品質工学の挑戦

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59示然坊皆慶
>>53-54 歴史的な遠因 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

尊師が電電公社電気通信研究所で実験計画法の実用化のための基本原理の研究に心血を注いだことは
明らかである。Plackett-Burman を基礎としつつも、FisherとShannonとを物理世界の中で融合させる
方向で新らしい基本理論の建設を構想した志は雄大であった。ただ、当時の状況ではやむをえない
ことだったが、まことに残念なのは、その解決を個別の実施例の蓄積の中に求めたことである。

現在の状況から見ると、実験計画法の実用化のための基本原理は、Plackett-Burman の数理を整理して、
主効果仮定を多変数関数の代数式として書き表わせば、簡明に表現され、実用的に十分である。
この整理は、実験計画法の理解を著じるしく容易にし、学習者・学校・企業の負担を大幅に軽減する。

電電公社電気通信研究所は、以前、1950-1963の間、すでに、実験計画法の実用化のために、まず、
増山元三郎師の指導を受け、また、西堀特別研究室を設置して、公社全体にわたる努力を行なったが、
実用上の問題の解決および原理の解明はほぼ十分と判断し、最後には、西堀特別研究室を解散した。
その後、日本規格協会のSN比マニュアル分科会(1968-1972)にも電電公社は参加していない。
SN比・損失関数にも必要な数理の整理を電気通信研究所で尊師が達成すると良かったと思う。

最高導師は数理の理解を「安易」と評して排除し、尊師の「偉大」「深遠」を損なうものとした。その
主張の実害はあまりにも大きく、学習者・学校・企業に、今も、無用の負担を負わせ続けている。