもんで皐月が一杯咲いてますよ。
いまTV見てたら 矛盾脱衣ってのが有るらしいな
登山者には有名だそうだ
418 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/05(土) 15:45:15 ID:OjmdkhsZ
そういえば覚せい剤中の尾崎豊も全裸で亡くなってた。
幻覚・幻聴もあったのかな。自分は独身の頃、眠りが浅い
時突然目が覚めてパニック障害起こして階段をかけおりたり
したことがあった。タミフル内服による異常行動とかも恐いね。
419 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/05(土) 18:19:16 ID:ocPMG3AE
真っ裸に服を脱ぎ捨てて死んでしまった人って狂ってしまったんだと
思ってたけど違うらしいね。
昨日のテレビでやってたけど、あんまり寒くなると体が体温を上げようと
するんだって、そうすると「暑い」と勘違いして服を脱ぎ捨ててしまうらしいよ。
ぼくみたいにかんちがいしてたひと、けっこういるでしょ。
でも、このレス読めてよかったね。
420 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/05(土) 18:22:27 ID:ocPMG3AE
「パッチギ」の、いづつが「八甲田山」を愚作だと言い放ったらしいね。
422 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/05(土) 18:46:25 ID:OjmdkhsZ
レスとスレを間違えてる可能性大
今、Yahoo!動画の映画コンテンツで映画八甲田山が無料で視聴できるみたいです
この機会に是非、御覧になってみてはいかがでしょうか
426 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/08(火) 01:02:20 ID:UznWUfSl
く・・・
今日は半分見て残りは明日とか思ってたのに、全部観てしまった
427 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/08(火) 10:39:57 ID:rKgnGl72
チャプター2の動きが変だお
428 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/09(水) 20:54:45 ID:Ah7Bffn0
PCで映画見るのは苦手だ、へんな動きだしよく耐えられるね。
もしかして、配信終わったのかな?
Yahoo!動画にチャンネルタイトルが無い…
430 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/09(水) 22:26:22 ID:OdX1DyB/
>>428 単に接続環境が悪いだけじゃないの?
俺は普通に観れたけど。
431 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/09(水) 23:41:17 ID:dunDSLQy
432 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/10(木) 20:09:29 ID:RS1epquO
接続環境が悪い?ヽ(`Д´)ノウワァァァン
433 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/11(金) 11:07:49 ID:GuW6X0Ib
>>430 いつ見た?
5/9にはもう無くなっていたぞ
434 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/11(金) 12:31:11 ID:janORQda
435 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/11(金) 14:56:42 ID:GuW6X0Ib
>>434 そのURLにアクセスしても映画の動画もうないよ
436 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/11(金) 18:08:53 ID:wm4ChvcD
DVD買えよ糞貧乏人!
437 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/11(金) 20:49:14 ID:GHUDehOn
>>426の俺様が来ましたよ。
あの日夜なべして観てよかった!といまさらながら思う。
それにしても消されるの早杉!!
438 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/11(金) 21:51:30 ID:cTthaCZc
無料動画に多くを期待してはいけないざんす
439 :
434:2007/05/12(土) 02:09:35 ID:u81n6SEA
440 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/12(土) 08:29:28 ID:ZUKbVQAG
もういいよ
441 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/12(土) 08:49:45 ID:/yd7MKRG
やふーは我々を見放した〜〜〜〜!(泣)
まあ、レンタルかDVD購入でいいじゃないか
しかし、一度でいいから映画館のスクリーンで八甲田山を観てみたいなあ…
443 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/12(土) 18:19:03 ID:F/TxjRwA
>>442 いいこと言うねぇ、名画座無くなったからね。シネマコンプレックス
だって旧作はかけないとこ多いし。団塊世代が野に放たれるんだから
そのへん考慮してもらいたいわ>映画業界
444 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/13(日) 01:19:14 ID:i4NpsX3v
原作の舞台になった、青森市旧筒井村出身なんだが、(筒井小、筒井中、青高卒)
製作がシナノ企画ってのがちょっと引くな。創価大嫌いなので。(うちを含めて市内は浄土真宗勢力強し)
創価は青森を舞台にした芸術作品多いな。宣教活動の一環だろうか?
>>442 映画館で見ると四方から聞こえる吹雪の音だけで怖くなるよ。
兵士たちが倒れていくシーンも圧巻。
進藤特務曹長の案内で行き止まりに行き着くシーンは、
まるで自分が列の後方に並んでるように感じる。
あの迫力はぜひ体感して欲しいです。
何回か見てるうちに大隊長殿より進藤特務曹長の方がDQNと感じるようになった
まあDQNはDQNだろうけど、まともな思考過程を奪われる
極限状況だし...... そこは暖かく見守ってやろうよ
>>444 青森って、そんなに宗教団体にとって魅力的なところなのか!
>>449 保存状態が良かったんですね。
貴重な画像をありがとうございます。
451 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/17(木) 21:11:00 ID:WEDxBNd4
>>445 ドルビーサラウンドっていうやつですか?大画面で見てるとこっちも
寒くなってきそうですね、自分が隊員になったような感覚までおきる
なんて森谷司郎&木村大作乙!
452 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/17(木) 21:14:37 ID:UoJKyET4
>>445 オレが初めて見たのは、幹部研修の教材としてだ。
映画を楽しむなんて程遠い雰囲気の中で、見終わった後の発表のことばかり
考えていたよ。
機会があれば映画館の大迫力のスクリーンと音声を楽しみたいと思ってるよ。
>>452 もしかして、金融に乗っとられた関西の電機メーカー?
>>451 残念ながら単なるステレオでした。
しかし、恐ろしいほど凶暴で立体的な大音響は
それを補って余りあるといっても過言ではないと思います。
外に出て暖かさを感じたとき、初めて太陽の有難味を感じました。
>>452 それなら今度は楽しむためだけに観れますね。
ご近所でリバイバルされることを祈っています。
455 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/18(金) 08:00:47 ID:lia0LVsp
神成文吉って戦前の人物で一番男前だと思うんですが。
456 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/18(金) 15:36:49 ID:jJ2lrqnG
一番男前かは知らないけど明治の男にしては垢抜けた
優男風味だ。教科書で見る明治の軍人ってごつくて時代風の
顔が多いのに。欣也に似てるのがびっくりだし。
若い頃の東郷平八郎もハンサムで驚いた記憶があるな。
457 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/18(金) 19:20:31 ID:pIrkBsM6
>>453 いやいや(笑)もう二十数年も前のことです。
こんな事にのめり込むなんて考えても見なかったが・・・
>>454 ホントにね。どこかやってくんないかね^^;
>>456 きりりと引き締まったいい顔だ。
オレは倉石大尉の味のある雰囲気も好きだけどね。
458 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/19(土) 01:46:07 ID:yManwzSy
去年の秋、彼女と2人で深夜に国道103号で青森市から十和田湖方面に向かってたらちょうど田代平に分岐するあたりで彼女が「なんかここ怖い」って言い出したんでゾクッとした(彼女は八甲田山のこと知らない)
翌朝、八甲田山のこと話したらマジびびってた
YouTubeに後藤伍長の銅像前を行軍兵士の足がぞろぞろ通る心霊動画あったよね
真偽の程は置いといてもし本当に行軍隊員の亡霊がいたら、当時の話をきいてみたいとか思ってしまうw
460 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/19(土) 21:34:40 ID:yYSaA65P
>>458 怒ったり泣いたりしないだけで素晴らしい彼女ですね。
俺の彼女なら「何でそんな事言うの?」と泣き叫びながら
右ストレートがとんでくるはず・・・orz
>>458-459 やはり彷徨い歩いてるんですね
どうにか成仏できればいいのに。
>>459 この番組、当時リアルでみたけど
ヤラセだと思うな〜。
464 :
459:2007/05/20(日) 07:37:31 ID:gDzW9jRO
465 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/20(日) 22:20:27 ID:WHFA4iey
>>459 この手の番組は好きなほうでよく見るけど、ネタだろうな(=ヤラセ、仕込み)
ってのは多くあるよ。稲川淳次の怪談もネタだと思って割り切って見たりする。
なんていうかロマンにも通じるんだよ怪談、ホラーってさ。
ただし、八甲田で遭難された沢山の軍人さんは気の毒だしネタにするのは不謹慎
かもしれないとも思う。
466 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/21(月) 00:09:09 ID:peBXmUGT
そりゃあ日露戦争目前に血気盛んな兵たちが雪によって野垂れ死んだら浮かばれず成仏もできんだろう
467 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/21(月) 21:49:09 ID:df2ZQIcG
ほんとにね
南方で餓死・病死された(先の大戦で)大勢の兵士たちとかね。
私が一番ショックだったのは戦死より餓死・病死の数が圧倒的だって事実
無念だよね
遠野物語で"日露戦争の頃、露兵が黒っぽい服の日本兵は撃つと倒れたが、白服の兵は倒れないと話したが、当時白服の日本兵はいない"書かれてたの思い出した(怖)
>>466 「戦争で死ぬなら諦めも付くけど…」と遺族もかなり悔しかったようだ。
>>467 軍医だった森鴎外が食事の指導を誤って、脚気でかなりの兵士を亡くならせたことを思い出した…
確か、日露戦争の戦死者より数が多かったんだったと思う。浮かばれんわ…
470 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/22(火) 21:18:32 ID:hqhNswbE
エエエーーーッ!脚気で死ぬ?そんなぁ・・
脚気と言えどバカには出来ないよ。放っておくと神経系がジワジワと冒されはじめてそれが心機能にまで
障害を及ぼして死に至る…ってな感じだったかと。ビタミン欠乏症ってのは甘く見てると意外に怖いよね
しかし今じゃ簡単に抑えられる痛風とかも、有効な治療薬を持たなかった昔の人には地獄の苦しみだったん
だろうなあ…ちょっとスレ違いな話題だけどw
古い本だけど、福島大尉の甥子さんが書いた「われ,八甲田より生還す」を
持ってるよ。
自分もそれ読んだけど、高木氏は青森第五連隊に恨みでもあるのか?って感じの書き方をしたりするよなあ…
まあ、五連隊の遭難事件のせいで福島大尉の業績があまり表ざたにされなかったって考えると、仕方ないのかも知れないが。
474 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/24(木) 10:42:06 ID:Hq2KKw6B
生存者の臨時移動大隊本部随行員
第八中隊長 倉石一大尉っていう人は映画で加山雄三の役?
>>474 そうそう。
映画では倉田大尉。
毛糸の手袋とゴム長靴を履いてた人。
476 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/25(金) 16:43:32 ID:hUyw12i/
「ブラック・レイン」を見てると、神山繁と高倉健の主従関係が「八甲田山」とダブるなあ…
神山:何かと高圧的で事なかれ主義
高倉:融通が利かない一本気気質
みたいな感じで。初めてブラックレインを見たとき、真っ先に脳裏によぎったのは、あの
八甲田における遺体安置所での両者のやりとりでした…
478 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/26(土) 14:26:03 ID:qjJesUNR
重度の凍傷を負った山口少佐(映画では山田少佐)の拳銃での自殺の可能性は
極めて低い様で、薬物に依る自殺を軍に要請して承諾されたのが事実に近いみたい。
この件で薬殺した事実が公になると軍への批判が高まる事を恐れてうやむやにしたのでは。
実際の山口少佐は映画で描かれた様な傲慢な人物では無く、案内人を追い返したり
途中で引き返す判断を誤ったのは下士官連中が進軍を要請して騒いだ結果に依るものらしい。
しかしながら、神田大尉から指揮権を奪って誤った判断で全員遭難に導いてしまった責任は
重大で有る事には変わりは無いと思う。それにしても、三国の演技は素晴らしい。最高の
役者の一人だと思う。
479 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/27(日) 05:45:19 ID:QYvgbT6y
>>478 しかしこの頃の三国ってこんな役回り多いな
「皇帝のいない8月」じゃロボトミー手術されるし
子供の頃、親に連れられて観に行った映画館で、八甲田山の予告編を見た。吹雪の中で裸になって絶叫してる兵隊さんが強烈で、本上映が何て作品だったか未だに思い出せない。
481 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/27(日) 12:59:10 ID:aYXz/zeg
東宝系の映画館として、前年には角川で大ブレイクした犬神家の一族
が公開されてるね。でも犬神家を覚えてないということはないだろうし
ヒントは親に連れられて見に行っただが、ファミリー映画かな。
482 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/27(日) 13:03:06 ID:aYXz/zeg
書いてて気づいたが、両方に大滝秀治と三國連太郎が出ている。
そういえば健さん、若い頃金田一耕介やってるんだってね東映で。
>>481 親に聞いてみました。一緒に観に行ったのはキングコングとアドベンチャーファミリーの二本しかない、との事。記憶違いの可能性が高いですよね。
「この子の七つのお祝いに」の予告編と同時に見たような気もするのですが、別の時期と混同しているかもしれないですね。
>>480 私も子供の頃見て、ストーリーは全く覚えてないのに(子供だから解らんかったかもw)、
そのシーンだけはずっと克明に覚えてた。
485 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/28(月) 15:48:01 ID:aBkdrCTL
>>483 アドベンチャーファミリーw 懐かしい〜〜成人だったから見には
行ってないが劇場予告篇でたぶん見たかも。熊とか出てくるんだっけか。
アドベンチャーファミリーか…あったなあ。あの時代は「ベンジー」とかの動物モノも百花繚乱だったね。
田舎の映画館では、結構強烈な伴映があるよね。うちの地方じゃ、松田聖子主演のロマンス映画
「プルメリアの伝説」の同時上映がグロ系の「食人族」ってな作品だったorz
そういや遭難後の探索で、最後の犠牲者が発見されたのも今ごろだったっけ…4ヶ月も雪の中に埋もれて
たんだなあ。今さらながらに合掌…
>486 "今頃〜"って、雪が消えたからって事ですか?東北って、春が遅いんですね…@九州人
5月28日に最後の遺体が発見されたらしいね(日付けって旧暦?)。
本に、二挺の銃が捜索の最後まで見つからなかったとあるけど、
やはり福島隊が…?
彼らが神成隊隊員の遺体を発見したのではといわれているけど、
実はそれどころか生きていて救助を求められたのかも、という説もある。
いずれにせよ、泣く泣く見捨てていかざるを得なかったに違いない。
489 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/29(火) 15:53:48 ID:4VF8lUAm
>>488 遭難自体を想定してないんだから、救助の装備も体制もとれずに(共倒れ
を怖れ)放置した。ということですか?>福島隊
硫黄島からの手紙にもあったね、俺はもうだめだ。早く行け! みたいな場面。
490 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/29(火) 21:34:37 ID:HCtZjBws
>二挺の銃が捜索の最後まで見つからなかったとあるけど、 やはり福島隊が…?
福島大尉は田茂木野で五連隊捜索隊長の木村少佐に対して、行軍途中で凍死体を発見したことの
報告と、そのときに拾った三十年式歩兵銃二丁を引渡していますよ。
>生きていて救助を求められたのかも、という説もある。
それもどうかなぁ、案内人も新聞記者もいるのでね、秘密を守り通すのは難しかろう思うよ。
ただ、そういう場面に遭遇したとしたら、福島大尉はどう対処するか、興味はあるね。
492 :
この子の名無しのお祝いに:2007/05/30(水) 22:23:07 ID:n8ajeEqt
>>487 遅いです。いまだに岩木山の山頂近くには冠雪が認められております!
>>488 旧暦…なんでしょうかね?
493 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/01(金) 09:56:41 ID:DAUvSFiI
硫化水素は重くて下に溜まってるからね。
温泉がたくさん湧くような山間ではくぼ地要注意が鉄則とか。
高校生の息子に教わったんだが。
494 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/02(土) 03:07:30 ID:GU/im1LH
>>493 去年も秋田で雪で囲まれた温泉にガス溜まってて家族が死んだな
495 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/02(土) 12:37:24 ID:FjJOBtDT
そうそう、秋田の温泉宿の敷地あたりの場所で倒れてたのが発見された。
496 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/02(土) 22:06:53 ID:WJdii+3t
駒込川(田代平、田茂木野、幸畑、筒井を流れる)には魚が棲まないらしいよ。
地元では温泉とかの毒が流れてるって聞く。でも白鳥飛来地なんだよな。
497 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/03(日) 02:33:41 ID:uIMxCIy+
>>496 十和田湖も住んでなかったけどニジマス養殖したんじゃなかったっけ?
498 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/03(日) 12:59:57 ID:LInoRGRN
ずっと前十和田湖のまわりを車でちょこっとめぐったんだけど
湖岸は崖みたいになってて人が入れない感じでしたが、釣りポイント
っていうか散策できる場所もあるんですかね?
水が澄んでてキレイだからって魚がいるとは限らないのかな?
ニジマスがいるんだったら有毒じゃないのかしら。
499 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/06(水) 13:12:09 ID:yHRftPVJ
>>498 十和田湖は流れ込む川が無く(水源はすべて雨水と湖底の湧き水)、
また流れ出す川も奥入瀬川のみ。
その奥入瀬川が流れ出す直後に、銚子大滝っていう落差10m足らずの滝があって
それに阻まれるから、回遊魚は遡行が出来ない。
だから湖水は限りなく清澄でありながら(もちろん有毒なんてトんでもない)
養殖ニジマスを放流するまで長らく魚が棲めなかった。
あちこちに散策場所はあります(オススメはプリンスホテル近辺)。
俺は釣りをしない人種なんで判りませんが、
やっぱし許可場所でやらないとヤバいんじゃないですか?
懐かしいな。十和田湖。
歩いて半分くらい回ったかな。テント担いで。
何処らへんか分からないけど、民宿が二つくらいある小さな町?があったね。
懐かしい。
テレビを点けたらチャンネルが3つくらいしかなかったような。
笑っていいともが、夕方にやってたな。びっくりした。
一番びっくりしたのが、夕食に近くの小さな食堂に行ったとき、
500円くらいの定食を頼んだら、小鉢やらなんやらでとても500円とは思えなくて、
多分間違えて豪勢な定食を運んできてそれを食べてしまったと思い、
恐る恐る食べ終えて500円出したら、何にも言われなかったことかな。
15年位前の話。
十和田湖自体も行ったよ。遊覧船が走っていたね。
俺は小さなボートをレンタルして、手漕ぎで遊んだよ。風が強くて恐かった。
魚がいないのは、確かに覚えている。水が綺麗過ぎると思っていたよ。
501 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/09(土) 15:09:13 ID:Saba7jLM
>>500 十和田湖と比較するのもなんだけど、秋田の田沢湖も透明度や水の
キレイさでは負けてないようにも思う。魚はいるのかな、川や湖も
適当に濁ってるほうが棲みやすいのかもね。諺にもあったよね。
あと30年若かったら東北貧乏旅行したいけど無理だ。
502 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/09(土) 16:46:33 ID:jz9Qx1HI
496だけど、駒込川は北八甲田の雪中行軍遭難コースに沿って流れる川。
水源は自衛隊が有毒ガスで死者出した付近。
そうそう、北八甲田山系と南八甲田山系・奥入瀬渓流・十和田湖は分水嶺(傘松峠)があるため、別々の水系になってる。
青森市民は北八甲田が庭みたいなものだが、南八甲田は結構遠い。
でも、南八甲田は良いよ。蔦温泉とか猿倉温泉とか谷地温泉とか温泉場は超一級。
蔦温泉は大町桂月が晩年隠居していたくらい風流な場所。
桂月は奥入瀬渓流を有名にした明治の文人。
503 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/09(土) 16:51:16 ID:6pzJwmut
日本の司法制度は、性犯罪者を過度に保護
東京都足立区東綾瀬で、18歳と16歳の少年が帰宅中の女子高校生を誘拐、両親も
同居する自宅に監禁し、暴行殺害する事件が発生した。40日の監禁中、少年らは
被害者の陰毛を剃り、手足に揮発性オイを塗ってライターで火をつけ、熱がるさまを
見て笑い転げた。遺体の性器及び肛門にはスポーツドリンクの瓶が突き刺ささっていた。
このような犯行にもかかわらず、未決勾留期間が刑期に算入され、仮保釈制度が適用
されるため、主犯以外は全て6年程度で仮出所、主犯も今年には仮出所した。服役中は
給料(作業報奨金)が支払われ、土日休業、平日は毎日3時間の自由時間がある。
主犯は7月には大検(高校卒業程度認定試験)を受験するという。
受刑者1人当たり月20万円の税金が投入され、被害者側の税金(消費税を含む)
で賄われている。一方、被害者の遺族は、検死場所から遺体を引き取るための
自動車代まで支払わねばならなかった。 /女子高生コンクリート詰め殺人事件 より
詳細は、女子高生コンクリート lynch で検索できます。
504 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/09(土) 20:04:09 ID:4pvsKHJo
>>503 ご立腹の点については全く同感ですが、
この掲示板の趣旨に無関係な書き込みですので、
ご遠慮いただきたく思います。
スレッド主より。
>>501 何歳ですか!思い立ったが吉日です。発荷峠〜蔦温泉・・・奥入瀬渓流、いいビュー・ポジションですよ。
単車ならなお良し(春や秋・・・その辺のシーズンは、四輪だったら渋滞するから困る)
ちなみに田沢湖。竜子姫の伝説がありますが、そこで記念写真撮ろうとしたら今まで快調だったカメラの
シャッターがいきなり押せなくなりました。ちょい怖(((( ;゚Д゚)))
蔦温泉の沼巡り・・・生きてるウチにもっかい行きたいなあ。
あそこって直ぐ近くに自動車道が通ってるんだけど
鬱蒼たる原生林が壁になってて、
現実世界と一種懸絶された異世界空間みたいな感じがするんだよね。
>>505 田沢湖じゃないけどその蔦温泉、
何番目かの沼の畔にいたとき、快晴だった空が急に曇って
「ざーっ」と驟雨に襲われたんだ。もちろん周囲には人っ子一人いない。
突如一緒にいたヨメが急に血相変えて「早くここから逃げよう」って言い出して
もうメチャクチャにパニクった想い出があります。
そのとき、もし写真撮ってたら一体何が写っていたことやら・・・
507 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/10(日) 04:00:44 ID:4oRfKQHZ
>>506 蔦温泉の沼巡り
白神山地の世界遺産登録で脚光浴び出した十二湖も似た雰囲気です。
でもなぜか観光ルートがスレスレに通る蔦沼のほうが観光客少なくてゆっくり出来ますね。本当に穴場です。
八甲田は今や弘前黒石方面から城ヶ倉大橋経由で入るのがメインルートになっている観があります。
新幹線七戸駅が出来たら、七戸から田代平への県道が脚光を浴びることでしょう。
あっちはあっちで、牧場が多く明るくのんびりした道です。
ああーまた行きたくなってきた。もう41で20台でいったあの頃とは体力も落ちたろうけど。
40台だからこそ見える、別の風景もあるのだろうか。3ヶ月くらい休みが欲しい・・・・・。
テント担いで小学生にあー、旅していると馬鹿にされながら、歩きたいな。
3日でもいいんだけどねw
>>501 貧乏旅行はいいですね。50台ですか?
>>507 牧場ありましたね。
蔦温泉かあ〜
単身赴任の寂しさをまぎらすのに日帰り温泉に
入りに逝ったっけ..... いい温泉だった....
でもあの日々には戻りたくないス
510 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/10(日) 14:12:03 ID:hAFik+0R
>>505>>508 図星ですよ>50代
八甲田山の映画封切り時は成人すぎてましたからね。
子どもは年齢の割りにまだ学校行ってるけど、身体はあっちこっちガタが
きてるし、連れ合いは会社辞めるらしい・・・だから再就職が決まるまで暇
ができたんで行けないこともない。貯金くずすしてw
>>510 俺はもう少しで不惑の年齢だけど、確かに歳食うにつれていろいろ背負うものが大きくなってきますねえ…。
けど、ならばなおさら赴いた方がいい。
>>508氏の言う通り、若気の至りで見て回ったかつての風景とは
一風変わった感慨が得られると思いますよ。
子供の頃に観た当時は「寒そ〜、辛そ〜、かわいそ〜!」みたいな感想しか抱かなかったんだけど、
この歳になって、上からの理不尽な指示に忸怩たる思いを噛みしめる中間管理職の悲哀が判りかけてきたorz
512 :
510:2007/06/12(火) 14:12:11 ID:r6lloIUO
ああ、レスしといてなんですが所帯じみた書き込みごめん。
いっきに引くよねぇ個人的すぎて。511さん、フォローすみません。
やっぱアレかなあ、20代でこの映画のスレを
覗いてるなんてのは変わってるのかな。。
>>513 俺はオッサンだけど、そんな事考えたこともないよ。
逆に若い人の視点から観た八甲田山に興味ありです。
>>514 いや、俺も考えた事も無かったけどこの流れを読んでふと思ったのでw
映画は普通に面白いです。その部分こそ世代は関係無いのではないでしょうか。
まあ題材が題材だから面白いって言うとアレですけど。
517 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/12(火) 22:59:04 ID:NkrC6+AF
八甲田山観たけど、制作費用掛けて無いね。出演料がたかいのか、最後まで観たけど疲れた
小学生みたいな感想で吹いたw
上の方で誰かが書いてた「劔岳」を木村大作が映画化の話が本格化したね。
浅野忠信・香川照之・松田龍平・仲村トオル出演・東映配給で、
1年くらいかけて撮影ってどんな映画になるんだろ。
>>519 うおッ! そりゃ楽しみ。
で、原作はやはり新田の「劔岳・点の記」なんですか?
中高年の登山ブーム、結構根強いから「それ狙い」かな。
521 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/14(木) 20:13:58 ID:NPms7y77
>>519 浅野忠信はセリフをはっきりしゃべってほしいな。
滑舌は悪くないんだからボソボソしたしゃべりはヤメレ。
大作に「そんなんじゃ聞き取れねえよ!」と怒鳴られるに1000000行軍
あと龍平は微妙。八甲田に出てる俳優はいないのかな?
522 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/14(木) 20:27:13 ID:NPms7y77
今日のIDが気に入ったので連投スマソ
完成は2008年だったよね。東宝で撮らせてやればいいのに。
東宝の4月分の興行収入は43億3280万円で過去最高だって。
TVとばっかりタイアップしてちゃダメじゃん・・
523 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/14(木) 22:49:07 ID:sDeYBQss
524 :
この子の名無しのお祝いに:2007/06/14(木) 23:05:09 ID:VgxKiQYp
私の初見は小5の時です。
きっかけは父がこの映画を好き&自分の出身地が舞台だって事で。
当時の私は、雪山で兵士が錯乱して死んで行くシーンでリアルに怯えていました。(学校帰りに吹雪くとよくあんな状態になる)
それに比べると、最後ののどかな春のシーンでは胸が詰まりますね。
懐かしい映画のスレだったので書き込んでみました。上の方で「20代ですが〜」っていう人がいたので、大学生(18)の私としては同世代(?)がいてくれて嬉しいです。
>>524 壮絶な雪山のシーンがあるからこそ、折々にインサートされる春〜秋の叙情的な光景が余計に
印象深く感じられるんだよね。
雪中を、ラッセルしながら歩くなんざ、九州人の自分には想像つきません。
>草花の鮮やかさは、素晴らしいですね。ラスト場面と、吹雪の中の幻想場面。
527 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/03(火) 15:52:15 ID:xK84LJE9
ラッセルしながら歩く、の意味がよく解かりませんw
ラッセル車は知ってます。小さい頃見たから。
雪の少ない北海道育ちですが小学校の登校時(冬期)はアノラック、
ゴム長で縦一列で下を向いて登校したました。フード被っても顔に雪が
ささって痛いからね吹雪の時なんかは。もちろん毛糸の手袋は必須。
アノラック…それって久々に聞いたなあ。
雪深いうちんとこなんか、冬場の小学生は長靴(裕福な家の子はスノトレ)にミニスキー履いて通学ってのが
デフォだったw
日本にスキーが紹介されたのって、遭難から10年も経ってなかったんだよね。せめてあの当時にスキーが
軍部に導入されていたら(…けどあの天候じゃ、スキー履いてもある程度の犠牲は免れ得なかったか)
529 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/04(水) 01:12:54 ID:trwm6+OT
∩
( ゚∀゚)彡 ラッセル! ラッセル!
⊂彡
531 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/04(水) 11:40:35 ID:Jjs9AiFV
>>530 積もった雪の上に道を作る・・・ラッセルですか。そのままですね。
アルプス地方の言葉ね。
グルノーブル、懐かしい響き。八甲田より前に行われた冬季五輪開催地
でドキュメント映画が「白い恋人たち」の題名でヒットしましたね。
テーマがF・レイでこれもヒット、スキーヤーJ・クロード・キリーも
男前で大人気。スレ違いですが。
>>531 あのメロディーは忘れられないな♪チャラララ、チャララ〜
コルチナダンペッツォの冬季五輪スキー競技で金メダルを3個獲得したトニー・ザイラーも
その後俳優として銀幕でいい演技してますねえ。かつての外人アスリートは二足の草鞋を
履きこなす連中が多くて困る>これまたスレ違いだから困(ry
皆さん、博学ですね〜(驚)
534 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/05(木) 09:16:26 ID:f4RqjkJ/
>>532 あの映画,監督がクロード・ルルーシュだから>おフランスの香り
スキーヤーはシーズンオフの時は暇なんじゃないかな、たぶんw
だから美男だとお呼びがかかったとか、ザイラーもキリーも。
キリーなんかリズ・テイラーが熱をあげてたというし。
これまた関係ないけど2014年冬期五輪がロシアに決定した。
韓国がハズレたということは東京五輪再び?!
535 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/05(木) 13:20:32 ID:EnuqDWJn
>>534 スレ違いでも無いですよ。フランスと縁の深い土地ですから。
青森県内にはフランス人学校もあることだし、
五連隊跡の高校在学中はフランス、ストラスブールからの交換留学生が居ましたし、
なんたって、音声的には津軽弁とフランス語は似てます。独特な鼻母音とかリエゾンとか。
536 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/05(木) 21:55:39 ID:f4RqjkJ/
>>535 へぇ。フランスと縁があるのは鹿児島だけじゃなかったんだ。
ラサール高があるところが縁のあるところだと思ってたけど。
そういえば奈良岡朋子が津軽弁で話してたの聞いた時はまるで
チンプンカンプンでフランス語みたいだったな。
537 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/05(木) 23:32:57 ID:8UXrd2c6
確か山口少佐はフランス語がペラペラだったよね?
538 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/05(木) 23:39:09 ID:F2ZoZ9i4
539 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/06(金) 01:27:05 ID:gDSN29qk
>>536 函館にも函館ラサール高校(中学も開校したらしい)がありますよ。
最終候補地に青森が挙がっていたらしいです。中学(五連隊跡地の中学です)のときの先生が、ラサールに進学するつもりが青森に来なくてがっかりしたと語っていました。
ちなみに、五連隊跡地から旧青森市に入る手前に藤聖母園(孤児院)、田茂木野には藤老人ホームがあります。
札幌の藤女子大と同法人です。
540 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/06(金) 02:31:58 ID:eAv5fhyg
青森に函館ラサール高校ができていたら、みんな混乱したでしょうね。
541 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/06(金) 14:07:05 ID:heJ6lVQn
>>539 藤女子大は確か中島みゆきの出身大学じゃなかったかな?
カソリック系統なんでしょうね。
実は3月に時期が中途半端だったんですが函館に観光してきました。
旧市街に洋風建築や教会が多くあり五稜郭も幕府方の要塞だったのも
あるから函館もフランスにゆかりの地ですかね。トラピスチヌ修道院
もフランスから移住してきた修道女が創設したみたいです。
ラサールは全寮制でお金もかかるようなので地元の子でも一握りの
おうちしか行かせられないのかしら?
しょんべん漏らしただけで死んでしまう
>>532 確かその大会でザイラーの2着に入ったのが猪谷千春だな。
あれが冬季五輪での日本銀メダル初取得だったんでないかな?
>>541 五稜郭行ったの?近年、あの展望台が作り直されたらしいね。自分は
昔の展望台時代しか行ったこと無いけど、あの頃は日テレの特番「五稜郭」を
1階フロアーのモニターで延々流してたなあ。
八甲田ゆかりの資料館でも、「八甲田山」を延々と…って、そりゃ無いか
ちなみに函館の遺愛女子高校はまだあるのかな(おい
544 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/09(月) 22:13:06 ID:dzQOYXtb
>>543 ハイ、新五稜郭タワーまだ工事中ですた・・・
古いほうの展望台に上がり、尊敬する土方先生の銅像そばで記念撮影を
してきました。とにかく中途半端な時期でしたが夜景がもう素晴らしくて
感激しましたね。新撰組のキーホルダーはさすがに買いませんでした。
八甲田資料館もチャンスがあったら行ってみたいです。(遠い!)
545 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/10(火) 11:53:14 ID:at/2Vxnu
>>541 そうです。藤はカトリック系統ですね。中学の参観日なんか聖母園から修道服のシスターが来ていましたよ。
自分は八戸の古いカトリック教会の付属幼稚園出身ですが、併設の修道院があって英国人シスターから英語を教わりました。
県内では弘前が洋館とフランス料理の町として売り出し中です。
重要文化財指定の洋館や教会が十数件あります。
こんなに多いのは、地元に明治の頃堀江佐吉という大工の棟梁がいて、函館で洋風建築を勉強して帰ってきたせいらしいです。
それと、明治初年に津軽藩の藩校がミッションスクールに転換したこともあって、キリスト教文化が定着したらしいです。
有名なのは、ミッションスクールのアメリカ人教師が普及させたリンゴです。
当時、リンゴはハイカラで西洋化の象徴だったようです。
青森市も洋館やミッションスクールがいろいろあったらしいですけど、何しろ空襲で旧市街地が完全に消失してしまいましたからね。
五連隊周辺は農村でしたが、空襲後学校やなんかが移転して急激に開けたらしいです。
映画的には、沖縄戦のフィルム返還運動のきっかけが、青森空襲の記録フィルム返還市民運動だったことが特筆に値するでしょう。
青森市内には空襲を記念するものは平和公園と市民文化センター内の空襲資料室、県立郷土館の展示、そのくらいです。
546 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/10(火) 16:37:52 ID:CUtMBBK9
>545
この板ではなかなか聞けない貴重なお話だと思います。
有難う御座います(感謝)
547 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/10(火) 21:16:55 ID:O/mE7GVR
さっき迄、全レス見て来たけど…。
『陸奥の惨劇』ダッタヨナ?
に、ついての話が皆無なのが不思議でならない。
割り込みスマソ。
548 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/11(水) 22:21:11 ID:cjheA8cM
>>547 「吹雪の惨劇」じゃないの?
ググれば結構話題が出てきますよ
549 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/12(木) 08:48:53 ID:gPx8i8x5
陸奥といえば林檎のむつが有名。
林檎というと長野も有名(実際青森林檎は硬く長野産はややソフト)
長野というと青森に負けず山岳地帯。
これが八甲田ではなくて長野の北アルプスあたりで起きてもおかしく
なかったと思う。積雪、気温も青森と変わらないんでそ?
この事件を聞いた信州の連隊幹部(聞いてたら)肝冷やしたんでは。
550 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/12(木) 10:25:00 ID:4zJIcuYE
>>548 547だが、そうだった。
新田がアレンジ小説を書く元になった自費出版の史実本とされるヤツ。
>>549 標高と湿度が違い過ぎ。コースにも因るが…
近代装備でも毎年パッパカしとる
騒がせた。…去る。
551 :
550:2007/07/12(木) 11:04:41 ID:yK/tf+hI
あ
552 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/16(月) 02:45:10 ID:2jzJ3xgV
>>547 太平洋戦争のとき、陸奥っていう軍艦があったらしいね。
リアルタイムで知ってるのは原子力船むつ。どっちも鳴り物入りで登場したのに哀れな晩年だったような。
うちの親がよく語ってたけど、洞爺丸遭難事故は地元では前代未聞の大事故だったらしい。
死者数はちょうど青森空襲と同じくらいだね。
ま、青森空襲は市民が事前に知ってて、疎開してたから被害が小さくて済んだと学校の教師が言ってたが、
本当は、市役所が空襲前日に一旦市内に戻るように命令を出したそうな。戻らないと配給割り当てを止めるとか宣告して、慌てて帰ったら空襲に巻き込まれて、大勢亡くなった。
寺山修司母子が火の中を逃げて、助かったのは有名な話。
一方で闇に葬られた海難事故もあったそうな。大湊を発って行方が分からなくなった引き揚げ船の事故なんか。
553 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/16(月) 22:12:45 ID:5BovokN1
>>552 青函連絡船で内地(本州)へ移住した身としては洞爺丸遭難事故はガクブル
揺れまくっててゲロったわw、季節によって荒れるみたいね>津軽海峡
だから青函トンネルは道民の悲願でもあったね。
健さん主演の海峡っていう映画はそういえばカメラは木村大作、監督は森谷司郎だっけ?
554 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/17(火) 01:06:13 ID:cF+rKMco
>>553 連絡船は津軽海峡でよく揺れたなあ。
特に津軽海峡と平舘水道の境目あたりが難所だって聞いたような。
それでも連絡船は小さいフェリーに比べたら、もう天国だった。
初めて海峡渡ったのはねぶたシーズンで超満員の東日本フェリーだったが、夏なのに恐ろしく揺れたっけ。船室も狭いし食堂も何にも無く、全然居場所が無かった。
あれから日本いや世界各地でいろんなフェリーに乗ったが、あんなにひどい船には出会わずに済んだ。
555 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/17(火) 07:59:36 ID:Trf70aCO
体験した人じゃないとわからないね、あのうねるような揺れ。
3等だと船底のほうで畳敷きみたいな広い場所で横になってるんだけど
苦しかった。遭難時は溺死体が七重?海岸にいっぱい流れついてまるで
地獄絵図みたいだったらしい。海は怖い、山も怖いけど。
556 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/19(木) 13:04:49 ID:rixGyjjc
フェリーの揺れは確かに応えるね。青函連絡船は凪の時はホント極楽。運が良ければデッキから
イルカの群れが船と並んで泳ぐ姿も見られたり。しかし冬期の甲板は地獄ですw
「八甲田丸」と「羊蹄丸」はよく乗ったなあ。乗船メダルの自動販売機が懐かしい。
そして必ず食堂で食った「海峡カレー」。今食べるとさほどでもないんだろうけど、当時は本当に
美味しく感じたよ。
ってかスレ違いか
557 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/20(金) 12:51:47 ID:WdGZBeJk
この夏に八甲田方面に行かれる予定の人
良かったらレポヨロシク
DVD化の時に少し金を掛けて画像を修正して欲しかったと思ったり。
ま、出してくれただけ有り難いんだけどさ。
公開時以来はじめて見直してみたら、暗い時間帯に撮ってたと記憶していたのに
意外に明るい時間帯に撮られてたりする場合が多いのに気付く。
もちろん現像のプロセスで最終的には暗く仕上げてあるんだけどね。
て事はオリジナルのネガは(残っていればの話だが)明るいわけだ。
今の技術なら顔を真っ黒にせずに周囲の風景だけ暗くする事が比較的簡単に出来る。
いちいちマスクを切らなくても、あるていど自動的に追跡できるからね。
「顔が真っ暗で誰が誰だかわからん」という事が軽減出来るんだけどなぁ。
技術的な事はよくわからないけど、あんまり原版をいじくって欲しくないなあ、この映画は。
何の手も加えてないプリミティブな映像の迫力こそが「八甲田山」だと自分は思います。
>197
すごいな・・・。
「どうせ八甲田の史跡を見るなら冬に」と、思っていたが、
NHKアーカイブスで偶然青森市内の豪雪を見て
「遊び半分で行くのはやめよう」と夏休みに前倒ししたのを思い出します。
確か酸ヶ湯温泉の送迎バスが雪で事故にあったりもしませんでしっけ?
車に閉じ込められた人がビデオ撮影でもしていたら。
どれほどすごいのか見たかったが。
八甲田山超見たいけど近所のレンタルショップにありません(;_;)
562 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/27(金) 19:16:59 ID:xlMu6p3U
>561
オークション利用をお薦め。
ビデオなら500円程度で出品されていますよ。
たった今、弟が…
564 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 14:06:58 ID:IrOfs8g+
>>563 どうなさったんですか?誤爆?
早めの夏休みで先週、木曽と北アルプスのへんを車で周りましたが
山の天候はすぐ変わるんですね、今晴れててもアッという間に雲が
湧いてきて小雨降ったり。夏でもこうなんだからこれが冬だったら
歩きでもたいへんだと思った。登山愛好家には常識かもだけど。
>>564 たった今、ぜんづろーが死んだのであります
566 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 19:44:28 ID:X5ji+zt+
前田吟を知らんのか。
567 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/30(月) 17:32:49 ID:gmmhbzNn
吟のセリフねw知ってますよ
いきなりフェイント喰らいました
568 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/30(月) 19:16:31 ID:sJ7CeUMm
死んだ弟を連れて帰りたいという前田吟を
説得する健さんがまたカッコよかったんよ。
ビデオ持ってないから、だれかまたミニ上映会
やってくれんかの。
加藤嘉のお願いよ。
569 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/31(火) 15:55:46 ID:R9RnH3eT
ではでは、ミニ上映会す。
>>564のシーンから。
中里から六本木へ進んでいる。
空は晴れ上がり、村落から村落への道で案内人の必要はない。
だが、徳島は三人の案内人を先導挿せ、後尾には足首捻挫の松尾伍長を盥に乗せ、村の人を四人雇い綱で引っぱらせている。
口の中で念仏のような歩測調査の斎藤伍長、急に立ち止まり、後ろの者、気づいた前の者も立ち止まり隊が停止する。
斎藤、紐が切れた為、道へ落ちた雑嚢をしゃがみ込んで拾い上げるが、それを見つめたまま動こうとしない。
船 山「どうしたのだ、斎藤伍長?」
斎 藤「今、弟が死んだのであります」
思いがけない言葉にギクッとなる隊員達。
やって来た徳島が訊く。
徳 島「弟?弟とは誰だ?」
斎 藤「青森五連隊の五中隊、神田大尉殿の従卒であります」
徳 島「(顔が鋭いまでに厳しくなり)そんなことは貴様の思い過ごしだ!」
斎 藤「いえ、思い過ごしでない、確かに弟の声を聞いたのであります・・・・兄さん、俺の棺桶にはきれいな氷の花が咲いている」
一同、水を浴びせられたように立ちすくむ。
斎 藤「その声が終わるのと同時に、切れる筈のないこの雑嚢のヒモが・・・・」
徳 島「貴様は疲労が重なり、幻想、妄想に依る精神作用を起しているのだ!三本木では十分な休養を取らしてやる!」
といって先頭へ帰り歩き出す。
だが、その徳島の表情は異常なまでに厳しい。
570 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/31(火) 15:58:11 ID:R9RnH3eT
>>568 疎林を出て小丘の窪みに入り、降りしきる雪の中を徳島隊はさらに上がって進む。
台地から、また疎林の中に入って行く。
暫く進んでいるうちに、雪がおさまり始め、前面にひどく傾斜の急な斜面 が現れる。
だが、次の瞬間、案内人も徳島以下も立ち止まってしまう。
シーンと息を飲みそれを見つめる徳島以下と案内人。
と、いきなり斎藤伍長が走り出し、銃の傍へ駆け寄ると、雪をかき分け、かき分け飛ばし始める。
声もなく立ちつくしている徳島以下。
―――その雪の中から、青白いまるで眠っているような神田の従卒、長谷部一等卒の顔が現れる。
斎 藤「善次郎だ!弟だ!善次郎だ!」
徳島以下、粛然として息もつけない。
斎 藤「(声を上げて泣く)ユ、許してくれ、俺が悪かった、早く・・・・・もっと早く来てやらなきゃいけなかったんだッ!!」
声を上げて泣く斎藤伍長。
徳島、胸一杯にこみ上げてくるものに耐え、立っている。
斎藤、涙を拭きながら徳島の前へやってくる。
斎 藤「中隊長殿、弟を背負って行きたいから、そ、その許可を・・・・(後は言葉にならない」
徳 島「気持は分る。しかし斎藤伍長、ここから田茂木野まではまだまだ困難な場所が続く、弟を背負ったお前が倒れたら、そ
れを救う者が倒れ・・・・やがて隊は全滅してしまう」
斎藤、声を上げて慟哭する。
徳 島「やがて救助隊が収容にくる。弟はそれまでここで静かに眠らせておいてやれ・・・・(隊員へ)斎藤伍長を除き、整列!」
徳島のしめす位置に隊員が整列する。
徳 島「着剣!」
下士卒、背負っている銃を外し剣を抜き着剣する。
徳 島「(軍刀を抜き)捧げ――銃――ッ!!」
雪の中から顔を出している長谷部一等卒に、徳島は軍刀をかざし、下士卒は捧げ銃、見習士官は挙手の礼をする。
新たな涙がどっと吹き出してくる斎藤伍長。
徳 島「直れ――ッ」
その時である。
案内人の鉄太郎が大きな声で叫ぶ。
鉄太郎「道が、道が分ったぞッ!」
案内人や徳島以下が見る。
鉄太郎、雪がおさまり疎林の間から見え始めている、山の斜面の切通しへ腕を上げる。
鉄太郎「馬立場だ!あれを越えたら馬立場に行けるッ!!」
571 :
この子の名無しのお祝いに:2007/07/31(火) 16:44:46 ID:uuiTrcA+
ありがとう。感動した。
ミニ上映会乙!
そういえばニコニコ動画に映画本編があってビックリだ
ネットであの名作を見れるとは…
「入営までは自分は銀山で働いておりました。その必要はありません」
この人が進藤特務曹長だったら大変なことになってただろうな。
574 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/01(水) 16:24:03 ID:oq6vHjdt
>>573 とゆうことは、22日に福島隊は十和田湖手前で遭難っことか!
