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川の名無しのように:
宝の海を守り継ぐ:諫干堤防閉め切りから10年/中 開門調査を求めて /佐賀 4月20日16時0分配信 毎日新聞
◇原因究明こそ再生の道
県内の有明海産ノリは今季、販売枚数が21億枚、総額が224億円を超え、ともに4季連続の日本一が確実となった。
ノリだけを挙げれば、有明海は回復しているようにも見える。だが、川副町犬井道のノリ漁業者、川崎賢朗さん(46)は言う。
「ノリは有明海再生の指標にはならない。壊滅状態の二枚貝などが以前のように捕れるようになってこその再生だ」
川崎さんは18歳から、秋冬が漁期のノリ一筋で生きてきた。6年前の大規模な「色落ち」は、養殖歴20年で
初めて経験した出来事だった。養分となる栄養塩が足りず、ノリが黄色いまま、黒くならなかった。
00年12月に発生した季節外れの赤潮が栄養塩を奪ったとみられている。
質が悪く、沿岸4県の落札枚数は前年度の45〜80%に。佐賀では19年ぶりに10億枚を割り込んだ。
01年の元旦、川崎さんは、沿岸4県の漁業者が国営諫早湾干拓事業(諫干)の潮受け堤防前に漁船で
集結した海上抗議行動に同行した。そこで赤潮を引き起こしたケイソウプランクトンの毒々しい姿を
目の当たりにし「諫干が赤潮の原因だ」と確信した。
同僚も思いは同じ。この日を境に漁業者の抗議の輪が広がった。
◇ ◇
ノリは漁場を畑と呼ぶように、養殖して収穫する産物。赤潮は打つ手がないが、人的管理がきく分、
自然の魚介類を捕る漁船漁業や潜水漁とは、そもそも違う。
それでも、00年度の色落ち被害はノリ漁業者の脳裏に焼き付けられた。
以前は2月に終えることもあった漁期が、水温が高まる4月まで延長されるようになったのもその影響だ。
川崎さんは「取れるうちに取っておこうという心理の表れ。いつまた赤潮が出るのか、
不安を抱えながら生産している」と言う。
◇ ◇
ノリ不作問題を受けた農水省の第三者委員会は01年12月、「干拓事業は有明海全体の環境に影響を与えていると想定される」
と指摘し、短期(2カ月)▽中期(半年)▽長期(数年間)の3段階で潮受け堤防を開け、データを集める開門調査の実施を提言した。
国が自ら設置した委員会の提言。だが、02年に短期開門調査を実施しただけで、04年5月、当時の亀井善之農相が
「漁業被害を出さずに調査するのは困難」と、中長期開門調査の見送りを正式に表明した。調査に期待した漁業者たちは猛反発し、
長崎を除く沿岸3県の知事らも「結論ありきの印象」などと疑問を呈した。
「有明海異変の引き金はやはり諫干だと思う。私たちは不安のない海で漁業がやりたいだけだ」。
原因究明こそ再生への近道と信じ、川崎さんたちは中長期開門調査の実現を訴え続ける。【姜弘修】
4月20日朝刊
はい板違い
糸冬