文科省「ナイスステップな研究者」
科学技術への夢がふくらむ功績があったとして、文部科学省科学技術政策研究所が27日発表
した「ナイスステップな研究者」に、放射線医学総合研究所(千葉市)の中村秀仁客員研究員(33)
が選ばれた。
ペットボトルに使われる樹脂から放射線を測定できるセンサーの開発に成功、一般向けの安価
な検知器の実用化につながることなどが高く評価された。
千葉市も大喜び 中村氏は、千葉市と放医研が共同開催したイベント「科学技術カフェ」で中心
的な役割を果たすなど、市とのかかわりも深い。市は「個人の研究者としては異例の若さ。今後の
活躍が大いに期待される」(経済企画課)と喜んでいる。
中村氏は、助教として在籍する京都大学原子炉実験所、化学メーカーの帝人化成(東京)との
産学官研究を主導。放射線に照らすと青く発光する新素材をペット樹脂から作り出すことに成功し、
今年9月、放射線蛍光プラスチック(商標登録名「シンチレックス」)として製品化した。
実は、この素材は2009年と10年に千葉市で開かれた科学技術カフェで、がんの検出器として
中村氏がその一端を紹介していた。原発事故後に放射能への関心が高まる中、これまで主流だっ
た海外製の素材と比べて10分の1以下のコストで製品化が可能とされ、注目度は急上昇。食品
の放射線検査装置や医療用の診断装置などに広く実用化が期待されている。
過去に山中教授も
ナイスステップな研究者は05年に始まり、今年は6部門で10組14人が選ばれた。過去には
iPS細胞の山中伸弥京大教授(06年)や、小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトチーム(同)
などが選出されている。
(2011年12月29日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20111228-OYT8T00558.htm