まぁ福島大尉なら雪濠掘ってじっとしているとは思うが・・・
575 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/02(木) 00:07:10 ID:laTgzGLZ
>>574 雪山で雪濠(ただの溝)を掘っても上から吹雪が舞い込んで全く意味がないらしい
じっとして待つなら、雪洞(天井のある横穴)を掘らないと意味ないそうだよ
>>576 斉藤伍長「私の弟、諸君らの愛してくれた善次郎は死んだ!……何故だ!?」
徳島大尉「……ぼうやだからさ」
ミニ上映会の後だったから、こんなシーンが浮かんでしまった
芥川也寸志の功績も語ろうぜ
あの音楽無くして、この映画の感動は無かったと思う。
オープニングであのメロディが流れ始めたとたんに、心が一挙に八甲田に吸い寄せられていくような・・・
>578
同感です。
いまだに何かと言うとつい口ずさんでしまうぜ
581 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/04(土) 23:35:15 ID:fGbvYdOy
>>578 カスラックの理事長やん。日本の音楽をダメにした張本人やん。A級戦犯やな。
582 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/05(日) 00:57:17 ID:v8MuS7Ns
イヤー、夏見る映画だナッス。
583 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/05(日) 17:33:07 ID:DUGDIfFZ
午後やってた番組でみのもんたと高田純次のふざけた番組
八甲田ロープウエィ、酸ヶ湯、田茂やちなんかの辺を観光してますたね。
当然遭難地のすぐ近くだけど、ひと言も触れなかった模様。
途中から見たので冒頭に触れたのかもしれないが・・
大竹まことがいれば絶対遭難の件に触れたろう。
584 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/05(日) 18:50:32 ID:H7+VSjYy
>>583 始めから見ていたが全く触れなかった。そんなまじめな番組ではないす。
数年前に遭難地を訪ねた時、ロープウエィ・酸ヶ湯を回ったので懐かしかったが・・・
585 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/05(日) 20:47:48 ID:GmlLBstJ
>>575 冬山に全くの素人ですみません、あの時5連隊が各自分担でかまくらをほり翌朝まで仮眠をすれば
体力維持できて後の行軍も違ったでしょうか?
>>585 たらればで申し訳ないが、そうしたとて一時しのぎにしか過ぎなかったでしょうね。厳冬期の八甲田は、ひとたび荒れれば
それこそ四方八方から吹雪が容赦なく吹き付けるフィールドですから。ましてやあの年あの日時は、旭川で氷点下40度を
記録した、類い希なる大寒波が到来していたってなことでしょう?
運命のイタズラですねえ。日にちをずらしての行軍であればあの悲劇も映画化も、そして我々がここで語り合うことも無かった
であろうに…。
587 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/08(水) 17:11:03 ID:dNGDe+3i
>585
降りたてのサラサラ雪で鎌倉ってつくれるのかなあ?
>>587 作れません。ある程度水分を含んでの圧雪じゃないと無理ですね
589 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/09(木) 21:43:45 ID:hxpyWkn7
兵の外套は木綿です
こんなセリフあったような
ラシャの外套は将校だけかな
590 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/09(木) 21:50:26 ID:f1bZKbAl
遭難してもドラえもんが助けてくれる
こんなセリフあったような
ドラえもんが助けたのは将校だけかな
591 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/10(金) 21:54:47 ID:Ya+XkmeQ
>>589 ラシャ
ナツカシス、母親がラシャのオーバー(外套とも)とよく言ってたよ
洋裁ばさみのことをラシャ鋏みとも言うね
検索してみた
羅紗はポルトガル語の raxa の転じた語である。近世の初頭にポルトガル船が持ち渡った raxa
をラシャと呼んだのがはじまりである。羊毛で地が厚く、織(平織)の組織がわからないほど毛羽
立たせた毛織物である。
今じゃウールのコートなんだろう>ラシャの外套
592 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/11(土) 12:46:12 ID:7cd5/Pv4
>585さん
>588 だそうです。
593 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/12(日) 02:04:25 ID:Y3kXyJOC
新潮文庫の100冊キャンペーンで最近「八甲田山死の彷徨」を読んで以来
八甲田山がマイブームになっている。2chで検索したら出てきたのには驚いた。
594 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/14(火) 20:13:29 ID:tsJOMxRj
今の知識からしたら木綿の服で雪山なんて、
595 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/15(水) 04:53:08 ID:3TJMtl5X
全く関係無い話で済まないが、映画の主題歌の名前を覚えている人はいないか…?
修学旅行の時にバスガイドさんが歌ってくれて、凄く印象に残ってるんだ。
たしか…桜の花が何とかって言ってた気がするんだが。
597 :
595:2007/08/15(水) 08:50:12 ID:fBDS+B1j
おお、そんな感じのタイトルでした!
ありがとう、感謝します。
598 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/15(水) 13:11:39 ID:T0aw6A5K
主題歌って
♪月の砂漠を〜はるばると〜旅のラクダは〜行きました〜
かな?
599 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/17(金) 15:53:28 ID:SZ6Fl94z
この作品にミフネが出ていてもおかしくないくらいの当時の
オールスターキャスト映画なんだけど出てないのが不思議。
まして監督は黒澤の弟子の森谷司郎、撮影は木村大作だし。
600 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/17(金) 19:41:39 ID:3FcNCLQ7
>599
黒澤はわがままで使い方が難しい。
出演すれば徳島大尉役だろうが、森谷では抑えが効くかどうか。
橋本忍(脚本)が候補俳優をピックアップし、野村芳太郎(製作)と
森谷司郎(監督)が決めたようだ。
601 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/17(金) 19:45:07 ID:3FcNCLQ7
大間違い!
黒澤でなく、ミフネ。失礼しやした。
602 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/17(金) 19:48:21 ID:3FcNCLQ7
失礼!
黒澤→ミフネ
603 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/18(土) 01:36:20 ID:zkt5DiOx
三船クラスだと、悪くても立見師団長、へたすりゃ児玉源太郎大将あたりじゃないと
役不足になるんじゃない?
604 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/18(土) 14:36:11 ID:QhLPNpK2
>>603 自分的には島田正吾のやった役(師団長?)かなとは思ったんですが。
ま、島田先生でも勿論異存は無いです。
チョイ役でもミフネが出てると画面がグレードアップしそうだし。
スケジュールの問題だったのかもしれないけどちょっと残念。
森谷の関係で友情出演くらい訳無いことだったと思う。
605 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/19(日) 02:02:39 ID:m5AN4YhI
最初にこの映画の話があった時に高倉健さんはセットでやるものだと思ったらしいな。
606 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/19(日) 07:17:49 ID:PSRvH3Vo
>>605 セットだと思ったらロケ。
健さんもビビッたか?
607 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/19(日) 13:31:51 ID:ES9b+xj+
ということをスマスマで語ってた。
608 :
アニ‐:2007/08/19(日) 15:42:48 ID:nEQ2Bx9p
609 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/19(日) 15:49:57 ID:MPDcYOmh
大竹まことを探そう
おらはおらの決めた道をありく!!
611 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/20(月) 05:32:40 ID:p3jeVMEN
橋本忍について書かれた本にあったが、気が狂ってハダカになる男の人は
マジで死ぬ覚悟でやったらしい
612 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/20(月) 21:09:20 ID:17BG+cZV
高倉健にとっては、初めての他社出演だったんだね。
613 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/21(火) 04:41:23 ID:XsU/QIsi
高倉健が出ている映画が傑作というより、傑作な映画に高倉健がでている、
と言ったほうが適切な機がするのは気のせい?
614 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/21(火) 15:16:39 ID:rQNtaQSx
>>609 大竹まことが映ってるのは、ほんの数秒、しかも吹雪の中で顔なんてまったく識別不能。
わずかなセリフで判る程度だよ。
615 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/21(火) 15:44:13 ID:AgAHkMgU
さっきラジオで欽也が雪の中でどこのアングル狙ってるか
知っての演技がプロだ、とか言ってた>大竹まこと
雪、欽也 八甲田だねこの話題
井筒監督にボロクソに批判された糞映画
617 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/22(水) 06:24:45 ID:xuJHIo2w
井筒和幸は自分の売名行為のため批判しているに過ぎん。
今は亡き漫画家の谷岡ヤスジが、八甲田山を評して「こんなもん面白くも何ともないね。雪原でゴキブリみたいなのが
延々と固まってる絵を見続けるのは時間の無駄」というコメントを、当時連載してたヤングジャンプの後書きで残していた
のを思い出した。
氏のバカらしいギャグマンガは結構好きだっただけに、それ見た当時はちょいと衝撃的だったなあ。
まあ、人の感じ方は十人十色だけど、…八甲田山系が紅葉にけぶる10月あたりにはまたラックのDVDに手がのびる
俺が愚痴ってみるw
619 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/23(木) 16:22:31 ID:pu+AuFj2
でも製作した側もこんなに当る映画になるとは思ってなかったからね
ひょうたんから駒だったみたい。
時代の空気=保守化 もあったんだろうし映像も苦労して撮ったので
迫力あったし。批判するヤスジや井筒は左かぶれか天邪鬼ってだけ。
620 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/23(木) 17:51:08 ID:d46ifHB+
>616
糞井筒の言うことを真に受けてるキ○ガイは逝ってよし。
621 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/23(木) 20:48:46 ID:jzz0IvuX
「八甲田で見たことは口外してはならぬ」と健さんが丹古馬鬼馬二に
いう場面はカットされてたんでしょ?
622 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/23(木) 22:02:53 ID:v2CW+oUD
大竹まこと、について過去ログにもなんどか話題になりましたがその
出演場面の前後のシナリオを転記しておきますね。
役は輸送隊員Cです。
八甲田――-小峠
ちらつく雪の中で大隊本部を中心に会議が開かれている。
その進言を終りギュッと唇を固く結んでいる永野軍医。
全員はシーンとなり、各小隊長やその他がチラッと山田、神田を見るが二人とも厳しい顔付でなにもいわない。
と、大隊本部の今西特務曹長が発言する。
今 西 「永野軍医殿は風速と気温の低下を低気圧のようにいわれますが、ここは平地じゃなく山の上だから、この程度
の風は当り前だ」
永野、なにかを言おうするが、進藤特務曹長が、
進 藤 「それに兵卒の服は木綿の小倉だといわれるが、彼らは我々と同じ羅紗の外套を一枚着用し、その上予備をもう一枚もっている」
今 西 「第一、これぐらいの天候で中止なら、八甲田踏破の雪中行軍などは、なんのために準備をし計画したのか、そ
の意味がなくなる」
進 藤 「これ以上の行軍が不可能などとは思えない。いや、もし困難に遭遇してもそれを可能にするのが、我々の任務であり!」
永野軍医が反発して激しくなにかいいかける。
だが、神田は永野の声を、いや、厳しく眼の前をみつめたままもう誰の声も聞いていない。
――その脳裏にはどこかの山野を『雪の進軍』で進んでいる徳島を先頭の三十一連隊の甲軍隊。
津村、児島、二人の連隊長の声までが重なる。
(一月か二月の初めに)(そう、八甲田のどこかで・・・・)
だが、現実の鋭い声に、その幻想が一気に引き戻される。
山 田「前進ッ!!」
ハッとして山田を見る神田。
一同も驚愕したように山田を見ている。
山 田「雪中行軍隊は予定通り田代に向け出発する!!」
各小隊長その他が一斉に神田を見る。
だが、神田はギュッと唇を噛みしめたまま何も言わない。
山田、雪の中で決定を待ち兼ねている行軍隊を見廻し、響き渡る大きな号令で直接命令する。
山 田「出発――ッ! 各小隊ごとに、出発用意――ッ!!」
慌てて橇の引き綱を手にしている輸送隊員。
A 「(ブツブツ)大隊長が指揮官に?」
B 「いや、田茂木野でももうなにか命令を出したらしいよ」
C 「どっちだっていいじゃないか、俺達に関係ない(ガタガタ震えながら)こっちは早く田代に着いて、とっぷりと温泉につかり・・・・」
出発準備の大隊本部で沖津大尉と倉田大尉。
沖 津「行軍を中止すべきだと思えば、神田大尉はハッキリ主張するよ」
倉田、なにもいわない。
沖 津「それをいわないのは、進軍のつもりなのだ。大隊長は神田大尉がもし中止をと先回りだろうが、それは出過ぎたことで、これからは、
なにからなにまで全部大隊本部が責任を」
だが、倉田はなにもいわない。
623 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/24(金) 15:09:09 ID:YGc0Iqn8
いつもの人乙
624 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/24(金) 19:32:05 ID:tlGmH7ru
ミニ上映会ありがとう。
625 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/25(土) 13:02:24 ID:ZsFTk0m6
モーニングの「ひまわりっ」で「八甲田山の上映会やろうか!」というシーンが
あった
626 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/30(木) 18:31:20 ID:oVY5yYIq
この映画は東宝だがもし東映の製作ならどうなる??皆さんの意見キボン。
神田大尉=渡瀬恒彦
徳島大尉=松方弘樹
倉田大尉=梅宮辰夫
山田少佐=遠藤達津郎
雪の中で裸になる役者=福本・・・
江藤伍長=にしきのあきら
他キャストは菅原文太、成田三樹夫、師団長に佐分利信
しかしこれだけの大物を使えば当時東宝制作費7億円をはるかに超えるか???
627 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/30(木) 21:16:22 ID:T9SAU6MI
>>626 "はる"役に誰を当てるかですべてが決まるのだぞ!?
628 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/31(金) 02:29:40 ID:/Daf+EJK
南條玲子
630 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/31(金) 23:23:34 ID:w8BX5HLb
631 :
この子の名無しのお祝いに:2007/08/31(金) 23:42:34 ID:8tEBx8Jt
>>629 私の仕事は終わった。
俺からは陸海軍が主役だ・・・
て、ハル国務長官のことではないわー!(ノ ゚Д゚)ノ ==== ┻--┻
632 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/06(木) 23:49:34 ID:Ia1zjok3
深田恭子は無しよ
633 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/07(金) 18:02:48 ID:PUtvCPK3
オレは恭子でも・・・
愛染?
もういないかもしれんがシナリオ投下してた人に感謝
636 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/10(月) 07:26:19 ID:2P+0Gpk8
>>635 どーもです(^^
スレッド主でもありますので、チェックはしておりますよ。
ご希望のシーンがありましたら、お申し付けください(^^)
637 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/11(火) 04:48:12 ID:pMtwT3+6
雪におしっこしながら凍死?しちゃう人いたよね?
見たの子供の頃だから、雪山でおしっこしたら死んじゃうんだ!怖い!って思った記憶がある・・・。
638 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/11(火) 06:35:22 ID:mT8i3qhe
凍傷に罹った人、ここにいるかな。
どんな感じなの?めちゃくちゃ寒く痛いだけ?
痛くない。あまりにも寒いとしょんべんいっぱい出て震えが止まらなくなり、だんだん感覚なくなって動けなくなって眠くなる。
そのあと部屋で暖まると軽症の場合、かゆくて痛くなる。
重症なったことないけど、壊死して切断するそうだ。
>639 "段々感覚が無くなって眠くなり、動けなくなる"
=疲労凍死ですか?(怖)
641 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/13(木) 21:41:37 ID:3SxDY5rJ
でも自殺法としては理想的みたいな・・不謹慎ですが。
痛くないし寝たまま死んでいくんでしょ?
遭難した人たちがせめて最後は苦しまなかったと思いたいな。
私の老後の理想的な終わり方は夜普通に寝て朝方死んでたってパターン
凍死と高山病はなんとなく「死を受け入れやすい症状」だから怖い。
凍傷といえばクライマーの山野井泰史・妙子夫妻。
二人合わせても指10本ないはず。
妙子さんは講演で手を見せて「ドラえもんの手です」って笑いをとるそうだ。
そう言えば、八甲田山遭難関係の本で、切断された凍傷の部位の写真見た記憶が。
>既出ならすまそ。
644 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/14(金) 17:13:57 ID:/zkAFdt5
>>642 小指1本無いやくざなんかクライマーの前じゃ子どもだわね
>>615 その北大路さんがインタビュー番組(徹子の部屋?だったかな?)
でロケ当時の話を「大変だったんですって?」と振られた時
涙ぐんでしまってすぐには返事できなかった、とか。
「雪の八甲田」の過酷さは想像を絶するものがあるんでしょうね
646 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/15(土) 00:05:42 ID:LmisOdQg
>>645 麓の青森平野だって、真冬の吹雪く日は1m先が全然見えなくて歩行不可能になるし、30分で着くはずのバスが視界効かなくて二時間かかったりするんだから、
標高差600〜700mもある大峠小峠(最初に迷ったとこ)なら恐ろしいことになってるでしょ。
647 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/15(土) 00:26:27 ID:SR5K5t81
>>645 欽也は安倍さんみたく激務だったんでしょうね。
正確には大竹は「俺ら場みりがあるから今あそこからカメラが狙ってるって
判ってて演技するけど、雪だらけでいったいどこから撮ってるか全然わかんない
のにキンヤさんは判ってて演技してたんだよ、凄いよ〜」みたいなトークです。
場みりって業界用語ではっきり判らないんだけど立ち位置のことかな?
>>646 雪の積もらない地方に住んでる自分には
1m先も見えない吹雪なんてほんとに想像を絶する光景です。
>>647 場みり=立ち居地などをガムテープなどで目印することだそうです。
あの一面の吹雪の中、カメラを意識して演技!
北大路さんすごい!健さんもすごい!
649 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/15(土) 08:09:07 ID:q4wifoCJ
情報ありがとうございます。
地吹雪ツアー、いいですねー。
帰りはストーブ列車!
651 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/15(土) 12:27:01 ID:SR5K5t81
遠慮しとくわ
しもやけ作りたくないしw
小さい時幾度も吹雪経験したしねぇ
652 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/15(土) 13:07:49 ID:7J1NHP25
壮絶なシーンが圧倒的なんだけど、封切時(中学生)見た記憶は
案内人さわに敬礼する健さんが一番印象的でかっこよかったなあ。
そのシーン大好きです。
さわの笑顔もすてきで。原作改変してよかったですよね?
原作のまま「案内人は最後尾につけ」と怒鳴る徳島大尉=健さんは見たくない。
654 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/16(日) 08:36:43 ID:iAyfGlQu
おっがぁ〜
655 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/17(月) 03:25:53 ID:PgWTm4Yk
映画見た後、原作も読んだんですが、忘れていました。
現実は原作なんでしょうが、中学の私には(今でもそうですが)
健さんのかっこよさだけが印象に残りました。
また、見てみたいです。長い映画ですが。今度は北大路・神田大尉
の心情も見る余裕ができてるかも。
656 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/17(月) 07:54:36 ID:6ShJzzsw
>>655 現実は原作ではありません。
八甲田山遭難事件を基にした創作小説と考えられたほうがよいでしょう。
映画自体はすばらしい出来映えで、何度見ても・・・・・いいですね。
657 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/17(月) 12:24:12 ID:P5kWgH53
映画は客の共感と感動を呼ぶために現実・原作とは大幅なストーリー変更
するのが当り前の世界です。映画はフィクションの世界ですので。
だから戦争映画を見てかっこいい!などと単純にとらえるのは子どもです。
子供だって戦争の悲惨さを理解した上で「格好良い」は別に考えてると思うがな。
子供の「かっこいい」に眉をひそめるのも「単純な捉え方」の一つではあるまいか?
別に第一印象である「かっこいい」から入っていくエントリー方法もあっていいと思うがね。
660 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/17(月) 20:23:48 ID:P5kWgH53
スレ違いなのでこのへんにしておくけど。
美化された戦争映画は危険だと言いたかった、子や孫が将来召集されて
戦地へ行くなんて想像したくもないわ。上野駅で私が小さい時に見かけた
傷痍軍人の足が欠けた姿とか、地ベタに手を付いた姿が消えて久しいけど
ああいう負の面は伝えていかないとね。あれは殆どは偽だったと言う人もいますが・・
硫黄島への手紙、これも(映画的に)西中佐や栗林中将が美化されてる面も
ありますが、悲惨さが重視されてるぶん若い人は見ておいたほうがいい映画。
八甲田山も私は若い人に見てもらいたい映画の筆頭です。
>>660 反論のための反論じゃないですから、
気を悪くされたら小生の文章が下手糞だってことで、以下ご寛容下さい。
戦争映画というと目がない子供時代だったけど
中学上がる頃には映画のかっこよさと本当は全然違うって判ってました。
所詮映画は娯楽だってこと、一緒に見てる大人を観てれば判るし
よくある篇中取って付けたような反戦エピソードを見ても、
その種のイヤラシさについては薄々感づいてたわけで、
「映画なんだからスカッと撮ればいいやん」なんて思ってました。
いや、別にイイカッコをしたいわけじゃないんです。
そんなヤツはいくらでも周囲に居ましたしね。
「しょせん映画」に対してそれほど神経質にならんでも良いんじゃないか、
今の子供もそこまでバカじゃないと思うんですが・・どうでしょう?
662 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/17(月) 21:44:15 ID:P5kWgH53
>>661 ああ、そういう映画のウソが見抜ける子ばかりだったらいいんですが
映画を現実と混同視してしまう人もいますからね、悲しいかな。
良くも悪くも鶴田浩二のように戦争にこだわり続けた大人が居なくなって
きたし。
>662 "生きて帰って済みません"でしたっけ?
手が凍傷でズボンが脱げなくて小便が出来ない奴が居るのに
気が狂って裸になる奴はどうしてズボンが脱げるのだ?
>664
マジレスすると
凍傷になる前に、気がふれたんだろ。
('A`)
666 :
この子の名無しのお祝いに:2007/09/21(金) 16:41:29 ID:gDgyXVRC
卵が先かニワトリが先かみたいな問答ですね
ぜんずろうでお馴染みの前田吟はずっと数を数えてたけど
あれはなぜなんでしょうか?
歩数数えて距離測るんじゃね?
>668 同意。確か100歩毎に豆を1個移す、じゃなかったっけ?
>>664 更にマジレスしてみる。
小便が出来ないのは指先が凍って釦が外せないからで、
ズボンはベルト緩めるかサスペンダー外せば何とか脱げるんじゃないかな。
で、ここまで書いてたら・・
狂ってない兵卒は、極限状況にも関わらず「ちゃんと前だけ開けて用を足す」という
習慣に縛られて死んだのかな・・とも云えるような気がしてきたが
あの状況でズボン降ろして小用したら、やはりその場でコロリじゃないかな、と。
私的な結論はこんなもの。
釦が外せず、そのまま小便しちゃったらたちまち下半身が凍って死ぬ。
どうにかしてズボン降ろしても、直に下半身が寒風に曝されて死ぬ。
狂った兵卒はそんなことお構いなしにズボン脱いじゃったから死んだ。
但し、これを実証するとなると飲まず食わず、寝ないで二昼夜の間、
零下40度以下の吹雪の中を歩いてみないと分からない・・ということで。
671 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/07(日) 20:31:30 ID:aHmzCNZ1
新田次郎原作
「八甲田山死の彷徨」(新潮社より)
シナリオ 八甲田山 橋本 忍
1 エメラルド
いや、緑に少しコバルトのかかった厚い氷である。
水面が広がり岸辺を走る車、レストハウス、旅館やホテルの建
物、波を蹴立てる観光船。しかし、さらに広がる空からの視野
に、それらは小さな点景になり、周辺の山々の起伏と連なりが、
広く大きくどこまでも広がり始める。
2 タイトル
『八 甲 田 山』
残雪に点在する黒いトド松を新芽でうずめ尽くすブナの山肌の
連なり。神秘的なまでのその新緑が、緑一色の真夏の前岳、田
茂萢岳、大岳などになる。
裾野の大平原、大地の裂け目のような深い峡谷、それらを見降
ろす山頂は重なり連なり、延々と青森県から秋田県にまで広が
る現在の八甲田連峰に、スタッフ・キャストのタイトルが終る。
3 八甲田連峰・笠松峠
見渡す限りの紅葉が秋の陽に極彩色に映えている。
タイトル
明治三十四年十月
4 青森歩兵第五連隊(朝)
喇叭を吹き衛兵交替の一個分隊がやってくる。
広大なその営庭の周囲にはコの字型の兵舎。
営門に隣接の衛兵所から衛兵司令以下が出て整列する。
交替する司令以下が近づき、両者が向かい合う。
先任司令「第一哨所より第三哨所まで異常なし。申し送り事項! 本日は連隊
長、第二大隊長、並びに第五中隊長が八時三十分、会議のため弘前
の第八師団司令部へ出向かれる!」
5 同・連隊本部の前
連隊長の津村中佐はすでに馬上で、第二大隊長の山田少佐が
馬に乗りかけている。見送りの木宮少佐など連隊本部の者。
第五中隊長神田大尉の従卒、長谷部一等卒が神田に囁く。
長谷部「お帰りは何時頃に?」
神 田「多分夕方だと思う、そんなに遅くはならない」
といって馬に乗り始める。
6 同・営庭
手前では匍匐前進を始めた一隊。
遥か向こうでは入り乱れた銃剣術の白兵戦。
その中を津村中佐を先頭に、山田少佐、神田大尉が馬を歩ませ
ている。
衛門から連隊号の喇叭が鳴り始める。
× ×
衛兵所の前で、司令以下全員が整列している。
連隊号の喇叭が鳴り終り、津村、山田、神田が近づいてくる。
衛兵司令「連隊長殿に敬礼!捧げ――――銃!!」
喇叭が軽快な行進曲になり、津村、山田、神田が軽い挙手の礼
で出て行く。
672 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 07:09:19 ID:lQBO/I/y
7 弘前―――――弘前城
その天守閣と背後には秋の岩木山。
8 市内富田新町・徳島大尉の家
徳島、机に向かい黙々と書類を黙読している。
並んでいるもう一冊の表紙には、
岩木山 行軍記録
弘前歩兵三十一連隊 第二中隊
と、庭先から明るい笑い声。
× ×
庭先で妻の妙子が女中にみつと漬物にする大根を洗っている。
その二人にまとわりついている長女の信子(3)
妙 子「だってこのお大根、みずみずしくてそっくりじゃないの」
み つ「いやですよ奥様、私の足はこんなに太く」
妙子がまた吹き出しかけた時、表の門から一人の兵隊が入って
くる。右腕には公用伝令の赤い腕章。
伝 令「失礼します」
妙 子「はぁ−い!(すばやく手を洗い迎える)ご苦労様です」
伝 令「連隊本部からの公用伝令であります」
× ×
徳島が奥から和服のまま出てくる。
土間に立っている伝令、挙手の礼。
徳 島「おう、御苦労だな」
伝 令「師団司令部の今日の会議は、場所が変更になりました」
徳 島「どこに変わった?」
伝 令「第四旅団司令部であります」
徳 島「そうか、旅団のほうか、時間は?」
伝 令「いえ、それは午後一時で変わりありません!」
673 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 07:11:36 ID:lQBO/I/y
9 第四旅団司令部
建物全体が明るい秋の陽差しを受けている。
10 同・会議室
日本列島、朝鮮半島から満州シベリアに及ぶ、極東地図の前に
第八師団の参謀長中林大佐が立っている。
正面に旅団長の友田少将、右側のテーブルには青森五連隊の
津村中佐、山田少佐、神田大尉。左には弘前三十一連隊の連
隊長児島大佐、第一大隊長の門間少佐、第二中隊長の徳島大
尉。
中 林「(続けている)さっきから述べてきた諸条件を総合すると、我が日本とロシ
アとの開戦は、すでに仮定の段階を越え、その時期が遅いが早いかただ
時間の問題になっている」
聞いている一同。
中 林「軍は今その開戦に備えあらゆる努力をしている。兵器の充実然り、兵の教
育然り・・・だが我が陸軍にとって明らかに準備不足のものが一つある。そ
れは寒地装備、寒地訓練である。予測される戦場はこの遼東半島から満
州だが・・・過ぐる六年前の日清戦争ではこの遼東半島で、寒さのため四
千名もの凍傷者を出し、軍の作戦に大きな支障をきたしている。ところが我
々が今度戦う相手は、シベリアの寒さに耐える装備と、極寒零下数十度に
おいても尚戦うことを習得しているロシア軍である。寒さに対する装備、兵
の訓練と教育は一日もゆるがせにできない。それから・・・」
地図を離れもう一つの地図に寄る。
それはほとんど部屋の壁一杯までに大きな東北の地図。
674 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 07:14:13 ID:lQBO/I/y
中 林「本州北辺を鎮護の我が八師団にはもう一つ大きな課題がある。開戦ともな
れば、いち早い敵ロシア艦隊の動きにより津軽海峡と、この陸奥湾の封鎖
が予測されるが、その時に艦砲射撃でこの鉄道や道路を破壊されたらどう
なるか・・・青森と弘前・・・青森と八戸方面がそれぞれ遮断され、つまり日
本海側と太平洋側の交通が不可能になり、その場合にはこの八甲田山系
を縦断する以外に方法がない・・・夏場ならまァなんとかなるだろうが、冬の
交通路が設定できるかどうかは今のところ全く不明である」
聞いている五連隊の津村、山田、神田。
同じく三十一連隊の児島、門間、徳島。
中 林「冬季の厳寒、深い雪をおかしての軍の移動や、一般物資の運搬が可能か
どうか、またそれを可能ならしめるにはいかなる方法を用うべきか・・・しか
しこれは決して師団の命令ではなく、強いていえば師団参謀長の私案、も
しくは希望であるが、先に述べた寒地装備の訓練、同時に万一の場合の
交通路の確保・・・以上の二つを作戦目的とし、中隊もしくは小隊編成で、
この八甲田山を踏破し・・・寒さとはなにか、雪とは一体なになのか・・・その
真実の姿を提示してほしい」
中林、言葉を切り友田旅団長の隣へ帰り着席する。
シーンとして暫くは誰もなにもいわない。
中 林「(友田へ)なにか補足することがありましたら、どうぞ」
友田、中林には答えず、チラッと津村と児島、二人の連隊長
を見てどちらにともなく
友 田「八甲田山は青森五連隊にしても、弘前三十一連隊にしても、中間にあって
手頃の山である」
少し厳しいその友田の口調。
津村、児島ともになにもいわない。
友田、三十一連隊の徳島を見て、
友 田「徳島大尉」
連隊長大隊長を飛び越えた指令に、思わず徳島が椅子を引いて
立ち上がる。
友 田「(五連隊の神田へ)神田大尉」
神田大尉も立ち上がる。
友 田「(少し言葉をやわらげ)二人とも雪中行軍についてはなかなかの権威者だ
そうだな」
徳 島「いえ、権威者などとはとんでもないことです」
友田が神田を見る。
神 田「平地における雪中行軍はやったことがございますが、山岳については経験
がございません」
友 田「どうだ、二人とも、冬の八甲田山を歩いて見たいとは思わぬか」
津村と山田が思わず神田を見る。
児島と門間は息を詰めて徳島を見ている。
友 田「どうだ、徳島大尉」
徳 島「周到な準備をした上でやりたいと思います」
友田が神田を見る。
神 田「(キッパリ)私も同様であります」
中林大佐が発言する。
中 林「やる気があるのはよろしい、しかし、気持だけでなく、あらゆる方法と可能
性を研究し、弘前三十一連隊は三十一連隊、青森五連隊は五連隊らしく、
この行軍は必ず成功させなければいけない」
675 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 07:18:13 ID:lQBO/I/y
11 旅団司令部の建物
中から児島以下が出てくる。
そのまま歩き出そうとするが、児島と津村が顔を見合わし、どちら
ともなく近寄り、肩を並べるように歩き出す。
連隊長がこうなると、大隊長の山田と門間も自然に同じ形になり
、中隊長の徳島と神田が近寄り、顔を見合す。
徳 島「(破顔、微笑)お名前はよく・・・三十一連隊の徳島です」
神 田「自分もお名前だけはよく・・・五連隊五中隊の神田です」
× ×
津 村「やるとすると、これは来年一月の末か二月の初めですな」
児 島「今から準備すると、ちょうど丁度どの頃になるでしょう」
連隊長の話に息をつめている。門間、山田、徳島、神田。
児 島「どうでしょう、(と足を止め)弘前と青森の双方から出発し、八甲田山あたり
ですれ違うことにしたら」
津 村「(頷き)もともと研究が主眼の雪中行軍ですから、自然条件が同じで、それ
がいちばんいいでしょう」
連隊長同士が歩き出す。
続いて山田、門間以下が歩き出すが、門間が少し歩調を落とし、
連隊長との距離をおき、山田へ囁くように、
門 間「しかし、実施となると、これはお互いに大変ですな」
山 田「大変?しかし、決まった以上は仕方がないでしょう」
突き放すようなその口調に、門間は話のつぎ穂を失い黙って歩
き出す。
徳 島「(神田へ)本当に大変なのは我々ですよ、一番大きな貧乏籤はね」
アケスケなその言い方に山田と門間が思わず振り返る。
神 田「(頷き)三十一連隊は岩木山の経験があるが、我々の五連隊は今度が全
く始めてですから」
徳 島「いや、天候に恵まれた一度くらいの経験はなんの役にも立ちませんよ」
神田、なにかいおうとするが、前を行く大隊長を憚り、
神 田「天気はいいが・・・弘前もちょっと風が冷たくなりましたね」
徳 島「もうボツボツ十一月ですから」
二人、ほとんど同時に空を見上げる。
12 青く澄みきった晩秋の空
13 その空の下に広がる――八甲田連峰
高田大岳、井戸、赤倉、田茂萢、そして前岳。
山頂はうっすら雪で化粧しているが、中腹以下はまだ秋で、裾
野の大平原では一面のすすきが白い海のように揺れている。
乙
........ しかし「本嫁」で済むような気もするが ......
677 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 17:43:25 ID:/yGy05o1
678 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 17:54:42 ID:lQBO/I/y
14 青森寄り・前岳の裾野
ゆるやかな白いすすきの坂道を、神田が小隊長の伊東中尉、
中隊指揮班の藤村曹長、江藤伍長と一緒に歩いている。
× ×
田茂木野村――農業と炭焼きを業とする山裾の部落。
道端の柿が赤い実を鈴なりにつけている。
向うから江藤伍長が作右衛門(73)を引き立てて連れてくる。
神田たちは地図を手に一人の老人と向かい合っているが、耳
が遠い上に、緊張でオドオドし、なにを訊いても答えられない。
江 藤「中隊長殿!若い連中なみんな山へ働きに行っておりますので・・・しかし、
この人は村長で、意外にしっかりしております」
神 田「村長か、それはよかった。(作右衛門へ)自分は歩兵第五連隊の神田大尉
である。」
作右衛門、聞き耳を立てて頷き、ちょっと頭を下げる。
神 田「一月の末が、二月の初めに、この村の者で、(地図を示し)ここから、田代へ出
て・・・増沢を通り、三本木へ行った者はないか」
作右衛門「(地図などは見もせず吐き捨てるように)そんな馬鹿者はいねえよ」
伊 東「馬鹿者だと!」
作右衛門「雪は深いし、風も強い、とても歩けたものじゃない」
神 田「その雪や風の状態をもう少し詳しく教えてもらいたい。雪はどの程度で風はどれ
ほど強いか、また寒さはどの程度までこたえるか」
作右衛門「大峠を越えたら、その先は白い地獄だよ」
神 田「白い地獄?!」
作右衛門「四年前に村の若い者が、田代温泉へ行くといって出かけたが、六人との吹
雪に飲み込まれ、賽の河原でみんな死んだ。十三年前には幸畑の者が十
一人だ・・・一月と二月の八甲田は一度踏み込んだら、生きては帰れない・
・・白い地獄だよ」
神田と伊東は思わず顔を見合す。
15 青森郊外筒井・神田の家
従卒の長谷部一等卒、清酒二本を紐で縛りつけている。
その軽い鼻歌の流行歌(流浪の歌)
× ×
奥の部屋。
神田が妻のはつ子の着せかけで外出用の和服に羽織を着終る。
× ×
神田とはつ子、奥の部屋から出てくる。
長谷部「できました、中隊長殿」
神 田「ご苦労だな、折角の日曜日に」
長谷部「外出しても柳原あたりをウロウロじゃ、尻の毛まで安女郎に抜かれてしまうであ
ります」
神田とはつ子が思わず笑い出す。
長谷部、はつ子よりも早く土間の下駄を揃える。
神田、土間へおりて下駄をはき、はつ子が用意の清酒を差し出す。
神 田「(受取り)じゃ、行ってくる」
はつ子「お気をつけて」
長谷部「中隊長殿、お気をつけて!」
679 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 18:03:05 ID:lQBO/I/y
>>676 本人もそう思ってます(^^;
こんな手の掛かることなんてねぇ。
マァ盛り上がってくれればとの思いなんですが・・・
喜んでもらえる人がいるのであれば、続けて見ますが?
680 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 18:37:41 ID:lQBO/I/y
16 家の前
清酒二本を提げ、神田が出てくる。
神田、歩き出すが、ふっとその脳裏に浮かび上がってくる。
× ×
田茂木野村の村長、作右衛門。
作右衛門「いや、兵隊の靴じゃもぐり込む、雪沓、ワラの雪沓だ」
× ×
歩き続ける神田。
作右衛門「喰い物といっても特別のものはねえよ、凍らないように肌に抱き、凍ったら焚
火で暖っためる。持ち歩きには炒り米がいいだろう」
伊東中尉「炒り米とは糒食、米を炒って乾した糒だな」
作右衛門「ああ、他には餅だろうな」
× ×
窓の外を刈入れの終った田畑が流れる。
汽車の座席から神田、野末の果てをじっと厳しい眼で見つめているが、
またもや作右衛門の顔が浮かび上がってくる。
× ×
作右衛門「案内人?(なにかフテブしいまでの顔付になり)それはまァ人によりけりだ、
するほうにもされるほうにもな」
17 弘前――弘前城の掘端の道
神田、清酒を二本提げて歩いている。
18 富田新町・徳島大尉の家
神田、やってきて表札を確かめ入っていく。
681 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 18:43:11 ID:lQBO/I/y
19 同・家の中の客間
机の上に『岩木山行軍記録』やその他の資料。
神田、その書類や地図に向かい必要なメモを取っている。
徳島はまるで会添えにような形でその横にいる。
書類のページを繰り熱心にメモを続ける神田。
徳島、必要な図型(カンジキ)などを黙って差し出している。
× ×
メモの手をとめ神田が訊き返している。
神 田「地図が使えない?」
徳 島「雪の中では目標の把握が難しい、道案内人が必ず必要です」
神 田「必要事項の原則として?」
徳 島「そう、地図は決して万能じゃない、道を知っている案内人のほうがいいに決まっ
ている」
× ×
神田のメモがすっかり終り、徳島はやって来た信子を膝に抱え上げて
いる。
神 田「大切な資料や御注意を本当にどうも」
徳 島「いや、お礼はこっちですよ」
神 田「え?」
徳 島「田代の様子が分らなかったんです。温泉があるともいうし、冬場は駄目だとゆう
ような話もあるし」
神 田「一軒きりですが元湯があります。ただ十二月から四月一杯は雪で途絶だから、
宿の人が食糧を持ち込み越冬ですが、通りがかりの炭焼きなども時折は立ち寄
るようで・・・田茂木野、増沢山間の設営地はここ以外にはありません」
徳 島「五連隊は貴方のような熱心な方がいるから、準備が進んでいるが、(苦笑)こっ
ちはサッパリです」
神 田「いや、ヤキモキは私だけで、中隊編成か小隊編成か、それもまだハッキリせず、
決まっているのはただ大まかな道順だけです」
徳 島「ところがこっちはその道順すら・・・いや、三十一連隊がもし八甲田をやることに
なれば、編成は小隊編成になるでしょ」
神田、思わずハッとして徳島を見る。
682 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 18:45:35 ID:lQBO/I/y
徳 島「大人数では無理、だから小数の精鋭主義にします」
神田、じ―ッと息を殺して徳島を見ている。
徳 島「それから装備は出来るだけ軽くし、全旅程は民泊・・・民家に頼るつもりです」
神 田「(一、二度頷き)・・・徳島大尉、貴方はもし八甲田をやるとなればといわれました
が?」
徳 島「ああ、(磊落な砕けた様子で)師団の参謀長も、旅団長もやれとはいわず、三十
一連隊と五連隊に任せる態度です。命令を出せば、やれ装備がどうとか、予算
がとかでネジ込まれるから、なにもかも連隊の責任でといっているだけですよ」
と、襖があいて妻の妙子が遠慮気味に顔を出す。
妙 子「失礼します。(と神田に声をかけ)あなた、もうボツボツ」
神 田「(慌てて)あの、奥さん、もし食事でしたら?」
妙 子「いえ、結構なあんなお酒を頂いたのに、ほんの手料理で」
× ×
台所で妙子とみつが料理を続け酒の燗をしている。
干した鱈、串に通してある岩木川のカジカや鮎。
客間のほうからは徳島の唄声が聞こえてくる。
× ×
机の上に白菜、千枚漬、大根とみがきニシンなど津軽特有の数多い
漬物、干し餅やカズノコ、スズコ。
徳島はいい気持のなり弥三郎節を歌っている。
神田は軽く口の中で合わせて唄っている。
六ッあえ―
無理な親衆に使われて
十の指こから 血こ流す
それも 弥三郎え―
徳 島「(唄を止め)人間なんていつになっても変わらんもんだな」
神 田「は?」
徳 島「無理な親衆にさんざんこきつかわれ、十本の指からは血が流れる・・・まるで生
地獄の八甲田へ追いやられる、俺達みたいなものだ」
神田、苦笑するが、直ぐ明るい微笑に変わり、話題をかえる。
神 田「徳島大尉は津軽の生まれ、育ちも津軽ですね」
徳 島「ああ、南津軽郡の石川の乳井、女房までが黒石の北田中だ」
神 田「弥三郎節がイタについている。私は隣の秋田ですが、青森に来てもう長いのに
、どうも弥三郎節がうまく唄えない」
徳 島「そんなことはないよ、唄なんかその気になればどんな唄でも唄える」
神 田「いや、そうでもありませんよ」
徳 島「どうして?」
神 田「人間ほど風土に大きな影響を受ける者は・・・しかし、普段はそれに気がつかな
いし、忘れてしまっている」
徳島、杯を手にしたまま神田を見ている。
神 田「私は雪中行軍の際、小隊長や指揮班の連中にときどき訊くのですが、一番辛い
ときにはなにを考えている?するとみんなは温泉に入り熱燗、とにかくなにをお
いてもキューッと熱燗の一杯だという。いや、この気持ちは分らぬこともないが、
自分はそうじゃない」
徳島、杯を手にしたままじっと神田を見ている。
683 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 18:46:25 ID:lQBO/I/y
神 田「寒さが厳しければ厳しいほど、春の花とか、夏の山の緑、子供の時に小川でとっ
た魚とか水遊び、学校の遠足の時に見た日本海・・・そんなものばかり思い出す
んですよ」
徳 島「俺は岩木山の時には・・・(考える)雪の中ではなにを・・・コン畜生、風はどちら
からで、温度は・・・馬にはかせるカンジキでもとか・・・(ぐっと杯をほし)神田大
尉、どうもそういう考えだけは俺には縁がなさそうだな、ハハハハハ」
× ×
家の玄関。
神田が徳島と妙子に送られて出てくる。
徳 島「予備演習ですよ、予備演習。出発までに一度近くの山でね」
神 田「適当な降雪を待ち、まずそれをと考えています。八甲田の小峠、若しくは大峠ま
でということで」
といって玄関へ降り、改めて徳島と向かい合う。
神 田「これからは準備に忙殺され、お目に掛かる事はもうできないと思います」
徳 島「この次神田大尉にお目にかかるのは」
神 田「(キッパリ)雪の八甲田のどこかで」
徳島、決然と頷いて神田を見る
684 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 22:39:50 ID:9o5vXAGE
scene5、8 や 15の長谷部の台詞、19で徳島が田代について尋ね
685 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/09(火) 22:40:59 ID:9o5vXAGE
すんません。うっかり途中で送ってしまって・・
おお、乙!
