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Nanashi_et_al.:
鳥インフルエンザ懸念で渡り鳥に餌「禁止」広がる
ハクチョウなどでにぎわう渡り鳥の飛来地で、鳥インフルエンザ感染のきっかけになることを恐れ、
餌付けの禁止、自粛を呼びかける動きが広がっている。養鶏業者らは「被害が出てからでは手遅
れ」と、自治体に要望するなど危機感を強めるが、冬の使者とのふれ合いを心待ちにしていた地元
住民からは、戸惑いの声も上がっている。
毎年300羽前後のハクチョウが飛来する大館市の長木川。川沿いの白鳥広場にこの冬、4、5メ
ートル間隔で餌付け禁止を呼びかける看板が設置された。同市は比内地鶏の産地。渡り鳥のフン
に含まれる鳥インフルエンザウイルスが靴などに付着し、人が運び役となって比内地鶏に感染する
危険があるとの理由からだ。
市に餌付け禁止を要望した養鶏業者は「昨年の偽装問題で比内地鶏の評判は落ちているのに、
インフルエンザまで出たらもうやっていけない」と訴える。それでも、近くに住む年配の男性は「うれし
そうに餌付けする子供たちの姿を見るのが楽しみだった。なにも禁止までしなくてもいいのに……」と
さみしげだ。
1万羽近いハクチョウが羽を休める全国屈指の飛来地、山形県酒田市の最上川。同市が、地元の
市民団体「酒田市白鳥を愛する会」に餌付け自粛を申し入れたのは昨年。手から直接餌を与えない
ことや、餌付け後に手や靴を洗うといったルールを徹底することで落ちついたが、40年以上も餌付け
を続けてきた同会の碇谷(いかりや)啓二会長(79)は「ハクチョウとのふれ合いを敬遠する動きになら
なければいいが」と懸念する。
岩手県でも昨年暮れ、養鶏16業者が地元紙に餌付けを控えるよう求める意見広告を掲載。滋賀県
では、ホームページを通じ、琵琶湖などでの餌付け自粛を呼びかけている。
こうした動きに理解を示すのは、京都産業大の大槻公一・鳥インフルエンザ研究センター長。「餌付
けが原因で感染する可能性はありうる。生態系の観点からも、野鳥への餌付けは必ずしも良くはない」
とし、「かわいがる気持ちはわかるが、死活問題に直結する養鶏業者の立場を踏まえ、餌付けの意味を
考え直す必要がある」と指摘する。