特技監督・円谷英二と組んで数々の特撮映画を放った本多猪四郎監督は
黒澤明監督の親友であり、黒澤も「蜘蛛巣城」では”動く森”のシーンは、
円谷に発注。
しかし、円谷が丹精込めて撮影した特撮フィルムを黒澤は殆ど使用しなか
った。
漏れの推測では黒澤はどうも映像の「質感」を気にしたように思える。
円谷のミニチュア・ワークは、ミニチュアが織り成す一種の甘やかな質感の
画面世界。
この「復活の日」の撮影を担当した木村大作は黒澤組出身。
オーディオ・コメンタリーでも、カナダに発注した潜水艦の海中航行シーンは
「いかにもミニチュア然としていて使えなかったんだよね」と言い、結局撮り直し
する予算も期間もないので、その特撮フィルムを映写したスクリーンの前に水槽
を置いてさらに画面をザラザラした感じの「汚し」をかけて、何とか海中の暗闇に
消えていく潜水艦の海中シーンとして使えるように「特撮に更に特撮をして仕上
をかけた」ようなことを言っていた。
また、核ミサイルで破壊されるワシントンD.C.や南極パーマー・ステーションのとこ
の特撮も「ミニチュア然としているので、必要最低限の分だけ短めに編集してしま
った」と言い、その質感へのこだわりの情熱には脱帽した。
長文スマソ。