シナリオ本を中々入手できないでいたから、ここにうpして貰えて嬉しいよ。
映画でカットされた部分の台詞なんか読むと新鮮だなあ
687 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/10(水) 06:34:41 ID:saNJxB3m
20 青森――五連隊(翌日)
神田が第二大隊本部の建物へ入っていく。
21 同・大隊長室
山田少佐、見終わった書類を机の上に置く。
その罫紙数枚の表紙には「第三十一連隊徳島大尉の雪中行軍につ
いての意見」。
山 田「徳島大尉には、個人的な訪問であることを断っておいたのだな」
神 田「は、訪問は平服であり、神田個人とハッキリいっておきましたが、なにか?」
山 田「これは三十一連隊の計画をそのままサラけ出しているようなものだぞ」
神 田「自分もそのように感じます」
山 田「裏は考えなかったのか」
神 田「裏?徳島大尉に限り、そんなことは絶対に!」
山 田「徳島はそうであっても、大隊長の門間や、連隊長の児島大佐の腹は分らない」
神 田「といいますと?」
山 田「つまり、雪中行軍にはこういう考え方もあるという程度に」
神 田「いや、自分はなにも三十一連隊の通りにするのではなく、ただ参考となるべき
貴重なものは取り入れる」
山 田「(頷き)神田大尉、そこの点が重要だぞ、五連隊は飽くまでも五連隊としての独
自の計画を立てる・・・いいな、それを忘れないようにな」
22 八甲田連峰
山頂の雪が山肌へ少し裾を広げている。
どこか遠くから風の音、鈍くかすかだが底力がある。
大岳や田茂萢岳の山頂がかすみ、鼠色の雲にその連なりがぼやけ、
天と地が少し暗くなり、雪が降り始める。
山頂から山腹へ、山裾へ、田代平や八甲田の高原へ。
前岳の裾野では、馬立場、賽の河原の大平原へと。
――八甲田連峰は静かに雪が降り始める。
688 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/10(水) 18:28:13 ID:saNJxB3m
23 弘前――三十一連隊
衛門と営庭。まだそれほどの深さではないが、広い営庭はもうすっかり
白い雪におおわれている。
× ×
その兵舎と兵舎の渡り廊下。
徳島大尉が歩いている。
24 第一大隊・大隊長室
徳島、門間少佐の前に立っている。
ボタンを外した上着の内ポケットから書類を出し机の上に置く。
門 間「八甲田の計画だな」
といって開くが、見た途端にギョッとなり、
門 間「説明は、説明は連隊長と一緒に聞く!」
25 同・連隊長室
書類を開いたまま児島連隊長が呆然となっている。
児 島「十泊十一日で、行程二百四十キロ・・・こ、これはどういうことだ?!」
徳島、なにもいわずに連隊長の背後の壁の地図に寄る。
その徳島と地図に児島と門間の眼が鋭く注がれる。
徳 島「弘前を出発し、この小国、切明―よりは白地山を越え、元山峠から銀山―そして
十和田湖・・・湖畔の宇樽部・・・ここからは犬吠峠越え,中里、三本木――増沢
・・・ここからいよいよ八甲田にかかり、田代――田茂木野――青森――弘前で
す」
二人、シーンとなってなにもいわない。
徳 島「なぜこのような行程になったのか、それは連隊長殿の責任です」
児島、思わずジロッと徳島を見る。
徳 島「五連隊が八甲田を経て八戸方面、つまり三本木への進出には、この田茂木野―
―田代――増沢の一本道・・・だから、弘前を出た我々が八甲田ですれ違うには、
こうした迂回以外に方法がないのです」
化石してしまったような児島と門司。
徳島、児島の前へ帰る。
689 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/10(水) 18:28:59 ID:saNJxB3m
徳 島「この計画を無謀と思われるのなら、五連隊との約束を考え直して頂きたい。自分
は八甲田をやめ、雪中行軍は岩木山に変更します」
児島、門間、なにもいわない。
依然として化石してしまったような二人。
徳 島「いや、今更その約束を反故には・・・どうか編成を」
児島が計画書のページを開き、門間が傍から覗き込むが、二人は同時
に顔を見合し、激しい怒気を含んだ表情になり、詰問的に徳島を見る。
徳 島「指揮官は自分、以下中尉が一人、少尉一、見習士官七、見習医官一、下士官十、
兵卒六、・・・以上の二十七名です」
門 間「中隊どころか、小隊にもならん!」
徳島、答えない。
児 島「それに、兵卒はたったの六名、あとは下士官と見習士官の寄せ集め・・・これじゃ
とても軍隊の編成とは」
だが、徳島はじっと黙り込んでなにもいわない。
児島と門間、イライラしながら編成の続きを見る。
『雪中行軍の参加者について』
一、参加者は原則として本人の希望に依る者とし、全連隊から募集
する。
二、参加者の人選と決定はすべて行軍指揮官たる徳島大尉がこれ
に当る。
三、下士官及び兵卒にしてこの行軍に参加せんとする者は、行軍中、
その一部たり道案内の出来る者、若しくは雪山に精通している
者であって、身長五尺三寸以上を有する、身体頑強なものでな
ければならない。
二人がイライラしながら黙読を終って顔を上げる。
徳 島「説明します・・・下士官、見習士官に主力を置いたのは、この雪中行軍が研究に主
眼をおいたものであることと・・・自ら軍人を望んだ者ならば、いざという時、国民に
も残された家族にも申し訳が立つと思ったからであります」
児島と門間、ハッと顔を見合し、鎮痛なものが表情を走り、粛然としてくる。
徳 島「私は旅団司令部で八甲田を安請け合いしたことに、今は後悔しております。調査を
すればするほど恐ろしい・・・日本海と太平洋の風が直接こんなふうにぶつかり、
冬
の山岳としてはこれ以上はない最悪の地帯です。恐らく今後三十年、五十年、いや、
百年たっても、冬の八甲田は頑として人を拒み、通ることを許さないのではないかと
思います」
児島、門間、粛然としてなにもいわない。
徳 島「私はこれまでに何度か、この雪中行軍はやめるべきだとの意見具申を考えました。
しかし、青森五連隊は神田大尉が指揮官になり、その八甲田に挑む・・・私も八甲
田へ行かねばならないのです」
26 青森五連隊――第五中隊・中隊長室
神田、電話だが、流石に強く緊張している。
神 田「三十一連隊の計画書が・・・ハイ、ハイ分りました、直ぐ参ります」
690 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 05:33:56 ID:4UwJvXZd
27 同・連隊長室
神田、息を殺し読み進む計画書がもう殆ど終りに近い。
既に読み終わっている津村連隊長、木宮少佐、山田少佐の三人、
なにか半信半疑の顔付でそれぞれ首をひねっている。
山 田「夏場でもこの計画の実施は容易じゃない、三十一連隊の徳島はどうかしている」
木 宮「大胆というか無謀というか、意図がよく分らん」
計画書を読み終わった神田、顔を上げて何か言おうとする。
と、津村連隊長が山田少佐に、
津 村「いずれにしても三十一連隊は計画を終ったのだが、我が方の進み具合はどうなって
いる」
山 田「ハッ、神田大尉」
神田が「ハイ」と立ち上がり、部屋の壁の地図の前に寄り、津村、木宮、山
田がその前へ集まる。
神 田「我が五連隊ほ雪中行軍隊は青森を出発し、幸畑を経て田茂木野、小峠、大峠と進み、
賽の河原を経て、按ノ木森、馬立場とこう進み――鳴沢を経て、第一日目は田代温
泉に宿泊致します。
三人、頷く。
神 田「第二日目は増沢を経て三本木まで進出の予定ですが、吹雪や積雪その他で困難の
ようでしたら、大事をとって増沢に泊まり――三日目が三本木・・・以上雪中行軍は三
日で切り上げ、汽車で青森へ帰営致します」
津村、大きく頷き、木宮も山田も頷く。
津 村「で、編成のほうはどうなっている」
神 田「なるべく小人数の小隊編成にし、道案内人なども必要かと考えていますが、近く行な
う八甲田小峠までの予備演習の結果を待ち、それらを決定するつもりであります」
山 田「神田大尉・・・」
一同の視線が山田に集まる。
山 田「その実施計画だが、ピリッとした個性的なものにな」
神 田「個性的なもの?」
山 田「誰が見ても流石に青森五連隊といわれるようなものだ、こうした三十一連隊の計画
も出来上がっているのだからな」
神 田「ハ、それは自分も十分に心得ております」
691 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 05:35:36 ID:4UwJvXZd
28 八甲田――田茂木野から小峠へ
快晴で風もなく一面の雪がキラキラ眩しい。
神田の指揮で五中隊の二個小隊、約八十名が雪中行軍に予備演習を行な
っている。
江藤伍長以下先頭十名がカンジキで雪を踏み固めて進む。その後ろに二列
の隊列、最後尾は行李輸送隊、橇は二台で百キロの資材が積み込まれ、三
人で綱を引き、一人が後ろを押し掛け声をかけ進む。最前方から「積雪二メー
トル三十!」と叫んでくる伊東中尉。
積雪記録をとる藤村曹長。神田、後方橇隊の状況を見て、
神 田「橇隊交替!!」
隊列から輸送隊員が後方へ走り橇の運搬を替る。輸送隊員は外套を全然つ
けず、中には軍服を脱ぎシャツ一枚の者までいる。
長谷部一等卒、あたりを見廻してニコニコ、
長谷部「まるで雪の中の遠足だな」
神 田「(時計を確かめ)先頭、カンジキ隊交替!!」
隊列が停止し、神田が少し汗ばんだ顔で振り仰ぐ。
――晴れ上がった空に前岳が悠然と稜線を際立たせ、全山の雪がキラキ
ラ陽に光っている。
29 弘前――三十一連隊・雪中行軍隊本部
徳島の特訓で、選抜隊員の殆ど全員が顔を揃えている。
田中中尉、高畑少尉、船山、蔵持など見習士官六名、長尾見習医官、曹長
一名、伍長十二名、兵卒二名の二十五名。他には腕に従軍記者の腕章をま
いた、東奥日報の記者西海勇次郎。
部屋の壁に張り出されている各自の研究課題。
『気象研究』 船山見習士官
『装備点検』 蔵持見習士官
その他全員に『雪中行軍法』『雪中路上測図』『凍傷の処置と研究』『携帯食
の研究』『設営の研究』等、等、等。
徳 島「いいな、水筒の水は七分目ぐらいにし、絶えず動かしておれば凍らない。人間の体も同
じだ、たとえ小休止といえども、足の指は靴の中で動かし、手袋をはめた手はこう動かす」
斉藤伍長が訊く。
斉 藤「中隊長殿、自分は雪中行進法でありますが、歩足の調査だけで?」
徳 島「ああ、それだけでいいから正確にやってくれ、正確にな」
と、入口から佐藤一等卒と小山二等卒が入ってくる。
佐 藤「佐藤一等卒、帰りました!」
小 山「小山二等卒、唯今帰りました!」
徳 島「御苦労、佐藤一等卒から聞こうか」
佐 藤「銀山の経営者工藤祐紀殿が、宿舎は気持よく引き受けて下さいました。なお銀山から宇樽
部までは十八キロ、積雪は現在二メートル、風はその日次第で、現在ではなんとも言えな
いとのことであります」
佐藤の言葉を記録にとっている高畑少尉。
徳 島「この区間の案内人は?」
佐 藤「(胸を張り)入営までは自分が銀山で働いていり、その必要はありません!」
692 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 06:51:16 ID:4UwJvXZd
盛り上げるために書いてるのに、誰もいなくなっちゃったよ、どうしよう・・・
おお―い!!誰かいるんかね〜
みんな読んでますって、読み込んでますって
下手にレス入れると文章の邪魔になると思って書き込まないだけかと・・・
そうだ。
洩れも楽しんでおるゾ
695 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 12:55:08 ID:4UwJvXZd
おお!、おられたか(ホッ)
ではでは、安心して転記するとしましょう。
696 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 13:03:44 ID:4UwJvXZd
30 八甲田――小峠への道
快晴の白銀の世界を整然と二列の隊伍で進む神田指揮の二個小隊。
神田の傍へ永野軍医がやって来ている。
永 野「凍傷どころか、寒さを訴えるものもない。これじゃ軍医も用なしですわ、ハハハハ」
神 田「(微笑)天候ですよ天候、来たるべき行軍も、なんとかこういう好天に恵まれたいものです」
31 小峠
それほど特長の無い小さな峠の頂上。
道端の雪の中から小さな祠が屋根だけを出している。
下士卒達は大休止で叉銃、陽だまりの雪に腰をおろし、携帯の飯骨柳を開いて
飯にし、終った者はのんびり煙草で、中には雪を丸めて谷へ投げ合ったりしてい
る。
遠足気分の長谷部一等卒、僅かに鞘だけ出している道端の樹木の所へ行くと、
雪が踏み固めてなく、ドサーッと一気に腰あたりまで沈み込み、あたりの下士卒
吃驚するが、次ぎの瞬間泳ぐようにして抜け出そうとする長谷部の有様に声を上
げて笑い出す。
長谷部もゲラゲラ笑っている。
× ×
食事の続いている中隊指揮班。
伊東中尉、持参の餅を喰いながら前方の大峠を見ていたが、チラッと時計を
確かめ、神田へ話かける。
伊 東「中隊長殿、昼食が済んだら大峠まで・・・向うの雪の状態は次ぎの雪中行軍に大いに役立
ちます」
神 田「時間があったら行ってもいいが、とにかく飯を喰ってしまうことだ」
伊 東「いや、時間は大丈夫です・・・藤村曹長、帰営は何時になる」
藤 村「このまま帰れば午後二時です」
伊 東「中隊長殿、帰営を四時にすれば、まだ二時間は・・・」
神 田「しかし、今日の演習は小峠までということで、大隊長殿の許可を得ている。少し早いがこの
まま帰営することにしよう」
伊東、頷くがその表情にいくらか不満気なものが残る。
× ×
出発用意がかかり、全員が準備を終っている。
隊列は上がってきたのと逆で、下り道に向かっているが、踏み固めた雪でカンジ
キの必要はない。
神 田「前へ・・・進め!!」
二個小隊八十名が、神田の指揮で小峠から降り始める。
――その小峠の先の大峠では、風がでたのか稜線の切れ目あたりから、白い飛
雪が空へ吹き上げ始めている。
697 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 17:50:19 ID:4UwJvXZd
32 青森五連隊・第二大隊長室
山田がニコニコし、その前に神田が立っている。
山 田「そうか、それは良かった。小隊とか中隊とかじゃない、大隊を繰り出してもいけるのだな」
神 田「はい・・・しかし、それは今日のような天候に恵まれた場合のことですが」
山 田「神田大尉、決まった、雪中行軍は中隊編成だ」
神田、ハッとして山田を見る。
山 田「ただし、それはお前の五中隊ではなく、いや、五中隊が中核でありその主力ではあるが、全
連隊・・・青森五連隊全体が参加する形の中隊編成にし・・・それに大隊本部が随行する実
行計画を作ってくれ」
神田、そのままなにもいわない。
山 田「なにかいいたいことがあるのか」
神 田「いえ、ございません、直ちに編成に取りかかります」
33 第五中隊・中隊長室
長谷部、ストーブに薪だが、なにかを考えこんでいる。
扉があき、神田が入ってくる。
長谷部「どうも今日はご苦労様でした」
だが神田は少し気難しい硬張った顔付で答えない。
長谷部、軍帽を受取り釘にかけお茶の用意を始める。
椅子に腰をおろした神田、もう黙々と書類を取り出している。
長谷部、入れたお茶を机の上に置き、
長谷部「あの・・・ちょっとお願いがあるのですが」
神田、長谷部を見る。
長谷部「市内の叔母の所まで外出許可を頂きたいのであります」
神 田「・・・どうした?」
長谷部「演習から帰ってみますと、こんな手紙が・・・」
ポケットから封筒を取出して差し出す。
神田が受け取り、裏を返して見ると差出人は、
弘前歩兵第三十一連隊 第一中隊
伍長 斉藤吉之助
長谷部「(少し躊いながら)その斉藤伍長が、一月二十日に雪中行軍隊として弘前を出発するが、
この行軍は下手をすると、生きて帰れない雪地獄にはまり込む」
神田、チラッと長谷部を見る。
長谷部「だからその前にぜひ青森の叔母の家で別れがしたい」
神 田「この斉藤伍長との関係は?」
長谷部「実の兄でありますが、自分は子供の時に」
神 田「ああ、お前は養子だったな、宮城県の築館へ」
長谷部「はあ、水呑み百姓の子沢山で」
神 田「分った、外出はいい。あ、それから伊東中尉と、藤村曹長、江藤伍長にくるようにいって
おいてくれ」
長谷部「はい、分りました。では中隊長殿、行って参ります」
といって出て行く。
698 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/11(木) 17:51:51 ID:4UwJvXZd
神田、鉛筆を取り上げる。だが、編成表には一字も書かず鉛筆を置き、煙草に
火をつける。なにかを考え込む、いや、ふッと思い出すようなその眼付。
× ×
数日前の大隊長室。
神田、山田の前に立っている。
山 田「向こうが小隊、だからこっちもそれでじゃあまりにも」
神 田「大隊長殿、自分が小隊にしたいのは、三十一連隊がそうであるからで無く、人員の増加
は輸送隊、行李輸送隊の負担があまりにも」
山 田「神田大尉(と遮り)三十一連隊の徳島の計画は強引で無謀過ぎ成功するとは思えない。
しかし、もし仮にこれがうまくいった場合には、小隊編成で行程二百四十キロ・・・ところが
こちらは同じ小隊編成で四分の一にも満たない五十キロ・・・これでは踏破距離に優劣が
あまりにもハッキリつき過ぎる」
神 田「いや、その三十一連隊の計画は連隊相互間の約束もあり、徳島大尉としても、やむにや
まれぬ・・・」
だが、ギュッと口を噛みやめてしまう。
すくなくともこの点に関しては――これ以上なにもいえない。
山 田「神田大尉・・・師団の内示は、もともと軍隊としての行動が取れる中隊編成だ。全員僅か
二十七名の変則的な行軍は成功したとしても意味が弱い。我々としてはあくまでも師団
の意図、作戦目的、軍隊としての基本的な行動が取れる、正規の中隊編成にすべきで
ある」
34 同・五連隊の営門(夕方)
神田、計画書を入れた鞄を持ち、チラチラ雪の降り始めた中を自宅へ帰り始め
る。
>>692 人が見当たらないときは「案内にーん!」と叫ばないとw
700 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/12(金) 06:03:11 ID:eaNSQnMI
35 青森郊外筒井・神田の家
神田、帰ってきて玄関へ入る。
36 同・玄関
はつ子「お帰りなさい!(と出迎えに出る)」
同時に奥から出てくる長谷部一等卒。
長谷部「中隊長殿、お帰りなさい!」
神田、長谷部を見て妙な顔をする。
神 田「叔母の家に行かなかったのか?」
長谷部「いや、行ったのでありますが、一足違いで兄は弘前へ帰ってしまっており・・・叔母に伝
言だけを残しておりました」
神 田「そうか、それは残念だったな」
長谷部「中隊長殿、ボツボツ風呂が」
はつ子「そんな事までいいのにと言うのに、長谷部さんが・・・」
37 同・風呂場
神田、風呂に入り、白い湯気の中でじっと眼を閉じている。
釜の下を燃やしている長谷部が声をかけてくる。
長谷部「中隊長殿、湯加減はどうでありますか?」
神 田「(答えず)・・・長谷部、さっきお前の兄は伝言をといったが、それはどういう内容だ」
長谷部「中隊長殿、長い間遭わないと人間も変わるものであります」
神田、「え?」と妙な顔をする。
38 青森市内・長谷部の叔母の家
三十一連隊の斉藤吉之助伍長が柱時計をジリジリ気にし、叔母も気が気じゃ
ない。
斉 藤「叔母さん、行かないともう汽車に間に合わないよ、俺は帰る、帰るから善次郎が来たら
よくいってやってくれ」
叔 母「そうだね、それより方法がないね」
斉 藤「さっきも話した今度の雪中行軍だが、俺は前に岩木山へも言っているから、志願をしな
いわけにはいかないが、・・・善次郎には行っちゃいかん、できることなら行かないよう
にとな」
39 神田の家の風呂場
湯の上にじっと首だけを浮かしている神田。
長谷部「苦労性というよりは、中隊長殿これは心配性であります」
神 田「兄の伝言はそれだけか」
× ×
市内、長谷部叔母の家。
斉藤吉之助伍長と叔母。
斉 藤「あいつはな、子供の時に宮城のほうへ行ってしまったので、雪の怖さを知らない。いや、
善次郎だけじゃない、青森の五連隊は岩手や宮城の者が多い・・・本当の雪の怖さがど
んなものだか知らない連中が多いのはとても危険なんだ、叔母さん、そこをはっきり善次
郎にな」
× ×
湯気の中で再び眼を閉じている神田。
神 田「お前の兄のいう通りかも・・・怖いと思うなら行かなくてもいいぞ」
長谷部「冗談じゃない、中隊長殿が指揮官としていかれるのに、従卒の私が・・・それに雪中行軍
なんて大した事じゃない。今日の小峠だってまるで雪の中の遠足じゃないですか」
長谷部の顔が願望と期待で明るくウズウズし、
長谷部「噂じゃ、途中で三十一連隊とすれ違う・・・今日は逢えなかったがその時には久しぶり、
当にひさしぶりに兄に逢えるのであります」
701 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/12(金) 07:46:14 ID:pGfiyZwR
明日は東北平野部も降雪だとか。
702 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/12(金) 08:03:11 ID:eaNSQnMI
もうぼつぼつ十一月ですから(まだだいぶ早いかW)
703 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/12(金) 19:33:35 ID:wDaZ/pYN
原田君事さんとはしばらく同じ職場にいたけど
普段は多弁で魅力的な人だったけど
カメラ回るとからっきし駄目だって言ってたな
704 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/12(金) 19:41:36 ID:iygOBfIB
軍歌ーーー雪の進軍ーーー(健さんの声で)
あーー、歌いてえ。
705 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/13(土) 05:29:24 ID:fcKp9llf
40 同・家の中の奥座敷
机の上に数多い書類、資料、メモ。
神田、編成表の作成に没頭している。
熱心にただひた向きに、打ち込んでいる。
× ×
五中隊の中隊長室
今日の夕方の前で、窓の外はチラチラ降り出している雪。
伊東中尉、藤村伍長、江藤伍長がやって来て椅子に腰かけている。
神田は話し終わっているが、三人は暫くなにもいわない。
伊 東「質問をしてもよろしいでしょうか」
神 田「ああ、いいよ」
伊 東「五連隊を挙げて参加する中隊編成、これはまあいいと思います。しかし、大隊本部が随行
とはどういうことでしょう」
藤 村「編成外の参加にしても・・・(江藤と顔を見合し、遠慮気味に)中隊の指揮権を持つ中隊長
殿の上に、もう一つの上部機関がくっつくのは」
神 田「(キッパリ)大隊長殿には大隊長殿のお考えもあるようだ」
神田を見る伊東、藤村、江藤。
神 田「三十一連隊の出発は目前だから、急がねばならない。いずれにしても五中隊が根幹の主
力であるから、たとえそれが二個小隊、いや、一個小隊になっても、これでならという人選
を直ちにな!」
× ×
神田は自宅の奥座敷で編成表に打ち込んでいる。
強い意気込み、不屈の意志みたいなものさえ感じられる。
と、家の外から、
「失礼します」
神田、ふと手を止める。
「夜分遅くに失礼致します」
家の表に誰かがやって来ている。
41 同・家の玄関
連隊からの公用伝令を、神田とはつ子が迎えている。
伝 令「三十一連隊からの逓送に、大尉殿宛至急の書簡がありましたので持参致しました」
といってポケットから取り出した封書を差し出す。
神 田「御苦労・・・」
と受取り裏を返して見ると、差出人は、
弘前歩兵第三十一連隊 第二中隊
徳島 和正
42 同・奥座敷
神田、机の前にキチンと坐っている。
手紙を広げた顔が厳しく引き締まっている。
その文面と徳島の声。
「我が小隊は一月二十日に出発致します・・・貴隊の予定がまだ決定していないので、どこら
あたりで行きかうか、その予測はつきませんが、多分我が小隊が八甲田にかかった頃、貴
隊もこの方面に進出かと推察致します。今回の雪中行軍中、我が隊の最も困難と推定され
る箇所は、増沢から田代――田代より鳴沢を経た馬立場、馬立場より賽の河原を越える―
―八甲田東南山麓であると思われます。もしこのあたりで我が隊が危険、かつ困難な状態
にでも陥っているようなことがあれば、その時には、武士の情けで、なにとぞ、御援助を・・・」
706 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/13(土) 05:30:47 ID:fcKp9llf
43 弘前――三十一連隊の営庭
明治三十五年一月二十日の午前五時。
夜明け前の営庭を雪中行軍隊二十七名、最後尾の従軍記者を入れた二十八
名が動き出している。
見送りに立っている児島連隊長と門間大隊長。
将校と見習士官は黒の羅紗服に黒の外套、下士官と兵卒は紺の羅紗服にカ
ーキ色の外套で、銃を担ぎ、全員の背嚢には二足の藁の雪沓。
徳島を先頭に、雪中行軍隊二十八名が粛々と営門を出て行く。
44 市内を出た平原の道
夜が明けかかり、背後には岩木山。
前面には見渡す限り弘前平野の雪の大平原。
徳島以下の全員が顔を上げて望む。
行途の遥かな大平原の果てには、朝焼けの雪を頂いて連なる八甲田外輪の
山々。
徳 島「軍歌、雪の進軍初め――ッ!」
と命令し、自ら隊員と共に歌い出す。
雪の進軍 氷を踏んで
どこが川やら 道さえ知れず・・・
45 青森――五連隊・連隊長室
机の上に眼を通し終わった『雪中行軍実施計画書』
山田がその津村の前に立っている。
津 村「随行の大隊本部・・・これは行軍隊には関係のない編成外だな」
山 口「その通りであります」
津村、頷き、机の引き出しから決裁の印を取り出す。
傍から木宮少佐が印肉を刺し出すが、津村はちょっと躊らい念を押す。
津 村「雪中行軍隊の指揮は神田大尉が取るのだな」
山 口「はい、中隊の指揮は一切神田に任せます。大隊本部の任務は雪中行軍の研究をつぶ
さに行ない、今後の寒地教育の指導確立を目的とするものであります」
だが、津村はそれでもなお決断がつかずに躊らう。
山 口「(ビシッと)連隊長殿、今朝未明、弘前の三十一連隊はすでに連隊を出発しております」
津村、思わず「ウム!」と口の中で唸り、
津 村「三十一連隊は出発したのだな」
といって実施計画書に押す、その津村の印。
木 宮「(素早く電話器を取り上げ)第一大隊長!第三大隊長!以下全連隊の中隊長を直ちに
連隊本部へ集合!・・・そう、そうだ!いや、第二大隊長は現在連隊長室にあり!」
707 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 06:20:09 ID:hBbq/B52
46 三十一連隊・徳島隊
弘前平野を過ぎ山道に入り始めている。
少し雪が降り出している。
× ×
行途の曲がりから雪の中へ、墨絵のように馬に乗った人影が現れ、やってく
る隊列を見て馬を止め降り始める。
タイトル
小国村村長 相馬徳之助
道案内のため迎えにくる
47 青森――五連隊・連隊本部
津村を正面に、山田他二人の大隊長、神田を含めた五連隊の中隊長全員十
二名が集まっている。
木宮、実施計画の内容を続けている。
木 宮「尚、この雪中行軍隊の編成は、五連隊を挙げての壮挙となすため、第二大隊の第五、
第六、第七、第八中隊より各一個小隊、第一大隊と第三大隊よりは長期伍長による一
個小隊・・・以上の五個小隊を持って中隊を編成し、第五中隊長の神田大尉が指揮に
当る。尚編成外として山田少佐他の大隊本部がこれに随行する」
直立で聞いている山田、神田他の全員。
木宮、津村を見る。
津 村「各大隊長及び中隊長は、以上の計画に基づき、直ちにその編成を終了するものとする
!」
48 三十一連隊・徳島隊
大休止をした唐竹村から出発し始めている。
ここからは徳島以下全員が軍靴の上に藁の雪沓。
先頭の馬を村に預けた相馬には、腰の下まで届く熊の皮を着た猟師の弥兵
衛が並んでいる。
タイトル
猟師の弥兵衛
相馬と共に小国を経て切明までの案内人
× ×
村を出るとすぐ樹林の中へ入る。
雪は重量感があり積雪も次第に深くなる。
× ×
右も左も深い樹林の道で小休止している。
積雪調査や、温度や風の方向の気象調査。
× ×
深い樹林の道をさらに小国へ進んでいる。
空は梢で見えないが既に陽が落ちたのか夜のように暗い。
寒さが厳しくなり徳島以下全員が頭巾をかぶっている。
49 三十一連隊・徳島隊(一月二十一日)
小国切明間の琵琶の平にかかっている。
タイトル
琵琶の平
小国に一泊し、切明に向かう
右には碇ヶ崎の山々の山頂が現在位置と同じ高さに連なり、左には黒石方
面と上の平盆地の展望がひらけ、その先には空を圧して連なる南八甲田の
山々。
雪は一足ごとに膝の当りまでもぐり込むが、天候に恵まれ、隊員は頭巾どこ
ろか、その半数以上が光線よけの色眼鏡をかけている。
708 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 07:32:28 ID:hBbq/B52
50 青森――五連隊・連隊長室
神田が名前を告げ、小隊長が一人一人前に出て頭を下げ、津村が頷きを返
している。
編成が終った雪中行軍隊のその五人の小隊長。
他には随行の山田以下の大隊本部員。
神 田「第一小隊長、五中隊伊東中尉・・・第二小隊長、六中隊中橋中尉、第三小隊長、七中
隊小野中尉、第四小隊長、八中隊鈴森少尉・・・第一大隊及び第三大隊より選抜の特
別第五小隊長、中村中尉・・・」
五人の小隊長を終り、
神 田「以上雪中行軍隊は、自分以下小隊長五名、見習士官二名、準士官二名、下士卒百八
十六名・・・総員百九十六名であります」
山田、津村に告げ始める。
山 口「随行の本部隊員であります。倉田大尉・・・沖津大尉、永野三等軍医、田村見習士官、
井上見習士官、進藤特務曹長、今西特務曹長・・・以下、看護長、伝令他を入れ、十四
名であります」
津 村「行軍隊と随行員で二百十名・・・この中からたとえ一人といえども、落伍者その他を出さ
ぬよう、万全の準備とその実施を希望する」
51 同・第五中隊事務室
壁に張り出してある『雪中行進法』や『行李輸送』『宿営の研究』などの各自の
研究課題。
電話がひっきりなしに鳴り、被服庫へ怒鳴る江藤、糧秣倉庫と話し合う藤村、
慌ただしい人の出入りと動き。
神田、五人の小隊長と見習士官を集め指示している。
神 田「食料、燃料その他を積載する橇は八台、一台の輸送には隊員四人・・・これには特別小
隊の中村小隊を除いた、各小隊から兵卒八名、その三十二名を持って輸送隊員とする」
図版のメモを取るそれぞれの小隊長。
神 田「次ぎは携帯品の注意だが、兵卒は木綿の小倉の服だから、防寒外套を必ず二枚持たせ
る・・・軍足と手套は予備を持参、濡れたら取り替えること・・・襦袢も普段着の他に少なく
とも一枚を予備とする。尚、凍傷予防のため、靴の中に入れる唐辛子、軍足を覆う油紙を
用意させること」
小野中尉「中隊長殿、その唐辛子と油紙ですが」
神 田「官給品ではないが、凍傷予防に貴重なものであるから、必ず用意を下士卒に強く指示す
るのだ」
52 同・五連隊の営庭の一部
支給されたカンジキが珍しい三、四名の兵卒。
ヨッコラショ、ヨッコラショ、第二小隊の平山一等卒、楽しくて仕方がない。
× ×
兵舎と兵舎の渡り廊下。
忙しげにやってきた江藤伍長が足を止める。
六中隊の村山伍長が古新聞や油紙を手にやってくる。
江 藤「おう、なんだ、お前も行くのか」
村 山「ああ、第二小隊でな、指揮班も大変だろうがよろしくな」
江 藤「全く足もとから鳥が立つようで・・・ところでその新聞はなんだ?」
村 山「これか、寒いときにはこれに穴をあけて着ると、えらく暖っかい。ついでだから酒保で買
ってきた」
江 藤「そうか、じゃ俺も・・・いや、そうもいかん、被服倉庫へ行かないと」
村 山「じゃな(と別れかけるが)あ、江藤伍長、みんな呑気なことをいっているよ」
江藤「え?」と振り返る。
村 山「山道だから汗が出るから、二枚のシャツは一枚とか、どうせ雪沓を履くのだから、軍靴は
やめて地下足袋にするとか」
江 藤「(渋面になり)この間の予備演習が楽すぎたんだよ」
村 山「(苦笑、頷き)橇隊がシャツ一枚で引っ張ったなんて、いいことばかりがどうも・・・(営庭の
一部を見て舌打)馬鹿めが、あんなことをしてやがる」
709 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 13:33:55 ID:6r3nkGNk
割り込むようで申し訳ない。
「あおもりシネマパラダイス」(東奥日報社)っていう本があるんだが、
映画「八甲田山」のロケ当時の写真や出演者へのインタビューとか撮影秘話とか、詳しく載っていますよ。
地元出身者としては、青森の映画館で先行上映されたときの建物外に並ぶ長蛇の列が印象的だった。
今は市街地には当時の映画館の建物は一軒も残ってない。一軒だけ、エロ映画館がミニシアターとして移転復活したらしいけど。
710 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 18:24:25 ID:hBbq/B52
53 三十一連隊・徳島隊(一月二十二日)
山と山との深い狭間を一列縦隊で進んでいる。
先頭の案内人は切明で交替し屈強な男が五人、中の三人は猟師で鉄砲を背
負っている。
タイトル
切明より白地山を登頂
十和田湖の西岸、銀山に向かう
遥かな高い空ではにぶい底力の風の音。
× ×
狭間を越えた少し広い所で小休止している。
広いといっても樹木を切り倒した雪の吹き溜まりだ。
ポケットから豆を取り出して勘定の歩足調査の斉藤伍長。
雪沓を脱ぎ軍足の油紙を取り替えている従軍記者の西海。
黙って風の音に耳を済ませている徳島へ田辺中尉が話しかける。
田 辺「中隊長殿、五連隊の出発はどうなるのでしょう」
徳 島「我が隊の予定は指揮官神田大尉がよく知っておる。八甲田で逢うには、今日ではまだ早く、
多分出発は・・・明日当たりではないかと思う。いずれにしても我が隊の予定は一日の遅延
も許されない」
といって隊員達へ、
徳 島「これより白地山を経て元山峠に向かう!風が強いから、耳当てをつけろ、手套は二枚にし、
襟巻をまけ」
隊員達、兎の毛の耳当てをつけ、フランネルの襟巻をまき、手套(手袋)を二枚は
め始める。
田 辺「出発用意!」
高 畑「案内人は先頭につけ!」
54 青森――五連隊・第二大隊長室
神田がやって来て山田に向かい合っている。
山 口「全員を営庭に集め、出発の注意をする?」
神 田「はい、隊員の中には今度の雪中行軍を安易に考えている者がかなりあります。八甲田は青
森平野と違い、吹雪、風、寒さ、特に寒さがいかにも恐ろしいものか、自ら諸注意を与えたい
のであります」
山 口「出発は明朝だ、今日は誰にしてもそれぞれ準備が忙しい」
神 田「しかし、大隊長殿!」
山 口「指揮官としてどうしても注意を与えたいことがあるのなら、各小隊長を集め話して置け!」
711 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 18:25:27 ID:hBbq/B52
55 三十一連隊・徳島隊
白地山に至る雪の山肌にとりついている。
案内人、徳島以下がヨジ登りやっと尾根に達する。
× ×
尾根は強い風の吹きさらしだ。
雪は風に吹き飛ばされ笹むらが顔を出している。
だが、都合よく追い風で、それに背中を突き飛ばされるように案内人と徳島以下
が歩き出す。
その屋根からみえるのは果てしない山の連なり、左は青森県、右は秋田県に広
がる。ただ、山、山、山の折重なり。
× ×
案内人と徳島以下、やっと白地山の頂上に達する。
風のために積雪はなく、雪はツルツルに凍って光っている。
とにかく風のために誰も立っておれない。
× ×
頂上から元山峠に向かって降り出す。
と、氷道に滑って松尾伍長が転倒し、同じ分隊の川瀬伍長や長尾見習士
官が駆け寄り起してやる。
顔をしかめながらも松尾伍長はなんとか歩けそうだ。
× ×
その白地山から元山峠への道。
案内人達が急に先頭から足を止め、徳山以下立ち止まる、
案内人「(手を上げ)十和田湖だ、十和田湖が見える―ッ」
徳島以下、思わず案内人の傍へ行く。
――十和田湖が見える。
白一色の天地に突然沸き出した、青ではなく水際だけがくっきり白い、異
様な黒い大きな湖。
56 その十和田湖
無数の白い波頭は、風による表面だけで、底にあるものは重々しくなにか
印象的なまでに黒い。
712 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 18:27:36 ID:hBbq/B52
56 青森市内――神田の家(夜)
シャツ、腹巻、袴下、懐炉、油紙、唐辛子、等、等。あれこれ用意のはつ子
と長谷部が一応終る。
神田は書類、地図、筆記用具、磁石などを並べた机の前で、じっとなにか
を考え込んでいる。
長谷部「中隊長殿、大体これで・・・」
神 田「ああ、御苦労・・・明日は早いから用意もあるだろう、もう帰れ」
長谷部「はい、では、中隊長殿、帰ります」
といって部屋を出て行く。
神 田「はつ子、懐炉の灰は三日分だな」
はつ子「はい」
神 田「五日分か六日分にしてくれ」
はつ子「(妙な顔をして神田を見る)軽いものだからいいですけど、二泊三日でしょう?」
神田がキッパリという。
神 田「いや、五日か六日分だ!」
58 青森五連隊――営庭
明治三十五年一月二十三日、午前六時五十五分。
白い雪に覆われた早朝の営庭に雪中行軍隊二百十名。
いや、すでに神田を先頭に、第一小隊の伊東小隊、第二小隊の中橋小隊が
動き出している。
将校は黒の羅紗服に黒の外套、下士官は紺の羅紗服にカーキ色の羅紗外套、
兵卒は紺の木綿の小倉服だが、下士官と同じカーキ色の羅紗外套で、全員が
軍靴の上に雪沓。
隊列は続いて第三小隊の小野小隊、第四小隊の鈴森小隊、その後に山田以
下の大隊本部、第五特別小隊の中村小隊、最後尾は行李輸送隊の八台の橇
で、一台には四人の輸送隊員。
見送る津村、木宮以下の連隊本部の者達。
衛兵所では司令以下全員がその前に整列している。
先頭の神田と伊東小隊が近づいてくる。
最先頭の喇叭卒が喇叭を吹き鳴らし始める。
神田を先頭に、伊東小隊が営門を出て行く。
× ×
59 連隊を出た、筒井――幸畑間
朝陽の中を二列縦隊で進んでいく神田隊。
両側には雪のりんご園の丘陵が一面に広がっている。
軍歌演習の全員のその『雪の進軍』。
713 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 18:54:07 ID:hBbq/B52
>>709 そうでしたね。「青森シネマパラダイス」のことは忘れてました(^^;
どうでしょうか、転記者として、この転記を切のいい所で一段落させて、
「青森シネマパラダイス」の記事を転記しても面白いと思いますが、
皆さんのご意見はいかが?
転記するとすれば、以下の3項目でしょうか。
1、高倉健さんの寄稿(2ページ)
1、北大路欣也さんの寄稿(2ページ)
1、製作者 橋本忍氏に聞く(9ページ)
714 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/14(日) 21:45:49 ID:hBbq/B52
続きで〜す。
健さんと欣也さんの寄稿文は量的にも少ないので、適当な時に入れておきます。
橋本忍さんの分は後で、まとめて掲載致します。請うご期待!
715 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/15(月) 06:42:53 ID:AhYUKQuA
60 幸畑からは全員がゆるい傾斜の山道にかかる。
その積雪を踏み馴らす先頭伊藤小隊のカンジキ隊。三人が間隙を開けて並ぶ、
続く二人がその間を歩き、五人で雪道を開く形になる。このカンジキ隊四十名で
雪が踏み固められ、後の隊列は隊伍整然と雪沓のまま進む。
堂々たるその雪中行軍二百十名の行進。
61 八甲田――山麓の田茂木野村
神田隊、小休止で、少し遅れていた後方の橇隊が到着し始めている。その先頭
の中隊指揮班。
藤 村「では中隊長殿、作右衛門の家へ」
神 田「(頷き)案内人が可能ならば、自分が大隊長殿に報告する」
藤村「行って参ります」と指揮班を離れ始める。
× ×
小休止している長い隊列の中の大隊本部。
村長の作右衛門と二、三の村人がその大隊本部へ近づき、進藤特務曹長が怪
訝げに迎えている。
進 藤「この前に来た大尉様?・・・神田大尉殿なら向こうだがなんの用だ」
作右衛門「田代まで案内を訊いていたので、なんとかすべえと思ってな」
山田、作右衛門を見る。
山 口「神田大尉が頼むといったのか」
作右衛門「いや、案内のできる者があるかどうか訊いただけだよ」
山 口「そうだろう、案内など頼む訳が無い」
作右衛門「しかし、案内なしじゃ無理だよ」
山田、ジロッと作右衛門を見る。
作右衛門「山は吹雪だし、田代までは広い雪の原っぱで、目当てにするものがなんにもねえんだ」
山 口「(思わす声が大きくなる)お前達は案内料が欲しいためにそんなことをいうのか!」
――作右衛門が大隊本部なので、急いでやって来ていた神田、ハッとして立ち
止まってしまう。
山 口「戦をするものが案内人などをいちいち頼んでおられるか。軍には地図と(ポケットから磁石
を取り出し)こういう磁石というものがある。案内などはいらないのだ!」
作右衛門、ムッとしてなにか言おうとするが、ペコリ頭を下げただけで、村人と一
緒に大隊本部を離れて行く。
山田、中隊指揮班からやって来ている神田を認める。
山 口「神田大尉・・・案内料が欲しいため、案内人なしじゃ田代までは無理だなどといいおる、バカ
なやつらだ・・・出発、出発用意!」
慌てて叉銃の銃を取り始める付近の下士卒。
神田、なにも言わず、いや、言えずに突っ立っている。
農家の軒下まで下がっている村人の中の作右衛門。
作右衛門「(目の前の下士卒の動きを見て)よりにもよって山の神様の日に・・・命知らずの
バカな真似にもほどがある」
× ×
ちらつき始めた雪の中で出発態勢が整った神田隊。
その先頭で、伊東が神田へ不満気に、
伊 東「随行の大隊本部が命令とはどういうことですか?」
神 田「いや、案内人の件は決定していた事項ではない。(きっぱり)いろいろと困難はある
が、それを一つ一つ乗り越えるところに、今回の雪中行軍の意味がある」
伊東、仕方なく、いや、いくらか思い直して頷く。
神 田「(大きく息を吸い)行軍隊――各小隊ごとに、出発!」
伊 東「第一小隊、前へ・・・進め――ッ!!」
神田を先頭に、伊東小隊、中橋小隊と、神田隊が田茂木野を出発し始め
る。
716 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/15(月) 06:44:08 ID:AhYUKQuA
62 三十一連隊――徳島隊
宿舎の銀山を出発し、今日は十和田湖の湖畔を歩いている。
雪は降らないが風が強く、湖面には白い波頭が一面に牙を剥き、轟く波の
音に全身が圧倒される。
先導の案内人は今日は民間人ではなく佐藤一等卒。
昨日足首捻挫でビッコの松尾伍長、ついに歩けなくなり、隣の川瀬伍長が
その小銃を持ってやる。
徳島隊二十八名、岸辺の樹木が水しぶきで氷のお化け、寒地獄の異様な
十和田湖畔を黙々と歩いている。
63 八甲田――田茂木野村から小峠へ
神田隊二百十名、坂道を進んでいる。
降る雪が少し多くなり、駒込川の谷底では風の音。
だが、軍歌演習の『雪の進軍』がそれらを圧倒して強い。
先頭のカンジキ隊は交替した小野小隊で、後方の橇はやや遅れがちになり、
田茂木野までは外套を着ていなかった輸送隊員も全員が外套を着ている。
(先頭カンジキ隊交代!)
(中橋小隊は後方橇隊の援護につけ!)
