【エロエロ】丑三つの村【猟奇殺人】

このエントリーをはてなブックマークに追加
331この子の名無しのお祝いに
愈々死するにあたり一筆書置申します、決行するにはしたが、うつべきをうたずうたいでもよいものをうった、
時のはずみで、ああ祖母にはすみませぬ、まことにすまぬ、ニ歳の時からの育ての祖母、祖母は殺してはいけないのだけれど、
後に残る不びんを考えてついああした事を行った、楽に死ねる様にと思ったらあまりみじめなことをした、まことにすみません、
涙、涙、ただすまぬ涙が出るばかり、姉さんにもすまぬ、はなはだすみません、ゆるして下さい、つまらぬ弟でした、
この様なことをしたから(たとい自分のうらみからとは言いながら)決してはかをして下されなくてもよろしい、
野にくさされば本望である、病気四年間の社会の冷胆、圧迫にはまことに泣いた、親族が少く愛と言うものの僕の身にとって少いにも泣いた、
社会もすこしみよりのないもの結核患者に同情すべきだ、実際弱いのにはこりた、今度は強い強い人に生まれてこよう、実際僕も不幸な人生だった、
今度は幸福に生まれてこよう。
思う様にゆかなかった、今日決行を思いついたのは、僕と以前関係のあった寺川ゆり子が貝尾に来たから、又西田良子も来たからである、
しかし寺川ゆり子は逃した、又寺川倉一と言う奴、実際あれを生かしたのは情けない、ああ言うものは此の世からほうむるべきだ、
あいつは金があるからと言って未亡人でたつものばかりねらって貝尾でも彼とかんけいせぬと言う者はほとんどいない、
岸本順一もえい密猟ばかり、土地でも人気が悪い、彼等の如きも此の世からほうむるべきだ。
 もはや夜明けも近づいた、死にましょう。