246 :
,:
占星術と太陽活動の照応
この種の強迫観念をうまく説明しているのが、注目すべきエンジニアのモーリス・コットレルだ。かつて
商船にのっていたコットレルは、同僚の船員たちが占星術の暗示どおりの振る舞いをすることに
興味を抱いた。実際、少しでも占星術の知識のある人なら、金牛宮の人物は頑固で、双児
宮は気まぐれで、獅子宮は親分肌で、天秤宮は魅力的で、、、、、など等という実例をしばし
ば目撃しているだろう。
だが科学的な研究の結果、これを単なる迷信として退けることができないということが判
明しているのだ秘密をとく鍵は天体にある。
1964年、無線技師のジョンネルソンは、電波障害に対する太陽の影響を研究していたが、その結
果、驚くべき事実が判明したのである。すなわち太陽だけでなく、諸惑星とその位置もま
た電波障害に関係していたのだ。2つ以上の惑星が120度の関係にあるときには電波状況は
良好で、90度や180度の際には問題が生じたのである。占星術では常に、トリン(120度)は
吉、スクエア(90度)、オポジション(180度)を凶としている。
1950年、ミシェル・ゴークランという統計学者が、占星術データのコンピューター分析を行った。その
結果、占星術の教えの多くはナンセンスだったが、いくつかのものにはしっかりした裏づけがあ
ることが判明した。例えば、大の月(白羊宮、双児宮、獅子座宮等)の生まれの人は外交
的であり、小の月生まれの人は内向的であるとか、ある人の職業選択はその上昇宮(誕生
の瞬間に地平線上に上昇していた星座)に支配される、などだ。ゴークランによれば、前者は
確かに統計的に意義があり、後者に関しては事実に基づいているというー―スポーツマンは火星
の生まれであることが多く、俳優は木星、科学者と医者は土星、という具合である。
247 :
,:2008/06/03(火) 10:56:21
徹底した物質主義者で行動主義心理学のH・Jアイゼンクは、この調査結果の検証を依頼され、
それが信頼に足るものであることを知って驚愕した。アイゼンクはD・K・B・ナイアスと共著で「占
星術――科学か迷信か」(1982)という本を書き、その中でこれを認めている。
なぜ、黄道十二宮の異なる宮のもとに生まれた人は、異なる性格になるのか?1ヶ月ごと
に移り変わっていく宇宙的ファクターのようなものがあるのだろうか?だがそれが「恒星」であ
るとは考えられない。恒星はあまりにも遠くにあるので、地球上の人間に影響など及ぼせ
るはずがないからだ。事実、それが時間を知る手がかりとして時計にかかれることはほと
んどない。
惑星はもっと遠くにあるが、その引力は微々たるものだ。コットレルによれば、明らかな容疑者
は太陽だ。この荒れ狂うエネルギーの塊は、太陽風というものを吹き出している(そのために
太陽に接近した彗星には尾ができる)。太陽黒点も疑わしい。これはしばしば太陽の赤道付
近に観測される黒い点で、微性粒子を放出し、電波障害やオーロラの原因となる。
コットレルの仮説によれば、占星術が「当たる」理由は、太陽の磁場――特に太陽黒点の活動―
―が人間の胎児に影響を及ぼすからだ。生物学者によれば、地球の微弱な磁場ですら生物
の細胞に影響を与え、細胞内のDNAの合成に作用する。ゆえにコットレルは、太陽の磁場の変
化が受胎の瞬間の赤ん坊に影響を及ぼすことは十分にありうると考えた。
コットレルの仮説を聞かされた占星術師はたちは、一様に疑念を抱いた。というのも、占星術で
はわれわれの性格が刻印されるのは誕生の瞬間であって、受胎の瞬間ではないからだ。だ
がコットレルはそれに対して反論はしなかった。彼によれば、例えば6月に受胎した赤ん坊は、」
その瞬間に双魚宮の性格を刻印された上で、その9ヵ月後に誕生するのである。
太陽というものはプラズマ――超高温の気体――からできているので、地球のように均一に
自転することはない。その赤道の自転速度は、両極よりも3分の一も速いー―1周するのに
赤道は26日、両極は37日だ。ゆえにその磁力線は捩れ、破れたマットレスから飛び出すバネ
のように、時折太陽から突き出す。これが「太陽黒点」だ。
248 :
,:2008/06/03(火) 10:59:28
しかも太陽は放射の形を毎日変えるのみならず、太陽放射には4つの種類があり、これが
順番に移り変わっていくということをしって、コットレルは興奮した。つまり太陽の活動は占星
術で言う毎月の「太陽宮」の変化に対応するのみならず、宮の4つの性格――火地風水に