次々と命令が出て、隊員達がてきぱきと動く。
隊列は少し長くなっているが、八甲田に挑むその二百十名ほ堂々たる雪中
行軍。
64 十和田湖畔の徳島隊
一面に白い牙で吠え立てる黒い大きな湖。
徳島隊二十八名、頭巾を深々とかぶり黙々と歩いている。
坂道ではない、雪の中を泳ぐようなこともない。
ただ歩くだけの行軍の姿がなにかひどく悲しい。
――捻挫の痛みが激しくなった松尾伍長、その銃を持ったため小銃が二丁
の川瀬伍長が前との間隔が開き始め、徳島が手を上げて隊列をとめる。
徳 島「倉持と船山、川瀬伍長の銃を持ってやれ」
二人の見習士官が一丁づつ小銃を受け取る。
徳 島「川瀬伍長は松尾伍長の背嚢その他を持つのだ」
川瀬が手伝い松尾が背嚢を外し始める。
先頭の案内役の佐藤一等卒、立ち止まったまま湖を見ている。
身を切る風、荒れ狂う海の中にでもいるような波の音。
――その黒い異様な水の動きが緩慢になり、ゆるやかになり、やがては小
さなうねりさえない、分厚くて際限も無い広い水の板になる。ブルーがすこし
かかったエメラルド――山々は爽やかな緑え、無心に小鳥が鳴く、美しい五
月の十和田湖。だが、それは一瞬で、十和田湖は現実の厳しい厳寒期の異
様な湖になる。追憶は甘く、現実はいつも厳しい。
松尾伍長の背嚢その他はもう全部瀬川伍長に移っている。
徳島の合図で、徳島隊は再び湖畔の道を黙々と歩き出す。
717 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/16(火) 06:36:03 ID:Mvp9oe7i
65 八甲田――小峠
神田隊到着し、小休止で昼食にしている。
長谷部、竹の皮包みから握り飯を手に妙な顔、コチコチに凍って喰えないの
で、チラッと隣の江藤伍長を見る。風呂敷、油紙、さらに新聞紙、その中に竹
の皮、それを開いて握り飯を取り出し、江藤がうまそうに喰い出す。
江 藤「(長谷部の様子に)竹の皮のまま雑嚢じゃ凍ってしまう・・・さ、喰え」
同じ現象が下士卒の至るところで起きている。
剣を抜いて無理やりに割ってみるが中までコチコチだ。
「こんなものが喰えるか!」
腹立ちまぎれに放り投げ、他の連中も持て余し捨ててしまう者が多くなる。
× ×
神田、指揮班へ五人の小隊長を集め鋭く指示している。
神 田「握り飯を捨てている者があるが、直ちに拾わせろ!捨ててはならん!焚き火をした際
に焼いて喰うのだ!」
× ×
江藤伍長以外にもう一人握り飯をうまそうに喰っている者がいる。二小隊の
村山伍長で、周囲には物珍しげな下士卒。
渡辺伍長「油紙や風呂敷に包むだけじゃなく、体に巻きつける?」
村 山「そうしなきゃ凍ると、昨日の晩いったじゃないか」
渡 辺「しかし、たかが握り飯に・・・いっぺんぐらいは飯を抜いた方が酒がうまい。今夜は田代
で温泉につかり、一杯だからな、ハハハハ」
周囲の下士卒も笑い出すが、その中の平山一等卒が、
平 山「しかし、渡辺伍長殿、田代はどちらの方向でありますか。(手を上げ)向うは白いだけで
なにも見えないのでありますが?」
――なるほどこの一等卒のいう通りで小峠から先は白い飛雪の幕でなんに
も見えず、駒込川から吹き上げる風が少しづつだが遠雷のように強くなって
きている。
× ×
食事を終った神田と伊東が気難しい顔をしている。
指揮班の二人のやって来ている永野軍医。
永 野「いすれにしても行軍は中止、直ちに帰営すべきです」
神田、なにもいわない。
永 野「天候は明らかに急変に向かっている。自分は昨夜青森測候所を訪れ、ここ数日の天気を
訊き合わせたところ、優勢な低気圧が太平洋岸を北上している」
伊 東「低気圧が太平洋岸を?」
永 野「(頷き)もし昼頃に北西の風が強くなるようだと、天候の異変と考えていいということだ」
伊東、チラッと神田を見る。
神田は依然として考え込んだままなにもいわない。
永 野「(この様子に)自分は大隊本部付であり、直接の指揮官にこれ以上どうこう言えないので、
大隊長殿に直接意見具申します」
神田、ハッとして顔を上げ永野を見る。
718 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/16(火) 16:31:51 ID:Mvp9oe7i
66 十和田湖畔の徳島隊
気象調査で全員が停止している。
凄ましい風にまるで湧き返る十和田湖。
船 山「気温零下十七度!風は北西で約十五メートル!」
田 辺「さっきから急に気温が二度も下がり、風は五メートルも?」
船 山「これは本格的な大暴風雪の前兆ではないでしょうか」
徳 島「大暴風雪?」
思わずポツンといって北の空を見上げる。だが――十和田湖の空はただ
不気味な黒い雲だけで、八甲田はどこにも見えない。
67 八甲田――小峠
ちらつく雪の中で大隊本部を中心に会議が開かれている。
その進言を終りギュッと唇を固く結んでいる永野軍医。
全員はシーンとなり、各小隊長やその他がチラッと山田、神田を見るが、二人と
も厳しい顔でなにも言わない。
と、大隊本部の今西特務曹長が発言する。
今 西「永野軍医殿は風速と気温の低下を低気圧のようにいわれますが、ここは平地じゃなく山の
上だから、この程度の風は当り前だ」
永野、なにか言おうとするが、
進 藤「それに兵卒の服は木綿の小倉だと言われるが、彼らは我々と同じ羅紗の外套を一枚着用
し、その上予備をもう一枚持っている。」
今 西「第一、これぐらいの天候で中止なら、八甲田踏破の雪中行軍などは、なんのために準備を
し計画したのか、その意味がなくなる」
進 藤「これ以上の行軍が不可能などとは思えない。いや、もし困難に遭遇してもそれを可能にす
るのが、我々の任務である」
永野軍医が反発して激しくなにかいいかける。
だが、神田は永野の声を、いや、厳しく眼の前を見つめたままもう誰の声も聞いて
いない。
――その脳裏にはどこかの山野を『雪の進軍』で進んでいる徳島を先頭の三十一
連隊の行軍隊。津村、児島二人の連隊長の声までが重なる。
(一月か二月の初めに)(そう、八甲田のどこかで・・・)
だが、現実の鋭い声に、その幻想が一気に引き戻される。
719 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/16(火) 16:32:57 ID:Mvp9oe7i
山 口「前進ッ!!」
ハッとして山田を見る神田。
一同も吃驚したように山田を見ている。
山 口「雪中行軍隊は予定通り田代に向け出発する!!」
各小隊長その他が一斉に神田を見る。
だが、神田はギュッと唇を噛みしめたままなにも言わない。
山田、雪の中で決定を待ち兼ねている行軍隊を見廻し、響き渡る大きな号令で
直接命令する。
山 口「出発――ッ!各小隊ごとに、出発用意――ッ!!」
× ×
あわてて橇の引き綱を手にしている輸送隊員。
A 「(ブツブツ)大隊長が指揮官に?」
B 「いや、田茂木野でもなにか命令を出したらしいよ」
C 「どっちだっていいじゃないか、俺達に関係ない(ガタガタ震えながら)こっちは早く田代へ着
いて、とっぷりと温泉につかり・・・」
× ×
出発準備の大隊本部で沖津大尉と倉田大尉。
沖 津「行軍を中止すべきだと思えば、神田大尉はハッキリ主張するよ」
倉田、なにも言わない。
沖 津「それを言わないのは、進軍のつもりなのだ。大隊長は神田大尉がもし中止をと先回りだろ
うが、それは出過ぎたことで、これからは、何から何まで全部大隊が責任を」
だが、倉田はなにも言わない。
× ×
それぞれの小隊で取り始めている点呼の中を、先頭へ帰る神田、少し離れて続
く伊東と藤村。
井 東「やりにくい事になったなぁ」
藤 村「いや、中隊長殿はもともと進軍の腹ですよ」
伊 東「いや、進軍はいいよ。しかし、大隊長がああだとこれからは」
藤 村「その点はちょっと気になりますが、中隊長殿は人の出来たお方です。大隊長は大隊長殿で
立てながらも、この雪中行軍は成功させる、なんとしてでも・・・そんな強い御決心のようで
す」
× ×
先頭へ帰った神田へ、野口見習士官が報告している。
野 口「雪中行軍隊百九十六名、大隊本部十四名・・・二百十名、出発用意終りました!」
神田、頷き、行軍隊の最後尾まで見通す。
その眉宇には考えられないほどの強い決意の色。
神 田「各小隊ごとに、出発――ッ!!」
伊 東「第一小隊、前へ・・・進め――ッ!!」
神田、伊東小隊と動き出し、小峠から先の白い地吹雪の中へ突入していく。
720 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/16(火) 16:42:00 ID:Mvp9oe7i
ここで、休憩を頂いて、709さんにご紹介いただいた「あおもりシネマパラダイス」の中から
高倉健さんの寄稿を転記致します。
「八甲田山」への出演依頼があった時のことは、とても鮮明に覚えています。青山墓地の
近くにある「ウエスト」という喫茶店で、橋本プロの橋本忍さんにお会いしました。「どうして
徳島大尉が、僕なんですか」と尋ねたら、「砂の器」の蒲田での深夜ロケの時に、「そろそ
ろ『八甲田山』の配役を決めなければいけない」と言って、何人かの候補の方の名前を書
いた名札をテーブルの上に出したら、森谷監督がみんなの名札を次々に裏返しにしていっ
て、最後に僕のだけが残ったそうです。
「徳島大尉は彼しかありません」
この一言でご一緒しよう、と瞬時に思いました。しんどい仕事だとかは、ずっと後で考えた
ことです。その時は、自分に飛んできた白矢の矢の決まりように感動してそう思ったんで
す。実はその時点では「八甲田山」の原作をまだ読んでおりませんでしたが――。
その当時は、東映で年に十本とか十五本の作品をやることを何年も続けていた時期で、
一つの作品にかかりっ切りでやってみたい、という想いも強くありました。どうしてこの厳し
い仕事をあえて引き受けたか、と問われてもよく分らないのですが、やっぱりその時、どれ
だけ自分がその役に望まれているか、自分に対する望まれ方の問題だと思っています。
自分が仕事を決めるとき、そういう決め方が多いです。
721 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/16(火) 16:43:13 ID:Mvp9oe7i
大体ロケ中は、朝四時半くらいに起き、装備をつけて、六時には旅館の前での点呼が始
まってました。殆どの昼食、夕食、どうかすると夜食の三食とも雪の中で、腰まで埋まりな
がら食べることもありました。カレーライスのご飯が凍って、シャリシャリ音を立てていたこと
も記憶しています。壮絶なロケーションでした。
欣也君の遺影に向かった時のラストシーンは、ロケセットで撮影したんですが、しんしんと
雪が降り、テント造りの死体安置所の護衛兵士、奥さん役の栗原小巻さんの気迫、この
シーンを撮ろうとするスタッフの気≠フようなものを深く深く自分の心に感じ、自然にそう
いうふう(編注・・・健サンはこのシーンで本当に涙を流していた)になりました。
この映画は、自分が長年育てていただいた東映から出ての作品でもありましたし、森谷司
郎という類い稀な硬質の監督との出会い、毎日毎日、積雪四、五メートルの中を雪中行軍
していくという、あれはまさしくドキュメンタリーのような撮影でした。暴動が起きてもおかしく
ない、演習中の自衛隊の人や、地元の営林署の人たちもあきれるほどの厳しい条件の中
で、皆の気持が一つになればああした撮影のできる、皆の気持が一つになる、ということの
強さを教わったような気がします。
「続・網走番外地」では港、「海峡」は竜飛崎でロケしましたが、青森はやはり「八甲田山」
の時のしんしんと降り積もる湿気を含んだ重い雪、暗いイメージ・・・僕にとっては「切ない」
です。青森の人たちには、忍耐強く、それでいて弾けるような「ねぶた祭り」のエネルギー
に象徴される、燃えるような想いを内に秘めている―そんな印象があります。
また、仕事でお世話になることもあると思います。どうぞよろしくお願いします。(完)
722 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/17(水) 05:49:40 ID:JE+3iI3z
68 小峠から――大峠
神田、飛雪の中を地図と磁石を頼りに進んでいる。
時折風が一呼吸し、遠方も見えるが、直ぐまたなにも見えなくなる。斥候を出し、
その地形偵察と報告で進む。時には先行者を出し、それが目標だ。
だが先行のカンジキ隊はふわふわした新雪に膝あたりまでもぐり込み、踏み固
めがかなり困難になっている。
後方の橇隊は傾斜が急になり、橇が深い雪へもぐり込む。
しかし、輸送隊員が交代し、応援もつきなんとか頑張って進む。
69 大峠
神田以下の指揮班、息を飲み立ち止まっている。
これまでとは風景が一変し、前岳の裾野が広がり、眼も遥かな広漠たるその大平原。
タイトル
賽の川原
伊東、藤村、江藤以下が息をつめたまま神田を見る。
神 田「(決然と)これより賽の川原を一気に越え、按ノ木森、中ノ森を経て馬立場を目指す!」
と手を上げ振りおろし、自らその大雪原へ進み始める。
× ×
吹雪と地吹雪の中を大峠から賽の川原へ進んで行く神田隊。
しかし、橇隊の遅れが目立ち、隊列がちぎれかけている。
× ×
神田隊、賽の川原のまっただ中を進んでいる。
荒涼とした海のような大雪原を白煙のように走る地吹雪。その中から神田隊が現れ、
見えなくなり、また現れる。
後尾の橇隊は完全にちぎれてしまい、隊列はおそろしく長くなっている。
× ×
神田、大隊本部で山田に進言している。
山 口「橇を放棄する?!」
神 田「荷物は各小隊に割り当て、人の背による運搬に変更します」
山 口「いや、今は難渋だが、積雪の状況その他で楽になる可能性もある!」
神 田「いや、このままでは橇隊の遅れで、中隊の動きが!」
山 口「(断固として)橇隊の放棄はいよいよ駄目な場合だ!」
文章で読むとますます山田少佐の固陋ぶりが際だつ感じ。
「いよいよ駄目」になって放棄しても遅いっての。
724 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/17(水) 14:39:07 ID:JE+3iI3z
70 十和田湖畔の徳島隊
徳島以下二十八名、ただ黙々と歩いている。
風に吹雪がまじり一段と凄まじい咆哮のその大きな湖。
71 八甲田――馬立場
賽の川原から按ノ木森、さらに中ノ森を越え、神田隊が到着している。
馬立場は小高い山で、風も雪も収まり頂上が白く氷のように光っている。
そのくぼ地でホッとしている休息の隊員達。永野軍医と看護卒が凍傷者、負傷者を
訊いて廻っているが、該当者は一人もいない。
神田、指揮班で中橋と鈴森少尉に命令している。
神 田「そうだ軽装だ、銃と背嚢はこの場に置き橇隊の応援に行け!」
× ×
大隊本部の山田以下、流石にホッとしている。
その前を軽装で後方の橇隊応援に向かう中橋、鈴森少尉。
沖 津「神田もやるな、小峠からあの吹雪の中を迷うことなく七キロか」
だが、傍の倉田はなにも言わない。
進 藤「(山田に)自分は夏場に一、二度行きましたのでよく覚えておりますが、この馬立場からはもう
二キロで田代です」
山 口「二キロか、もう一息だな」
× ×
神田の前に立っている藤村曹長以下十五名。
藤 村「部隊設営のため、藤村曹長以下十五名田代へ先発致します」
神 田「到着と同時に喇叭の吹奏だ」
藤 村「はい、もし天候が悪化し、喇叭では連絡不可能の場合には、直ちに伝令を本隊へ帰
らせます」
神田が期待を込めて頷き、藤村以下が出発し始める。
× ×
画面一杯の赤い花の群生。
その赤の大群生が際限もなく広がる。
田代平平原のそのつつじ、つつじ、つつじ。
× ×
第二小隊の村山伍長と下士卒。
平山一等卒「で、村山伍長殿、それは昨年の六月で?」
村 山「ああ、綺麗を通り越し、なんだか夢の中にでもいるような・・・しかし、今日は白い雪ば
かりだ」
渡辺伍長「その代わり酒と温泉だ、一人二合は間違いない」
平 山「渡辺伍長殿、今日は特別で一人当て三合だと」
村 山「俺はそんなものより、やはりあの赤いつつじのほうが・・・」
だが村山は急に言葉を切り空を見上げる。他の連中も慌てて見上げるが、
悪いながらも小康状態の天候に変わりはない。
だが、村山は殆ど本能的な素早さで頭巾をかぶる。
725 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/17(水) 20:19:20 ID:JE+3iI3z
72 馬立場から――鳴沢
田代に向けて先発している藤村隊。
その村山以下が立ち止まっている。
鈍い風の音、いや、山々が遠くから鳴り始める。
降り始めている雪が急に多くなり、風が一段と強くなる。
藤村「頭巾をかぶれ!急げ!嵐が来る!!」
73 馬立場
猛烈な風と吹雪、地吹雪がやって来ている。
山々が一斉に咆え、飛雪に眼も開けておれない。
八甲田山系の真ン中だから、風は方向が乱れ、突風が至るところで渦を巻
き咆え立てる。
余りにも急激なその天候の変化に、擬然と声もない中隊指揮所、大隊本部、
以下の小隊。
74 十和田湖畔の徳島隊
――やっと民家の点在する宇樽部へ入って行く。
吹雪と風に荒れ狂う形容も出来ないその十和田湖。
75 馬立場
遅れていた橇隊も到着し、少し暗くなりかけている。
風は遠のいたが駒込川の谷底で不気味な音をたて、雪は休みなく続き、大
隊本部ジリジリしている。
山 口「設営隊からの連絡はなだないのだな」
今 西「はい、まだのようです」
× ×
中隊指揮班もジリジリしている。
江藤と長谷部が雪を避けるため広げている予備の外套。
その下に広げられた乳図が小型提灯に浮かびあがり、神田以下が緊迫した
顔で覗き込んでいる。
伊 東「進路偵察・・・将校斥候の強力な先導部隊を出す」
小 野「(頷き)そうすれば、田代から藤村曹長の出している伝令に途中で逢うかもしれない」
中 橋「中隊長殿、朝からの行動で下士卒は疲れている、一刻も早く田代に着き」
神 田「しかし、雪明りとはいえ夜の道であり、その上この鳴沢は地形が複雑で、一度峡谷へは
まり込んだらその脱出が・・・いや、この先導には自分が立つ」
江 藤「(広げた外套を手にしたまま)大隊長殿であります!」
山田がやってくる。
山 口「神田大尉!」
神田以下、山田を見る。
山 口「将校偵察として、直ちに田代へ先行せよ!」
神田以下、シーンとなる。
山田、明確に厳然ときっぱり言い渡す。
山 口「雪中行軍隊の本隊は自分が直接指揮をし、その後に続く!!」
降っている夕闇の雪の中でシーンとなったままの中隊指揮班。
間歇的な谷底からの風が、不気味な波のうねりのように強くなり始める。
726 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/17(水) 20:22:22 ID:JE+3iI3z
76 馬立場から――鳴沢
風が強く雪も激しくなっている。
神田、江藤、長谷部ら五名の進路偵察隊が進んでいる。
だが、雪のもぐり込みは足の膝の上まで達する。
神田の顔は鋭く引き締まり、その雪を蹴散らかすように歩き、江藤以下は
ともすれば遅れかちになる。
神 田「(中隊、雪中行軍隊の指揮権はいったい誰に!いや、それはもういい!田代への道は自分が、
この自分が開くのだ!!」
× ×
後続の山田指揮の本隊。
小野小隊が先頭だが、神田隊とはすでに離れてしまっている。
積雪が深くカンジキは役に立たず、そのうえ風と吹雪の夜の道で、ただ前
の者を頼りに、声を掛け合い一歩一歩進む。
× ×
後方輸送隊の八台の橇は悪戦苦闘を越えもう絶望的だ。
伊東小隊の応援で、四人が綱を引き、三、四人が積載荷物を押すが、すぐ
深い雪にはまりこみ、立ち往生で、前の隊列などはどこにいるのか見当も
つかない。
と、最後尾の橇で交代のため荷物から手を放し、腰を浮かした高橋伍長が
妙な顔をする。
高 橋「小隊長殿、こ、この橇がドンジリの筈だのに?(と指差す)」
伊東、見ると雪の木立の中を黒々とした一隊がやってくる。
しかし、それは自分達の進んで来た方向ではなく、明らかに違う小丘の連
なりからだ。
伊東、一瞬ゾクッとするが、次ぎの瞬間夢中で走り出す。
× ×
息を切らし泳ぐように走り続ける伊東。
と、声もなく押し黙り黒々と近づいてくる一隊の先頭の一人、続いて全員が
伊東を認め、やにわにこちらに走り出してくる。
伊東、ぜいぜい火のような呼吸で立ちどまり、確かめる。
伊 東「藤村!!藤村曹長ではないか?!」
藤 村「小隊長殿?!」
三時間以上も前に出発し、とっくに田代へ着いているはずのその藤村曹長、
以下十五名。
727 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/17(水) 20:23:00 ID:JE+3iI3z
藤 村「小隊長殿、申し訳ありません・・・暗くなって道に迷い・・・いや、風の乱れで方向がま
るきりつかめず、どうしても・・・田代への道が分りません」
× ×
停止している大隊本部、一同は声もない。
その厳しい顔付の山田の前に伊東と藤村。
山 口「(やがて一、二度頷き)設営隊は発見出来なかったにしても、神田大尉、それに続く小
野中尉と、進路偵察がすでに道を開いている。本隊はこれより直ちに!」
沖 津「しかし大隊長殿、このまま、現状では橇隊が?」
永 野「(きっぱり)これ以上の橇隊の進行はもう不可能であります!」
山 口「やむを得ん!橇は放棄する!」
一同が山田を見る。
山 口「積載の荷物は輸送隊員の背中に負わせるのだ!!」
× ×
雪の中から鞘だけの樹林に散らばっている橇。
吹雪と地吹雪か放棄されたその八台を無心に埋めている。
× ×
山田指揮の本隊、進んでいる。
しかし、一歩一歩が容易じゃない。
橇は放棄したが輸送隊員は、食料、燃料の木炭、炊事用の大釜、円匙など
を背負わされ、前よりも大変だ。
地形は小丘を下ったかと思えば上がりになりまた下りになる。
× ×
二列の隊列が前の小丘から後方、さらに後方の小丘へと見え隠れに延びた
まま停止している。
先導から帰り、小野中尉が大隊本部で報告している。
山 口「なに!断崖がある?!」
小 野「はい、進路には断崖が横切り、積雪も深く、これ以上の前進は困難であります。然るべ
き場所を捜して露営を行い、夜明けを待ち、進路を捜すべきだと思います」
山田以下、見廻すが然るべき場所などある筈がない。
大隊本部以下、本隊は動きがつかず、風と雪の鳴沢で――全く立ち往生して
しまう。
山田、思わず唸るように語気が強くなる。
神 田「神田は、神田大尉はいったいどうしているのだ!」
728 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/18(木) 06:45:47 ID:3NIWsnlF
77 十和田湖畔・宇樽部
徳島、民家に分宿で、焚き火の炎をじっと見つめている。
しかし、粗末な開拓民家で寝る場所も寝具もなく、土間に丸太を並べ筵を敷き、
田辺、高畑らと焚き火で夜を過ごしている。
戸外では夜になっても収まらず荒れ狂っている十和田湖の音。
× ×
違う一軒の六、七名。
従軍記者の西海、黙々と原稿を書いている。
ラッパを磨く加賀一等卒、銃の手入れの斉藤伍長。
加 賀「しかし斉藤伍長殿、今日当たり出発していたらえらいことに」
× ×
だが斉藤はなにもいわず焚き火の炎へ眼をやる。
従軍記者の西海がチラッと顔を上げて訊く。
西 海「斉藤さん、五連隊の出発はやはり今日だと?」
斉 藤「いや、それは分らないが・・・今日あたりじゃないと、八甲田ではすれ違えないのです」
家が風にきしみ、雨戸や板壁の隙間から粉雪が飛び込み、凶暴なまでに荒
れ狂っているその十和田湖。
78 八甲田――鳴沢
風も吹雪も遠のき嘘のような不思議な静寂が訪れている。
ブナの大木がところどころにある平沢の森の平地で、雪が円匙で切とられ、
各小隊ごとの雪濠が並んでいる。
× ×
第二小隊の雪濠。
配給の炭が赤くなり、下士卒が交替で暖をとり、餅を焼いて喰っている。
その中の村山や渡辺、平山一等卒。
平 山「温泉に入って一杯が、こんなことか」
村 山「贅沢いうな、大隊本部は立ち往生、それを神田大尉殿がわざわざ露営地を捜し、伝令
で導いてもらったからだぞ」
× ×
大隊本部の雪濠。
ここは炊事班兼用で大きな平釜が炭火のうえに据えられ飯を焚いているが、
炭火の熱で周囲の雪が溶けて釜が傾き、炊事掛かりも大苦労だ。雪濠の上
から声。
「第四小隊でありますが、飯上げはまだでありますか!」
炊事係A「そうせっつくな、こっちも苦労しているんだ」
炊事係B「それに飯は上がっても第一小隊からだぞ!」
第三小隊の雪濠。
暖をとる順番だが輸送隊員の中には疲れきり動こうとしない者もいる。
小野のところへやって来ている伊東。
小 野「神田大尉殿を元通りに?」
伊 東「そうでもしないと、大隊本部のやりかたはどうも疑問が」
小 野「しかし今更そうはいかんよ」
伊 東「しかし小野中尉、このままだと?」
小 野「いや、(明るい微笑)雪中行軍は成功する、大隊本部はともかく、それを実施する中隊
長に神田中尉がおられる」
× ×
第一小隊の雪濠。
飯上げでやっと全員に一食分の飯と牛缶が一個づつ。
だが、長谷部はその半熟飯と牛缶を神田に勧められない。
神田、小型提灯に照らした地図に見入り、さっき長谷部が焼いた餅さえのま
まだ。
神 田「(口の中で呟く)二キロ・・・田代まではたったの二キロ・・・その二キロの道が・・・雪と
はいったいなになのだろう」
>炭火の熱で周囲の雪が溶けて釜が傾き、炊事掛かりも大苦労だ。
これさあ、原作通りだけど映画ではよくわからなかったな。
730 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/18(木) 20:12:22 ID:3NIWsnlF
うん、説明が多いが、状況が良く分ってありがたいね。
731 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/18(木) 20:14:17 ID:3NIWsnlF
79 十和田湖畔・宇樽部の民家の――徳島達
十和田湖の周辺は暴風雪がさらに激しくなっている。
家は今にも倒れそうに揺れ動き、山が鳴り湖水が咆哮する。
徳島、時計を見る、十一時五十八分。
徳 島「(ポツンと)この嵐の中へ出たら・・・一時間とは生きておれないだろうな」
田 辺「いや、三十分も難しいでしょう」
高 畑「中隊長殿、五連隊の出発は、今日は間違いないと推察されますが」
徳島、頷くがなにもいわずに焚き火に手をかざし炎をじっと見つめる。
戸外では山々の鳴動がさらに強くなり、十和田湖がまるでこの世の終りの
ように咆哮し始める。
80 八甲田――鳴沢・平沢の森(一月二十四日)
天候が急変し凄い風が吹きまくっている。
飛雪と吹雪が壕の上を咆哮し、まるで雪崩のように通り過ぎる。
× ×
大隊本部。中隊指揮班、各小隊の雪濠。
頭上を通り過ぎる雪崩に誰も顔色がない。
こんな大暴風雪は想像すら出来ない。
その上に――骨まで凍る寒さ、いや、その寒さを感じる余裕もなく、ただ体
をじっと寄せ合い息をつめている。
その全く気の遠くなるような風と雪の襲来。
× ×
一面に流れる早い白煙が次第に遅くなり、六つの雪濠が見えたり、隠れた
りしながら、はっきりしてくる。
――暴風雪、まるで嘘のように平沢の森から遠去かり始める。
× ×
大隊本部の雪濠。
潮騒のように尾を引いて風が遠のき、辺りも雪濠の中も静かになる。
シーンと不気味なまでに静まり返ったまま全く物音一つしない。
と、山田がスクッと顔を上げる。
山 口「中隊長、神田大尉!神田を呼べ」
やって来た神田大尉の全身が硬直したようになっている。
壕の中から立ち上がり、その神田を見上げている山田。
山 口「雪中行軍は中止し、直ちに帰営するのだ!」
神田、強い衝撃にまだ何も言えない。
山 口「田代への道が発見出来ない以上、仕方がないではないか!」
神 田「いや、大隊長殿、それは夜が明けるのを待ち」
山 口「さっきのような嵐が来たらどうする!」
神 田「(ギュッと唇を噛み)大隊長殿!帰営は・・・帰営は万やむを得ない場合のことで、夜が
明けるのを待ち!」
山 口「(断固として)このままここにじっとしていたら、おそらく夜明けまでに全員が凍傷で動け
なくなる!帰営だ!神田大尉、直ちに出発ッ!!」
× ×
雪濠と雪濠の間を神田が指揮班へ帰っている。
鋭くいかついまでに引き締まったその厳しい顔付。
神 田「馬立場・・・馬立場に着く頃には夜が明ける。夜が明け天候さえ回復すれば、その時に
は、その時にはなんとしてでも、再び田代へ!」
× ×
各小隊が雪濠を出て整列し点呼を取り始めている。
神田、指揮班で地図を提灯に照らし、伊東、藤村以下に進路を告げている。
732 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/18(木) 20:15:07 ID:3NIWsnlF
神 田「こう進めば鳴沢のこの峡谷に突き当る・・・それをこう迂回し、この斜面を上がり、馬立
場を目指す」
伊東以下が頷きそれぞれ所定の位置につき始める。
野口見習士官が神田へ。
野 口「雪中行軍隊百九十六名、本隊本部十四名・・・」
と報告を始めたときであった。
ギャッ!!と獣のような絶叫が上がり、一人の兵卒が背負っている木炭を
落とし、外套を脱ぎ、軍服の上着を脱いで走り出し、アッという間に雪の中
へ飛び込んでしまう。
思いがけない出来事に、中隊指揮班、大隊本部、行軍隊の全員が疑然と
なってしまう。
× ×
永野軍医の診断と看護卒の記録。
傍には暗然とした神田以下と兵卒の小隊長の小野中尉。
永 野「・・・襦袢が汗に濡れ、小倉の服ににじんでいた・・・雪濠を出た途端、寒さのため、そ
れらが一瞬バリッと氷になり、それに依る・・・凍死である」
永野の手に触れバリバリ音を立てる軍服と襦袢、そして一瞬のその凍結死
体。
× ×
神田を先頭に、行軍隊が平沢の森を出て動き出している。
だが隊員の表情には暗澹たるものが浮かび足取りが重い。
炊事用のおおきな平釜を背負っていた輸送隊員が倒れ、次ぎの二等卒が
交替する。だが直ぐまた倒れ、また交替になる。
困難に直面しても、これまではそれを乗り越える気力や組織力の支えがあ
ったが――なにかそれが急に失われたともいえる。
と、その隊列の中ほどから「先頭停止」の声が前に送られ、隊列が停止始
める。
× ×
停止している大隊本部で、進藤特務曹長が右の疎林の大きなブナを指差し
ている。
山 口「なに、田代へ!田代へ行く道が分った?!」
進 藤「はい、あのブナは田代温泉へ行く右側だったと!」
山 口「間違いないか確かめてみろ!」
進藤に続き、いまにしも小型提灯を手にブナの傍へ行き光を当てて見る。
積雪で幹は埋まり雪の中から枝が出ている。
その直径二十センチほどの枝、一本は十五センチ程度が鋸で切り落とされ
ている。
進 藤「大隊長殿!枝が二本切り落してあります」
山 口「人の手が加えられているのだな?!」
と自ら深い雪の中を近づいて見る。
小型提灯に照らし出されるそのブナの枝の切り跡。
山 口「よし、予定を変更し、田代へ向かう!お前が案内しろ!(振り返り)神田大尉!神田大
尉!」
そのブナのところへ神田が半信半疑でやってくる。
山 口「田代へ行く道が分った、進藤特務曹長が知っているのだ!」
神 田「しかし、大隊長殿?(といいかけるが、進藤へ)進藤特務曹長、田代への方向はどちら
なのだ」
進 藤「このブナが右側だったから、(手を上げ)こちらであります!」
神 田「しかし、地図の上での判断では?」
山 口「神田大尉、お前はこれが見えないのか、明らかに田代への目印なのだ!これより進藤
特務曹長を先導とし、雪中行軍隊は田代へ向かう!」
神田、ほとんど直立してしまう。
山 口「連隊までは二十キロだが、田代までなら僅か二キロ・・・田代への道を発見したことを告
げれば、必ず兵も元気を出して歩く。進藤特務曹長!直ちに行軍隊の先頭に立て――
ッ!!」
これってアホを描いた映画だっけ
734 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/19(金) 06:40:25 ID:t5E8XgkM
81 十和田湖(朝)
朝になったが暴風雪は全然おさまらない。
× ×
徳島達が昨夜を過ごした開拓農家。
滝口伝蔵(65)が息子の嫁の滝口さわ(21)を連れて来ている。
徳 島「戸来村からこの宇樽部へ嫁に来た。だから実家に帰るために往復し、道は良く知っている
のだな」
伝 蔵「へえ、その通りでございます」
さわはただ頭を下げる。
徳 島「我々の今日の行程は中里までだが、途中には犬吠峠という難所がある。雪のある一月に
この峠を越えた事があるか」
伝 蔵「へえ、確か一度か二度・・・そうだな、さわ」
さわ、頷きペコンと頭を下げる。
伝 蔵「しかし、大将様、この通りの天気だし・・・さわがこれじゃダメだ、峠は越せないといったら、
そのときにはさわを叱らずに引き返して下さい」
徳島、流石にちょっと言葉につまる。
伝 蔵「銀山に働きに行っている倅の大事な嫁で、やっと誕生を迎えたばかりの子供もいる。どう
か大将様・・・(両手を突き)これだけはくれぐれも私からお願い致します」
82 八甲田――鳴沢
進藤特務曹長の先導で神田隊が進んでいる。
夜は明けているが、小屋やみもしない雪で辺りは薄暗い。
隊員は銃を背負い、両手を外套のポケットに入れたり、もみ合わせたりするが、
感覚が戻らない。
疲労と寒さで落伍者が出る。銃や背嚢は同じ分隊の者が持つので、さらに落伍
者が増え、隊列は際限なく延び始める。
先導の進藤は、なにか自信を失いかけている。
× ×
台地状から下りになり、それが続いていたが、さらに傾斜が急になる。
× ×
神田が息を飲み、先導の進藤も立ち止まる。
急な斜面を降り切った隊列のその先頭。
――そこは谷底で、駒込川が流れ、川の向こうの断崖ではそそり立つ氷柱が
まるで氷の絶壁のようにそびえている。
茫然とし顔が歪んでしまっている進藤特務曹長。
その進藤、背後の神田達から逃げ出すように、急にそそくさと流れに沿い左の
ほうへ歩き出す。
神 田「進藤!進藤特務曹長!」
と慌てて後を追い始める。
――隊列の停止で斜面からこの有様を見おろしている山田以下の大隊本部、
なにか背筋がゾクッとし慄然となっている。
735 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/19(金) 06:41:25 ID:t5E8XgkM
83 駒込川の谷底
右は川、進むその左の道の行方は絶壁で、全く身動きがつかなくなり、立ち止
まってしまっている神田隊。
× ×
山田を中心に地図を開き会議が行われている。
しかし、山田は進藤特務曹長先導が招いたこの事態に責任を感じたのか、一
言も発しない。
懐炉で温めていた磁石を取り出し神田が地図の上に置く。
地図の上の山田の磁石は寒さのため全然動かない。
神 田「やはり我が隊のいるのはここら辺りかと思われます。ここから脱出するには、この駒込川
の支流に沿って西に進み・・・この付近で方向を変え、馬立場へ進む以外に方法がないと
思われます」
一同、チラッと山田を見る。
だが、山田は依然として厳しい顔付で一言も発しない。
と、大隊本部の倉田大尉が発言する。
倉 田「馬立場へ進むことは帰営を意味する」
神田がハッとし、一同も吃驚して倉田を見る。
倉田の発言は連隊出発以来この時が初めてである。
倉 田「しかし、田代への道は発見出来るかどうか分らず、その強行には多くの犠牲者が出る可能
性もあり、そんな行軍は成功しても意味がない・・・即刻帰営すべきである」
一同シーンとなってなにもいわない。
倉 田「神田大尉のいう通り、駒込川の支流に沿って西へ進み、馬立場を目指すのがいいでしょう。
自分は神田大尉とともに、先頭に・・・いや、大隊長殿も一緒にその先頭に立って頂く」
84 十和田湖畔の徳島隊
もんぺで雪沓を履き、みのぽっちをつけた滝口さわ。
そのさわを先頭に宇樽部を出発して進んでいる。
足を捻挫の松尾伍長は大きな負担で会添えが交替し、銃や装備を持ってやる
者も交替する。
白く湧き立つ異様な十和田湖が背後に見えなくなり、山と山との沢沿いの道に
入り始める。
85 八甲田――駒込川の支流の谷底
神田とともに倉田、山田が隊の先頭になっている。
もし中隊指揮班も大隊本部もない。首脳部の動向は敏感に影響し行軍隊全員
が気を取り直し。河床の雪の上を歩いている。
だが先頭の神田、心の片隅をチラッと侘しい声がよぎる。
(申し訳ない、徳島大尉・・・我々は連隊へ帰営する。これでもう八甲田ではあなたに
は逢えないのだ)
× ×
神田隊、進んで行くが行き止まりになる
川床が狭くなりこのままでは川へ入らなければいけない。
行途には切り立った断崖が多い覆いかぶさり迫っている。
右は川、正面は氷柱の断崖の絶壁、左もかなりの急斜面だ。
三人、左の斜面を見上げる。
神田と倉田が顔を見合わし山田を見る。
山 口「やむを得ん、登ろう!
神 田「(振り返り)中隊はこれよりこの斜面を登る、進めッ!!」
神田、倉田に続いて山田が急斜面に挑み始める。
原作では
>>732 のとき、山田少佐が
「まさか一人の凍死者が出たくらいで出発を止めるなどと云わないだろうな」
すかさず神田大尉に釘を刺すんだよね。
このあたりが善玉悪玉の分け方エグすぎ、新田本のやりきれん処なんだけど
橋本はさすがに削ったなぁ・・と初見時感心した記憶がある。
737 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/19(金) 14:52:39 ID:rliWF0PS
このシナリオ転載を読むと、映画がどれだけ説明不足かよく分かる。
3時間もあるのに、切ったら意味が伝わらなくなる部分を切っているのか……。
全部を映像化したら何時間の映画になってたのだろう?
738 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/19(金) 16:50:27 ID:t5E8XgkM
86 徳島隊
犬吠峠の手前でさわが立ち止まり、手を上げている。
徳島以下は声もない。道は見えないが、さわの指先がくねって孤を描き、
さらに上がって、また上がり、峠の頂上に達する。
見上げる殆ど仰角一杯にまでそびえ折重なる山と山との稜線の僅かな
切れ目。
――ズシンと胸にひびく、途方のないその山越え。
さわがさっさと歩きだし、徳島と隊員達が慌てて続き始める。
87 八甲田――駒込川支流の急斜面
輸送隊に続き、斜面に取りつき始めている最後尾の中村小隊。
× ×
先頭の神田、倉田、山田らはブナの樹林に達している。
少し上がっては滑り落ちるが、もがき喘ぎ必死に上がり続ける。
続く斜面の隊員達、樹林の中だから風は弱く地吹雪も少ない。
だが、急な斜面だから滑り落ちる。中には慌てて樹木を?もうとするが凍
えた手が使えず、一気に下まで滑り落ち、打撲や骨折、裂傷を負う者。
隊列はなく神田隊はもう斜面にバラ撒かれたようになっている。
88 徳島隊
犬吠峠にかかり、さわを先頭に坂道を上がっている。
だが、吹きおろしの向かい風と地吹雪で顔が上げられない。
徳島以下、お互いが離れないように麻紐で体を縛り合って繋ぎ、さわを目
標に、喘ぎながら進んでいる。
89 八甲田――駒込川支流の急斜面
最先端で喘ぎもがき必死の神田、倉田、山田以下。
斜面の頂上はもうすぐそこだ。
気力と体力を振りしぼり、先ず神田が達する。
× ×
その鳴沢の台地。神田、這い上がって来たが顔をそむけてしまう。
続いて来た倉田、山田以下も顔をそむけたまま動かない。
まるで彼らを待ち構えていたような風と地吹雪、吹雪。
90 徳島隊
犬吠峠へ進んでいるが風と雪の狂乱でにじるような速度。
飛雪の白い渦がさわも隊員も飲み込んでしまう。
だが徳島以下はとにかく全員が一本の麻縄の鎖だ。
それに飛雪に見え隠れするが――その先頭にさわがいる。
739 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/19(金) 20:26:38 ID:t5E8XgkM
91 八甲田――鳴沢の台地
やっとのことで上がって来た輸送隊員二、三が倒れ、背負ってきた食料、
円匙、燃料などを急速に雪が埋めている。
風と地吹雪は少し遠のいたが雪は前より激しくなっている。
× ×
神田以下、ようやく隊を台地の窪地に導き入れている。
その窪地で朝とも昼ともつかぬ食事の隊員達。
第二小隊の村山伍長、立ったまま糒食を口へ入れ、凍傷で手の使えない
平山一等卒に口の中へ入れてやる。大部分の下士卒がこうした状況だ。
中には水筒の水が凍り喰ってはいけない雪を口にする者。
村 山「やめろ!雪は腹痛を起し、体温が下がり凍傷になる、やめるんだ!」
糒食を喰おうとするが手が使えない一人の兵卒。
手袋を歯で噛んで抜ぎ喰い出すが、体へもたせかけの銃が倒れかかるので
本能的に素手で?むが、「アッ!!」と手を離す。
銃身の鉄の部分にべったりくっついている皮膚。
兵卒の手のひら――拭き出した血が忽ち凍っていく。
一時遠のいていた風がまた不気味に轟き、地吹雪が白煙を上げ窪地へ襲い
掛かり始める。
× ×
永野軍医が本部で神田に示している気象報告の温度計。
神田、その目盛りに顔を硬張らせ山田に報告を始める。
タイトル
気温零下二十二度 風速三十メートル
体感温度――零下五十二度
92 徳島隊
犬吠峠を目指す徳島以下の風と雪の中の喘ぎ。
93 八甲田――鳴沢の台地
馬立場を目標に再び神田隊の行軍が始まっている。
風は怒濤のように轟くかと思えば、遠雷のように遠のき、雪もうすれるか
と見えると、また激しくなり風も強くなる。
神田隊、窪地に入り、風を避け、また斜面を上がる。
大地を進みまた窪地に入り、少しずつだが西へ進んで行く。
タイトル
馬立場は西だ!
とにかく西へ進まなければいけない!
