【そんなことは】砂の器3【決まっとる】

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(患者から見た映画)
「橋本忍の世界」では患者も当時この映画を見て泣いたし、映画製作者への要求は強いものではなかった事が記されている。
それは上のような流れを見ると、映画製作時では患者たちの立場は戦前と同じ弱いものであった為であることが推測できる。

彼らは既にマスコミに忘れ去られた存在であり、映画でとりあげられるだけまし、という所だったのではないかな。
またラストのテロップは患者団体の要求で入れられたものだが、「こういう人はもういない」という文の意味は、患者から見れば、全員収容されてしまい放浪する人もいないし、もう村落での差別はしてほしくない、という控えめなメッセージだったとアタシには思える。

患者がこの映画を見て泣いたのは、ごく自然な感情であって喜んだ訳ではないだろう。
当時既に彼らは法律改定に向けて、運動をしていた訳であり、映画でただ哀れむべき存在と描かれることには心中では抵抗があったのではないかしら。
そういった声が聞こえてこないのは、やはり立場が弱いからと思われる。