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Nanashi_et_al.:
インフルエンザ:抗インフル薬、開発最前線 耐性化抑え、効果も長く強く
この冬、治療薬タミフルの効かないAソ連型(H1N1)のインフルエンザウイルスがまん延した。薬に対する耐性
ウイルスの出現は宿命で、複数の薬で対抗する必要がある。新型インフルエンザ対策にも、欠かせない方法だ。
新しい抗インフルエンザ薬の開発が、日本でも急ピッチで進んでいる。【関東晋慈、青野由利】
現在、流通している抗インフルエンザ薬には、タミフル、リレンザ、アマンタジンがある。タミフルとリレンザは、いず
れもインフルエンザウイルス表面にある酵素ノイラミニダーゼ(NA)の働きを邪魔する薬だ。NAはインフルエンザ
ウイルスが感染細胞から飛び出す時に必要で、この働きが阻害されるとウイルスが次の細胞に感染できなくなる。
アマンタジンの作用機構は異なるが、最近流行しているウイルスの大多数が耐性を持っており、ほとんど使われ
ていない。
●投与1回だけ
「第一三共」はリレンザ同様、口から吸入するNA阻害薬「CS−8958」を開発している。作用時間が長く、1回の
投与ですむのが特徴だ。吸入した薬が肺の細胞にとどまる時間を、リレンザより長くできないかと考えたのが開発の
きっかけという。
リレンザもタミフルも、1日2回、5日間投与する必要がある。1回ですめば手間がかからず、「症状が改善したから
といって、途中で服用をやめるリスクもない」(第一三共)と強調する。
患者を対象に有効性や安全性をみる治験の第2相試験では、タミフルと同程度の解熱効果などがみられたという。
大人数で有効性などを確認する第3相試験を今シーズンで終え、09年度中の承認申請を予定する。
●点滴15分の薬
「塩野義製薬」が開発する「ペラミビル」もNA阻害剤だが、注射薬で約15分間の点滴を1回行う。
マウス実験では、Aソ連型の感染4時間前に1回注射すると10匹すべてが生存した。同社は「自力で薬を飲むこと
ができないほど重症化した高齢者や小児などに使える」と話す。現在、第3相試験中で、早ければ今秋に承認申請し
たいという。
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137:2009/03/17(火) 04:49:30
●異なる標的
これら二つはNAを標的とする薬だが、「富山化学」(富士フイルムグループ)が治験を進める「T−705」は仕組みが
異なる。ウイルスの複製時に働く酵素「RNAポリメラーゼ」の働きを邪魔し、感染した細胞内で増殖そのものを防ぐ。
経口薬で、1日1、2回を数日間投与する。
開発担当の古田要介部長によると、同社が持つ化合物を次々試し、抗インフルエンザ作用のあるものを探し出した。
強毒の鳥インフルエンザウイルスH5N1型に感染させたマウス実験では、タミフルより治療効果が高かった。治験は
現在第2相段階で、来シーズンに第3相試験を実施する予定だ。
第一三共、塩野義が開発する薬も、動物実験などでH5N1型に効果がみられ、新型対策としても期待されている。
◇組み合わせて使用を 人、鳥インフルの関係を指摘−−ロバート・ウェブスター教授
人のインフルエンザと鳥のインフルエンザの関係を最初に指摘したのは、米セントジュード子供研究病院のロバート・
ウェブスター教授だ。来日した教授に新型インフルエンザ対策などを聞いた。
−−新型が出現してからワクチンができるまでには時間がかかるが、どうしたらいいか。
◆大流行に備えて鳥のウイルスをもとに作ったプレパンデミックワクチンと抗インフルエンザ薬をどう使うかが鍵を握る。
抗インフルエンザ薬は複数組み合わせることが非常に大事だ。新薬開発はもちろん、既存薬の組み合わせでも耐性を
抑える効果があるだろう。抗エイズ薬は四つの薬を使って効果を上げている。
−−他にはどんな備えがいるか。
◆米国では、H5N1型のプレパンデミックワクチンを備蓄し、H9、H7、H6でも準備を進めている。ただ、プレパンデミッ
クワクチンにはリスクがあり、慎重な試験が必要だ。抗インフルエンザ薬の家庭での備蓄も有効だ。私の母国のニュー
ジーランドでは処方せんなしで買える。
−−新型はH5N1型から出現するか。
◆人のウイルスはH1、H2、H3だけだという研究者がいるが、私は信じない。H5の次に可能性が高いのはH9だ。過去
の大流行で、どれぐらいの期間をかけて新型が出現したかはわからず、今も、どの段階にいるかはわからない。
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138:2009/03/17(火) 04:50:25