しかし、隊員の多くはもう夢遊病者のようになり、ただ前の者に従って歩
く。その顔は凍傷で紫色に腫れ、眉毛や髭は白く凍った鋭い針だ。
平山一等卒、尿意をもよおしてもボタンを外せず、村山伍長にボタンを外
してもらう。ぼたんを外すことが出来ずに、尿を洩らした者はたちまちそれ
が凍り、急速に下腹が冷え、行進不能になり、雪の中へ崩れ落ちる。
寒さ、疲労、睡眠不足、隊列はもうなく前の者に従い、前が倒れれば、誘
われるように自分も雪の中へ倒れ込んでしまう
740 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/20(土) 05:22:23 ID:VLjaDhbA
94 徳島隊
峠が近く坂道は急になり、向かい風が一段と激しい。
隊員達は寒さや痛さを越え手足の感覚がもうない。
さわに続く徳島の怒鳴るような号令も、かぜが吹き飛ばして伝わらず、一
同は雪の中を泳ぎ、ただ這うように進む。
だが、徳島以下は麻縄の鎖だから、足を捻挫の松尾伍長が倒れそうになっ
ても倒れず、隊員はバラバラにならない。
さわは深い雪をふわりふわり踏み越えて行く。歩けそうもない風が来ると、
ひょいと雪の中へ身を伏せ、また歩き出す。まるで風のリズムに体全体を
合わせているような歩き方だ。徳島時々そのさわを見失い、
徳 島「(案内人!案内人!!」
と、必死に叫んでいる。
95 八甲田――鳴沢
複雑な地形を台地に出ては風に叩かれ、また窪地に入って進む神田隊。
詩化し、それはもう――雪の中の彷徨だ。
隊員達の眼には雪が黄色に、茶色に、赤になったりし始める。
吹雪、地吹雪が――真っ赤になってくる。
96 徳島隊
さわ――犬吠峠の頂上に立っている。
その顔が風の中でまるで童女のように輝いている。
徳島以下、やっと峠に達する。
さ わ「(ニコニコ)ここまで来たらもう大丈夫、弁当を食べましょう」
だが、数珠つなぎの徳島以下は疲れ切って声も出ない。
さ わ「あっち、あすこが風がないから、あすこにしましょう」
97 八甲田――鳴沢
雪は赤ではなくそれを越え黒になっている。
吹雪、地吹雪、積雪ともに――真っ黒だ。
落伍は輸送隊員から始まっていたが、食料や木炭、円匙を背負ったまま倒
れてしまう。一般隊員も同様だ。
雪の中へ座り込みゲラゲラ笑い出す者、奇声を発し、外套や軍服を脱ぎ裸
になる者、いきなり乱暴に暴れだし、雪の上を転がり廻り、その中へ頭を突
っ込んで動かなくなってしまう者。
× ×
その真ッ黒い雪が忽然と白一色の現実になる。
第三小隊長の小野中尉、遂に倒れてしまう。
兵 卒「小隊長殿、しっかりして下さい!小隊長殿!!」
× ×
神田、倉田、山田以下が立ち止まっている。
吹雪の中から切れぎれに悲痛な声。
「小隊長殿!小隊長殿!小野小隊長殿――ッ!!」
神田、続いて倉田が、やにわに後方へ走り出す。
× ×
雪の中に小野、いや、傍に兵卒も倒れてしまっている。
その兵卒は自分の外套を脱ぎ、小野に着せかけ、二人ともすでに絶命して
しまっている。
先にやって来た伊東、続きて息を切らして来た神田と倉田が二人の有様を
見る。
泣くにも泣けない神田、倉田、伊東のその悲痛な顔。
741 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/20(土) 06:47:19 ID:VLjaDhbA
98 徳島隊
峠で昼食を済ませ、羽井内に向いもうかなり下っている。
風、雪、地吹雪もすっかりおさまり、山も谷も以外に明るい。
高 畑「中隊長殿、案内人は最後尾に」
徳 島「いや、このままでいい」
99 羽井内部落
徳島隊、通過している。
戸外に出て日の丸の小旗を振っている村の人達。
さわを先頭に、加賀二等卒が喇叭を吹き鳴らし、続く徳島以下が通過して
行く。
× ×
その羽井内から中里へ進んでいる徳島隊。
山里にもう静かな黄昏が迫っている。
田 辺「中里で耐寒訓練を?」
徳 島「明日の三本木を出発したら、泊まれる民家など一軒もない、いよいよ八甲田だ。それ
までにどうしても夜間の耐寒訓練の必要がある」
田 辺「しかし中隊長殿、足を負傷の松尾伍長などもおりますし」
徳 島「松尾伍長だけは民家に宿泊させ、三本木から汽車で帰らせる」
田 辺「汽車で弘前へ?」
徳 島「(頷き)重荷になる者は一人といえども八甲田へは連れていけない」
× ×
徳島隊、さらに進んで立ち止まり、道端に整列している。
さわ、徳島と並んで隊員に向かい、ちょっと恥ずかしい。
徳 島「案内人の生家が戸来の鹿田なので、案内はここまでとする」
さ わ「(ますます顔が赤くなり)じゃ、兵隊さん、みんな元気で・・・」
といってペコンと頭を下げ枝道へ歩き出す。
徳 島「気をつけ!」
さわ、吃驚して立ち止まる。
徳 島「案内人殿に敬礼、頭ア―右――ッ!!」
さわ、慌ててドギマギ手を振りながらすたすた去って行く。
742 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/20(土) 06:48:26 ID:VLjaDhbA
100 八甲田――鳴沢
夕闇が濃くなったところどころにブナのある平坦地。
長谷部一等卒、こごえた手で寒さに震えながら、折った樹木の枝に火をつ
けるが燃えず、中には、剣を抜いて枝を細かく割き、同じ努力を続ける者
もいるが、生の木は炎になることを絶対拒否し、結局彼らは集団へ帰る。
神田隊、生き残りの各将校を中心に隊員が集団になり、体を押し付け合い、
足踏みで寒さをしのいでいる。
雪の上に腰をおろしても、立っていても寒く、ただこうしている以外に方法
がない。
しかし、寒さと疲労に――集団の外から悲痛な呻き声、叫び声を上げ、一
人、二人と雪の中へ倒れて行く。
101 中里部落の徳島隊(夜)
焚き火があかあかと燃え上がっている。
その炎で暖を取りながら村の人達が物珍しげに見ている。
徳島隊は三分隊に分かれ、徳島以外は将校も下士卒もなく、円匙で三つの
雪濠を掘っている。
夜ももう更けた部落の鎮守の森の斜面。
二、三の村人と話し合っていた一人の老人が焚火から離れ徳島に近づく。
老 人「隊長様、こんな寒い晩はめったと・・・いえ、この年になりますが、こんなにこたえる晩
はそれこそ始めてでございます」
徳島、頷く。
老 人「雪の中は暖ったかいといっても、寝ることはおろか、凍える兵隊さんも出てくる。村じゃ
泊まって頂く用意をしているのでございますから」
徳 島「御好意は有難いが、軍には軍の方針がある」
743 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/20(土) 06:52:24 ID:VLjaDhbA
「あおもりシネマパラダイス」の中から
北大路 欣也さんの寄稿を転記します。
「八甲田山」の出演が決まり、台本を頂いたのは真夏でした。日差しが厳しく暑い日だ
ったのですが、読んだ時には鳥肌が立つような興奮と感動を覚え、涙があふれ出てき
ました。スタッフ、キャストとも最高峰の方々ばかり。このような歴史に残る大作に巡り
合うことは、役者にとって大変な宝物。夢のような気持でした。
昭和五十年十二月、先に冬の八甲田で撮影に入ったのは、高倉健さんの徳島隊、健
さんは毎日のように「あの靴下はだめ」「チョコレートが要るぞ」などの情報をいっぱいく
れました。それが随分助かった。後々聞いたのですが、神田大尉役をだれにするかを
健さんと森谷監督、橋本先生の三人で話し合った時、健さんがイチ押しで私を推薦して
くれたとのこと。徳島大尉と神田大尉の精神的なつながりは、ドラマと現実がオーバー
ラップする形で、撮影の前から僕と健さんの中に膨れ上がっていたわけです。
神田隊の撮影は年明け後の五十一年一月から。私はその前の十二月二十四日、神田
大尉が死んでから徳島大尉と幻想の中で対面するシーンに臨みました。その時、まだ
浅い雪の中を歩いたのですが、少し歩くと息が上がってしまう。「先頭を歩く神田大尉が
雪中行軍できなければ、えらいことになる」という恐怖感にとらわれ、正月休みも返上し
て酸ヶ湯温泉に残り、田茂萢岳まで毎日往復四キロ、十日間くらい雪中行軍の訓練をし
ました。それでも、やはり雪山のシーンはつらかった。吹雪を待つ時は、新雪に足跡をつ
けないよう、三時間でも五時間でもじっと待つしかない。ただ、二百人もいますから、時
には隊列が乱れることもある。一方健さんの徳島隊は少数精鋭だから、スタッフから「健
さんの隊は微動だにしなかった」というニュース≠ェ入る。すると、「負けるな、頑張ろ
う」となるんです。まさしく物語そのものですよ。
いざ行軍が始まっても、二百人の隊列なので、先頭の僕たちが相当の距離を歩かない
と後列は出発できず、全員が行進する絵を撮れない。深い雪を歩くうちに、息が上がって
気持が悪くなるがNGになってしまうので止まれない。汚い話ですけど、僕らは吐きながら
歩きました。それぐらい苦しかったんです。「カット」の声がかかると、皆がそのまま倒れ込
んでしまう。昼の暖かい食事と、酸ヶ湯の宿に帰ったら温泉に入れるという、その二つだけ
が支えでした。
744 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/20(土) 06:53:22 ID:VLjaDhbA
この映画に出て、人間は自然が味方でない限り、一瞬たりとも生きられない、という思い
を強くしました。ほおの皮膚が凍傷でめくれた時の痛さ。雪の冷たさや、空の美しさ・・・僕
らは、それらのすべてを感じ取れる感性を、生まれながらにもらっている。それまでは何で
も自分の力だけで結果を得てきたような思い込みがあった。とういう我欲が洗い取られて、
本来の感性を取り戻したような気がします。三国(連太郎)さんの演じた山田少佐は、人間
を過信する、我欲の雄たるものですよね。一方徳島大尉は自然の神秘や驚異を身を持っ
て体験していて、謙虚ではあるが引く≠ニいう勇気がある。今の日本に「俺が俺が」じゃ
なく、冷静で勇敢な徳島大尉みたいな人間がたくさんいたら、バブル≠ネんて起きなか
ったんじゃないですか。それを思うと、「八甲田山」を今の人にまた、ぜひ見ていただきた
いと思っているんです。
当時、縁の下の力持ちで頑張ってくださった青森県の方々に、心からありがとうを言い
たいですね。毎年、八甲田の雪景色や、春にドライブウエーが開通する時のニュースを見
ては、あの日々を思い出しています。いつの日にかまた行きたいと願っています。(完)
745 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/20(土) 13:49:07 ID:tRusV4Sn
今更だけど欽也乙華麗
八甲田は冬の入り口かなそろそろ 北海道は雪降ったらしい。
さわって死神みたいだね
747 :
田代温泉 ひとり2合だな:2007/10/20(土) 23:27:13 ID:nDJ770hr
322 :ナナシマさん:2007/10/20(土) 22:06:07 ID:jNVI4PHS0
古城は悪くない。
空調係のミス。
ホリンズの打球は空調係さえしっかりしていれば、フェンス直撃かHRだった。
古城は当然それを予想していたので、突っ走った。
ウォン監督が呆然としていたのは古城の走塁ミスではなく、空調係のミスに対してである。
323 :ナナシマさん:2007/10/20(土) 22:37:22 ID:???0
CSがあること自体悪かった
したがって来年からは
巨人一位→CSなし
巨人二位もしくは三位→CS開催
巨人四位以下→全チーム含めてプレイオフ
748 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:29:21 ID:sYIIucHR
102 八甲田――鳴沢の露営地
風が不気味に唸り、また雪が降り始めている。
ただ一団になり、体を寄せ合って寒さと疲労、いや、生死の境目に立って
いる神田隊。
神田の傍の長谷部がふらっと倒れかかる。
神 田「長谷部!(と外套をつかんで引きずり起し)立て、立つのだ!」
長谷部、やっとのことせ体を元に戻し、
長谷部「三十一連隊の兄が、伍長から曹長に進級を致しました」
神 田「なに?」
長谷部「遭難している五連隊の中から、中隊長殿を助け出した、その手柄だそうであります」
神 田「長谷部、お前はなにを寝惚けているのだ!」
長谷部「で、自分はどうしたのかと訊くと、お前は冷た過ぎてどうにもならなかった。お前は死ん
でしまっていた・・・」
神 田「(怒鳴りつける)他人を頼ろうとするからそんな夢を見る!生きるか死ぬかは自分がしっ
かりしていることだぞ」
だが、長谷部は崩れるようにまたうずくまり始める。
神田、それを引きずり起し、平手で激しく頬を打ち、長谷部がやっと我に
帰る。
神田、改めて周囲を見廻す。
このままでは全員が一夜のうちに死んでしまうかもしれない。
神 田「大隊長殿!大隊長殿!!」
と叫びながら山田の前に行く。
神 田「このままの時間経過は、ますます多くの隊員を失う。歩いているほうがむしろ被害が少な
い。直ぐに、直ぐ出発させてください!」
山 口「いや、出発は明るくなるまで待て。昨晩は夜中に出たのが間違いの元だった・・・同じ過
ちを二度繰り返しては」
神 田「(全身で叫ぶ)昨晩は夜明けまで待つべきでした。しかし、現在の状況は違う!出発!出
発をさせてください!」
倉 田「そう興奮するな、神田大尉・・・」
神田、ハッとして倉田を見る。
倉 田「(落ち着いた口調で)暗夜での帰路の発見は極めて可能性が少ない。明るくなって出発し
よう、明日になれば風も雪も少しは収まるだろう」
神田、暫く黙り込む。ちょっと頭を左右に振り、自分の場所へ帰り始める。
その心の中の声。
神 田(全く倉田大尉殿のいう通りだ・・・俺の頭は寒さと疲労のためにどうにか・・・それに何かも
う一つ・・・そうだ、三十一連隊の徳島隊だ)
神田、元の場所の元の位置に立つ。
神 田(明日か、明後日には必ずやってくる・・・徳島大尉がこの敗残部隊を見たら?・・・いや、な
んといわれても・・・徳島大尉、徳島大尉に逢えば・・・生きる道がまた開ける。
749 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:30:43 ID:sYIIucHR
103 画面一杯のリンゴの花
遥かな岩木山にはまだ雪があるが、丘陵地帯は見渡す限り白いリンゴの花
で、その畑で棒切れを振り廻し、五、六人の子供と戦争ごっこに夢中の六つ
か七つぐらいの子供。
104 金木の川倉の地蔵祭り
白い夏雲と眼に痛いほどの緑の山々。
供養の石仏、お参りの人々、イタコの仏おろし。
その人々の中に母親に連れられた六、七歳の子供。
105 弘前のねぷた
極彩色の武者絵の灯篭がゆらめいて次々とくる。
太鼓の音、掛け声、歌声、ひどく華やかなくせに、どこかくすんだような、その
ねぷた祭りを街角で見ている六、七歳の子供。
106 中里部落の雪濠の中
徳島、押しくら饅頭で寒さに耐えながら、眼の前をじっと見詰めている。
なにか不思議なものでも見ているようなその孤独な眼付き。
――神田の声が聞こえてくる。
(雪中行軍の一番辛い時には、自分には、子供の時に見た春とか夏とかの風景が・・・)
だが、倉持見習士官の叫び声に現実へ引き戻される。
「寝ちゃいかん!寝るな!寝たらそのままあの世行きだぞ!!」
第二分隊と第三分隊の雪濠へ鋭く注意をした倉持が寒さに胴震しながら飛
び込んでくる。
徳島、チラッと倉持を見るがすぐまた眼の前を見つめる。
厳しい寒さに耐えているなにかそのひどく孤独な表情の徳島
750 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:35:02 ID:sYIIucHR
107 八甲田――鳴沢の露営地(一月二十五日)
午前三時、少し明るくなっている。
夜が明けたのではなく天候の回復した雪明かり。
神田と倉田、山田を先頭に神田隊が出発し始めている。
だが、二列縦隊の隊列は、昨夜四十名、昨晩からは三十名の三分の一を失
い、全員でもう百四十名。
× ×
神田隊、鳴沢の台地を進んでいる。
タイトル
進路は神田と倉田で北にとる。
× ×
神田が立ち止まり血を噴くような眼で見ている。
傍の倉田、山田以下も疑然と声がない。
前方――その直ぐ眼下は雪明かりに落ち込んだ、底がないまでに切り立っ
た深い断崖。
× ×
鳴沢の台地。
神田隊、一度通過した場所を逆方向に引き返している。
隊列からは隊員が一人、また一人と倒れる。
下士卒だけではない、鈴森、中橋、ついに永野軍医まで倒れる。
× ×
昨夜の露営地で夜が明け始めている。
昨夜からの犠牲者達がうっすら雪をかぶっている、
神田隊、その露営地に入るが、ただ黙々と通り過ぎる。
タイトル
進路は神田と倉田で南にとる。
と、第二小隊の村山伍長が立ち止まり、その村山だけが頼りの平山一等卒
も立ち止まる。落伍者はもう誰も気にしない。
村 山「俺は・・・俺はもう自分の思い通りに歩く」
平 山「え?」
村山伍長、隊列とはまるで違う方向へ歩き出す。
平 山「村山伍長殿、村山伍長殿?!」
まるで命綱に取縋るように必死に離れないその平山一等卒。
× ×
露営地を過ぎた神田隊、窪地に降り、さらに台地へ上がり、疎林の中へ入
って行く。
× ×
そのブナの疎林を進んだ神田隊、横に広がり停止している。
神田、倉田、山田以下立ち尽し、一同は声もない。
行く手は鋭い急な斜面でとても上がることなどは出来ない。
山田、眼をつぶりふらッと倒れ掛かるが、なんとか耐える。
神田、息を吐く、息を吸う、眼をつぶる。
吹雪きのおさまった疎林の中はシーンと静まり返っている。
751 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:36:19 ID:sYIIucHR
神 田「天は・・・天は我々を見放した」
血を吐くような悲痛な声が静かな疎林の中へひびく。
神 田「(眼を開き)こうなったら露営地に引き返し、先に死んで逝った者と一緒に全員が死のう
ではないか!」
と、神田の傍の長谷部が足許へ声もなく崩れ落ちる。
江 藤「長谷部!(雪沓で肩を蹴るがもう全然動かない)」
江藤、仕方なく銃を拾い枕許へ墓標のように逆さに突きたてる。
倒れたのは長谷部だけではない。神田の声がまるで引き金のようになり、
隊員が次々と倒れかける。
倉 田「(この有様に顔色を変え力一杯叫ぶ)帰路が発見出来たぞ!ここに高地のある事に拠り、
露営地の位置が分ったのだッ!!」
倒れる寸前の者がハッとし、いや、倒れかかった者までが吃驚したように倉田
を見る。
倉 田「全員露営地に戻り、馬立場へ急げば、今日中に帰営が出来る!見ろ!(手を上げ)天候も
あの通り回復して来たではないかッ!!」
108 徳島隊
中里から三本木へ進んでいる。
空は晴れ上がり、村落から村落への途で案内人の必要はない。
だが、徳島は三人の案内人を先導させ、後尾には足首捻挫の松尾伍長を盥
に乗せ、村の人を四人雇い綱で引っ張らせている。
口の中で念仏のような歩測調査の斉藤伍長、急に立ち止まり、後ろの者、気
づいた前の者も立ち止まり、隊が停止する。
斉藤、紐が切れた為、道へ落ちた雑嚢をしゃがみ込んで拾い上げるが、それ
を見つめたまま動こうとしない。
船 山「どうしたのだ、斉藤伍長?」
斉 藤「今、弟が死んだのであります」
思いがけない言葉にギクッとなる隊員達。
やって来た徳島が訊く。
徳 島「弟?弟とは誰だ?」
斉 藤「青森五連隊の五中隊、神田大尉殿の兵卒であります」
徳 島「(顔が鋭いまでに厳しくなり)そんなことは貴様の思い過ごしだ!」
斉 藤「いえ、思い過ごしではない、確かに弟の声を聞いたのであります・・・兄さん、俺の棺桶
にはきれいな凍りの花が咲いている」
一同、水を浴びせられたように立ちつくす。
斉 藤「その声が終るのと同時に、切れる筈のないこの雑嚢の紐が・・・」
徳 島「貴様は疲労が重なり、幻想、妄想に依る精神作用を起しているのだ!三本木では十分
な休養を取らせてやる!」
と言って先頭へ帰り歩き出す。
だが、その徳島の表情は異常なまでに厳しい。
752 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:40:08 ID:sYIIucHR
109 八甲田――鳴沢の露営地
神田隊、帰って来ている。
その隊員隊の手で犠牲者の背嚢が集められ、中から餅や糒食を取り出して
いる。
しかし、朝からの行動で隊員四十名が凍死し、雪中行軍隊は大隊本部を入
れ百名――出発時のもう半分になっている。
隊員達だけではない。山田は人事不省になり、二人の兵に支えられ雪の上
に腰をおろしている。
× ×
集めた犠牲者達の背嚢に火をつけ、それが燃え上がっている。
それで餅を焼いて喰う隊員達。
どの隊員の顔にも少しは元気が出ている。
× ×
本部の神田と倉田以下。
倉 田「(しみじみ炎をみつめ)火というものは有難いものだな」
神 田「(頷き)倉田大尉殿、昨夜からはつい思慮の足らぬ言動で・・・」
倉 田「いや、むりもない、誰にしてもあることだ」
といって立ち上がり、
倉 田「田茂木野方面へ偵察の斥候を出す!希望者は集まれ!」
火にあたり餅を喰い終わった隊員の中から十二、三名がやってくる。
高橋伍長や渡辺伍長らで、営門を出た時と同じような顔付や態度。人間と
は、考えられないほどの強い生き物でもある。
神 田「倉田大尉殿、二班に分けます」
倉 田「それがいい、そうしてもらおう」
神 田「渡辺伍長は駒込川方面、高橋伍長は北西方の高地の偵察に当たれ!帰路を発見し
たら直ちに報告せよ、本隊はその報告を待ち出発する」
渡 辺「渡辺伍長以下六名、駒込川方面に向かいます!」
高 橋「高橋伍長以下六名、北西方の高地に向かいます!」
神 田「よしッ、行けッ!!」
110 徳島隊
晴れ上がった道を、三本木へ黙々と進んでいる。
753 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:43:14 ID:sYIIucHR
111 八甲田――鳴沢の露営地
天候の回復で吹雪もおさまり比較的遠方が見える。
だが、焚き火の火は燃え尽し、再び寒気がやって来て隊員達は雪の上にう
ずくまるようにしている。
その疎林の中から見える寒々とした風景。雪原にはブナが枝を張り、そのゆ
るやかな前方の切断は断崖で、向うには折り重なった山並みが延びている。
本部で地図を開いている神田、倉田、伊藤以下。
倉 田「地形から見ると、あの方向だな」
神 田「(頷き)馬立場が北方であることだけは先ず間違いありません」
倉 田「ところで神田大尉・・・これからの隊列の最後尾は伊藤中尉に、伊藤中尉が一番元気そ
うだからな」
神田と伊藤が訝る。
倉 田「大隊長殿がもし万一の場合、それは青森五連隊雪中行軍隊の全滅を意味する。如何な
ることがあっても生きて連隊へ帰って頂くためだ」
神田と伊藤、頷く。いや、その時である。
「救助隊が来た!」
と叫んで一人の隊員が立ち上がり、続いて二、三人が立ち上がる。
「救助隊!おう!救助隊だッ!」
多くの隊員が一斉に立ち上がり始める。
神田、倉田以下慌ててその方向を見る。
隊員達は息を吹き返したように口々に、
「救助隊!救助隊だ!オッ、オッカアに会える!!」
と歓喜に沸き立ってくる。
しかし、神田や倉田にはそれが見えない。
いや、疎林の枝が風に揺れ、飛雪の幕が横に動き、その飛雪に焦点を合わ
せると、並んでいる木が動くようにも――だが隊員達の眼には、明らかにそ
れは二列縦隊でこちらへやって来る救助隊だ。神田、倉田、伊藤達、慄然と
なる。
754 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 06:44:16 ID:sYIIucHR
伊 藤「中隊長殿、集団・・・集団幻覚であります!」
神 田「喇叭卒、喇叭を吹け、喇叭だッ!!」
喇叭卒の喇叭、最初は呻くように低いが少しずつ次第に喇叭の音になる。
隊員達、それを聞いているうちに、自分が見ているのは厳寒の雪の中の単
なる風景に過ぎないことがハッキリ分ってくる。
神田、倉田以下ホッとして顔を見合わす。
隊員達、肩を落とし悄然と再び雪の上へ座り込んでしまう。
同時に力尽きたように倒れてしまう者もいる。
と、進藤特務曹長が人事不省の山田の前に行き、直立不動の姿勢を取る。
進 藤「大隊長殿、自分は帰路を発見致しました!」
山田が薄く眼を開く。
進 藤「これより筏を組み、駒込川をくだり帰営致します!」
山 口「(呻く)バカ者、駒込川は浅く、筏などは・・・」」
だが、進藤は挙手の礼で走り出し、剣を抜き「筏だ!」「筏だ!」と木の幹に
凶暴に切り付け、そのまま倒れてしまう。
しかし、隊員達は背筋のゾッとするようなその狂態にも、もう何の関心も示さ
ない。
と、力強い声が響き始める。
「中隊長殿!中隊長殿ッ!!」
斥候から高橋伍長が帰ってくる。
神田、倉田以下全員が息をつめ、その高橋を見る。
高 橋「中隊長殿!帰路を、帰路を発見したので、報告に帰りました!」
神 田「帰路を!帰路を発見した?!」
高 橋「はい、自分以下六名は、無事馬立場に至りましたので、田島一等卒以下は、引き続き田茂
木野方面へ進出中であります!」
神田と倉田、パッと顔を輝かして見合わし、伊藤、藤村、江藤達も歓喜に顔を見合
わす。
神 田「(全員へ)帰路が見つかったぞッ!!」
さっきから高橋伍長と神田のやりとりを注視していた隊員達の眼が、一斉に神田
へ集まる。
倉 田「すでに偵察隊は馬立場を越え、田茂木野へ進出中だ!」
神 田「(力一杯)出発!――出発用意――ッ!!」
隊員達がそれぞれ立ち上がり始める。
どこにそれだけの力がと思うような行動。中には雪の中へ倒れてしまっていた二、
三人の者までが立ち上がる。
うわ、集団幻覚と進藤の「筏流し」は脚本にあったのか・・・
本では特務曹長、実際に飛び込んで「氷の彫像」になっちまうんだけど
(「ブナの樹の誤誘導」の贖罪的な設定?)
でもこれ映像で観たかったなぁ
756 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 17:47:09 ID:sYIIucHR
112 八甲田――馬立場
斜面をよじ登って来て顔を出す高橋伍長。
続いて神田、倉田、二人の下士卒に支えられた山田、藤村、江藤以下の隊員。
どの顔も山田以外は生色を取り戻している。
× ×
神田隊、馬立場に整列し点呼を取っている。
人員はもう七十名に足りないが、小隊長は次ぎの小隊長、分隊長は新しい分隊
長で、組織の力が再び生き返ったともいえる。
山田、二人の下士卒に支えられ、瞑目したまま力強い点呼を聞いている。
苦渋を越えたなにかその悲壮までの顔が印象的だ。
倉 田「(神田へ)露営地での犠牲者の背嚢の件、尚重荷となるため半数の銃は叉銃で残してきた
こと、以上の件は大隊本部が責任を持つ」
神田、なんだか胸が熱くなってくる。
倉 田「神田大尉、他のことは一切考えず、遠慮なく先頭で引っ張ってくれ、その後には離れず俺
がいる!」
神田、きっぱりと頷く。
藤村曹長が神田に報告する。
藤 村「雪中行軍隊六十四名、大隊本部三名、総員六十七名整列終りました!」
神 田「(全員へ)これより中ノ森、ヤスノキ森を経て賽の河原を越え、大峠、小峠の先の田茂木野
へ向かう!進め――ッ!!」
神田、倉田以下、なだらかな起伏の雪原へ力強く歩き出す。
× ×
馬立場から――中ノ森の雪原
神田隊、進んでいる。
それを見下ろしていた前岳の表情が急に険しくなってくる。
山頂付近の鼠色の雲がドス黒くなって顔を隠し、鈍い唸り声を上げ、山裾から雪
煙が起き始める。
山鳴りの唸りが底力のある雄叫びになる。
広い雪原へ走って走って広がるその白い雪煙り。
113 三本木(現十和田市)の徳島隊
夕暮れの旅館の表に紙が張り出されている。
『弘前第三十一連隊御宿泊所』
全員の新しい雪沓を買い求めて来た倉持と川瀬伍長が中へ入る。
続いて油紙や唐辛子を一括購入の船山と佐藤一等卒。
114 その旅館の広い土間
徳島が宿の主人鈴木貞雄に迎えられ、メモを黙読している。
そのメモ。
青森第五連隊雪中行軍隊は、中隊編成で一月二十三日午前七時出発
せり。指揮官は神田大尉、編成外として山田大隊長他大隊本部員が随
行、田代、増沢を経由して、二十五日三本木到着の予定。
徳 島「(読み終り)弘前の三十一連隊、門間少佐殿からだな」
鈴 木「はい、今日の昼過ぎに、電話がありましたので、そのままを・・・」
徳島、頷き再びメモに眼を移す。
鈴 木「(その顔色をうかがい)実はその中にある五連隊のことですが、今日は二十五日・・・す
ると今日はもうここへ着かなければいけないことに?」
徳 島「確かに今日は二十五日だ」
と訊き返しを許さない厳しい口調で、
徳 島「しかし、天候の状況もあり、一日や二日の遅れはある。軍隊といはいえ、なにからなに
まで予定通りにはいかない」
757 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/21(日) 17:49:34 ID:sYIIucHR
115 八甲田――中ノ森を過ぎたカヤイドの沢
山田を中心に五十名が一かたまりに立っている。
吹雪に叩かれ、地吹雪に打ちのめされ、日は暮れて歩くに歩けず、馬立場
出発時よりさらに二十名が減り、このカヤイドの沢で夜を迎えている。
火もなければ食糧もなく、凍りつくような寒さにただ体を寄せ合い全員がじっ
と立っている。
眠ってはいけないと声をかける者もいないし、昨晩のように体をぶっつけ合
ったり足踏みをする者もいない。
狂声を上げたり、暴れたりも一人としていない。力尽きた者は崩れ落ち、静
かに他の隊員の足許にうずくまり、眠ったままあの世へ旅立って行く。
人垣の周辺から一人、そしてまた一人と。
116 三本木の旅館
徳島、自分の部屋で地図を開き、これから進む増沢、田代、八甲田、その
田代――八甲田間を睨みつけるようにしている。
117 八甲田――カヤイドの沢
神田、山田の傍に立っている。
その疲労し切った脳裏に――雪の中を一隊がやってくる。
三十一連隊の徳島隊で、先頭の徳島が手を振り近づく。
その徳島、自分へニコニコ闊達に笑いかけている。
118 三本木の旅館
徳島、依然として地図を睨みつけている。
その地図から――神田を先頭の神田隊が浮かび上がってくる。
× ×
向うでは肩を叩き合っている斉藤伍長と神田の従卒の長谷部一等卒。自分
の前にはニコニコしている神田の顔。
神 田「装備も経験もあなたの方が上です。その上自分にはああしたい、こうもしたいと思いなが
ら、それが実現出来なかったが、最大の難所だけはなんとか越えてきた・・・あなたの隊
なら絶対大丈夫です」
× ×
徳島、地図から顔を上げ眼の前を睨むようにしている。
(神田大尉、自分が八甲田を越えられるかどうかは、あなたの笑顔とその励ましの声だ。そ
れ以外には、自分にも八甲田は・・・)
――また神田の声が始まる。
(弘前の御宅では奥さんに御馳走になりました。今度は青森の私の家へ・・・妻と・・・妻と一
緒に待っております)
758 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/22(月) 06:30:09 ID:c5CRy5+b
119 八甲田――カヤイドの沢
朝になり、風は殆どないが雪が降っている。
神田隊、昨夜と同じ形で、一かたまりに立っている。
だが、その数は三十名、昨夜から倒れた二十名は雪ですっかり覆われている。
神田がゆっくり動き出し、倉田も動き出す。
もう出発の命令も点呼もない。
神田と倉田に続き、生き残りの隊員がほとんど無意識に歩き出す。
その全身が氷のお化けのような三十名。
120 青森――五連隊・連隊長室
出勤して来た津村が木宮から報告を受けている。
津 村「昨日の午後四時に?」
木 宮「はい、連隊本部から昨夜三本木警察へ電話させましたところ、雪中行軍隊は間違いなく、
午後四時に到着している」
津 村「(ホッして)じゃ、無事に着いてのだな。しかし、神田も神田だが、山田までついていなが
ら、何故連絡を・・・」
といって机の上の三十一連隊の予定表を見ると、三十一連隊も三本木到着は
二十五日。
津 村「(首をひねり)すると、三本木ですれ違ったことになるのだが?木宮少佐、もう一度三本木
警察へ確認の電話を入れてみてくれ」
121 八甲田――ヤスノキ森の雪原
広い雪原に雪が降っている。
神田、倉田を先頭に神田隊がその雪の中を歩いている。
山田は再び人事不省になり、隊員が肩を貸しているが、暫く進みと山田と一緒
に雪の中へ倒れてしまう。
その山田が雪の中から引き起こされ、他の隊員が肩を貸し進み始める。
だが、一緒に倒れた隊員は二度と起き上がらない。
122 徳島隊
徳島以下三本木を出発し、熊ノ沢の辺りへ進んでいる。
曇天だが雪は降らずまずまずの天候だ。
今日の案内は民間人ではなく地元出身の小山二等卒。
徳島、その小山よりもっと遥かな遠くを見て歩いている。
759 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/22(月) 06:31:31 ID:c5CRy5+b
123 青森――五連隊・連隊長室
電話をかけている木宮。
木 宮「なに?昨日到着したが、本日の早朝増沢へ出発?!」
木宮の様子に津村、大きな衝撃で顔色が変わる。
木 宮「それは!いや、分りました。お手数をかけてどうも」
と電話を切り津村と顔を見合す。
津 村「三本木警察は三十一連隊と五連隊を?」
木 宮「はい、その通りであります。いや、こちらからの問い合わせも、軍機の関係で、連隊号や
人員も明確ではなく、ただ雪中行軍隊が着いたかどうかを」
津 村「(激しく遮り)第一大隊長!第三大隊長!以下全連隊の中隊長を呼べッ!!」
124 八甲田――ヤスノキ森の雪原
神田、倉田以下、降りしきる雪の中を歩いている。
詩化し、先頭の神田はもう確たる方向ではなく、彷徨のただ足の向くままだ。
その神田に倉田以下、最後尾は伊藤で黙々と続いている。
× ×
神田、降りしきる雪の中で立ち止まっている。
倉田以下も立ちどまってしまってる。
神田、地図を取り出して開き、倉田がやって来た伊藤と一緒に覗き込むが、
磁石は寒さで動かず視界も利かず、現在位置に方向も全く分らない。
倉田、伊藤、顔を見合しどうすべきかと神田を見る。
神田、答えるすべもなく悲痛を越え虚しい顔付になってくる。
漠々たる白一色の中で立ち往生のようにもう動けない神田隊。
その中から隊員が一人、また一人と倒れる。
と、藤村曹長が、
藤 村「中隊長殿!中隊長殿!」
神田、ハッとして周囲を見廻し始める。
倉田、伊藤、江藤達も見廻す。
――降っている雪が少しずつだが少なくなり始め、辺りは次第に明るくなり、
隊員達も見廻している。
ヤスノキ森の雪原が次第に姿を現してくる。
大空の一角では入り乱れている黒い雲が動いて開き、さらに明るくなり、
前岳が姿を現してくる。
駒込川の峡谷の向こうには柴森山や折重なった北方の山々。
その山々の折重なりが切れた左の遠い地平の果てに――青いもの――青
森湾が見え出す。
最初は誰もが信じられない。しかし、間違いなく青森湾だ。
神田と倉田、胸がうずくような感動で青森湾を見る。
隊員達も同じ思いのその顔、顔、顔。
手早く地図を確かめる神田と倉田。
人事不省の山田、蘇生して眼を一杯に見開いている。
山 口「青森湾だ!青森湾だ!」
神 田「(地図から顔を上げ)現在位置はヤスノキ森の北方!!」
倉 田「このまま前進すれば田茂木野だ!」
伊 藤「(江藤に)我々は雪の中をさまよっていたのではない!」
江 藤「(きっぱり頷き)間違いなく田茂木野村へ向かっているのであります!」
神田、全員へ力強く、
神 田「帰路が分った!前進――ッ!!」
神田、倉田が歩きだし隊員が続く。
死に直面したどん底での信じられないような大きな光明。
全員の表情には形容も出来ない希望と歓喜が息づいている。
× ×
ヤスノキ森の雪原を進み神田隊。
さらに進んで行くその神田隊。
760 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/22(月) 21:18:01 ID:PZLKmZ0m
シナリオが佳境に入っていますが流れを切ってすみません。
以下は私が今読んでいる都市伝説本の抜粋です。
また映画「八甲田山」の原作者である上田次郎(作者の誤り?)の既述した
取材ノートに、こんな話しもある。
遭難事件直後、青森の基地で、怪異現象が続いた。毎夜毎夜、あの第五連隊が
帰ってくるのである。毎夜毎夜続く軍靴の響きに基地の兵士たちは怯えきって
いた。
ある夜、意を決した連隊長は、門前で霊たちを待ち伏せした。そして、闇の中
から軍靴を響かせて帰ってくる見えない部下に号令をかけた。
「全員、回れー右、前へ進め!!!」
従順な部下たちは軍靴を響かせ、山へ帰っていったという。これ以降は基地での
怪異はなくなったという事である。
この話しは、後に映画監督・黒沢明の作品『夢』で映像として表現されている。
概出でしたらスマソ、黒沢が映像化したのも覚えてない。
761 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/23(火) 06:32:42 ID:uA7Md8Kt
125 徳島隊
中村の部落を過ぎ増沢の近くへ進んでいる。
小山二等卒に続く徳島、迫りくる八甲田東南連峰を睨みつけるように歩き
続ける。
126 八甲田――ヤスノキ森を越えた賽の河原
遠く蟻のような縦列で進む神田隊。
しかし、前岳がこれまでの晴れやかな表情を少し曇らせている。
駒込川の渓谷の向こうの柴森山や、それに続くえ北方の山々はすでに山
頂を見せない。
前岳が顔を隠し、山腹へ灰色の幕を広げ、空はドス黒い雲で一杯になり、
鋭い風が広大な雪原に轟き始める。
× ×
白い海のようなその雪原の中の神田隊。
進行方向から猛然と雪煙を上げ走ってくる地吹雪。
風と地吹雪、吹雪が正面から神田隊に襲い掛かる。
――それはまるで最後のとどめの一撃のように。
神田、もう一歩も進めず、倉田も立ち止まってしまう。
二人、顔を見合すが、地吹雪でお互いの顔が分らない。
神田、全身の力を振りしぼってよろめき必死に歩き出す。
倉田も歩き出し、絶叫しているがもう声にはならない。
倉 田(いけない!神田大尉の方向が正しい!別れては・・・別れてはいけない!)
だが、強烈な向かい風と雪、消耗し切ってしまった体力で、神田には近づ
けず、低いほうへ、少しでも傾斜の低いほうへと体や足が向いてしまう。
神田に続く者。
倉田に続く者。
二つの隊は白い地吹雪の中でお互いにみえなくなってしまう。
× ×
神田、その風と地吹雪、吹雪の中を歩いている。
しかし、今にも倒れそうで、従っているのは江藤以下もう数名。
神田は心の中で血を吐くように叫んでいる。
神 田(倉田大尉殿!なぜそちらへ!・・・ここはもう賽の河原、こ、これを越えれば大峠・・・
駒込川はいけない!そちらはいけない!!)
しかし、賽の河原の地吹雪と吹雪はますます強くなる。
神 田「藤村!いや、江藤、江藤伍長!」
江 藤「中隊長殿!!(とやってくる)」
神 田「江藤伍長、ここはもう賽の河原、真ッすぐ進めば、大峠、小峠、田茂木野村だ!斥候とな
り先行、田茂木野村へ行け!」
だが、江藤は神田の様子に躊う。吹雪と地吹雪に倒れたのか遅れたのか、
指揮班は神田と自分以外に誰もいない。
神 田「(決然と)倉田大尉殿以下は駒込川の峡谷だ、一刻の猶予も・・・田茂木野村へ先行して
住民を雇い、雪中行軍隊、雪中行軍隊の救助に当るのだッ!!」
江 藤「ハイ、では・・・中隊長殿!!」
神 田「行け――ッ!!」
江藤が頷いて進み出し、その姿が雪の中へ消え始める。
神田、立ったまま見送っているが、体が倒れかかる。
しかし、倒れず、一歩一歩その後を歩き出す。
神田――白い飛雪の賽の河原のただ一人で、足を踏みしめ、踏みしめ、どこま
でもどこまでも進んで行く。
762 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/23(火) 06:33:33 ID:uA7Md8Kt
127 徳島隊
増沢小学校の前へ来て立ち止まっている。
その入口に墨で張り出している大きな張り紙。
青森歩兵第五連隊
弘前歩兵第三十一連隊 御休憩所
中から出て来た村長の氏家、校長、村の人達が徳島の様子に訝るが、氏家
が前へ進み、
氏 家「御苦労様でございます」
だが徳島はその張り紙をじっと見たまま動かない。
いや、徳島は今日の先導、小山二等卒を呼ぶ。
徳 島「小山二等卒!」
地元出身の小山が「ハイ!」と徳島の前に立つ。
徳 島「弘前へ電報を打つが、この村に郵便局はあるか」
小 山「いや、三本木まで行かないと、郵便局はないのであります」
徳 島「三本木へ?!」
小 山「中隊長殿、時間がかかってもよろしいのでありましたら、今から村の者を三本木へ出発さ
せますが?」
128 弘前――三十一連隊・連隊長室(夜)
児島と門司が気難しい顔付で向かい合っている。
門 司「じゃ五連隊は、八甲田へ捜索の救助隊を?」
児 島「だから旅団としても、三十一連隊の行軍隊をどうするか、がだな」
門 司「(口の中で唸り)連隊長殿、行軍、雪中行軍は中止に、五連隊がどうなっているのか分らな
いのに、このまま八甲田へ進むことは」
児 島「(キッパリ頷き)雪中行軍は直ちに中止する!・・・しかし、門司少佐これを徳島大尉には
どんな方法で?」
門 司「三本木、三本木さえ出発していなければ」
と、ノックで「入ります」と連隊本部の軍曹が入って来て、
軍 曹「雪中行軍隊より電報であります」
門 司「どこだ発信地は?!」
軍 曹「三本木であります」
児 島「三本木、三本木だな」
とそそくさと電報を受取り、門間も覗き込む。
その電報と徳島の声。
一月二十六日、三本木を出発し増沢に到着、明二十七日未明八甲田へ出発する。
児島と門間、顔を見合わし声もなく、徳島の声が続く。
尚、二十四日に当増沢到着予定の五連隊は、未だにその姿を見ず。
763 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/23(火) 15:40:06 ID:uA7Md8Kt
129 徳島隊(一月二十七日)
増沢を出発して進んでいる。
両側から山が迫った谷底の道。
案内人は氏家村長が手配の年配の沢中吉平、留吉、寅助、若い福沢鉄太郎などの七
人。
雪は次第に深くなり、吹雪が激しい。
× ×
徳島隊、進んでいる。
山々が鳴動し、樹木の枝に積もっている雪が落ち、地吹雪が至るところで渦を巻く。
前方で地鳴りがし、山でも崩れ落ちるような轟音。
雪崩だ――降り積もった新雪が古い雪の上を滑り落ち、谷底の道を塞いでしまい、
案内人も徳島隊もたちすくむ。
徳 島(進め、前進だ!)
だが一同は動かない。いや、動けない。
と、後方で地鳴りがして凄い雪崩の音。
徳 島(進め!雪崩は次々にくる!!)
