★北大★人獣共通感染症リサーチセンターB

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588Nanashi_et_al.
サイトカイン/ウィキペディア(Wikipedia)
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%B3

http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/infection/1211021861/3-5
メディカルレビュー社 インフルエンザ 2008.4 Vol.9 No.2  DISCUSSION 再びH5N1ウイルスの流行に備えて

<<出席者>>
・柏木 征三郎 先生  独立行政法人国立病院機構  九州医療センター名誉所長
・河岡義裕 先生  東京大学医科学研究所 感染・免疫部門ウイルス感染分野教授
            東京大学医科学研究所 感染症国際研究センターセンター長
・管谷憲夫 先生    神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長

【スペイン風邪ウイルスとの比較】
柏木:河岡先生はスペインかぜのウイルスで実験されておられますが、H5N1ウイルスとの共通点はやはり肺で増殖するということですか。
河岡:やはり肺がメインのターゲットです。サルでの感染実験ではそうですね。

柏木:スペインかぜのときんは若い人があっという間に亡くなったのですが、H5N1ウイルスとは少し違うような、よくわからない面がありますね。
河岡:違いますね。ただ、スペインかぜではなぜ10代、20代の人たちが高い感受性を示したかということは、いまだにわかりません。
589Nanashi_et_al.:2009/03/20(金) 21:57:44

柏木:しかし、先生方のデータをみるといわゆる自然免疫が過剰に反応したことが原因ではないかと思っていたのですが・・・。
河岡:われわれの報告の仕方が悪かったというか、誤解だと思うのですが、スペインかぜのウイルスが感染したときに
実際にはどういうことがおこっているかというと、普通のウイルスが感染したときと比較して、インターフェロンの産生が少ないのです。
インターフェロンの産生が少ないとウイルスが増えます。
ウイルスが増えるから、ほかのサイトカインやケモカインがたくさん出るわけです。

インフルエンザウイルスの場合は、ウイルスのいないところにサイトカインとケモカインは出ていないのです。
いわゆるサイトカインストームというほどの量は出ていなくて、ウイルスが増えているから出ている量だと思います。
ですから、免疫抑制をしても個体は死ぬのです。なぜなら、ウイルスが増え続けているからです。
ポイントは、なぜスペインかぜウイルスは感染初期にインターフェロンが出ないようにしているかということです。

菅谷:では、サイトカインストームではないわけですね。
河岡:サイトカインストームではありません。

菅谷:サイトカインはウイルスが増え続けるから出ているだけなのですね。
河岡:普通のインフルエンザウイルスを感染させた場合には、インターフェロンが出てきて感染が終ってしまうわけです。
ところが、スペインかぜに感染したときにはその産生が少ないのです。
そのためウイルスは増殖し続けます。

菅谷:スペインかぜのウイルスの病原性の大きな要因は、インターフェロンの産生を少なくしているというところにあるかもしれませんね。
河岡:要するに、感染した後にウイルスがものすごくよく増えるのです。そのせいで最初に動く宿主の応答を変化させているのです。
それがインターフェロンの産生が少ないという結果につながるのですが、普通のウイルスとは増え方のベクトルが全く違います。
590Nanashi_et_al.:2009/03/20(金) 22:01:05

柏木:H5N1ウイルスではインターフェロンは出るのですか。
河岡:それについては現在調べています。
柏木:いわゆる通常のインフルエンザは、そういったインターフェロンなどが出てくるから、self limited だけれども
H5N1ウイルスではそれが障害されてウイルスが増え続けると考えてもよいのですね。
河岡:そうです。しかし、ウイルスが増え続けるので、サイトカイン、ケモカインが出てきます。
ですから、今よくいわれているようなスタチンなどでサイトカインストームを抑制しようという話は全くナンセンスなのです。
ウイルスは増え続けて、やはり細胞傷害で個体は亡くなります。
菅谷:Montoによると、やはりH5N1ウイルスでは成人でも10日どころか20日くらいviral sheddingは続くそうです。

柏木:H5N1ウイルスの高病原性である本態の1つとして、やはりウイルス自体が悪さをしているということですね。
菅谷:日本ではやはりH5N1ウイルスやスペインかぜウイルスの病態がサイトカインストームだと思っている人がすごく多いのです。
しかし、以前鳥インフルエンザに対する治療ガイドラインのWHOの会議に出席したのですが、ベトナムやタイの先生方は
H5N1ウイルスに感染した小児にステロイドを大量に使ったけれども全く効かなくて、みんな亡くなってしまったといっていました。
何かいかにも治療の適応のような感じがしますが・・・。

柏木:サイトカインストームだったら、サイトカインを減らせばよいうということになります。
菅谷:そうです。しかし、WHOのH5N1鳥インフルエンザに対する薬物治療のガイドラインでは
ステロイドの使用は禁忌になっています。
ですから、そのあたりの誤解も少し気になりますね。もし、日本で鳥のインフルエンザが出た場合でも
ステロイドを使う先生が出てきてしまうのではないかと思うのです。
柏木:それは厳しく警告喚起しておかなければいけないですね。
菅谷:まさにウイルスのものすごい増殖性ということが鳥インフルエンザの本態なのでしょうね。

(以上)
591589:2009/03/20(金) 22:03:24

>柏木:しかし、先生方のデータをみるといわゆる自然免疫が過剰に反応したことが原因ではないか
と思っていたのですが・・・。

>河岡:われわれの報告の仕方が悪かったというか、誤解だと思うのですが、スペインかぜのウイルスが
感染したときに実際にはどういうことがおこっているかというと、普通のウイルスが感染したときと比較して、
インターフェロンの産生が少ないのです。


ここ笑えるところ?w