★北大★人獣共通感染症リサーチセンターB

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現場から見直しを求める声が 2009.03.16 東日新聞

 豊橋市内の養鶉(じゅん)農家で先月末、法定伝染病である高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した
飼育ウズラが見つかり、すでに半月余。その後、3例目まで拡大し、さらに広がる恐れも出ている。殺処分され
たウズラは57万羽に及ぶ。本来、家畜伝染予防法に基づき、厳格な処置を迫る国(農林水産省など)に対し、
地方の現場から見直しを求める声が上がった。

 【日本一のウズラ産地】豊橋市内の養鶉農家16戸で260万羽飼育され、年間20億円余を売り上げている。
全国シェアの48%を占め、日本一の産地になっている。

 このうち、南大清水町の1例目農家26万羽、高塚町の2例目農家20万羽、杉山町の3例目農家11万羽で
計57万羽が殺処分された。

 【今後さらに増える?】1つの農場から10羽のサンプルを取り、検査し、抗体があって陽性反応が出ると、
さらに詳しく調べ、ウイルスを特定する。今回、すでに3戸の農場で見つかった。サンプル数を100に増やせば、
もっと見つかる可能性も高まる。

 【現場の声を訴える】さる13日、神田愛知県知事とともに、豊橋市の佐原光一市長が上京し、石破茂農水大臣
に対し、防疫措置(殺処分)の見直しなどを訴えた。

 「国の防疫指針は鶏を前提としており、そのまま適用(すべて殺処分など)することは、ウズラ農家の理解が
得られない」とウズラ用防疫指針の策定を訴えた。

 関連して「H7亜型の抗体について、擬似患畜としての殺処分などの見直しを検討してほしい」と、措置の見直し
を求めた。
507506:2009/03/17(火) 16:14:08
 【弱毒性からの変異を懸念】鳥インフルエンザウイルスは通常、水鳥がもつもので、本来、ウズラにはない。
何らかの理由でウイルスがウズラに感染し、飼育→採卵→ふ化→飼育といった自己完結型サイクルの中で、
定着したと考えられ、鶏には感染しないという報告もある。

 一方、研究者の中には、見つかったH7N6亜型は弱毒性で、現時点では人間に感染しないが、「いつ何時、
強毒性に変異するかも知れない」と指摘。今後とも厳格に予防法を適用していく意見もある。

 【政治問題に】ウズラの処分をめぐって、農水省を中心にした国の見解と、養鶉農家のある愛知県、豊橋市など
の地元の意見とが大きく異なり、いわば仲裁を石破農水相に申し出た段階で政治問題に発展した。可能性を
めぐる議論になっており、きちっとした判断が求められる。

「ウズラのことを知らぬ」業者の声

 ウズラは家きんとしての歴史が約50年と浅いこと、および全国的に見てマーケットがそれほど大きくないこと
などから、研究者(大学)も少なく、ウズラの研究はほとんど進んでいない。

 今回も、鶏に準じて家畜伝染予防法を適用した。ウズラの特殊性など固有な条件に留意することなく、鶏の
ルールをもってすべてを殺処分にした。

 今月7日に農水省の疫学調査チームが来豊して第1回検討会を開いたが、メンバーの中には飼育舎を見た
ことのない研究者も含まれていた。「一体ウズラのことがどこまで分かるのか」といった関係者の声が聞かれた。
http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=27287&categoryid=1