案内人を先頭に、徳島隊は谷底をうずめた雪の山へ飛び込み、懸命に泳ぎ始める。
雪の山を泳いでもがき、泳いでもがく死に物狂いの徳島隊員。
130 八甲田――前岳
悠然と姿を現し、その広い裾野のところどころで、軽く地吹雪を巻き上げて走らせて
いる。
中ノ森にもヤスノキ森の平原にも何もなく、賽の河原もただ白い雪原の連なりだ。
いや――大峠から賽の河原へ小さな人の隊列が見える。
× ×
大峠に近い賽の河原。
案内人五人を先頭に、三上少尉の指揮する五連隊の救助隊六十人が悪戦苦闘で
進んでいる。
と、先頭の案内人が妙な顔をして立ち止まり指差す。
三上少尉以下が見る。
雪の中から石地蔵のようなものが立っている。
三上、近寄って見ると、胸まで雪にうずもれた氷の立像のような江藤伍長。
三上、慌てて軍医を呼ぶ。
駆け寄る軍医や看護卒、花田伍長。
雪の中からその江藤伍長を掘り出し抜き出し始める。
――毛布を敷きその上に江藤伍長を寝かせ手当てが進んでいる。
江藤の顔にほんの少しだが赤みが出てくる。
三上、花田伍長などが息を詰め様子を見ている。
江藤、蘇生し唇が少し動き始める。
江 藤「(かすれた声で)中隊長殿・・・神田大尉殿」
三 上「神田大尉殿がどうしたのだ!」
江藤、なにか言おうするが言えない。
三上、江藤の耳に口を寄せ、
三 上「山田少佐殿以下、雪中行軍隊はどこにいるのだ!!」
131 徳島隊
やっとのことで雪の山を脱したが、道は谷底から登りになり、嶮しい山肌の中腹
あたりへ進んでいる。
132 五連隊救助隊の伝令――花田伍長
小峠の下りを急ぎ足で通過する。
田茂木野村を息を切らして駆け抜ける。
――今にもブッ倒れそうになりながら、青森五連隊の営門へよろめき入る。
>760 そうだったんですね="夢"
真っ暗なトンネルの中を行進して来て、出口寸前で"回れ右"して、闇の中へ帰って行くんだよね。
>自分もうろ覚えですまそ。
765 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/23(火) 21:38:54 ID:2qcM4Skl
>>764 とにかく『夢』は笠智衆さんとゴッホ役のスコセッシが強烈に印象的で
言われてみれば軍人が出てきたエピソードあったかも。
ま、弟子である木村大作の一世一代の大ヒット映画ですからね。
余談ですが、その都市伝説著者は取材で八甲田に行ったそうですが、何故か
同じ場所から抜け出せなくて焦って車を止め表示を見たら田代平とあって、
ここが遭難場所だと青くなったと書いてます。冬だったら怖かったと。
766 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/24(水) 05:45:09 ID:QsN9XpYn
133 同・五連隊の連隊本部
津村、木宮他の主脳部が、花田伍長の報告に、息をつめ顔が硬直したようになっ
ている。
木 宮「大峠付近で発見したのは、中隊指揮班の江藤伍長だな?!」
花 田「はい、仮死状態のあったのを、手当ての結果蘇生したのでありますが、この江藤伍長の言
に依りますと・・・雪中行軍隊は山田大隊長、神田中隊長以下全滅の模様・・・引き続き付
近を捜索中であります!」
津村、木宮他真ッ青になる。
134 弘前――第四旅団指令部
第八師団の参謀長中林大佐がやって来て、友田少将と緊迫した顔付で向かい
合っている。
友 田「いや、捜索は五連隊だけではなく、三十一連隊にも出動待機を」
中 林「そんな程度じゃ手ぬるい」
友田、ハッとして中林を見る。
中 林「砲兵八連隊、工兵八大隊、通信隊にも出勤命令を出しました。師団長も事態を憂慮されて
おり、第四旅団だけではなく、第八師団を挙げての救助体制を取る」
友田、言葉もない。
中 林「ところで、三十一連隊の雪中行軍は直ちに中止をしたのでしょうな」
友 田「(苦しい)いや、そ、それが連絡の方法がつかず、三十一連隊の徳島隊は、現在八甲田へ
突入しておる。」
中 林「うむ!」
と思わず口の中で唸り声を上げる。
135 八甲田――大中台の高地
徳島以下が粛然と立っている。
左から最高峰の井戸岳、赤倉岳、高田大岳、田茂萢岳、そして前岳――
八甲田連峰が黒い墨絵のようにそびえている。
その右前方には眼も遥か一面の田代平の大雪原。
風も雪も小休止した日暮れ前の不思議な静寂だ。
はじめて八甲田の全容を見る徳島隊全員、シーンとなっている。
136 大中台から田代平へ
徳島隊、進み始めている。
風はないが静かに雪が降り始めている。
その田代平の大雪原へ徳島の声。
(神田大尉――神田大尉はどこにいるのだ――)
と、先頭の案内人達が急に立ち止まってしまう。
徳島、田辺と高畑が近寄りジロッと見る。
留 吉「あの・・・私たちはここまでで」
田 辺「ここで帰る?」
寅 助「へえ、天気もこんな按配だし」
留 吉「それに八甲田には、白い恐ろしい魔物が住むというし・・・」
高 畑「白い魔物だと?冗談じゃない!」
田 辺「たかがこの程度の雪に、貴様たちは我々を愚弄しているのか!!」
案内人たち、慌てて徳島を見るが、その厳しく鋭い射るような眼に、しぶ
しぶ誰とからともなく歩き始める。
767 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/24(水) 05:46:46 ID:QsN9XpYn
137 田代平
徳島隊、進んでいる。
依然として不思議に風はなく雪だけが激しくなっている。
視界は利かず、ときどき思い出したように、ポツン、ポツンとブナの梢が
墨絵のように浮かぶが、それも直ぐに見えなくなる。
案内人はときどきかたまり、方向を相談して進む。道ではない、積雪四
メートルないし五メートルのただ一面の雪の原っぱだ。
隊員達はシーンとした不思議な顔付になっている。
見通しは利かず、目標物のない、白い闇の中での際限のないその歩き。
案内人を叱りつけた田辺や高畑も今は一言も口を利かず、表情がひどく
固くなっている。
降り積もった大雪原の雪の中の漠々たる白一面の世界。
どこをどう歩いているのかもさっぱり分らない。
果てしない雪の中の彷徨――案内人の声が蘇ってくる。
(八甲田には――白い――恐ろしい魔物が住む)
その白い闇の中で、案内人達がついに動かなくなってしまう。
徳 島「どうしたのだ!」
留 吉「これ以上はとても無理でございます。目標になるものがなにも」
徳 島「馬鹿者!これぐらいの雪に、約束は田茂木野までだぞ!」
寅 助「いえ、私達は村を発つときに村長様から、行けるところまででよい、ダメだと思ったら
無理をせずに引き返してこいと」
徳 島「貴様らは我々の先導任務を放棄するというのか!」
と思わず軍刀に手をかける。
案内人達だけでなく、隊員までもギョッとなる。
真ッ青になり震え始めている案内人達の中から年配の沢中吉平がおずおず
前に出る。
吉 平「隊長様、これから田代まで私が先になります」
徳 島「沢中吉平だな、しっかりやってくれ」
吉 平「(頷き)そのかわり隊長様、なんでも私のいう通りにして頂き、ああしろとかこうしろと
かは」
徳 島「分っておる!八甲田を踏破して青森平野に出るか、それともこの雪の中で凍え死ぬか、
ここにいる者全部が一緒なのだッ!!」
× ×
七人の案内人が吉平を中心に横へ一線になり進んでいる。
目標のブナが見えると、高さや距離、方向を言い合い、ジリジリ進んで行く。
その後に徳島以下、いや徳島は再び心の中で叫んでいる。
(神田大尉――)
しかし、日は暮れ始め、雪も激しくなり、目標物の捕捉はさらに困難になり、
徳島隊は漠々とした――田代平の白い闇へ飲み込まれてしまう。
神田を呼び続けるその徳島の声も。
(神田大尉――神田大尉はどこにいるのだ――)
768 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/24(水) 05:48:46 ID:QsN9XpYn
138 青森――五連隊・連隊本部(夜)
三上少尉が帰って来て、津村以下に報告している。
三 上「いや、そんな人数などをいくら繰り出しても無駄であります!」
木宮がギュッと唇を噛み、一同を何もいわない。
三 上「救助隊員六十名中、約半数が凍傷にかかり、手を使うのが不可能で雪の中へ倒れて
しまう。寒さとか、雪に対する、根本的な救助体制を取らない限るり、ミイラ取りがミイラ
になってしまう!」
一同は粛然としたまま何もいわない。
やがて津村がポツンと、
津 村「三上少尉、生存者の見込みはないのだな」
三 上「その通りであります。(暗然と)その可能性はあり得ない」
139 八甲田――連峰(一月二十八日)
朝が来ている。
だが、山々はどんよりした灰色の空の下に、冴えない稜線で今日の天候を
示している。
その前岳の山裾の北東――鳴沢の大崩沢。
× ×
雪の斜面に小さな炭焼き小屋がある。
その中に谷川曹長ら四名がいる。
襟章の数字は五連隊、明らかに徳島隊ではない。
× ×
さらにその裾野の東南だが、画面は花の群生で一杯になる。
行軍の当初の目的地、田代元湯付近の赤いつつじの大群落。
村山伍長がその花の窪みに座り込んでいる。
傍ではまるで眠っているような平山一等卒。
――だが、その赤いつつじが現実の白い雪になる。
平山一等卒の眠りは眠りでも永遠の眠りだ。
しかし、村山伍長は雪の窪みに座り込み、雪と風を避ける形でまだ生きて
いる。人間とはなんと強い生き物だろう。
× ×
前岳の西北の裾野、駒込川のマクレ沢の峡谷。
大地の割れ目のような底に、倉田、山田、伊藤ら十二、三名がいる。
地形の関係で風はないが、寒さは厳しく、食糧もなく、動くに動けずただじっ
とうずくまっている。
全員死を待つより仕方がないにしても、とにかく生きている。
伊 東「(ボソッと倉田に)人間というものは、自分の運命には関係のない妙なことを考えるも
のであります。」
倉 田「そうだ・・・俺もバカなことばかり考える」
伊 東「倉田大尉殿、三十一連隊の雪中行軍はどうなったでしょう」
「我々と同じ運命だよ」
倉田と伊東、振り返る。
背後で瞑目していた山田がうすく眼を開いている。
山 口「落伍は隊全体に影響するから、頑健な者ばかり選び小人数にする。重荷になる荷物
は一切持たず、露営は避けて民家に宿泊し、歩く時には必ず道を知っている案内人
を使う。普通ならこれでいけるだろう、しかし、ここは違う、八甲田だけはな」
769 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/24(水) 21:30:46 ID:AxxSnN/e
>中 林「うむ!」
> と思わず口の中で唸り声を上げる。
映画では
中林「んん−−!?」
という感じですが、ここの大滝秀治のひっくり返り気味の発声が
たまらなく好きです。
770 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/25(木) 05:48:50 ID:LRZgIeOH
140 八甲田――田代平の大雪原
高田大岳、田茂萢、前岳もすでに姿を隠し、雪原の至るところを地吹雪が
走っている。一面の地吹雪以外にはなにも・・・いや、そのある一個所に
自然のものでない窪みがある。
その雪濠がうすい雪煙を通して見える。
直径四メートルほどの円形で深さは三メートル。
だが――中には誰ももういない。
141 八甲田の鳴沢
徳島隊、案内人七人を先導に鳴沢にかかっている。
今日の先頭は一番若い福沢鉄太郎。
雪はさほどでもないが、山側の吹きおろしと駒込川からの吹き上げがぶつ
かって轟く。疎林があり、小丘の起伏があり、ブナの林の雪原があり、複
雑な地形を廻り込んだ風がつむじ風になり、地吹雪を巻き上げ、まるで荒
れ狂う海の中の波のように吠え立てる。
その波頭のような風の中から徳島に声が聞こえてくる。
(徳島大尉・・・焦ってはいけない、じっとしておれば雪の中では以外に・・・八甲田で逢
うため、私は・・・私はまだ生きている)
× ×
鉄太郎が道を間違えてのか、徳島隊は深い谷を前にした岸際で動けなくな
っている。
だが、徳島以下は引き返さず風に背を向け、その場に立っている。
その先頭の案内人達。
吉 平「鉄、お前は・・・夏場はチョイチョイこの道を歩いているのだろう」
鉄太郎「ああ、姉が田茂木野の先の幸畑へ嫁に行っているからな」
徳 島「冬はこれまでに何度か歩いたころがある」
いつの間にかやって来ている徳島。
鉄太郎「(ブスッとし)汽車があるのに、冬なんそなんでこんなところを歩くんですか!」
徳島、黙って隊員のところへ引き返し、風に背を向けて立つ。
× ×
風の唸りと勢いが一段と激しくなっている。
徳島隊は徳島を中心に一団になり、雪の上にしゃがみ込み、凍傷防止に絶
えず手足を動かしている。
× ×
巨濤の咆哮がいくらか遠のき――鉄太郎が谷を隔てた向こうの斜面の起伏
を眼で追っている。
鉄太郎「いけねえ、これじゃ駒込川へ行っちゃう」
吉 平「じゃ、馬立場はあっち・・・だいぶ西の方だな?」
案内人達の方向の相談が決まり引き返し始める。
厳しい風の中でただ辛抱強く待っていた徳島以下が立ち上がり、その後に
続いて歩き出す。
771 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/25(木) 05:49:57 ID:LRZgIeOH
× ×
疎林の中を進む徳島隊。
しかし、目標物を離れて歩き出すと、すぐ西も東も分らなくなる。風はおとろえ
遠のいたが、雪が降り出している。
鉄太郎、立ち止まったり、歩いたりを繰り返すが、やがて立ち止まりが長くなり、
全く自信がなくなってしまう。
× ×
神田隊が放棄した炊事用の大釜が傾き、その縁がほんの少しだが雪の中か
ら顔を出している。
その向こうで立ち往生の徳島隊。
一度帰営の方針で進みながら、進藤特務曹長の進言で、神田隊が行く先を
再び転じたあの場所だ。
と、鉄太郎が急に枝の切り落としてあるブナの木を調べ始める。
しかし、切り落としてある枝などには眼もくれない。
他の案内人も鉄太郎の様子に、周囲のブナのを調べ始める。
鉄太郎「(怒鳴る)三本でも五本でも多いほどいい!兵隊さんもやってくれ!幹に薄い苔があるか
どうか調べるんだ!」
雪中行進研究班がバラバラ、ブナの木に向かい始める。
見よう見まねでそれぞれブナの幹を撫で廻す。
ブナの木は太陽をいちばん受ける南の幹の裏――その北側に薄い緑色の苔
をつけている。
緑色の苔を確認するとその方向にへ手を上げる。
やがてその全員の手の方向がやや一致して――北を示す。
吉 平「鉄、分ったぞ、北はあっちだから、西はこっちだ!」
× ×
疎林を出て小丘の窪みに入り、降りしきる雪の中を徳島隊はさらに上がって
進む。
× ×
台地から、また疎林の中へ入って行く。
× ×
暫く進んでいるうちに、雪がおさまり始め、前面にひどく傾斜の急な斜面が現
れる。
だが、次ぎの瞬間、案内人も徳島以下も立ち止まってしまう。
雪の中から歩兵銃が銃口を下に逆さに突っ立っている。
シーンと息を飲みそれを見つめる徳島以下と案内人。
と、いきなり斉藤伍長が走り出し、銃の傍へ駆け寄ると、雪をかき分け、かき
分けて飛ばし始める。
772 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/25(木) 05:52:22 ID:LRZgIeOH
――その雪の中から、青白いまるで眠っているような神田の従卒、長谷部一
等卒の顔が現れる。
斉 藤「善次郎だ!弟だ!善次郎だ!」
徳島以下、粛然として息もつけない。
斉 藤「(声を上げて泣く)ユ、許してくれ、俺が悪かった、早く・・・もっと早く来てやらなきゃいけ
なかったんだッ!!」
声を上げて泣く斉藤伍長。
徳島、胸一杯こみ上げてくるものに耐え、立っている。
斉藤、涙を拭きながら徳島の前へやってくる。
斉 藤「中隊長殿、弟を背負って行きたいから、そ、その許可を・・・(後は言葉にならない)」
徳 島「気持は分る。しかし斉藤伍長、ここから田茂木野まではまだまだ困難な場所が続く、弟を
背負ったお前が倒れたら、それを救う者が倒れ・・・やがて隊は全滅してしまう」
斉藤、声を上げて慟哭する。
徳 島「やがて救助隊が収容にくる。弟はそれまでここで静かに眠らせておいてやれ・・・(隊員へ)
斉藤伍長を除き、整列!」
徳島の示す位置に隊員が移動して整列する。
徳 島「着剣!」
下士卒、背負っている銃を外し剣を抜き着剣する。
徳 島「(軍刀を抜き)捧げ――銃――ッ!!」
雪の中から顔を出している長谷部一等卒に、徳島は軍刀をかざし、下士卒は捧
げ銃、見習士官は挙手の礼をする。
新たな涙がどっと噴き出してくる斉藤伍長。
徳 島「直れ――ッ」
その時である。
案内人の鉄太郎が大きな声で叫ぶ。
鉄太郎「道が、道が分ったぞッ!」
案内人は徳島以下が見る。
鉄太郎、雪がおさまり疎林の間から見え始めている、山の斜面の切通しへ腕を
上げる。
鉄太郎「馬立場だ!あれを越えたら馬立場に行けるッ!!」
142 馬立場への斜面
徳島、向こうでは高畑以下が力強く上がって行く。
急な斜面には上から二筋の麻紐。
その麻紐に縋り全員が斜面を上がって行く。
この脚本読んでるだけでも、目頭が熱くなる。
>書いて下さってる方、乙です。そして本当に有難うございます。
774 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 07:16:43 ID:sc/cb5nx
143 八甲田――馬立場
徳島、立ち上がり見下ろしている。
なにか胸のうずくような感慨だ。
眼下に広がる中ノ森、ヤスノキ森、賽の河原に至る、雪の起伏の大平原。
一時的かもしれないが天候はかなり良好だ。
徳島隊の小休止ももう終りに近い。
徳 島「(改めて前岳を振り仰ぎ)・・・出発用意!」
全員が立ち上がり、案内人達も位置につき出発体制になる。
徳 島「目標!中ノ森からヤスノキ森、賽の河原を越えた、大峠の先の小峠!距離七キロ・・・
これより八甲田を一気に踏破する!進め――ッ!!」
徳島隊、馬立場から出発し始める。
× ×
中ノ森の雪原
徳島隊、進んでいる。
× ×
中ノ森からヤスノキ森の雪原。
徳島隊がさらに進んでいる。
× ×
その徳島隊を見下ろしていた前岳が少し憂鬱げになる。
駒込川の峡谷の向うの柴森山や北方の山々が先に顔を隠す。
前岳が肩を怒らすように顔を隠し、鈍い唸り声を上げ、うす墨のようなものを
流し、空全体がドス黒になる。
八甲田の山々、一斉に怒り狂ったような雄叫びを上げ始め、その山裾から
湧き上がった白煙が、雪原へ幅を広げて次第に速度を増し、白い巨大な奔
流になる。
× ×
ヤスノキ森の雪原を進んでいる徳島隊。
風、雪、地吹雪が真正面から襲い掛かり一気に飲み込み始める。
× ×
案内人と徳島以下の隊員。
風、雪、地吹雪。
いや、そんな区別はもうない。
天と地が咆哮する凄まじさだ。
神田隊のときも凄かったが、それを一段と上廻る。まるでこの世の終りの
ような有様。
眼の前をあるいている者さえ見えない。
まともに歩けない。顔も上げられない。呼吸さえ困難だ。
徳島、苦しくなり、次第に耐えられなくなってくる。
案内人の沢中吉平とぶつかる。
吉平が喚くが何を言っているのか分らない。
徳島、怒鳴り返すがそれも何を言っているのか分らない。
黒いものが横を流れる。また流れるのを突き返す。雪嵐に圧倒されて動け
なくなる案内人を前に突き飛ばす。
徳島、喘ぐ。
苦しい、耐えられない、全くどうにも耐えられない。
775 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 07:17:45 ID:sc/cb5nx
徳 島(雪濠を掘ろう!その中で待機?!いや、この寒さと嵐、とても雪濠などは!止まった
ら、止まったらおしまいだッ!!)
徳島、喘ぎが一段と強くなり、頭がガンガン鳴り始める。
吹雪と地吹雪が黄色に、茶色に見え始める。
それが赤、ついに黒――真ッ黒になる。
同時に画面がくすんだような華やかなねぷたの武者絵になる。
一面のリンゴの花になる。金木のお祭りの緑の山々と白い夏雲、イタコの
仏おろしになる。
それがまた現実の真ッ黒い雪になる。
しかし、それはすぐ弘前城の桜になる。岩木川の小川の流れになる。田植
えがある。夏の草取り、秋の刈入れになる。脱穀や籾干しがある。
三十一連隊の営門、兵舎、お手伝のみつと一緒に漬物をしている妻の妙子
の顔。だが、一面に黄色く実った稲田の果てのお山参詣の岩木山から、そ
れらはもっと大きい自然そのものになる。
十五夜の月、津軽海峡に沈む真っ赤な大きな太陽、秋の空の鰯雲、日本海
の大きな波のうねり、しかし、不気味な恐ろしい台風も襲来する。ドス黒い雲
の走り、しのつくような雨。
だが――その台風と嵐と雨が少しずつだが遠ざかり始める。
× ×
八甲田連峰の上空。
ところどころがうすくなり、まだら雲が千切れそこはさらにうすくなり、
やがて灰色から半透明になり、その半透明の雲がさらに千切れ始める。
× ×
賽の河原。
風、雪、地吹雪がおさまり、次第に明るくなり、徳島隊全員の姿が現れてくる。
雲は千切れ薄日さえ差し、一面の雪がキラキラ光り始める。
徳島隊――現れたままの形で雪原に立っている。
その徳島隊が歩き出す。
自然の猛威から九死に一生にもかかわらず、不思議に全員が黙々している。
× ×
その徳島隊が歩いている雪原の両側。
頭巾や背嚢の一部、中にはうっすら外套が見える。
降り積もった雪が雪嵐に飛ばされ、倒れている五連隊、神田隊の姿が雪の
中から点々と現れている。
776 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 07:24:02 ID:sc/cb5nx
>>773 そう言っていただければ、やりがいもあります。
最大の山場に入っておりますのでがんばります。
777 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 08:29:07 ID:ATOcQHum
この作品に酸ヶ湯はでますか?
778 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 08:49:57 ID:sc/cb5nx
× ×
徳島、その雪原を過ぎて隊を停止させる。
ただ一人で引き返して立ち止まり、しゃがみ込む。
雪の中に横たわり永遠の眠りについている神田大尉。
その青白い蝋のような顔の唇から流れ出た、一筋の血が黒く乾いてこびり
ついている。
徳島、その神田の顔をじっと見つめている。
――神田の青白い顔が次第にぼやけてくる。
徳島の眼は涙で少しうるみかける。
神田、次第に生きている顔になり、徳島へ微笑する。
神 田「徳島大尉・・・やっと約束通りに」
徳 島「(頷き)八甲田で・・・」
神 田「いろいろと苦労されたでしょう」
徳 島「いや、苦労は、血の涙の本当の苦労は、神田大尉、あなただ!」
神田の顔、ニッコリ笑いかけるが、瞬間にそれはもとの青白い屍蝋の顔になる。
神田の枕許へうずくまってしまったような徳島、ギュッと血が出るほど唇を噛みし
め立ち上がる。
徳島、涙に耐え隊員のほうへ歩き出す。
144 八甲田――山麓の田茂木野村(夜)
村の手前まで降りて来た徳島隊が停止している。
× ×
隊員達から少し離れた場所で、徳島が七人の案内人、一人一人の手の平へ
渡している五十銭銀貨を終る。
× ×
徳 島「増沢を出発以来、ここに至るまでの並々ならぬ努力に対して心から感謝する。今渡したの
は些少ではあるが案内料だ」
五十銭銀貨を改めて見たり、懐へ入れかけたりする者。
徳 島「尚、途中でも言ったように、八甲田で見たことは一切口外してはいけない、たとえ親兄弟
にでもだ!つまらぬことを一言でも喋ったら関係者になり、憲兵隊又は警察に拘束の恐れ
がある!」
五十銭銀貨を手にしたまま凝然となる案内人達。
徳 島「田茂木野にもどこにも立ち寄らず、真ッ直ぐに青森へ出て汽車で帰れ、それが一番いい、
分ったな」
案内人達、それぞれ頷く。
145 田茂木野村
案内人と別れた徳島隊が入ってくる。
夜更けにも拘らずどの家からも灯りが洩れ、家の外には明らかに救助用と思え
る軍用資材が積み上げてある。
徳島、隊を停止させ、一軒の家へ入って行く。
779 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 09:05:17 ID:sc/cb5nx
>>777 酸ヶ湯は出てきません。
酸ヶ湯温泉は、撮影のロケ隊が宿泊した処です。シナリオ本には、
製作者、監督、カメラマン等の座談会が載っておりますが、その
中に酸ヶ湯温泉での様子も出てきます。
いずれこの座談会の内容も転記したいと思っておりますので、お
待ちいただければと思います。
781 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 20:11:11 ID:sc/cb5nx
146 その家の中
土間に詰めている救助隊の五連隊の下士卒。
入ってくる徳島を見て、水を浴びせられたように総立ちになり、中には悲鳴を上
げる者さえいる。
黒い外套は凍りついた雪で真ッ白。雪焼けで顔はドス黒く、眼がギラギラ光り、
遭難した誰かの幽霊としか思えない。
徳 島「三十一連隊の雪中行軍隊だ・・・八甲田を越えて来たが、宿舎の必要があるので、設営指
揮官にお会いしたい」
奥から出て来た救助隊指揮の木宮少佐、徳島を見て息を飲む。
× ×
下士卒を遠慮させ、木宮と徳島が二人きりで向かい合っている。
木 宮「負傷者を一人、三本木から帰したが、後は全員無事に?」
徳 島「その通りであります」
木 宮「ところで、八甲田」ではなにも見なかったか」
徳 島「本日午前十一時、鳴沢で収容を待っている犠牲者の遺骸を一つ、それから賽の河原では午
後三時四十分、行軍指揮官神田大尉以下の遺骸を」
木 宮「(妙な顔をして遮り)賽の河原で?しかし、そんな?賽の河原はくまなく捜索し、遺体二十三
体の収容を終っておる。」
徳 島「え?!(思わず声を上げる)」
木 宮「それも昨日の内にだ・・・(暗然と)指揮官の神田大尉は、今回の雪中行軍の責任を取るため
か、凍え切った体に最後の力を振りしぼり、見事に舌を噛み切っていた」
徳島、全身が全く硬直したようになってしまっている。
× ×
その家の裏。
裏口から木宮と徳島が出て来て木宮が指差す。
指差すまでもない、そこには雪の中に急造の遺骸安置所。
木宮、徳島を案内して進み立哨の兵が銃を捧げる。
× ×
その遺骸安置所の中。
木宮と徳島が入ってくる。
侘しい裸電球の下にズラッと棺桶が並んでいる。
その一番奥に黒くうずくまっていた人が顔を上げる。
神田の妻のはつ子、喪服の顔だけが白い。
しかし、徳島はまだなにか半信半疑で納得が出来ない。
木宮、黙ってどうぞと手で示し、徳島が近づき、はつ子が立ち上がり迎えて頭を下
げる。
782 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/26(金) 20:12:02 ID:sc/cb5nx
徳 島「三十一連隊の徳島です」
はつ子の表情がハッと動く。
徳 島「お別れをしたいと思いますので」
はつ子は何もいわずにただ頭を下げる。
徳島、棺桶へ近づき蓋を取って横に置き、中を覗き込む。
――間違いなく神田だ。
賽の河原で今日見たのと同じ青い屍蝋の顔。
だが、舌を噛んで流れた血だけはきれいに拭い取られている。
徳島、その神田の顔をじっと見つめる。
だが、どんなに見つめていても神田の顔は変わらない。
徳島の眼が涙で一杯になってくる。
しかし、神田の顔は依然として変わらない。
徳島、たまらなくなり眼尻から涙が一筋二筋頬へ流れ出す。
その徳島へはつ子がしみじみとなにか訴えるように、
はつ子「八甲田では三十一連隊の徳島様に逢える・・・それだけが、今度の雪中行軍の楽しみだと
申しておりましたのに」
徳 島「いや、雪の八甲田で逢った!自分は間違いなく神田大尉に!!」
同時に両眼からどっと涙が噴き出してくる。
涙はあとからあとから噴き出してとまらない。
――徳島は泣く、嗚咽はこらえるが、溢れる涙で徳島ははじめて泣く。
147 弘前――第四旅団司令部の建物
空は晴れ、風もなくあたりの雪が眩しい。
148 同・旅団長室
友田少将と第八師団の参謀長中林大佐が書類を手にしている。
五連隊から状況報告に来ている木宮と三上少尉。
木 宮「以上申し上げましたように生存者は、駒込川の峡谷マクレサワに於ける山田少佐ら九名、
鳴沢の大崩沢の炭焼小屋で谷川特務曹長ら四名、田代元湯付近で村山伍長・・・先に賽
の河原で救助した江藤伍長を入れて十五名・・・」
友田、中林、頷く。
木 宮「しかし、発見直後手当ての甲斐もなく、その内の三名が死亡致しましたので、現在は十二
名であります」
友 田「(ホッとして)二百十名全滅かと思ったが、十二名の生存者がいる
中 林「それに、中には五連隊の雪中行軍の最初の目的地、田代にまで達している村山伍長がいる」
友田と中林、顔を見合わし頷き合う。
木宮、三上と顔を見合し、眼顔でお前が言えという。
三 上「報告書には記載しておりませんが、次ぎのような事実があります」
友田と中林、三上を見る。
三 上「山田大隊長以下三名、准士官の谷川特務曹長、この四名の将校を除いた他の下士卒には、
不思議な共通点があるのであります」
友田と中林、じっと三上を注意深く見ている。
三 上「これら八名の下士卒は、岩手県または宮城県の山深い農家の出身で、炭焼きを業とし、雪
の降る冬には常に山へ入るのを職業としていた者ばかりであります」
友田と中林、粛然としたまま何も言わない。
> 「これら八名の下士卒は、岩手県または宮城県の山深い農家
> の出身で、炭焼きを業とし、雪の降る冬には常に山へ入るのを
> 職業としていた者ばかりであります」
新田本当該部:
生存者8人の兵卒の共通したところは何れも農家の出身であり炭焼きの
経験者であった。8人が8人共、秋から冬にかけて山に入って炭を焼いて
いた。寒さと雪に対する防禦方法を知っていたからであった。経験を生か
したからであった。そして8人の多くは、裕福な農家の子弟ではなかった。
784 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/27(土) 06:18:57 ID:cVmhQOs9
149 八甲田――山麓の田茂木野村
津村が二、三の連隊本部の者と自ら出迎えに来ている。
山田その他は橇に乗せられ、倉田と伊東は救助隊員の肩にすがった徒歩で――
八甲田から降りてくる。
救助隊が近づき、津村が二、三歩前に出て橇が止まる。
山田、津村を見ると、橇の上で起き上がり始める。
津 村「いや、そのまま、そのままで」
だが、山田は橇の上へ起き上がりきちんと姿勢を正す。
倉田と伊東は山田の橇の傍で津村に対し直立する。
山 口「連隊長殿、申し訳ありません・・・こんな不様なありさまで」
津 村「いや、山田少佐、それより体のほうは?」
山 口「(答えず)今回の遭難の最大の原因は、山とか雪に対し、あまりにも自分にその知識がなか
ったからであります。第二の原因は、神田大尉の指揮権に強く干渉したからであり、全責任
はこの自分にあります」
津村、何も言わない、いや、言えない。
倉田と伊東は粛然として立っている。
山 口「ところで連隊長殿、三十一連隊のほうは?」
津 村「予定より二日遅れたが全員八甲田の踏破を終り、青森市内に宿泊し、昨日浪岡に到着・・・」
山田、さすがに顔が少し硬張ってくる。
津 村「(少しいいよどみ)今日はその浪岡より、弘前の三十一連隊に向かっている」
山田、一、二度頷き、
山 口「・・・死んだ部下のことをよろしくお願いします
と眼をつぶる。
150 徳島隊
徳島を先頭に、浪岡から弘前へ進んでいる。
もう先頭には案内人の必要はない。
空は晴れ上がり、右には雪の岩木山、左には雪の弘前大平原の果てに、雪を頂
いて連なる八甲田外輪の山々。
徳島、その八甲田外輪の山々を見る。
隊員達も二百四十キロを越えて来たその山々を見る。
徳 島「(視線を元に戻し)軍歌演習、始め――ッ」
と命令し、自ら隊員とともに歌い出す。
雪の進軍 氷を踏んで
どこが川やら、道さえ知れず
馬は倒れる 捨ててもおけず
ここはいずこぞ みな敵の国
静かに左手で白衣の胸をまさぐっていた山田、右手の拳銃を心臓に当て、
グアーンと銃声が響く。
785 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/27(土) 06:21:13 ID:cVmhQOs9
153 青森市――ねぶた祭り
弘前の古風な武者絵と趣きを異にし、巨大で豪華なねぶたが次々と街を行く。
馬を投げ飛ばす大入道の武者、剣を抜いた坂上田村磨呂、凄艶な雪女郎の
ような美女、太鼓、花笠、掛声とそのハネ踊り。
――時の流れ、八甲田雪中行軍はもう七十年前だ。
154 幸 畑・雪中行軍隊の墓地
林立する墓石の向こうを墓の中央へ一人の老人が歩いている。
その義手と義足がなにか印象的だが、誰だかは分らない。
155 八甲田連峰
田茂萢岳、前岳などが晴れ上がった空へ稜線を際立たせ、山腹からの裾野
には、田代平、鳴沢、馬立場、ヤスノキ森、賽の河原などの緑一色の起伏
の大平原。
× ×
その田茂萢岳の頂上に近い八甲田ロープウェイ山頂公園駅。
展望台や周辺にいる人々、登山姿も見えるが、殆どは観光客だ。そうした
人々からはポツンと離れ、行軍隊の墓地を訪れていた老人が立っている。
義手で義足、顔に深い無数のしわを刻み込ませた、それはかってただ一人
田代元湯まで達した九十歳の村山伍長。その村山伍長がゆっくり見廻す。
緑の八甲田連峰はsの広大な平原へタイトルがW始める。
三十一連隊の徳島大尉以下の雪中行軍隊と、五連隊の倉田大尉、
伊東中尉らは、二年後の日露戦争中、極寒零下二十数度の黒溝
台で、二昼夜 飲まず喰わずに戦い、続く奉天大会戦を勝利に結び
つけ、全員が戦死した。
今に残るのは、本州最北端の地に、うすれかける記憶で語りつがれ
る――八甲田山雪中行軍の物語だけである。
タイトルの終り頃から深いO・Lで、八甲田連峰は再び冬になり――静かに
雪が降り始める。
(終)
786 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/27(土) 06:32:05 ID:cVmhQOs9
疲れました、ホントに。
毎日こんなにキーボードを叩いたは初めてで、肩こりが・・・
お約束の「製作者 橋本忍氏に聞く」と「製作者、監督、カメラマン等の座談会」
は肩こりが取れてからという事で(笑)
乙 乙 乙 乙 乙!!
また来年も頼むわ。堪能させてもらったよ。
>786 本当にお疲れ様でした。大変なお仕事でしたね。ラスト辺りでは映画のシーンを思い出して泣けてますた。
>ゆっくり休んで下さいな。
田代元湯は今でも入湯出来るそうですね。
"旅館は廃墟だが、露天風呂は地元の人が保全している"と、某温泉本で見ました。一度訪ねてみたいものです。
790 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/28(日) 12:48:16 ID:MFsjh8gB
>>786 乙でした。ゆっくり休んでくださいw
村山伍長はかなりの高齢ですよね?
ロープウェイ完成は戦後の昭和でしょうし。
いや、難癖をつけてるんじゃないです。
私事ですみませんが、私の母が幼少の頃父方の祖父が存命で、もう歳とって
寝たきりだったらしいんですけど。
母が言うにはその祖父は幕末の会津の戦で生き残った元武家の子だったと。
納屋には戦で使用した刀もあったらしい。昭和の10年代頃の話しです。
それを考えると曽祖父は慶應生まれとして神田大尉らと変わらない歳だったのかな・・
>790 その話はこのスレで、以前に議論されてましたね。実際の所どうなのか…はともかく、自分はあのラストは好きですね。
>リアルに神田大尉と同年の身内が居ると、また違う見方も出来そうですね。
このスレを見ている人はこんなスレも見ています。
Sudden Attack サドンアタック Part92 [ネットゲーム]
バカでも分かる論理学 [哲学]
麺ロード [ラーメン]
【東京都】高円寺のラーメン屋13【杉並区】 [ラーメン]
【上板橋】蒙古タンメン中本24【池袋新宿吉祥寺亀戸】 [ラーメン]
やっぱりみんなラーメン食いたくなるのかw
いやスマンどうぞ続けてくださいw
793 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/29(月) 15:31:52 ID:/Gsr7/bs
>>791 スミマセン、九十歳の村山伍長と785にあるのに・・(´д`)
某スレで確認したら八甲田の生き残りで最後に亡くなった方は
昭和45年とありましたから十分村山伍長の年齢ですね。
あと神田大尉のモデルの神成文吉さんは明治2年生まれだそうで
一応明治維新後の生まれでした。
スレ違いになりますが10代の頃から土方歳三ファンで幕末ヲタの私はどちらか
というと薩長連合には肩入れできなかった。その理由がわかりましたね。
会津の血がDNAにあったんですから。
「製作者 橋本忍氏に聞く」「製作者、監督、カメラマン等の座談会」
ヨロシクお願いします。
794 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/29(月) 19:10:33 ID:s8pzbzAQ
>>793 もう催促されちゃった(^^;
実はもう、書き貯めを始めておりまして、もうしばらくお待ちのほどを。
「製作者 橋本忍氏に聞く」と「製作者、監督、カメラマン等の座談会」の
他に、シナリオ本の頭に「製作ノートより 橋本忍」というのがあり、氏の
「八甲田山」製作意図が十二ページにわたって記述されております。
ここまでくれば、これも転載したいと・・・・
これを転載すれば、シナリオ本は写真以外、完全転載したことになります
ので。それにしても、まぁ、もうちょっとお待ちを(笑)
795 :
この子の名無しのお祝いに:2007/10/29(月) 21:28:12 ID:l91Zi6Rm
796 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/01(木) 18:42:22 ID:52gB4Cm7
>>786サン!!本当にお疲れ様でした。じっくり読ませて頂きました。私も映画【八甲田山】に興味があり何回もDVDを見てますが一カ所どうしても意味が分からない所があります。
>>781の146のシーンで徳島が救助隊の指揮をしてる本宮少佐との会話で「八甲田で何か見なかったか?」と聞いてきた時に「賽の河原で神田大尉の死体を見た」と言ったじゃないですか。でも「そんな訳がない!!」みたいな感じで言われた意味が分かりません…。
797 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/01(木) 19:54:42 ID:9SlTJRhv
神田大尉(の遺体)と八甲田で出会ったことと、その事実はなくすでに
遺体安置所に収容済みだったてことが矛盾することね。
それはファンタジーなのよ。
全部事実じゃつまらんだろ、映画はさ。
798 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/01(木) 20:06:30 ID:52gB4Cm7
そうです!!そこです!!徳島は神田の遺体を見た事自体が幻だったって事ですか?でもちゃんと口から血が出てましたよね…(@_@)う〜んやっぱり分からないです…。
799 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/01(木) 22:47:16 ID:SIlSq6uC
>>798 その前に善次郎の死体を見てるわけだし、胸騒ぎが見せた幻ってことでいいんじゃね?
二人にとって「雪の八甲田で会うこと」が目標であり励みだったんだから。
800 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/02(金) 08:59:33 ID:q/8PuDss
そうですね('-^*)これで納得しました!!私も本当に八甲田山の映画が大好きで先日幸畑の資料館から賽の河原を抜けて銅像茶屋に行きました!!資料館は新しくなっていてビックリしました。
来年の夏には雪中行軍が目指した田代元湯に行こうと思っています。ダムに沈んでしまうと噂に聞いたので!!
>>800 スゲエ 今度は是非1月23日に出発してくれ
そして報告してくれ
.................... 生きて還ってきたら...............
802 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/02(金) 20:55:08 ID:Ol+UTl3G
モーニングの「ひまわりっ」で上映会やってた
803 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/02(金) 21:00:13 ID:9oXUmIlS
俺八甲田山登りきったら好きな子に告白するんだ
804 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/02(金) 22:48:18 ID:q/8PuDss
>>801 死んじゃいます…(笑)
皆さんの中で田代元湯に行った事ある方いませんか?かなり山登るんですよね?途中崩れかけてるパイプの橋もあったり…でも頑張る
夏にねっ
805 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/03(土) 18:52:36 ID:fHSg1ypN
>ダムに沈んでしまうと噂に聞いたので!!
本当に沈んでしまうんでしょうか田代元湯は。
んーなんだか残念だな 青森って公共事業で県民の生活潤う
面もあるからね。温泉もあるのに。
806 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/04(日) 17:14:56 ID:uSqH/+1W
リメイクできないかな?
807 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/04(日) 18:44:35 ID:xag2odFV
>>805 駒込ダムの完成は、だいぶ延びて11年後の予定です。
ホントに完成するのかな。
そろそろ転載の件、始めますね、明日からスタートします。
現在最終チェック中。ミスが多いので(^^;)
808 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 06:32:32 ID:8PsGil0A
お待たせいたしました。
最初はシナリオ本の冒頭に書かれている、橋本忍氏の「製作ノート」から転載致します。
多少、読みづらい点もありますが、氏の映画に対する思いが綴られておりますので、
先ずはこれから。
製作ノートより 橋本 忍
橋本プロダクションは、映画作りの頭脳と技術を持つ人達の製作集団である。
そこの全員がこれをやると決めたものを、もしやらなければ、その日をもって解散しなければい
けない。
橋本プロダクションの旗を高く揚げてはいけない。もしそういう事になれば、その旗の為に何
かをつくらざるを得ない、現在の企業と同じ事になってしまう。どこと手を組みどんな作り方を
するかよりも、「砂の器」を作る時には「砂の器」のプロダクションであり、「八甲田」の時には
完全な「八甲田プロダクション」にならなければいけない。
七十八の親父が死ぬ時に、お前の書いたものではこれが一番好きだといって、棺桶へ持っ
てはいり、灰になって一緒にあの世へ行ったのが「砂の器」のシナリオである。
親子連れの乞食の子供をひどくいじめて泣かせ、その親乞食に杖を振り上げられて追いか
けられ、今にもぶっ倒れそうになるほど息を切らしながら、故里の市川の橋の上を逃げた四十
七、八年前にあの怖さ・・・・・それが「砂の器」の基本原型だ。
よんどころのない用事で、あとから飛行機で追いかけなければ仕方がないが、出演俳優の
主要メンバー、それと全スタッフが山陰の亀蓄へ出発する。その列車がなんの因縁か京都か
らの山陰線ではなく、一日に二本しかない山陽線の姫路経由の播但線回りで中国山脈を横
切って向かう。
弟に電話をした。
「今日の八時頃、「砂の器」のロケ隊全員を乗せた汽車が通過する。親父の仏壇を開き、俳
優と全スタッフを迎え、見送らせろ」
雪上車は大きくピッチングしながら火箱沢林道から右に回り、まるで白い海のような大雪原
を田代平へ進んで行く。その中でふッと「砂の器」の製作中のひとコマを思い出す。
世界中で誰よりもこのシナリオが映画になる事を望んでいる墓の中の親父に約束した。作品
が出来上がったら、それが失敗しようが成功しようが、16ミリに縮小したプリントを必ず墓の中
へ入れてやる・・・・・しかし、「砂の器」と同時スタートで「八甲田」がもう始まっている。「八甲田」
が終れば必ず約束通りするから、「八甲田」が終るまで待ってくれ。
いや、「砂の器」には親父の墓の中へ入れてやるプリントという頑として動かない目標があった。
「八甲田」は何を目標に何に向かって・・・・・それはまだ分らないが、ひょっとすると自分自身との
闘いかもしれない。
三十数年前、岡山の傷痍軍人療養所で死ななくてはいけなかったこの体がまだ生きている。
穴ポコだらけの左の肺、その後の手術不可能な背骨の二重の曲がり・・・・・しかし撮影と、ダビ
ングの終る瞬間までは耐えてみせる。
いいんだ、いいんだ、これから何年かかってもいい、「八甲田」は雪とか寒さよりも、本当は自
分自身との闘いなのだ。
映画の製作というのはお神輿をかつぐようなものだ。一人では絶対に担げない。しかし二十人
でかつげるお神輿を三十人でかついでも楽にならず、バランスの関係で逆に肩にかかるものが
重くなり、撮影に必要な人間だけのほうが本当は疲れない。
「八甲田」のスタッフは最初から最後まで、どこまでも少数の精鋭主義でなければいけない。
809 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 06:34:35 ID:8PsGil0A
人間の智恵の発達の重要な部分じゃ確率論の進歩である。
近代文明は確率論で進んできて、それがいくつかの公理を生み出したともいえる。
スタータ(愛犬)の死に対し、医者は一ヶ月ぐらいしかもたないといっていたがその通りになり、
妻の父(岡山の祖父)の死に対しても医者の推論はやや日時までピタリと一致する。
歴史上の人物で自分が一番好きなのは織田信長だ。
人生五十年下天のうちにくらぶれば夢幻の如く・・・・・たとえ五十年生きたところで、自分の一
生を振り返れば夢が幻かの如きものだ、生きているものは必ず死ぬのだ、さ、行け――!と真
っ先に馬を走らせ、二十数年の全人生を賭け、桶狭間へ突入する。三万の大軍に百騎や二百
騎でまともに戦っても数字的な公理では百パーセント勝てるわけがない。だから奇襲という公
理に全てを賭けたともいえる。しかし、その公理がどれほど危険なものであるかをよく知ってい
るから、生涯のうちに二度とその公理を使用せず、戦いはすべて勝つべき体勢を整えてから、
勝つべきものを勝ち進んだ。しかし、最後には全く思いがけなく、本能寺で部下の明智光秀に
殺されるーーこれはもう運命である。
運命は大きいが、人生は運命ではない。むしろ公理か確率をどれだけ重ねるかで、運命など
は人間に撮ってどうしょうもないシロモノで、そんなものはあてにはならない。
「八甲田」が失敗に終るか、それとも成功するかなどは撮影時期の気象条件もあり、運命み
たいなもので全く分らない。
ただ全てについて考え得るだけ、計算し得るだけの公理と確率論をめざす。一年で出来そう
な気がしたら二年にする、二年で出来そうな気がしたら、確率論的にそれを三年にする。十万
フィートぐらいのフィルムが必要なら、それを二十万フィートにする。
映画のロケーションはどれだけ引いた絵があるかで勝負が決まる。引けるだけ引いたほうが
いい。寄りの絵はバックを生かさない限りほとんどロケーションの意味がない。俳優とスタッフに
臨場感をどれだけ与えるかにすぎない。
映画の量産システムは成立しない。
もしこれを成立させようとすると、徹底した作業の合理化による、製作期間の短期なものを狙
い、コストダウンを図らなければいけない。ある意味では東映がそれをやっているが、これも行
きづまりをみせている。要するに量産はコストダウンが最大の目的でそれが出来ない場合には
量産システムなどは夢の中の寝言だ。
もう一つ大事な事は、現在の企業は量産システムに対する崩壊の理論を持っていない。非
情を越えたしの理論さえ持てば、崩壊そのものをいかに秩序立てるか、いいかえれば崩壊の
道程のポイントと道筋を明らかにすれば、持ちこたえや建て直しの道も模索しえる。しかし、か
れらは崩壊を感じていても、それ自体には完全に眼を閉じてしまっている。多くの首脳部の人
達は第二次大戦、太平洋戦争のあの惨めな敗北の道筋を体でもって知っているくせに。戦争
はどうにもならない運命かもしれないが、企業は自分達の意志と決断でどうにでもなることも
よく知っているくせに。
810 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 08:45:55 ID:8PsGil0A
独立プロダクションの映画づくりは理論的にも実践的にも現在ではひどく簡単で明瞭だ。要
するに企業のやっていることと全く正反対のことをやればいいのだ。むしろそれぞれの条件ご
とにどれだけ反対のことをやる得るかが、作品の出来上がりの質の良さと面白さになる。
将棋の手。
初級者は次の一手しか考えない。
中級者は三、四手先まで読む。
上級者は手順と形を読む。予測し得る形のイメージを描き、その為の手順を考える。
これがどこまで「八甲田山」に生かされるかだ。
八甲田山に対する弘前部隊の成功と青森部隊の失敗は、いろいろなことを考えさせる。それ
が必ずしも最大の原因とは思わないが、青森部隊は大隊本部が前へ出て、実戦部隊の行動
原理を変更させたことが大きく、これに較べ弘前部隊はただ一人の隊長がドンドン全隊員を引
っ張ったことにある。
言い換えれば自分は「八甲田」の現場の作業には一切口を出さないこと。作品の仕上がり、
芸術的なことには口を出すし意見も言うが、相談を受けない限り作業の進行には一切口を出
してはいけない。
言い換えればどれだけ自分で自分を押え得るかが、この作品の成功につながるただ一筋の
縄だ。
森谷、なんでもお前の思うようにやれ。
その骨は俺が拾ってやる。
811 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 08:47:05 ID:8PsGil0A
製作意図
一九六一年四月(昭和三十六年)、地球から飛び出したソ連のボストーク・一号からガガーリ
ン少佐は高らかに叫んだ。
(地球は青い!)
宇宙時代の開幕である。とどまるところを知らない科学の進歩。遠い星々には人間と同じよ
うな生き物のいる可能性さえあり、そうなれば地球上の政治、経済、国家体制、あらゆるもの
が嘗て経験もしなかったほどの大きさで変わるのかもしれない。宇宙時代の曙は人間にとって
かすかな戦慄に似た大きな新しい夢の胎動を秘めていた。だが、それから十四年、月にまで
足跡を残したが、先には行けなかった。人間の開発し得る科学技術では、そう簡単にそこから
先へは行けないことが、先駆的は科学者だけでなく、あらゆる人々にも分りかけて来た。向うに
広がっているのは、これまで見て来た通りの、遠い広い果てしない無限の拡がりの空間だけで
ある。
人間にとって魂のおののきのような未来はなかった。人々は再び孤独にかえり、改めて自分達
の住んでいる地球を見なければいけなかった。そこには公害の問題、人口問題や食糧問題が
起き、温度差僅か二度で農作物が生態を変える事を知らなければいけなかった。その地球の
表面の薄皮に抱かれ、なんとかそれと共存しか、人間はこれまでにはなかった全く新しい眼で
自然を見直さなければいけなくなってきた。
一九〇二年(明治三十五年)の一月、本州最北端の青森県から秋田県の一部に広がる八甲
田山連峰に於いて起きた、ある大事件をここで再び取り上げる大きな意味が出て来たのであ
る。
雪の八甲田山踏破は、日露開戦(現在のソ連との戦争)を前にした陸軍の耐寒訓練と装備点
検、尚、万一の場合の八甲田を経由する交通路の確保のためには避けて通れない道であり、
弘前第八師団は所属する五聯隊と三十一聯隊の二つの聯隊にこれを命じた。
青森第五聯隊は大隊本部が随行する中隊編成をとり、弘前三十一聯隊は特別選抜の小隊
編成をとり、それぞれの準備の後に寒さとは何か、雪とは何かのために八甲田山に挑んだが、
青森五聯隊は参加者二百十名中、僅か十一名を残す、百九十九名が風と雪と寒さの八甲田
山で凍死という文字通りの全滅をしてしまったが、弘前三十一聯隊は三十七名(劇中では二十
七名)の小隊編成から一人の犠牲者も出さずに、この目的を達成した。
この映画は耐寒演習などを行う軍隊の非人間性とか、命令指揮の乱れとか、成功した隊の
指揮官の用心深さ、周到さ、誤らない処置とか、また一糸乱れずそれに応えた隊員の勇気とか、
そんなことを対比して描くのが目的ではない。
青森第五聯隊は大部隊によって自然を克服、つまり征服しようとした。しかし、弘前第三十一
聯隊は自然に逆らわず、それとは折り合い、その猛威と厳しさに耐え、克服するのではなく、生
きるための妥協点を強い意志で合理的に求めた。
二つの隊の違いはただこの一点であり、この映画を創る意義、創らなければいけない目的は
そこにある。しかし、映画としてのテーマは単にそれだけにはとどまらず、生まれてから死ぬま
での一歩一歩のこの世の旅・・・・・その中での人と人とのふれ合い、めぐり逢いの運命を、これ
までは誰も試みなかった、冬の雪を描くことに依り、春、夏、秋、冬・・・・・日本人にとって四季と
は何かをドラマ化し映像化し立体化することに依り、人間の大きな魂の遍歴の号泣、その強さ
や悲しさを超えるものにまで迫りたい。それが「八甲田山」の究極的なテーマであり、製作意図
である。
製作意図(昭和五十一年十一月)
二年間の製作過程を経て、第三年目の最大の山場に突入する我々スタッフには、単なる美
辞麗句の製作意図はもうなんの意味もない。
風と吹雪の八甲田で、ただ永遠なるもの、なにか永遠なるものを追求したい。極限状況のあ
の風と雪の中で手を組み合わす我々の力と友情を、生涯の記憶にまでとどめるものに仕上げ
たい。一人の怪我人、一人の凍傷者も出さずにーー。
終り。
812 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 13:16:35 ID:f+JPgkOc
な、長い・・・橋本さん
そうか〜誰も怪我せず凍傷にもかからず・・ってまだクランクアップ
してませんね。
813 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 15:34:43 ID:8PsGil0A
しっかり読んでるじゃんW
814 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/05(月) 18:02:22 ID:8PsGil0A
またまたミス見っつけ。
いくら校正しても(あ〜ぁ)、オレからミス取ったらオレじゃなくなるもんね。
うんうん、納得!
ということで(何が?)、明日は製作者 橋本忍氏に聞く≠ナ〜ちゅッ!。
815 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/06(火) 06:43:11 ID:vuw0RjJ1
「あおもりシネマパラダイス」の中から製作者 橋本忍氏に聞く=@です。
サブタイトル『フィルムには空気が映る八甲田で撮るしかない』
「八甲田山」で陣頭指揮を取ったのがわが国映画界の巨匠、脚本家の橋本忍氏。橋本プロ代表と
して、同作のプロデューサーを務めたほか、原作に大胆な解釈を加えて脚本を執筆。多くの映画人
が関心を抱きながらも映画化できなかった題材をスクリーン上に見事に表現し、邦画界で空前のヒ
ットを記録した。
厳寒の山中でのロケなど幾多の困難を乗り越えて生まれた「八甲田山」について、氏に語っていた
だいた。
聞き手は製作当時にロケを取材、近年もあおもり映画祭で「八甲田山・完全版」の上映に尽力する
など、この映画に深い愛着を抱く鈴木伸夫氏(東京都在住、青森放送局勤務)
――八甲田山を製作したきっかけを教えてください。
橋本 (映画化が決まる)十年ほど前から観光バスで十和田湖へ行った時、バスガイドの話で雪
中行軍遭難のことを初めて知った。その後、野村芳太郎さんから「新田次郎さんの『八甲田
山死の彷徨』を読みましたか。映画になりそうな気がするんですけど」と言われた。
私が「明治時代に兵隊さんが二百人死んだっていうだけじゃ、話の成立が難しいんじゃない
か」と答えると、野村さんは「いや、青森の連隊は全滅に近い状況になったが、同じ状況にい
て弘前の隊はちゃんと生還したのだ」という。それならいけるのでは――と私は思った。
再び東北を車で旅行した時、十和田湖の?湖台から八甲田に薄く雪が着いている景色を見て
「いっちょ、行け――っ」ていう気持になった。
それまでの布石が色々あってそこで決めたんです。
■ 自由にキャメラが振れる
―――当時にあっては既にエコロジー、環境問題を訴えています。先見の明がある画期的な映画と
いえるのでは。
橋本 そんなに深い観点はなかった。ただ「八甲田山」に先だって撮った「砂の器」の時、日本の風
景がなくなってしまったことを強烈に感じた。
どこにいってもキャメラが振れない。日本にはもう、自然がなくなってるのかな、という気がし
た。しかし八甲田ではキャメラはどっちへでも振れる。なにか、なくなって行くものへの郷愁が
本能的にあったのかもしれない。
816 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/06(火) 06:44:48 ID:vuw0RjJ1
―――「砂の器」の話が出ましたが、橋本プロと「八甲田山」そして「砂の器」の関係を教えてください。
橋本 橋本プロができたのは、監督の森谷司郎君が「映画会社と一緒にこのまま泥船に乗っての心
中はしんどい。独立プロでもつくらなければしょうがない」と言ったのがきっかけ。
シナリオライターの僕は切実にそうは感じていなかったが、彼がそういうのなら現場はそうい
うものなのかと思った。それで、森谷君や野村さんのほかテレビの人間、広告代理店の者など
数人が集まったが、私が一番年上だから難しく考えずに名前を「橋本プロ」とした。
大手の映画会社はベルトコンベヤーの中でマスプロ生産で作品を作り、配給、興業しており、
ロケで遠征するスタッフも三四十人に上る。これだけ多くの人数を長くは拘束出来ないので、
あらかじめ撮影期間を限ってしまう。つまり、十人で担げるおみこしを三十人で担いだらかえっ
て重たくなり大変だということ。
本プロはそういうマスプロ生産の弊害を避けるため、常に伸縮自在なスタイル編成を基本と
した。
「砂の器」で親子が旅するシーンは、俳優も含め十一人で撮った。本当にしんどい。僕らも
キャメラの手助けで走り回る。しかし、天気の条件を何日間でも待てる。小人数でもいけると
いうのが感覚的につかめた。「砂の器」は興業的にある程度成功したから、一息入れ「八甲
田山」を撮るということだったら、たぶんやってないね。結果は海のものとも山のものとも分ら
ないし、現場のきついことは分っている。どうしてそんなきついことをしなくちゃ、という気がき
っと起きたろう。
でも「砂の器」よりは「八甲田山」の方が先に決まっていり準備も進んでいる。「砂の器」の
県内ロケの時、森谷は既に「八甲田山」のいろんな段取りをしている。そして、「砂の器」試写
会の直後に、僕らはもう「八甲田山」の一回目のロケに突入している。二本をやらなければい
けないシチュエーションに、最初からなっていたのだ。
■ 以外に雪が写った
―――「八甲田山」映画化について当初、反対はなかったのですか。
橋本 橋本プロの半分が製作に反対だった。その要因は「明治もの≠ヘ当らない」「雪の風景は
どの程度写るか疑問」「この話にはドラマがない」の三つ。
僕はそのうちの二つが消せたらスタートできると思った。
まず「明治もの」はジンクスのようなもので理由がない。「ドラマ性」は脚本の上で、青森隊
と弘前隊が幻想かも知れないが、会ったことにする。それで何か出来るのではないかと思った。
「雪」はキャメラテストをやってどう写るか試してみて、だめだったらやめるしかない。とにかく
やってみようということで、「砂の器」の試写が終るのを待ち、準備をしてキャメラを回した。
その結果、ひどい吹雪が来ると人間は感覚的にまいってしまい、何も見えなくなるが、キャメラ
は無機体のレンズだから、レンズの前の雪さえ払いのければ写ることが分った。また、頭からお
しまいまで雪のシーンだと見る側も疲れるはずで、これには高倉健の子供時代の四季の映像を
時間を掛けて撮り、挿入することでメリハリを付ける。これで反対していた半分の人たちも賛成し
てくれて、本核的に撮ることになった。
新田さんに聞いたら、あちこちから「原作を研究させて」というのはあったが、「これをやるから
原作をください」というのは僕達が初めてだったという。やはり皆、怖いから実際に踏み込むこと
はできなかったんじゃないの。
817 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/06(火) 06:47:00 ID:vuw0RjJ1
―――クランクインは、田代平のツツジのシーンでしたね。
橋本 その時はスタッフは七人だけ。役者は緒方拳と下条アトムだが、俳優は習い性なのか、自分で
衣装を着られないんだね。僕と野村さんが衣装を着せ、装備を着せてやった。現場では森谷らが、
青森放送から借りたテレビ放送用の重いイントレ(カメラを乗せる台)を運んでいる。そこから始ま
っちゃったんだね、この仕事は。
緒方はこの仕事に終りがあるのか―と思ったという。僕も野村さんも監督の経験があるが「俳優
に衣装を着せたのは初めてだな」と話合った。
天気待ちを続け、三日かけてツツジのシーンを撮った。本編成のスタッフなら初日だけで上げ
てしまうシーンで、野村さんから「体はきついが、一番贅沢なやり方ですね」といわれ、そうかなぁ
と思ったね。
―――冬季のロケは厳しかった。なぜ、あえて八甲田の撮影にこだわったのですか。
橋本 僕も最初は東京から近い、長野県か群馬県あたりのスキー場の、裏側の斜面なら雪が降れば
どこも同じ―とも思った。俳優さんを長期間拘束するのも大変だし、しかし「砂の器」の春の部が終
って、弘前、青森の連隊が歩いた道をコース通りにずっと回って、その接点の田代平の手前で車
を降りた時、森谷君と野村さんに「これは、ここでやるより、しょうがない」といい、二人ともそうだと
いう。何年かかろうと、ここでやるより作りようがない―と。
つまり、フィルムっていうものに、一番映るのが、「空気」だっていうのが、僕らの考え方。
それがロケーションを主にして映画を作る理由。空気まで映るのなら、ここ以外で撮ると「八甲田
山」にはならないのではないか―ということ。初年度はキャメラテストをして実景を撮り、あとは二
シーズンでやるよりしょうがないな―と田代平でそう決めた。ほかで作るのでは、作る意がない―
と。
―――ロケで山に入り、八甲田の持つ魔力は感じましたか。
橋本 寒くてそれどころじゃなかったよ(笑い)。あれはきつかった。雪が降る時は十―二十メートルの
風が吹く。実際には零下五―十度でも体感温度は零下三十度。やってられないよ、あんなことは。
よくやったと思うよ。
―――雪を求めての天候待ちも随分あったようですね。
橋本 きついんだよね。でも、三年目になると、青森県の山岳会や土地の人達が「今日は降りませんよ」
と言っても僕は何か降りそうな気がする。森谷もそうだという。すると森谷が一番最初に「来たあっ」
て叫ぶ。土地の人よりも雪が来る時の感覚が分るようになった。
818 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/07(水) 05:53:29 ID:icAK6F7+
■ 青森県民の映画だ
―――三年間の仕事に、事故も凍傷者の一人も出なかった。これは青森県民の大きな協力が合ったから
とも言えるのではないですか。
橋本 共同制作者に「青森県」を入れるべきだったと思う。「八甲田山」は青森県の県民映画じゃないか
なぁ。八甲田でロケすることに決めて、すぐ当時の竹内(俊吉)知事に東京で会い「八甲田山」という
映画を作りたいのでよろしくお願いします。三年間の期間に一人のけが人や、死者を出さずにやりた
い。そのためには、青森県の協力がなくてはできない」とお願いした。すると知事は「やりましょう。
山岳会を全面協力させます。警察にも手配します」
雪上車やエキストラの手配もしてくれた。県の強い意向があったので、宿泊施設はどこも安くしてく
れた。
また、青森隊の遭難場所になる賽の河原の場面は実際の場所は木が茂っていて使えないので、
山腹に平原が広がっているところを野村さんと二人で探した。すると、弘前の陸上自衛隊の広報の
方が、岩木山の鯵ヶ沢側(長平)がいいと教えてくれたが、しかし、冬は地獄だという。吹雪いたら
逃げ場が一切ない、県内でも一番の難所だと。
撮影する何かいい方法がないかと二人で考えていると、その広報の方が、バスの廃車を置いて
それに目印の旗を立てておき、吹雪いたときにはそこを掘ってバスに入り避難すればいいのではと、
教えてくれた。それで、弘前の弘南バスの社長さんに会って頼んだら、秋の間にバスを四台用意し
てくれ、この方法で初めて撮影できた。地元の人々が、こちらの考えつかないような思いつきをして
くれたことが、凍傷者を出さなかった一番の大きな要因だろう。
そういう意味でも「八甲田山」は、青森県民映画。ああした協力がなければ出来ていない。東奥
日報だってロケ中、一日も記事に出ないことはなかったくらい。それが後の興業でものすごく効い
ている。文字通り青森県の県民映画だね。映画の冒頭に大きく青森県の名前を入れなければいけ
なかったくらい。エキストラ、旅館に至るまで、全てが一つの歯車に乗った。だから三年でできたと
思う。
―――高倉健のキャステイングはいつ、どのように決まったんですか。
橋本 「砂の器」の撮影中、森谷君と野村さんの三人で、「ぼつぼつ『八甲田』の俳優を決めなきゃいけ
ない。どうしようか」ということになった。で、僕が主役の弘前隊の隊長について、カードに五、六人
の俳優さんの名前を書いてテーブルに並べ、森谷君と野村さんがひっくり返していった。残った一枚
のカードが高倉健だった。僕は困ったな―と思った。当時、彼は東映以外の作品には一本も出てい
なかったから。
しかし、こういう決め方をすると、監督もプロデューサーも、それ以外(の俳優)では一歩も動かな
くなるんだよね。だから仕方がないので、脚本を先に渡して読んでもらった上で、高倉に会って頼
んだ。それで出てくれることになったんだけど、僕が「東映の岡田社長の会って話します」と言った
ら、彼は「それは結構です、僕が話しますから」と言ってくれた。しっかりしているよね。こうして一番
最初に彼が決まった。
後になって、当時の男性スターが全部集まっている事にびっくりした。高倉健が先に決まったこと
の釣り合いで、他が落とせなかったからだった。それにしても、今見ると、大変なキャストだよね。
819 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/07(水) 06:03:38 ID:icAK6F7+
■ 幻のカット
―――健さん演ずる徳島大尉が、青森隊の遭難現場を目撃した山の案内人に「八甲田で見た事は一切
しゃべってはならぬ」と話し、金銭を渡すシーンが公開作ではカットされています。ポスターのコピ
ーにも使われたセリフなのに、何故カットされたのですか。
橋本 あれは単純なんだよ。フィルムが異常に延びて、完成に近い時のオールラッシュでは、六時間近
くににもなり、それでは公開できないから切らなきゃいけない。三時間以内にしなければ―というこ
とで、二時間四十八分にしようと決めた。「二、四、八」で倍々の末広がりになり、ゲンがいいじゃな
いかと(笑い)で、結局あのシーンを切らなければ二時間四十八分にならないということで、僕が切
った。
六時間のものを半分にするのだから、切らざるを得ないよ。「助かったことは分っているんだから、
そのシーンはいらない、切ろう」といったんだ。森谷君は「会社は三時間まではよいと言っているん
だから、三分、五分は関係ないじゃないか」というけど、「いや、二時間四十八分にする。ゲンって
ものがあるだろう」と。
―――プロヂューサーが絶対だ―ということで、監督は納得したのですか。
橋本 それは森谷君の僕に対する信用ではないかな。「日本沈没」の編集を手伝った時、フィルムを
切らせたら日本では僕が一番うまいのではと思ったわけ。森谷君は、こんな切り方があるのだろ
うかとびっくりしていたからね。でも僕は割りと単純。脚本を一度捨てちゃうの。そして出来上がっ
たフィルムを材料にもう一度、脚本を書くつもりで組み立てていく。その方が映画が締まる。シナ
リオはイメージだけで書くから、書き過ぎるきらいがある。「八甲田山」は自分で書いた本だから
切ることが出来たのだが、結論は切った方がいいんだよね。
「砂の器」も全部そのやり方。親子が旅立ちして出雲に到着するまで、十分に収めなければい
けない(編注・・・このシーンは交響曲「宿命」の有名なメロディがバックに流れ続ける。フィルムは
一巻で約十分なので、シーンが十分を超えると、つなぎの部分で音楽が途切れてしまう)しかし、
撮ったフィルムの量から見ると十分では収まるはずもない。編集室で私の作業を手伝っていた森
谷君が「橋本さん、これはひどいよ。撮った監督(野村さん)が見たら、血の涙が出るよ」と言ってき
た。でも僕はもう三分か五分切りたかった。切っていればもっと良くなったと思うね。
黒沢(明)さんの論理も同じ。「第三の男」が封切られた時、ラストシーンの長さが話題になった。
かなり長く見えるが、実際には二分ないんだよ。三分でも五分でも持つよく出来ているシーンだが、
二分以内に撮ってあるから効果があると。この時「映画というのは、グ―ッと圧縮できるたけ圧縮し
て、初めて面白くなるんだ」と黒沢さんが言ったが、けだしこれは名言だと思う。
820 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/07(水) 06:05:18 ID:icAK6F7+
―――「八甲田山」はテレビ放映された時、森谷さんがそのカットされたシーンを再び入れてました。
橋本 入れたか。彼は気になっていたんだろうな(笑い)。
―――私がたまたま、その放送を録画し、カットシーンの音声を残していたので、「八甲田山・完全版」
が「あおもり映画際」で上映できたんです。
橋本 僕はそんなことより心に引っかかっていることがあった。それは、高倉健の子供の時の四季の回
想シーン。前半に、北大路が高倉の家を訪ねていろいろ話をしている場面で、高倉が「いちばん苦
しい時に何を考えるか」と聞くと、北大路が「子供のころを思い出す」という場面がある。それが中盤、
雪山で苦しんでいる時のシーンにつながるかと思ったが、うまくつながらない。感覚が途切れている。
あそこは前半のシーンを切り、回想シーンとして途中から始めていれば、より効いたような気がする。
映画になってみないとわからないなあ―と思い、そこが気になり、ほかのことをあまり考えなかった。
そこがピシッと決まっていたら、すごくいい映画になっていたと思う。高倉の子供時代がどうしてあそ
こで出てくるかが、もう一つぴったり来ないんだよね。やはり、脚本の時の計算と、映画になってから
では違うんだよ。いろんなことが次々起きて、だれもが忘れてしまった時にポコッと回想シーンが出て
来ても意味がないんだ。ものすごく弱いの。
もう一つ心残りなのは音楽。芥川(也寸志)さんに「津軽三味線でいきたい。百五十から二百丁で
やるのがいいんじゃないか」と相談すると、彼は「全部それで通すのならいいけど、もし洋楽系を入れ
るなら、ミスマッチでどうしょうもない」という。僕が頭からおしまいまでそれで通す―ということだったら、
彼もそれでいいと言ったと思う。当時はまだ三味線はソロだった。僕は百丁、二百丁でいったら―と思
ったが、芥川さんもまだソロでしか三味線を見ていなかったわけ。二百人の津軽三味線でやると、雪の
中でもがいて死んでいくところなんか、すごく良かったと思うんだよな。音楽も良くできているんだけど、
僕の頭の中では、じょんがら節みたいな感じの中で死んでいくのを入れたかった。
821 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/07(水) 11:08:53 ID:wsf3RtH+
へぇBGMがじょんがら節だったらまた違った印象の映画になっていた
のかも。ATG系のそんな映画があったけど。江波杏子かなんかの
後年の鉄道員でも現地の自治体や人びとが全面協力したと聞いた。
カットすると締まるというのは納得ですね、第三の男のエピソードは
面白い。枯葉が舞うウィーンの墓地の並木道を歩くアリダ・バリを
追ったシーンですね!
822 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/07(水) 17:41:05 ID:9n79OUS/
>>821 しかしカットしすぎて、シナリオ読まないと意味が理解できないシーンが多すぎるのは問題だろww
823 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/07(水) 20:55:30 ID:icAK6F7+
オレは六時間ものを見たかったなW
824 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/08(木) 05:23:40 ID:EPEizcz1
■ 女性客の多さにビックリ
―――興行的には二十七億円と空前の大ヒット。どう評価しますか。
橋本 総原価、製作費、動員数予想を照らし合わせて計算する、僕なりのかけのセオリー≠ェあった。
そのセオリーを基に僕が予想した配給収入が十九億いくらかで、端数まで出した。東宝の宣伝部は
椅子から飛び上がっちゃった。彼らはどんなにいっても六億か七億と考えていたから。結果的には
「砂の器」の時より入場料の値上げの分だけ、予想より増えたんじゃないかな。
女性があまり見に来ないだろうと思っていたが、ふたを開けると女性の観客の方が多かった。ロケ
の最後の年の二月頃、加山雄三、北大路欣也らの俳優二、三人と、時間待ちの話をしていた時、僕
が「この映画当るのかな。女の人は一人も来ないんじゃないかな」と言ったことがある。すると、加山
君が「それは違います」と言うんだね。「だって、男がこんなにかわいそうだと思わせる映画は、他に
ないでしょう」と(笑い)次の日に宣伝部の人が来て、これから見たい映画を聞くアンケートの結果で
は「八甲田山」が二十三歳の女性が頂点だったという。結果的にその通りになった。この年代の女性
には、中尉と中佐のどちらが偉いかすら知らないはずなのに、あの映画を見てなぜ面白いと思うのか。
僕にも分らなかった。
―――「八甲田山」の翌年から日本アカデミー賞が出来て、高倉健が主演男優賞を「幸福の黄色いハンカチ」
と「八甲田山」で取った。でも色々な賞は「幸福の――」に取られてしまった面もある・・・
橋本 賞にはあまり興味がない。作っている時の熱中が一番いい。映画としては「砂の器」の方がまとまり
が良かったとは思うが、回想シーンの使い方を間違わずきちんとできていたら「八甲田山」の方がはる
かに良かっただろう。というより、スケールが違うんだよね。インパクトは「八甲田山」が強い。
大きなものと小さなものの違いかな。
―――「八甲田山」のような大作が作れなくなってきている日本映画界の現状を、どう思いますか。
橋本 僕達が大作を作ったのは、ある一時期の現象ではないか。(映画が産業的に)下降してきた時の不合
理点は何か考えた結果、大量生産のベルトコンベヤ―に乗ることをやめる方法もある事をある程度実証
した。
しかし、一番の問題点は、それをやった橋本プロですら、結局は元の大人数編成に戻らなければならな
かったということ。やはり、映画がだめになっていく過程は、その後も止まらなかった。だから、今もそれが
続いている。
825 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/08(木) 05:25:26 ID:EPEizcz1
■ なくなった日本映画
今、日本映画はなくなったような感じがする。近代資本主義の観点から見て、映画を作ることは理屈に
合わない。というのは、製作費を占めるもののうち、近代産業で生産されるのはフィルムだけで、これは
金額にして三から五%。あとは全部人件費。人件費が安い時にはどうにかやれるが、人件費が高騰する
と、経済的に不可能になる。映画産業が伸びていったのは、人件費が総予算の中で安かった時代で、
人件費が高い今、映画は産業構造の上に成り立たない。
「砂の器」は当時、製作費が一億円を切っていたが、今は十億円でも出来ない。「八甲田山」も当時は
三億五千万円ぐらいだが、今だと二十億円は軽く超える。今、なぜ映画を作れないかといえば、端的に
はそういうこと。大作を日本映画でやれる社会情勢にはないね。
アメリカで産業映画が衰えないのは、独占禁止法がきちんとしていて、昔から「作る所」と「売る所」が
別々になっていたから。作る所は生き残るためにあらゆる努力をする。しかし、日本のように製造、卸、
小売りを(一つの会社が一手に)やっていると、製造部門が一番理屈に合わないから、興業(卸、小売り)
が主体になる。これだと、製造部門が死にもの狂いになり残ることがないよ。これが端的に現れているの
が今の日本じゃないか。産業全体として、いかに映画を作るかに全精力を傾注する企業形態になってい
ない。体を張ってやるという連中が集まって作った時には、ある程度のものも出来るが、それもその時期
を過ぎるともう無理な気がする。
ただ、映画はできて百年たったが、僕は映画と音の創作物としての段階としては、第一期が過ぎたに過
ぎないと思う。例えば文字の文化は五千年。それに比べると映像の世紀は短く、まだ幼稚園の時期を過ぎ
たに過ぎない。本当に良くなるのはこれからだと思う。
文字は、読んで何かを想像し、喜んだり悲しんだり、緊張したりする。だが映像はもっと強い。何百万年、
何千万年も前からの遺伝子で、火山の爆発、大地震、大洪水、動物同士の殺し合いなどを目で見て戦慄
し耳で音を聞いて来ている。直接絵を見ながら音を聞くことと文字を読む事は、比べようがないほど見る方が
強いのだ。しかし、それらの表現は今始まったばかりだからね。第二期はもっと発達すると思うよ。
二十一世紀は映像の世界だ。映画もテレビも変質しもっと良くなると思う。
■ テレビと映画の違い
テレビと映画は本質的に違う。映画は一秒に二十四コマ(二四枚)の連続写真。ところがテレビは一秒に
三十コマ(三十枚)の連続写真なのだ。その六コマの差とはなにか、これが決定的に重要なのだ。テレビの
アナウンサーがニュースを読む。これを映画の二十四コマでバスト(胸から上の上半身)サイズで撮った場
合には緊張度が強くなり疲れて見ておれない。だがチャンバラやアクションのシーンを、映画の二十四コマ、
テレビの三十コマで撮った場合には、映画の方が飛躍の度合いや緊張感が強く遥かに面白い。
映画には映画、テレビにはテレビのそれぞれの持ち味や宿命があるが、映像というものの大部分が動く絵
の追求であるとすれば、テレビは永遠に映画には追いつけない。
しかし、いずれにしても両者ともがやっと始まったばかりで、今は揺籃(ゆりかご)期の中休み、幼稚園の段
階をなんとか過ぎたようなもので、これからの二十一世紀は両者がそれぞれの特徴、テレビは一秒三十コマ
の目の滑らかさ、映画は二十四コマの目の粗さと緊張度、製作者がこの特質を理解し把握することにより、
住み分けの可能な新しい分野を構築し発達していくと思う。映像とは人間にとって永遠に無限の芸術かも知
れない。
(インタビューは平成8年4月23日、東京都内の橋本氏の自宅で。文中一部敬称略)
826 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/08(木) 10:52:32 ID:Mo3/yS1H
>>823 映画館で6時間は無理だわ。今じゃ家で七人の侍DVDで見たあと
どっと疲労感が。これを映画館で見てたら・・
長いと冗長になりがちだし。何より脚本家が切ったんですからね。
ま、見比べてみると面白いだろうけど。
827 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/09(金) 06:45:27 ID:EHKiM0ob
「青森シネマパラダイス」には、八甲田山から20年≠ニ題し、次の文が載っており
ますので転載しておきます。
八甲田山から20年
製作三年/エキストラ八千人/全県あげロケ協力
映画「八甲田山」が昭和五十二年六月に全国で封切されてから足掛け二十年。徹底した大
作主義の下で製作されたこの作品は、日本映画史の中でも大きなエポックとなったほか、長期
ロケが敢行された本県にとっても多くの人々が協力した「県民映画」として、県民の記憶に深く
残されている。
製作期間三年、総製作費七億円、使用したフィルムは三十万フィート、エキストラ延べ八千人。
高倉健、北大路欣也、加山雄三、三国連太郎、栗原小巻、加賀まりこ、秋吉久美子ら豪華スタ
ーが出演。スタッフも「日本沈没」の森谷司郎監督をはじめ、製作に橋本忍、野村芳太郎、田中
友幸、音楽は芥川也寸志、カメラは木村大作と一流がそろった。そして、厳寒の八甲田で二年
にわたり冬季ロケを行うという難行に敢えて挑戦。どこをとっても、わが国の映画史上まれにみ
る大作といえる。
製作をリードしたのが、脚本家の橋本忍の音頭で設立、頭脳集団≠ニいわれた独立プロダ
クション・橋本プロ。低迷を続けていた邦画界にあって、洋画攻勢を跳ね返し凌駕(りょうが)す
る作品を作ろう―との姿勢だった。
原作は新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」。百九十九人が死亡、わが国最大の山岳事故
といわれる青森歩兵五連隊の雪中行軍遭難事件(明治三十五年一月)を題材に遭難した第五
連隊と、同時期に別コースで行軍、全員が生還した弘前第三十一連隊を組織論的に対比させ
た作品だ。橋本はこの作品を大幅に改作、脚色し、高倉と北大路が演じる両隊の大尉が雪の
八甲田で出会う約束を交わすなど、史実にない人間ドラマを加えて、スペクタル性あふれる物
語とした。
昭和四十九年二月にロケハン開始。カメラテストを重ねて五十年六月に田代平のツツジ群生
地のシーンでクランクイン。その後、五十一年、五十二年を通じて冬は八甲田でロケ。春、夏、
秋は青森ねぶた、弘前ねぷたのほか岩木川、金木町川倉の地蔵まつり、新緑の紅葉の八甲
田、十和田湖など、徳島大尉(高倉)の回想シーンなどに使う県内四季の風景を撮影、また、
ごまかしの無い本物の絵≠追求するスタッフは、遭難再現のシーンで実際に人工雪崩を
起したこともあった。雪崩を正面から狙ったカメラ一台が谷川を越えてきた雪に埋まるアクシ
デントもあったが、寸前まで回り続けたため予想を上回る迫力満点の映像が撮れたという。
五十二年二月にクランクアップ、同五月に完成した。
全編の大部分を占める県内ロケには、県内挙げて協力した。県は製作を後援する立場を取
り、各方面に撮影への協力を要請。延べ約八千人に上るエキストラはほとんどが手弁当で参
加した県民たちだった。消防団員、市町村職員、営林署員、民宿経営者、観光遊覧船の機関
士、青年会議所の若者、小学生から大学生に至るまで、一本の映画にこれだけの県人がかか
わったことは前例を見ない。
県内封切も異例ずくめ、配給先の東宝は、青森市四館、弘前、八戸市が各二館の計八館で
全国より二週早く先行封切り、さらに他の市、町の計六館でも順次公開する「フォア・オール方
式」という超拡大公開を行った。同社は、同じ年に開かれた「あすなろ国体」と絡めて宣伝する
ステッカーを配布するなど県内で積極的な宣伝・動員戦略を展開した。その結果、県内の観客
動員は約三十万人。県民の五人に一人が見た計算になる。
全国的にも、興業収入は二十六億円、観客動員は五百五十万人を記録。同じ森谷監督、
橋本脚本の「日本沈没」が打ち出した二十億円というわが国の興業記録を更新、金字塔
を打ち立てることになった。
828 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/09(金) 12:04:35 ID:or7pKQt6
艦長!!痛いクソスレが上がってます!1は痛すぎます!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ ∧ ∧
___( _冂二冂(,,゚Д゚)
∧⊂/ ̄|二| ̄\つ∧二ヽ
ι匚|_/_\_匚i_|∪∪i]
\/∠ / / \_/二/
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/∠ / ∧_∧___ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/∠ / /7´Д`;) / | < …ええい!削除人は何をやっている!迎撃しろ!撃ち落せ!!
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∠ / /__(_(_)/ ̄ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ / \\\/ (・∀・;)< スレッドストッパー発進準備どうぞ!1を撃墜します。
 ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄| ̄\ ) \ ____________
829 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/09(金) 12:26:34 ID:EHKiM0ob
座談会
雪と寒さの地獄から
――企画・準備・製作・五年の歩み――
出席者 橋本 忍(脚本・製作)、野村 芳太郎(製作)、森谷 司郎(監督)
木村 大作(撮影)、神山 征二郎(助監督)
企画と原作
橋 本 昭和四十六年に原作が出た直後、野村さんから「八甲田山死の彷徨」という小説を
読まれましたかと聞かれたんだが、僕はまだ読んでなかった。
野村さんは映画にしたら面白いんじゃないかと言われたが、昔、青森から国鉄バス
に乗って八甲田を通って十和田湖へ行った事があって、そこでバスのガイドさんが
歌ったりして雪中行軍で兵隊が二百人近く死んだということは聞いていたんで、
兵隊さんが二百人死ぬ話というのは映画にならんのじゃないですか――と言ったら、
いやそうじゃない。同じ時期に弘前からも三十七人が逆に行って、彼らは一人も死
なずに生還している。それが「八甲田山死の彷徨」だと言われるんで、それは面白い
かもしれないと原作を読み、映画になるんじゃないかと思ったわけです。
で、森谷君に話したら森谷君はすでに原作を読んでいて、やろうじゃないかという事
になった。
野 村 四十八年の夏頃からですね、「砂の器」と「八甲田」をやろうと言い出したのは。だか
ら両方殆ど同時スタートで、順番は「砂の器」を先に、ホンも出来上がってるし、やる
と。で、「八甲田」はその次にやる。準備としては同時スタートです。ただ他のプロが
やりたがっていたり、色々なことがあって、実際に具体的に詰めるのには四十九年
になりましてね、僕の記録によりますと、二月の十五日に新田さんの所へ、ま、その
前に下交渉があったんですけども、行きまして原作をかためた。ですから二月十五
日というと、まだ「砂の器」のスタートの――
橋 本 三、四日前だ。
野 村 ですから本当に同時スタートしているわけです。
橋 本 この原作については、いろんな独立プロや映画会社から研究をさせて下さいというこ
とで、やれるかどうか分らんからツバをつける状況が続いていた。決定的にこの原作
を下さいと言ったのは僕らが一番初めだったんだな。
野 村 ええ、あとは研究させて下さいということで、よそから話があったらちょっと待ってもら
って、うちも研究をといったような話ですね。なかなかやっぱり、どうやって作るのか
ちょっと見当がつかないというのが、この原作の持っている性格じゃないですかね。
橋 本 たとえば原作を買うでしょう、ところがむこう(青森)行って調べたら出来ないという結
論が出たとしますね、我々はそれであきらめますよ。だけど映画会社の場合には買
っていないものを研究してみても仕方がないし、第一出来もしない原作を買ったりす
るだけでは誰かの責任問題にもなる。その点我々は違う。皆んなでこれをやると決
めたんだからまず買うことが先決で、どういうふうにやるかはそれから後のこと。色々
やってみても出来なきゃ、しようがないわね、そういう割り切り方ですよ
830 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/09(金) 12:31:13 ID:EHKiM0ob
野 村 それともう一つは、僕らは映画何本かやってきて、取り上げる前に、どこかいけるとい
う勘がありますよね。やりようがある、作りようがあるという。その勘にふれないような
ものだったらやはり手がつけられないけれどもこれは何か方法がある筈だと、そうい
うものがありましたね。
橋 本 一人も反対者がいなかったもんな。ということは、これだけ映画やテレビの世界でメシ
喰ってる奴がいて、これはいけるんじゃないかということ・・・中には一人や二人反対
する者が当然出て来るのを、全員一致で、やり方は難しいけれども、やればいけるん
じゃないかってことだった。
森 谷 だから映画的に非常に魅力のある素材であると皆の意見が一致したということでしょ
うね。だから研究してみようっていうことは即、買うってことになるわけで、皆さんは研
究してたらしいんだけど、映画的魅力を感じることが少なかったから研究≠ェ長引
いたんじゃないのかなあ。結果論かもしれないけど、出来るか出来ないかは、正直言
って我々だって、それから紆余曲折があるわけなんだけども、それに魅力を持つとい
う、映画的素材なんだという・・・・・これに大きな魅力を感ずるってことが大事なんだと
思いますね。
ロケハン始まる
橋 本 「砂の器」の撮影が青森県の竜飛岬出で二月の十九日から始まって、その時に森谷
君がロケーションを一日だけ付き合い、青森へ引き返し、八甲田へ入った・・・・・だか
らあれは四十九年の二月二十日ですね。
野 村 「砂の器」は十九日にクランク始めて、森谷君は二十日にロケハンを始めたわけです。
橋 本 「砂の器」の冬の分と春の分が終った五月の下旬ですね、ハンティングは。
野 村 十八日にハンティングの打ち合わせをしましてね、二十七日です。僕が秋田のロケハ
ンをやって、青森の駅へ行き皆んなと合流しましてね。
橋 本 それから五連隊の歩いたコースと、三十一連隊の歩いたコースを案内して貰って、そ
の通り歩いた。で、当初は東京から近い所、どこかの温泉場でスキーでもやる所へ行
ったら、その裏側は冬山はどこも同じだから、手近なところでもうやれるという考え方
で青森へ行ったが、五連隊と三十一連隊の歩いたコースを全部歩き終わった時には、
何年掛かっても此処でやるよりしょうがない。本当は第二露営地の方がドラマチック
なんだけど、第一露営地の、あの、平沢の森に立った時に、他で作ってはこの映画
は嘘になるんじゃないかって気がしたんだけど。
野 村 僕は印象に残っているのは、弘前を出た田んぼ道で、橋本さんがこの映画当るぜ
って言ったのを、一番記憶に・・・・・。雪の中で此処を弘前隊が歩き出したら、この映
画はそれで決まるんじゃないかな、というのが一番強く残っていますがね。それが、ロ
ケーションではピーカンの日に、歌うたって歩いているあそこなんですがねえ。
森 谷 僕は慎重だから、全コース歩いて、やっぱり田茂萢のロープウエイで、八甲田、千六
百八十メートルぐらいの所、前岳が見えて、行軍コースがず―と見える所があるんだ
けど、小峠から大峠・・・・・そこで、やっぱり此処やればこのシャシンいけるという気が
したね。
831 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/10(土) 04:50:32 ID:uhlzgP0q
主役を決める
橋 本 わりと鮮やかに覚えているのは六月の下旬ぐらいですが、野村さんの「砂の器」の鎌
田の操作場、何回ロケーションかけても雨にたたられてだめな時に、大船の前の
松尾≠チていう喫茶店で、八甲田をやることに決めたんだから俳優さんを決めなきゃ
いかん、この主役の徳島大尉は誰かということで、僕がカードに色々の俳優さんの
名前を書いて森谷君と野村さんに選んで貰った。そうしたら二人は他のカードを皆ん
な裏返しにして、高倉健一枚だけが残った。そこで高倉健に決まったわけだ。監督と
プロジューサーがこれ以外にはないということだからね。しかし、僕は困った。高倉健
は東映以外の他社出演は一回もしていない。
野 村 その秋ですよね、「無宿(やどなし)」っていうのに出たのは。
橋 本 これには困ったけども、ホンを作って、持って行って頼み込めば、まァなんとかなるだ
ろう・・・・・。実際の撮影現場を青森の地と決め、次に決めたのは主役の俳優さんだな。
キャメラテストとシナリオ製作
橋 本 五十年の一月から二月にかけて、いよいよキャメラテストが始まった。実際のパナビ
ジョンを八甲田山へ持って行って雪がどう写るか。そのキャメラテストをやっている間
に、僕は冬の分のシナリオハンティングを兼ね、キャメラテストが終ってからホンを書
き始めたんじゃなかったかな。
野 村 そうですね。つまりどのくらい撮れるか、どういうことが出来るか出来ないか、やって
みないとわからないんで。どれぐらい雪が降るものだか、何日ぐらいで撮影できるも
のだか、いろんなことが・・・・・。
森 谷 どれくらいの温度で、どういうことがあるのか。地吹雪というのはどのくらいが限界で
写るものなのか、見えなくなる限界というのはどうなのか。色々な技術的なことですね。
橋 本 それからスタッフの服装だね、俳優さんにも通じるけど、どの程度の装備をすれば耐
えられるのか。森谷君はキャメラテストにつきっきりで、僕たちは他の場所を回って最
後に合流し、雪のない時に見た所を、もう一度、今度は雪のある時期に見て回った。
832 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/10(土) 04:51:39 ID:uhlzgP0q
森 谷 その段階ではパナビジョンを使うことは決定していたわけで、パナビジョンのレンズは
焦点深度が深く、雪みたいなものの撮影に向いているものだけど、特別の装備という
んじゃなく、今までの常識の防寒、そういうものっだわけですよね。それでは駄目って
いうのも出て来て、それからもう一遍改良して、いろいろ・・・・・。
野 村 レンズに雪がたまらないようにとか、そういう細工はみなそのあとに出て来たんです。
橋 本 今から考えるとおかしいよな、酸ヶ湯で世話になった貝守さん、案内してもらったら彼
は長靴でしょ、現地の人があれだから長靴が一番いいんだということになって、長靴
にしたらね、冷めたくてどうにもならん。(笑い)
野 村 キャメラテストした全員にね、長靴買って来て履いてもらったら、全然評判が悪くて
駄目なんだ。
森 谷 すぐ放り出しちゃった。(笑い)
野 村 それから、雪についていろいろ話を聞きましたねえ。
橋 本 キャメラテストで、イソやん(キャメラ助手)が、凍傷で耳が落ちかけたり・・・・・耳が
一番怖いってことが・・・・・。
森 谷 耳がなくなったなんて事件があって、これはどういうことをしなきゃいかんのかとい
う・・・・・映画スタッフに関しては今まで我々が考えていた防寒ぐらいではいけない
ぞと、そういうデータを全部出したわけですね。器械だけじゃなくて、人間に関する
こともデータを細かく出したわけです。
橋 本 とにかく、耳が怖いな――というのが、実感だったね。それから、パナビションという
レンズが以外に性能がいいってことが結果として、森谷君、あったでしょう。
野 村 それから、その辺から青森県のいろんな関係に連絡をつけ。協力体制みたいなもの
が出来てきて、県知事に逢って色々お願いするとか、山岳遭難対策防止協議会です
か、あそこを中心にロケーションに協力しようみたいな話しが出たり、そういう動きが
その年の冬からあったわけです。
橋 本 ホンは、キャメラテストやそういうのが終って二月の中頃ぐらいから始まり、四月ぐら
いに第一稿が出来た。
野 村 第一稿は、五月の二十四日です。
橋 本 いや、しかし、キャメラテストの時は台本持ってたじゃないの。
森 谷 あれは構成台本。しかし、下手なシナリオよりはシナリオ的な。かなり厚いね。
橋 本 かなり厚い構成台本持ってたよな。
森 谷 キャメラテストをやる前に、そういうかたちを作っとかなくちゃいかんと言う事でね。
野 村 構成台本が刷り上がったのは一月の十四日です。
橋 本 それ持ってったんだ、すぐ。(笑い)
833 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/11(日) 05:47:26 ID:GQNW2q+G
クランク・イン
野 村 六月の十八日にクランク態勢を決め十九日に向こうで集まり、十九日、八甲田温泉
泊まりロケ、と記録にはなっています。
橋 本 緒方拳と下條アトムが出る田代平のつつじの辺りだね。
森 谷 だからその前に衣装とか小道具とか、そういうものを、どういう服装で、どういう小道
具がいるのかってことを、初めは二人しか出なかったけども、当時の兵卒、士官、
将校はどういう服装になるのか衣装道具調べを全部やった。台本が出来た五月下
旬から六月上旬にかけて。
野 村 第二稿は六月の二十五日に刷り上がっています。
森 谷 出発前に印刷屋へ出して行ったということだね、六月の十九日は、二人の雪の中で
の回想場面ですね。そこを撮るために六月の二十日をセンターに、田代平のつつじ
が満開だということで、十九日から始めた。
野 村 十九日から二十四日まで掛かってますね。
森 谷 天気が悪くてね。
橋 本 この時、スタッフは何人や。森谷君と、(木村)大作と(加藤)雄太と(橋本)信吾と野村
さんと、僕と川鍋君、七人か。七人で始めたんだな、一番最初は。青森放送からイン
トレを借りたら、テレビカメラを乗っけるイントレで、これが重たくてねえ、森谷君はキャ
メラのレンズやなんかショイコに背負っているので、大作や皆んなで、あれを担いで・
・・・あれは重かったなあ。
木 村 重かったですねえ。
森 谷 (橋本さん)レフをやっててね、大作に動かないで、動かないでと言われてさ。(笑い)
一日だけだったかな。天気が良かったのは。広い画はみんなその日に撮ってるんだ。
橋 本 八甲田温泉の近くの、あのお社に、お賽銭なんぼ上げたかなあ。今日は晴れてくれ
今日は晴れてくれって。その撮影が終り、そのまま十和田湖の実景を撮りに行った
じゃなかったかな。思い出の中で非常に重要だから、新緑の十和田を。それから、
徳島の子供時代の岩木山狙いがあって、あの家の上に、夕方暗くなるまで居たこと
があったじゃないか。
森 谷 あの時にフィルム回してますよ。
野 村 それで、七月の十五日から夏のロケを――。
橋 本 これは、ラストシーンから始めたのかな。緒方拳の、幸畑の墓地をやったり田茂萢の
上をやったり・・・・・
野 村 それから祭りまで。
834 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/11(日) 05:49:21 ID:GQNW2q+G
橋 本 随分長かったね、ロケーション。
森 谷 その間に夏の十和田に何遍も挑戦して。
橋 本 それで、子供時代の、岩木川の奥へ水遊びとか、川倉の地蔵祭り、それから・・・・・
野 村 七月は、弘前のねぷたの前から青森のねぶたへつながり、八月のアタマでヘリの
影してうまくいかなくて、十二日までねばって、またうまくいかなくて、ずっとつながっ
ているわけですね。
森 谷 ヘリは野村さんね、新緑の頃から狙ったわけです。六月にはじまって、新緑の十和田
湖から八甲田を撮るっていうんで、十三回狙って、おわったのかが確か九月のアタマ
だ。
橋 本 七月の末に弘前のねぷたやって、八月のアタマに青森のねぶた・・・・・あのロケーシ
ョンは非常に長かったような気がするな。
森 谷 十七日から行って二十日間ぐらいいたわけでしょう。夏の思い出の部分ですね、主と
して。
橋 本 三年かかったというのはね、冬場がシーズンになったから、三年じゃないのよ、子供
時代の四季を撮るために三年かかってる部分があるんだな。
森 谷 編集したら両方で四分だね。前が一分半、後が二分。
橋 本 (笑い)
野 村 それに三年かかってるわけです。
橋 本 それから紅葉を狙ったんだけど・・・・・その次ぎの年にやり直すことになった。
森 谷 その年はね、紅葉撮っとこうということで、これでいいというところまでいけなかった、
製作の方法と映画会社
神 山 二年近く皆さんとおつきあいしてて、聞くチャンスがなかったんだけど、僕が参加する
ずっと以前から準備をされ、また撮影されてこられたんだけども、ちゃんとスタッフを
編成する前、お三方と他の三、四人の方たちは、そういう規模で「八甲田」をやってこ
られる間、この作品は絶対にやるということだったんですか。
野 村 勿論そうです。
橋 本 微塵もやらないことは疑わなかったね、その時は。だって、俳優さんにも頼むしさ、
ギャラも払わにゃいかんし、お金も出ていくし、映画にならないとは全く考えなかたね。
森 谷 それはやっぱりホンが早く出来たということも、わりと大きいと思うよ。とにかく実景だ
け撮ってこうやということで始まると、ホンも固まってないし、ということはあるんだけど
も。ガチッとしたホンがわりと早い時期に出来たもんだから、いろんな設計が立てやす
かったということと、ここは小編成でおしていけるというとこは、徹底してそういう整理が
出来たということもあったと思うね。だから、ホンが出来ていないのに、とにかく夏の分
だけでもとかいった計画性のない雪崩現象でズルズルやったのとは根本的にちがう
んだよ。
835 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/11(日) 05:52:08 ID:GQNW2q+G
野 村 東宝の映画になって出ると決まったのは秋の話だからね。
橋 本 だからそれまでは、どこの企業とも話しをせずに・・・・・撮影をはじめ、どこで公開する
とも決めてなかった。
神 山 向うから話が来るまで、こっちから売り込むという考え、全くなかったんですね。
橋 本 それは神山君、全くなかった、というのはね、七月八月のロケーションが終った後の
話だけど、どこか映画会社決めなきゃいけないという問題になったわけだよ、その時
にね、冬のキャメラテストのフィルム実景といろんなものをつないで見せて、ホンを渡
したらね、むしろ競り合って取り合いになると。結果的に事実、そういうことだよね。
この問題いろいろあるけど、野村さんは松竹だし、森谷君は東宝だしね、編集した
フィルムとホンを、どっちに先に見せるか大問題になったわけ。野村さんはね、同じ
場所に両社の人間を集めなきゃいけないんじゃないか――(一同大笑い)でもそれ
はなんだから、東宝を午前中、松竹を午後というスケジュール組んでやろうとしたらね、
東宝は松岡さんがいなくてね、松竹に先に見せてホンを出したわけね。それから一週
間か十日遅れて東宝の画を見せてホンを渡したら、東宝はあなた方の条件を聞きた
い・・・・・と、こうなった。だから、僕達の考えはね、両社が欲しいということになったら、
条件のいい方だと。片一方どっちかが、うちはいらんといい、片一方がいると言えば
自動的にそこ・・・・・。両社ともいらんといったら、次ぎの冬の撮影まで全部やっちゃう、
その時には値段はまた高くなると。
神 山 そういう考え方というか発想がね、僕なんか、近代映画協会でやってきて、独立プロ
の中で十年ほど見てきたわけですけど、ちょっと違いますよね、何か一種・・・・・尊大
なやり方で逆ですよね。だから僕は一緒に仕事させてもらうまでは、橋本プロってい
うのはどういうとこかなって、大変興味もあったし、勉強させてもらう意味で参加させ
てもらったんですけど。
橋 本 わりと単純なのよ・・・・・
野 村 そんなに難しく考えてない。
森 谷 さっきも言った通り、ホンが出来てたということと、キャメラテストをやって実景を撮って
ある程度見せる材料が出来てたということ、それからメインキャストが決まっている・・
・・・それだけそろってるということね、それがあるから強腰になったんだという気もする
けど。
橋 本 ホンが出来て、七月頃だったかね、高倉健に読んでもらって、出てくれるかと言ったら、
出る!≠ニ言ってくれたわけです。
野 村 このキャストで、このスタッフで、この材料で、橋本さんも東宝の中でプロデューサー的
な仕事をやってこれたし、僕も松竹の中でそんなことしていて、喰いつかない筈がない
と見てますよね。
橋 本 買わなかったら嘘だという考え方だ。
野 村 このキャストが、このメンバーで、これだけの時間かけて作るものを買わない方がお
かしい・・・・・だから、いつ買いに来るかというだけの話だというふうに・・・・・。
森 谷 パナビジョンを使って全部EKで撮るんだという姿勢もあったしね。営業の人達だって、
みんなそういう計算はするから、その段階で、その三つがあったってことは、やっぱり
ある強い姿勢を示せたんじゃないかな。会社の話す場合、高倉健のキャストまで決ま
っていたということは大きかったと思う。
これのカメラマンだった木村大作がメガホン握って映画撮ってるんだね。
やっぱ新田次郎の原作らしい。
837 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/12(月) 07:12:05 ID:viF2LsC6
橋 本 十月に製作が橋本プロと東宝映画とシナノ企画、配給は東宝に決まった。
野 村 製作発表は二十日です。帝国ホテル。十月二十日。
橋 本 その時には、キャスト決まっていたな、ほとんど全部。
森 谷 加山雄三、加賀まりこを除いては。
橋 本 スタッフはもうちょっと後だな、神山君なんて話聞いたのはいつ頃や。
神 山 おととしの秋・・・・・
野 村 製作発表の前ですね。メインスタッフは。
高倉隊のロケ
森 谷 十一月に準備をはじめて・・・・・
野 村 衣装調べだとかいろんなことがありますからね。
森 谷 十二月にロケハン、正式なスタッフでね。
橋 本 この年は雪が少なかったんだよ。
野 村 大問題(笑い)・・・・・その前の年は多かったんです、キャメラテストした年は。そのキ
ャメラテストした年に見た雪の状況とかなんとかで、いろんなプランを立てて、翌年
スタートしたら、それが少なかったわけです。
森 谷 ロケハンの時にはあったのに、さァとなると雪がない。
野 村 逆にあったところがないという。
橋 本 ダンプを持って来て、雪を運んで、道に敷いて屋根にかけてさ。
木 村 ダンプ十台ぐらいで運んで、屋根からなにから皆んなかけて・・・・・
神 山 ちょっと記録的に少なかったんです。でも、映画の撮影ですからね、雪が降って来る
まで待てないというのもありますから、十キロ離れた山から、ダンプで十台から十五
台ぐらい運んで屋根に乗せたってことがありましたね。
森 谷 雪を買ったわけだ。(笑い)
橋 本 それからね、しんどかったのは、高倉隊が兵営を出て、弘前平野、岩木山をバックっ
ていうところでね、二回ロケーションかけてもだめで、三回目、六時起きして朝飯も喰
わずに行き、終ったのが十一時半か。だから、健さんたちは田んぼの真ン中で、四時
間ぐらい立ってたのかな。あれ、腹減ったよね。
838 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/12(月) 07:13:38 ID:viF2LsC6
森 谷 それから寒さという点ではいろんな経験をしたわけだけど、大木平という所で、八甲田
がバックに見える―――という所であれ、三時間ぐらい待ったかね。
橋 本 覚えてるよ、山の上の広い高原地帯の所なんだけど、午前中の撮影が終って廃校に
なってる学校の校舎に入って、婦人会の人が味噌汁作ってくれてね。こう(凍える手で)。
あの時、きつかったね。
森 谷 今、考えると楽だったけどね。それと十和田湖畔を歩く場面があるけど、ロケハンは
実際、銀山を出発して宇樽部まで、リアルなコースを歩いたんだけど、天気がやっぱ
りそういう具合(吹雪)にならなくて、最後の一日、ものすごく吹き荒れた。だから、一
週間ぐらい掛かるところを二日ぐらいで撮っちゃった。吹き荒れた時には、この仕事
はロケハンではA案、B案、C案ぐらいと計画を立てていても、それをさらに臨機応変
に変えていかないといい画は撮れないという実感がヒシヒシとね。あれは貴重な経験
だった。
木 村 ロケハンの時は地形のいい場所を選ぶけども、実際には(吹雪)がこない場合もあ
るわけで・・・・・
森 谷 神山君なんかスケジュール握ってるわけだから、土地の人にいろんなこと聞いたり
するのよ、それが以外に当らないんだなあ(笑い)
神 山 土地の人ってのは、今日は吹きますって言うわけですよね。こっちはかなり必死な思
いしているのに、それが全然吹いてこない。
木 村 一昨年の撮影は、本当は一週間ぐらいの撮影にしかならなかったですよね。
森 谷 いや、湖畔歩きだけで、一週間ぐらいのスケジュールだったろう。
木 村 十二日いましたよ、和井内に。
森 谷 実質は二日だよね。
神 山 でも、普通ですとね、吹きそうもなきゃ旅館で待ってるんですよね、吹いて来るまで。
(一同笑い)でも、定時の七時半出発なんです。とにかく七時半に出て、吹いても吹
かなくても冷たい服を着てね。
森 谷 キャメラの絞りの可能な一杯までねばってなきゃいけない。
神 山 まァ、無理してもワンカットですから・・・・・。従来の映画撮影であれば、風がなきゃ
大型扇風機を持って行って吹かせるってことも出来たわけですが、深い雪の中です
から扇風機も持ち込めないというかたちで、ひたすら、風の吹くのを待っていたわけ
ですよね。
木 村 ジェット機が上を通るんですよ、あれと間違えるんですよね。どっかから吹いてこない
かと耳を澄ませていると、ゴーッと。風の音と似てるんですよ、十和田湖のまわり、山
ですわね、風が吹くと、その木が鳴ってくるんです。それをじっと待ってるわけですよ。
今に鳴ってくるか鳴って来るか。音がすると、ホッとする。これがジェット機なんだな。
839 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/12(月) 07:23:16 ID:viF2LsC6
>>836 新田次郎原作『劒岳 点の記』
出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル。
2009年公開予定。
840 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/12(月) 17:41:53 ID:Rs2UBmE4
大作70近いのに剱岳に上って凄いね
八甲田の頃はまだ40過ぎた頃か
841 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/13(火) 06:38:21 ID:EzRzO5Zr
森 谷 北海道へ行く便が真上で。
橋 本 あの時、空を見上げてね、あんなに空が広く感じたことはないよね。風が来てくれな
きゃ困るんだけど、どこから来るかわからない、空は広いと思ったな。
野 村 雪が少なかったのは太平洋側だけで、十和田湖から十和田市へかけて、つまり、連
隊が弘前を出て、八甲田へかかるまでの撮影だから、十和田湖を越え太平洋側へ出
なきゃいけないのだが、そっちが雪が少なかった。この撮影は一月末までかかった。
森 谷 僕と大ちゃんは残って、実景を二月の中頃までやった。それから雪崩を撮ろうと思っ
たんだけど、結局その年は雪が少なくて、雪庇のつき具合もよくなくて中止し、その間、
八甲田の実景を二月十五日まで撮ったんです。山の変化をね。
木 村 まァ、いくらでも待っていようという気分だったんだけど・・・・・
森 谷 春になっちゃうんだな。春の雪に。
橋 本 四月の末に桜を撮りに弘前へ行っています。それから五月に林檎の花、菜の花、田
植え・・・・・撮りに行ったね。その間、十和田湖の実景は何十回となく狙っているな。
木 村 六月に特報が出来てますね。
森 谷 夏はねぶたの音を撮りに行ってる。
木 村 その間に七十ミリに仕上げたりいろんな事をやってますね。
森 谷 撮影が終った後は今まで出来た分の編集ですわな。それによって特報、予告編的な
ものを作って行ったということ。夏はステレオで、ねぶたの完全な音を撮るということ
ですね。
木 村 九月の末から紅葉のロケ・・・・・。
橋 本 それから、新発田と、秋の本格的な大ロケーションになったのはいつ?
野 村 ロケは十月十七日からです。十六日から行ってますから。
橋 本 これは、まあ、全員と言っていいぐらいの大勢の俳優さんを連れて行って、新潟県の
新発田からロケーションを始め、それから弘前へ上がって、後のシーンをず―っと撮
って青森へ行ったな。
森 谷 十三湖・・・・・思い出の秋の部分ですよね。稲刈り、脱穀、野焼き、それから林檎の
実り、ちょうど稲かりと林檎の熟する時が同じ頃なんですよ。
木 村 秋は全部晴れで撮っている。
橋 本 あの秋は天候に恵まれたんじゃないのかな、あれは―。
森 谷 僕も二十何年映画やってて、あんなのは初めてだね。
神 山 そうですね。天候的には、あのお天気が一番つきましたよね。
橋 本 ついてたねェーあれは。
842 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/13(火) 06:40:09 ID:EzRzO5Zr
木 村 いや、一番ついてたのは今年の冬、雪が多かったということですよ。(笑い)
森 谷 あのつきがそのまま冬へ行っちゃったということだが、秋のロケーションを終ってセッ
トは・・・・・十月の末に帰って来て、十一月の頭に準備して・・・・・。
橋 本 十一月いっぱいぐらいかかったのかな。
神 山 十一月の初旬から始め、十二月の四日頃まで、大体一ヶ月近くです。
野 村 打ち上げパーテーが四日ですね。
越冬ロケへ入る
橋 本 セットが終って、すぐロケの準備だな、十二月の中頃には出たんじゃないかな、先発
は。
神 山 十二月十六日ですね、下準備に。
森 谷 そうすると、丸二ヶ月のロケーションだな、今度はね。大挙して東京から俳優が六十
人位行くし、向こうではエキストラが毎日何百人となく出るんだから、延べで六、七千
人の人がでることになる。
野 村 その準備には夏から・・・・・いや、これはもう一年がかりで準備してるんですよ。
森 谷 それから前の年あまりにも雪がなかったからね、慎重にロケハンした場所に行って
これだけの積雪量でいけるかどうかとか、そういう根回しをやらなきゃいかんので一
週間位前に先発しているんだね。
神 山 そうですね。監督と木村さんと、私なんかと。
橋 本 撮影が始まったのは何日?
神 山 二十一日に本隊が入りまして、クランクインが二十三日です。
橋 本 田茂萢からだな。
神 山 実はね、青森、寒い所ですけど、やっぱり本当の冬ってのは、十二月の二十日過ぎ
なんですよね。だから、まだ平地には雪はない、殆ど無いに等しい位なんですよ。
しかし、田茂萢岳というのは一番雪のある所、標高千六百メートル位のところですか
ら、ま、そこなら既に積雪二メートル位あるわけですよね、そこからクランクインした
んです。
橋 本 神山君、僕達は前の年の経験があるけど、初めてのあの時スタッフに加わった人、
田茂萢の頂上、きつかったんじゃない?
神 山 きつかったでしょうねえ。(笑い)あれは。
843 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/13(火) 20:43:32 ID:AfFVwcYU
座談会途中ですが来月「八甲田山 完全版」がCS日本映画専門chで
放映されるようです。
特集 高倉健 春夏秋冬、そして遥かなる大地へ
年末年始特別企画 12.29−1.6
「八甲田山」から最新作「単騎、千里を走る」まで
海峡、駅 STATION、四十七人の刺客、あうん他
今般、貴重なものをありがとうございました。
で、いてもたっても居られず、昨晩全篇観てしまいました。
お陰で今日は朝から寝不足、フラフラで出勤(笑)。
座談会も面白いですねぇ。
木村氏のあのガラッパチ調が耳に蘇ります。
845 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/14(水) 05:08:00 ID:rxGdotk/
橋 本 健さんが週刊誌に凍死寸前って書かれたのはあの時だ、田茂萢の頂上。大ちゃん、
あれはきつかった?
木 村 きつかったですね。いや、下見に行った時が一番きつかった。
森 谷 (画面の)顔に出てますよ、やっぱり温度っていうのがね。
野 村 あそこまで上がってしまうと大分違うわね。桁が違ってくるわね。
森 谷 健さんなんか、顔が真っ赤になっちゃった。
神 山 ケーブルからドアを開けて出るでしょ、出たら戻れないですよ。本当に信じられない
寒さ。目は開いていられない。口は開いてはいられない。もう何も出来ない。
森 谷 死ぬかと思うね、これは。五分を越えて立ってたら死んじゃうと思う。
神 山 僕も一冬経験したし、森谷さんや木村さんはその前の年から冬山を経験しているん
だけど、その三人なり四人が、ガラッと戸を開けて外へ出て、僕は五メートルぐらい
出ましたかね、笑っちゃったわけですよ、つまり、進めないんです。(笑い)もう帰りま
しょうってね。零下二十度以下なんですよ。だけど、風が一メートル吹くと、体に感じ
る温度って云うのは一度落ちるから、あの時は、たぶん零下三十五度から四十度
近くあったんでしょうねえ。(笑い)
木 村 何も出来ないって感じね。
神 山 やっぱり、あの・・・・・なかなか、精神力だけでは克服出来ないって。(笑い)
森 谷 そういう状態の中でも、それを狙いに行ったんだから、やらなくちゃ話にならない。
木 村 人間の眼はね、きついと眼をつぶるでしょ、瞬きするでしょう、キャメラってのは瞬き
しないからね。人間の眼は開いちゃいられないけど。
森 谷 だから、見えない瞬間を何コマか・・・・・ファーッと見て、また見えなくなって・・・・・そ
れはもう凄い。
木 村 あれはもうキャメラのメカニックが耐えうる、多分限界でしょうね。
橋 本 だけど、キャメラが途中で止まったじゃないか。(笑い)
木 村 キャメラは完全装備しているわけですよ、ヒーター付きでね。全てこれ以上は、出来
ないって装備をしているわけです。ただコードだけはね、全部ゴムを巻いてやったん
だけど、寒さは防げないんだよね。スイッチの所が凍っちゃうんですよ、スイッチを入
れても接触しないわけですよね、それで回らないケースがね。だから助手は木下藤
吉郎みたいに十本位コード持って、いつも懐に暖めているわけ、回らない≠チて
言うと、すぐそれを取り換えてスイッチ入れて回す。(笑い)
神 山 撮りたいと思う時、回らないっていうのはこんなに腹の立つことはない。(笑い)
846 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/14(水) 05:10:02 ID:rxGdotk/
森 谷 俺もアタマ来るもんね、何だか分らないけど回らない時コード換えて!=i笑い)
すると、回るわけ。
橋 本 その次には田代平って所へ行った。劇中では、高倉=徳島隊が大中台へ立って初
めて八甲田の全容を見る大変な所なんだよ。そこは雪上車でしか行けないから年齢
制限で四十五歳以上の者は残ることになり、俺は残ったが、二年前のキャメラテスト
の時に行った経験から言うと、本当に怖い気象条件の所だな。
野 村 そうですね、一遍狂うと、とても逃げ帰る間がない・・・・・。
森 谷 本当に一寸先が見えなくなっちゃう。だから、そういう事があってはいけないので、十
台の雪上車のうち一台にはどこでも野営が出来る、穴掘って退避して一晩待つだけ
の食糧を詰め込んで、そういう体勢で行っている、この撮影は。
橋 本 気象が悪化したら、一昼夜のうちには救援隊が駆けつけるってこと。
森 谷 田茂萢の次にきつかった所でしょうね。
橋 本 それで、高倉隊を十二月の三十日までギリギリにやって終り、一応東京へ帰っても
らって、今度は青森大部隊に一月から・・・・・。
森 谷 徳島隊と神田隊を入れ換えた。で、スタッフは正月も勿論帰らない。
神 山 それはね、恐らく休みをとっても良かったんですよ。何故とらなかったかと云うとね。
お正月の前後ってのは一番冬型の、所謂撮影の望む気象条件が割合ある時なん
です。これを、休んでいるわけにはいかないんで、まあ、最小限度の三日間だけ休
みましたね。
橋 本 準備があるから二日だよ。
森 谷 でも良かったよね、それがね。それと、やっぱりスタッフの場合は、せっかく正規の編
成でセットから繋げていって、いいチームが出来ていて、冬の撮影がこういうもんだと
わかってきたところへ正月に三日間帰ったら乱れてしまうからね。正月って、一番乱
れる時だし、そのままチームワークをグワッと・・・・・。大人数の撮影になった時、その
固まったチームワークでぶつかりたいということがあったんです。
神田隊ロケからクランク・アップまで
神 山 一月四日からクランクイン、神田隊です。五連隊の方はシナリオ通りですね。シナリオ
を地で行くような。(笑い)なんか慌しい面もあったし。
木 村 人数も多いし、大変でした。
森 谷 大人数をこなす為に酸ヶ湯と云う温泉場を本拠地にして、五連隊は殆どその七十パ
ーセントかな、あそこで消化しているのは。一月の末までだから二十日間位ね。スタ
ッフを入れて、常時百七、八十人位かな。
橋 本 酸ヶ湯を根拠地に、青森方面に下ることもあるし、逆に八甲田の傘松峠へ上がるこ
ともある。だけど、その行動半径の中は、歩かなきゃしょうがない。雪上車もあるけど、
台数に制限があるから毎日、雪の中を歩き。
847 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/15(木) 06:10:26 ID:rMoGofRl
森 谷 大体、腰部まで入っちゃうね。
神 山 夜寝ますわね、で、朝起きて雪の中へ出ますと、一メートル近く沈んでしまう。
森 谷 新雪があるから。
神 山 雪上車も勿論使っているわけです。けどね、雪上車から降りますとね、僕なんか背が
低いですから、バサッとね。(笑い)まさにもう、これは泳ぐという感じです。新潟の雪
なんかとは違って、軽い雪ですから、本当に泳いでましたね。
橋 本 あの時、深いところで三メートルから五メートル位・・・・・。
森 谷 四メートル八十とか言ってた。だけど、おかげさまで雪が深く・・・・・。二日位穏やか
な日があったが、結局、二十日間雪の深さと風も適当にあって、旨くこなせた。
橋 本 朝七時半出発って云うのは六時に起きてなきゃ出発出来ないわけよ。それで夕方
四時半頃帰ってきて、飯喰って、それから夜間ロケがあるんだよ。十二時か一時ま
で続くんだよなあ。今から思うとよくあんな事やったと思うな。
森 谷 だから、俳優さん達は気違いのような状態になった時期があったんじゃないかな。
また雪の中を歩かされる・・・・・。そういう状況になった事も二、三回あったような気
がします。
橋 本 神山君、明日どうなる≠ニか明日何時出発なの?≠チて聞くと、五時間か六
時間、寝てりゃいいでしょ=Bそれが延々と続くんだよ。(笑い)
神 山 それはね、私がスケジュールの責任者だから仕方がないですよ。ただ僕も最後はヘ
ルペスっていう変な病気になりまして、やっぱり、それはしんどいですよ。夜間やって
るからって別に昼間遊んでるわけじゃなく、昼間は朝ちゃんと七時半出発で目一杯
やり、それからまた夜間をやって・・・・・でも、やっぱりとにかく風が吹いて、シナリオ
の設定に合うようにしたいですよね。だから随分きつかったですよ。僕、こんな事言
うと首脳部に怒られちゃうかもしれないけど、本当はね、僕ですら三回位もうお金
返して帰りたい=i笑い)本当に。今だから言えますけどね、それぐらいきつかった。
しかし、何かその、皆、耐えてやってきた何かはあると思うんですけどね。
橋 本 一人ね、俳優さんが、東京へ逃げて帰った。
森 谷 あれは脱走兵だ。(笑い)
神 山 最初に一週間位居ましてね、まあ、六十人位俳優さん居ますから、一人位帰っても
よくわからないんだなあ。(笑い)本当に気が付かなかったですよ。僕ですら気が付
かなかったんだけど、どうも一人帰ったらしいといっているんですよね。それで誰だ、
誰だって、名前聞いても良く分らなかったですけどね。どうも一人帰ったらしいという
話になりましてね。ま、結局彼はまた東京から帰って来ましたけど・・・・・。それは、
一つ大変象徴的な話ですけどね。
848 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/15(木) 06:12:11 ID:rMoGofRl
森 谷 それはね、皆がそういう気持だったと思うよ、僕も含めて。(笑い)つまりね、そういう
ものと闘っていたんだと思うな。だから自分自身との闘いになっていたと思うね。だか
らさ、気障な言い方すれば、このシャシン作るって事と、自分自身との闘いってものと、
セリ合っていたという気がしますね、その一月の撮影っていうのは。俳優さんも皆そう
だったと思うな。で、結局イヤ、俺は耐えたれたんだ≠ニいう言葉だけが残っている
という気がするよな。その俳優さんなんかの場合も。
橋 本 しかし、今期の冬の目標としては一番困難だと思ったのは田代平・・・・・実際にやっ
てみて、田茂萢の頂上もきつかったけど、まず田代平、それから、八甲田の迷平っ
ていう傘松峠の手前、続いて八甲田よりもきつい長平ってとこがあるんだけど、これ
から話の出る鯵ヶ沢根拠地のね。その三つともがやれたという事ね、ちゃんと。長平
には前の年の十月二十二日、廃車になるバスを五台、山へ持って行って退避所を
作っておいた。これは八甲田より危険だからね。
森 谷 日本海からそのまま北西の風が岩木山へぶつかる所なんです。逃げる場所が何処
にもない。木も生えてないし、そこで吹雪に巻かれたら方向もわからなくなるし、風が
おさまるまでは、どこかで退避しなくちゃいけないわけだ。穴なんかすぐ埋まっちゃうし。
神 山 行ってみてね、マントを張ろうかという案もあったんです。でもテントは飛んじゃうし、
それでバスを五台置きまして。これは随分役に立ちましたねえ。スタッフは入ってる
暇はなかったけど、出演の人は待ちが多いですからね、エキストラの人を含んでそ
こで待ってもらって・・・・・そのバスはまだありますよ。雪が五月中旬にとけますから
ね。そしたらまたバッテリーを入れて、引き揚げようって作戦なんですよ。
野 村 一人でも事故を出すまいと、これは最初の所謂プランの上での考え方ですけどね。
森 谷 二月はね、徳島隊も来る、青森隊も来る、両方ともそこでやらなければいけない。
青森隊が遭難する場所ですから、神田も倒れてしまう。そこへ徳島隊も来るわけだ
から、最後に両方がここでやらなくてはいけない。
橋 本 結果論だけどね、結局、青森の人が言ってるんだけど、今年の青森県は大量の雪
が降ったんだけど、それは鯵ヶ沢から五所ヶ原、青森、八甲田にかけての線ばかり
・・・・・。弘前なんてのはそんなに降っていない。国体やってるんだけど、自衛隊が
雪を運んでいる、スキー競技に。偶然か何か、我々が今年ウロウロした場所は、大
量の雪が降っているその線上だったわけ。雪が少なくてもいいのは奥入瀬だけだか
らね。とにかくこの線ばかりを・・・・・これも結果論だけど誰かが言っていたよ、結局
神山君の立てたスケジュールが良かったんだと。(笑い)
神 山 でもそれは、このスケジュールも、やっぱり橋本さん含めて監督、野村さんで三日間
位で最後の、スケジュール作戦やったわけなんですよね。気象条件、何月の何日ま
で冬型の気圧、冬型の天候か・・・・・そこから出てきたんですよ、全部ね。
849 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/16(金) 06:27:56 ID:sZsmLinJ
森 谷 だから、そういう意味では綿密な計算してたと思うんですよ。
橋 本 わりと、やれる範囲の計算はやったんじゃないかな。
野 村 一年目で雪を見て、二年目に高倉隊をやり、ある意味では三月になってからやった
んではとても間に合わないってことが・・・・・
橋 本 やっても駄目だったよ。
森 谷 それから、救援体勢も整えてね。そういう綿密な計算をした上で、なおかつ、さっき出
たみたいに天候に恵まれたということがあるのと同時に、キャメラマンがここに居るけ
ど、臨機応変の処置やね、スケジュールにはまらんもんでも、こういう風になったらこ
れが撮れると、現場ですっかり変えて撮ってきたということ。つまり、気象条件が変わ
ったからといって、お手上げにならなかった、一日も。つまり、どんどん柔軟に対応し
て行ったということですね、その現場のキャメラマンの力も非常に大きいんだけど、や
っぱり、その前に時間をかけて、綿密な計算が出来たってことだと思いますね。自然
に対応するには絶対場当たりでは駄目だったいうこと。
橋 本 そうだねえ。やっぱり長い間の経験がものを言ったかな。
森 谷 綿密な計算と、それから体で感じた、つまり体験と計算によって経験にし、その経験
で、なお、且つ不意打ちを喰らわせられた場合、どういうふうに対応するか。また、そ
こで最初の体験へと帰ってゆく。何かそういうことだったんじゃないのかな。物凄くア
クティブに対応していかなかったら、この映画は出来なかったし、アクティブに対応す
るためには、やっぱり時間をかけ、細かく計算した所から出発して、それから橋本さ
んと三人で回って、神山君がついて、キャメラマンと一緒にやって、それから立てた
スケジュール、それをもう一遍検討していってね、そこの部分っでいうのが大きいと
思うよ、それは。だから一年でやったらね――
橋 本 ああは行かないよ。
森 谷 そこで自然の不意打ちに対応出来なくてね。
野 村 メチャメチャなスケジュールではメチャメチャな画になるね。
森 谷 雪崩みたいに一度ドーッと落ち出したらとめどもなく落ちて行っただろうって。まあ今
僕が思うことですね。
野 村 収拾がつかなくなるね。
森 谷 それとね、何か、もう一遍やれって言われても、僕はやる気しないけども(笑い)今だ
から思うんだけども、そういう計算とアクティブな対応力みたいなものがあったと同時
に、今から思うとね、この間も冒険者の本読んだんけど、最終的には、この話、シャ
シンをやったってのはやっぱり冒険の精神みたいなものがあったなあ。
850 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/16(金) 06:37:18 ID:sZsmLinJ
橋 本 全員にどこかあったんじゃない?俳優さんにもスタッフにも、どこかそういうものがあ
ったから、何か支えられたんじゃないかなあ。
神 山 だからその両面ですよね。運が良けりゃって思想じゃないんですね。これは全く訳の
わからん自然、例えば一昨年は全く雪がない、今年はメチャクチャに雪があった。ま
さに自然の予測し難いアレですよね。だけどそれに対応して、それに打ち勝った行
こうとするね・・・・・。
野 村 ある意味では計算してるんですよね。
森 谷 だから、冒険者っていうのは、まあ非常に無計算みたいに言われるんだか、実は違
うんだ。冬山を離れて四十日位たって、やっとね、そんな感じがしてきた、冒険の精
神のようなのが流れていたんじゃないかと。
木 村 二月の十五日に皆んなが帰ったでしょう。僕らは実景で青森へ戻ったわけですよ。
で、あの馬立場の所へ行ったんです。そしたら、まあ、晴れてる日が多かったけど、
吹いた日があった、皆んなが帰ってまだ何日もたってないのに、雪上車から五分と
出てられない。要するに、終った、御大も帰ったんだから終った雰囲気があるわけ
ですよ、気持の中に。そうすると出てられないですよね、五分と。こんな中で、撮影
してたのかと思うとゾッとしたもんね。(笑い)
森 谷 うっかりしてたんだけど、僕はラジオを持ってって、雪上車の中で実景なんかの時か
けていた。それを置いて帰れば良かった。ラジオ一つないのがどんなに淋しかったか。
だから、それはね、そういう事も含めてやっぱり南極越冬隊だとか、それからヒマラヤ
の登山だとか、そういう冒険者の、わりとそういうものが流れていたんじゃないですか
ねえ。
撮影を終えて
橋 本 こないだの仕上げ、全部の俳優さんやスタッフが集まった時に、俳優さん達は、口々
に何か自分の心に残る仕事であったと、永遠に。しかし、二度とやろうとは思わない。
(笑い)これが正しいよ。それは全員の気持。
森 谷 それからこれは健さんの名言ですよこの仕事やったら、何でも出来る≠ニ思ったと。
自分自身がある極限状態へ、一回は、少なくとも一回は追い込まれていると思うなあ、
この仕事に参加した人は。
神 山 僕は一回じゃないですね。(笑い)
森 谷 それから、毎晩寝る前に明日もお願いします≠チて、布団の上に座って、こう、手
を合わせたみたいなことも初めてだね。
851 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/16(金) 23:50:50 ID:O7/wVUdz
木村大作は何年か前のウンナンの深夜のトーク番組で八甲田山の話をしてたな。
852 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/17(土) 06:51:52 ID:LbVmsPg3
橋 本 どんな祠の前、どんな神社の前、どんな石地蔵の前、通るたびに祈ったよ、本当に。
木 村 僕はね、つくづく感じたのは、撮らなきゃ撮らなきゃッて気持があるでしょう。で次の
日に天気がどうしようもなくて撮れないと、仕様がねえよなあ―って、スパッと割り切
れるわけ。そういうのも初めての経験だね。
野 村 だから、中途半端なものが何もないってことよ。
森 谷 何となく、騙し騙しやる、中途半端なものを受けつけなかったっていう仕事じゃないか
な。
橋 本 これは僕の考えだがね、やっぱり雪の中ではね、物凄く荒々しい気持になるか物凄
く感傷的になるかのどちらかで、中間思想っていうのが、わりとなくなる、ある意味で
ね。実はこれは手前味噌なんだけど、これからまた僕がホンを書く時にはね、今まで
はやや中間思想で作ったものが多かったけど、もっと荒々しい、もっともっと悲しい映
画が、ひょっとしたら書けるんじゃないかなって気がするね。「八甲田」で一番僕に残
っているのは中間思想っていうのはわりと役に立たんということだな。
神 山 森谷監督、木村さん、これはもう鬼か気違いかって言われてたんですよね。それで僕
がなだめ役ですから、ある面では仏様みたいな役割でね。でも実はそうではなくて、
鬼か気違いにならないと出来ない仕事だったと思います。
僕はね、この仕事やる前に演出の仕事をしてますし、そういう意味では大変よくわか
った。つまり、首脳部が仏様じゃ。(笑い)本当に鬼か気違いかって感じですよね。
野 村 恐らく、よそから見れば気違いが作った映画でしょうね。こんな事ってね、外部から見
れば絶対プランは立たないし、やりようがない。
森 谷 吉田さん(録音)がね、途中で現場へ来て、雪上車から降りて皆んなの姿を見た時に
ね、ジーンと、気温と両方できたんだって。胸が熱くなってね、涙が出たんだって。
こんな所でやるのか、ここまできてやるのか≠ニ思ったら涙が出てきたっていうん
だけど、わかるような気がしますね。
神 山 私、僭越かもわからないけど、結局、智恵と技術を提供する人間がやっぱり映画作
りでは中心にならなくてはいけないという、それを教えて貰ったという気がします。独
立プロっていうのは配給の力もないし、いつも何か貧乏籤引きながらやってきたと思
う。まあ、色々なケースがありますけど。
853 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/17(土) 06:53:35 ID:LbVmsPg3
橋 本 でもうちなんか、貧乏籤はあまり引かないようなことになってるんじゃないかな。(笑い)
森 谷 これからはもっとそうなっていくべきだと。つまり、映画の思想ってのは何か、といった
ら作ることしかないわけだから、そこにもう一遍立ち戻って考える。そうしない限りは、
結局、商売する方だって作る側だって、やっぱり本当に果たして作ることと、技術の
思想みたいな事に対して、どれだけ自分達が自己確認しているかってことが・・・・・
それも問題があるわけよね。
橋 本 それから、もうひとつ。誰かに作らせてもらっているという気持が全くない。自分達で
作ってるんだという意識が百パーセントで・・・・・。
野 村 ということでしょうねえ。
森 谷 それでなかったら二十万フィートも回せないね。(笑い)僕は十万フィート位がいいと
こかなあと思ってたら、このシャシンは二十万回さないと駄目になるぞ≠チて言っ
たのは橋本さんでね。僕も初めての経験、フィルムは企業内でも良く使う方だったけ
どこんなに回したってのは。やっぱり、今、橋本さんが言ったようなことが根底にある
わけなんですね。
橋 本 作らせてもらってるって気持になったらもうアカンのじゃないかなあ。この集団全部で
作ってるという爆発力。そういうことじゃないかなあ。
(昭和五十二年四月) 終り。
854 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/18(日) 17:23:15 ID:m9lia2Qo
スタッフ・キャスト・その他、転載しておきますね。キャストは
>>275でも書いたのですが、主要
キャストのみでしたので、再度転載します。
スタッフ
製作 橋本 忍
野村 芳太郎
(松竹)
田中 友幸
企画 吉成 孝昌
佐藤 正之
馬場 和夫
川鍋 兼男
原作 新田 次郎
「八甲田山死の彷徨」(新潮社版より)
脚本 橋本 忍
監督 森谷 司郎
音楽 芥川 也寸志
撮影 木村 大作
美術 阿久根 厳
録音 吉田 庄太郎
照明(セット) 高島 利雄
衣装 長島 重夫
小道具 滋野 清美
メーキャップ 高橋 勝三
スチール 藤巻 健二
助監督 神山 征二郎
助手(ロケ記録)橋本 信吾
〃 永井 正夫
〃 桃沢 裕幸
〃 (演技事務)中田 新一
撮影助手 加藤 雄大
〃 岸本 正広
〃 信坂 利文
〃 野村 俊祐
美術助手 小方 一男
〃 西田 忠光
照明助手 小山 勲
録音助手 田中 進
小道具助手 大光寺 康
特殊機械 三沢 一義
記録 米山 久江
編集 池田 三久子
〃 竹村 重吾
〃 糸賀 美保
製作宣伝 大門 正雄
製作担当 小山 孝和
製作係 三島 厳
久保井 修
855 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/18(日) 17:24:41 ID:m9lia2Qo
キャスト
徳島大尉(弘前歩兵第三十一連隊第一大隊第二中隊長) 高倉 健
神田大尉(青森歩兵第五連隊第二大隊第五中隊長) 北大路欣也
山田少佐(青森歩兵第五連隊第二大隊長) 三国連太郎
倉田大尉(青森歩兵第五連隊第二大隊本部) 加山 雄三
友田少将(弘前第八師団第四旅団長) 島田 正吾
中林大佐(第八師団参謀長) 大滝 秀治
児島大佐(弘前歩兵第三十一連隊長) 丹波 哲郎
門間少佐(弘前歩兵第三十一連隊第一大隊長) 藤岡 琢也
津村中佐(青森歩兵第五連隊長) 小林 桂樹
木宮少佐(同・連隊本部) 神山 繁
三上少尉(同・遭難救助隊) 森田 健作
伊藤中尉(五連隊雪中行軍隊第一小隊長) 東野 英心
中橋中尉(同・第二小隊長) 金尾 哲夫
小野中尉(同・第三小隊長) 古川 義範
鈴森少尉(同・第四小隊長) 荒木 貞一
中村中尉(同・第五小隊長) 芦沢 洋三
野口見習士官(同・中隊本部) 山西 道広
藤村曹長(同・ 〃 ) 蔵 一彦
江藤伍長(同・ 〃 ) 新 克利
高橋伍長(同・第一小隊) 海原 俊介
渡辺伍長(同・第二小隊) 堀 礼文
平山一等卒(同・第二小隊) 下條 アトム
谷川曹長(同・第五小隊) 森川 利一
小野中尉の従卒 浜田 宏昭
花田伍長(五連隊救助隊) 伊藤 敏孝
炊事係A 三島 新太郎
炊事係B 原田 君事
輸送隊員A 草薙 良一
輸送隊員B 大貫 一孝
輸送隊員C 大竹 まこと
永野軍医(第五連隊雪中行軍隊大隊本部) 竜崎 勝
沖津大尉 (同 ) 玉川 伊佐男
進藤特務曹長(同 ) 江角 英明
今西特務曹長(同 ) 井上 博一
田村見習士官(同 ) 日和田春生
井上見習士官(同 ) 仲野 裕
田辺中尉(三十一連隊雪中行軍隊員) 浜田 晃
高畑少尉(三十一連隊雪中行軍隊員) 加藤 健一
船山見習士官(同・気象担当) 江幡 連
長尾見習士官(同・疲労度調査) 高山 浩平
倉持見習士官(同・装備点検) 安永 憲司
佐藤一等卒 (同 ) 樋浦 勉
小山二等卒 (同 ) 広瀬 昌助
松尾伍長 (同 ) 早田 文次
加賀二等卒 (同 ) 久保田欣也
川瀬伍長 (同 ) 吉村 道夫
856 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/18(日) 17:26:49 ID:m9lia2Qo
見習士官A (同 ) 北村 博之
見習士官B (同 ) 塚田 一彦
見習士官C (同 ) 広尾 博
見習士官D (同 ) 佐藤 健二郎
曹長 (同 ) 原 敬司
徳島の従卒 (同 ) 渡会 洋幸
西海勇二郎(東奥日報記者) 船橋 三郎
衛兵司令(弘前三十一連隊) 小山 武宏
公用伝令(青森五連隊) 高山 彰
〃 (弘前三十一連隊) 山村 裕
作右衛門(田茂木野村) 加藤 嘉
滝口伝蔵(宇樽部村) 花沢 徳衛
沢中吉平(熊ノ沢部落、案内人) 山谷 初男
福沢鉄太郎(同 ) 丹古母 鬼馬二
沢田留吉 (同 ) 青木 卓
大原寅助 (同 ) 永妻 旭
斉藤の祖母 管井 きん
鈴木貞雄(三本木の宿の主人) 田崎 潤
中里村の老人 浜村 純
神田はつ子(神田大尉の妻) 栗原 小巻
徳島妙子(徳島大尉の妻) 加賀 まりこ
〃 信子(徳島大尉の長女) 石川 貴子
お手伝い みつ 荻野 三枝子
徳島の少年時代 石川 明人
長谷部一等卒(五連隊雪中行軍隊員) 作久間宏明
斉藤伍長(三十一連隊雪中行軍隊員) 前田 吟
滝口さわ(案内人) 秋吉 久美子
村山伍長(五連隊雪中行軍隊員) 緒方 拳
製作 橋本プロ
東宝映画
シナノ企画
後援 青森県
配給 東宝株式会社
題字 益川 道
衣装 京都衣装
装飾 高津映画装飾
効果 東宝効果集団
現像 東洋現像所
レコード ワーナー・パイオニア
演奏 東京交響楽団
指揮 芥川也寸志
協力 国鉄バス
857 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/18(日) 17:36:50 ID:m9lia2Qo
以上で転載を一応終了とさせていただきます。
清聴、有難うございました。
今後、また何かご希望があれば考えてみたいと
思っておりますのでなんなりと・・・・・。
858 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/18(日) 18:32:57 ID:MceaGtEx
>>857 乙でした
南極越冬隊のような厳しい現場だったんですね。
欽也が徹子の部屋で泣いて絶句したのも凄く納得です。
森健も出てたんでしたっけ?野村監督砂の器?がりでしょうか・・
12月にCSで完全版放送されるので録画して見ます。
859 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/18(日) 18:36:21 ID:MceaGtEx
訂正
野村監督砂の器?がりでしょうか・・×
野村監督砂の器?がりでしょうか?・・○
860 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/19(月) 19:03:27 ID:ZDA3FATm
10年くらい前にビデオで見たときには最後に劇場で公開されたときには
カットされたシーンというのが収録されていたな。
高倉健さんが村の住民の丹古馬鬼場二(字、合っている?)に向かって
「八甲田で見たことは決して口外してはならぬ」という台詞のところ。
861 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/19(月) 19:22:09 ID:RbuUF3WI
容量的にそろそろ限界だけど、次スレは?
862 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/19(月) 21:19:37 ID:NNllxUQc
どうしたらええ?
どうしてもええけど絶やすなよ。お願い。
貴重な資料の転載、ありがとうございました。
毎回楽しみに読ませていただきました!
次スレ、ぜひお願いします。
865 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/21(水) 06:38:34 ID:v6CUy/RE
ご心配なく、必ず立ち上げますよ。
「あーーーー唄いてぇ 」と「雪の進軍」の歌詞から(^^)
しかし、何回が限界なんだろう?、前スレは1,000まで行かなかったような・・・
866 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/21(水) 12:58:56 ID:z0sTVCJJ
867 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/21(水) 14:50:47 ID:RgCHXgyY
タイトルに二次遭難とかは辞めてください
868 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/21(水) 15:20:59 ID:z0sTVCJJ
869 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/21(水) 20:49:16 ID:v6CUy/RE
>>866 有難う御座います。
500KBが限界とのことですが、具体的にはどう計算すればよいのでしょうか?
ちなみにこのスレの場合はどうなりますか?
>>867 このスレに出入りしてるのが、二次遭難だがねぇ(爆笑)
>>868 ウ〜ンますますマニアックになりますね(^^;
前回が 「八甲田山」
前々回が「△△△△△八甲田山スレッド△△△△△」
前々々回「八甲田山「雪中行軍隊」の悲劇について語る」
だったような(かなりいい加減)、ここが【なつかしい邦画】だからやはり題名かなぁ・・・・
でも「彷徨○日目」も面白いかも。
みんなぁ―!どう思います―ッ!
870 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/21(水) 21:56:16 ID:z0sTVCJJ
いま499KB。もう次スレ案内程度しか書き込みできないぞw
871 :
この子の名無しのお祝いに:2007/11/24(土) 07:59:45 ID:NomCRS4s
特にご意見が無ければ次も「八甲田山」で行きますね。
499KBとは・・・恐る恐る書いてますぅ(^^;