まで対応しているように思えたのだ。
地球は太陽に周囲を公転しているので、26日周期の太陽の自転は、地球から見れば28
日かかっているように見える。地球は7日ごとに正粒子と負粒子のシャワーを交互に受けるこ
とになる。
クランフィールド技術研究所に職を得たコットレルは、ただちに研究所の強力なコンピューターにテータをぶち込
んだ。その目的は、太陽の二つの磁場(両極と赤道との自転速度の違いから生ずる)と地
球の公転運動の相互作用をグラフ化することだ。コンピューターから吐き出したのは、11年半単
位の明白な周期だった。天文学者によれば、太陽黒点の「周期」は11・1年とされている。
どうやら正解に近づいてきたようだ。
相互作用する太陽の二つに磁場は、87・45日ごとに、いわば振り出しに戻る。コットレルは
この期間を「ビット」となづけた。彼のグラフによれば、太陽黒点の周期もまた回帰的であり、
187年ごとに振り出しに戻る。
だがさらに話をややこしくする要素がある。太陽の「中立層」とよばれるものだ。これは
赤道の周囲で、北と南のバランスが完璧につりあっている領域だ。この層は太陽に磁場によっ
てゆがめられるので、187年ごとに1ビットずつずれていく。それが振り出しに戻るの
は1万8139年後だ。そして1万8139ねんごとに太陽に磁場は逆転する。
この年数は187年の97周期であり5つの大きな周期から成っている。187年の19
周期が3回、20周期が2回だ。そして187年の20周期は1366040日であるこ
とに気づいたコットレルは驚喜した。
249 :
,:2008/06/03(火) 17:30:49
彼はマヤの天文学書のひとつ、「ドレスデン写本」に興味を持っていた。それはマヤ人が蝕や、彼
等が非常に重視していた金星の周期を解明したものだ。マヤ人は金星が紀元前3114年8
月12日に「生まれた」と考えていた(これは隕石の通過によってその自転が反時計回り
になったときを示しているようだ)。彼らはツォルキンと呼ばれる周期――260日間――を用
いて計算し、それによって金星の完全周期を1366560日であるとした。これはコットレル
の導き出した数字1366040日に2ツォルキンを加えたものだ。
はたしてマヤ人は、太陽黒点に関するコットレルの発見と同じものにたどり着いたのだろうか?も
しそうなら、彼らの複雑な暦はそれに基づいており、黒点と同様に金星の重要さを強調す
るために、2つの「金星周期」を加えたのではないか?
さらに彼は、この推論を裏づけるような興味深い事実に気づいたー―太陽の磁力放射は、
太陽黒点の活動が弱まるときに強くなるのである。なんだかよくわからない話だー―黒点
の活動が弱まれば、磁力の放射線も弱まりそうなものなのに。その理由はヴァン・アレン帯(地
球を取り巻く放射地帯。宇宙科学者ジェイムズ・ヴァン・アレンによって1958年に発見された)
にある、と彼は考えた。これは地球磁場によって生み出されるもので、太陽の放射線から
地球を守っている。もしこれがなければ、地球上の生命は絶滅してしまうのだ。
コットレルによれば、太陽黒点の活動が活発な時期にはヴァン・アレン帯は過飽和状態になり、大
量の放射線の地球到達を防ぐ。一方、低活動の時期にはそのすべてが地上に到達する。恐
らくこれこそが不妊や先天異常を引き起こすのだ、と彼はいう。
地球が最大の放射を受けたのは紀元627年で、これはマヤが徐々に衰滅に向かった時期と
一致する。だが紀元680年はたまたま紀元3114年の「金星誕生」に始まったマヤの小
周期(3744年)の終わりに一致していた。これはまた、太陽の磁気周期が逆転すると
きでもあった。
250 :
,:2008/06/03(火) 17:35:24
マヤの専門家によれば、マヤの大周期(13バクトゥン)の終わりには2012年12月22日だ。
このとき、太陽の磁場は再び逆転し、われわれは何らかの破局に直面する(かもしれない)。
とはいうものの、あまり神経質になる必要はないだろう。紀元前3114年に始まった「太
陽周期」(1万8139年)が完結するのは紀元4367年のことだ。あと2000年以上
もある。
同じくマヤの専門家ジョン・メイジャー・ジェンキンズは、「マヤ宇宙創生論2012」(1998)で、
2012年に関する彼自身の仮説を述べている。
よく知られているように太陽の運行経路を黄道と呼び、白羊宮から双魚宮」まで12の星
座がこれにそって並んでいる。われわれの太陽系は天の川(銀河)と呼ばれる星雲の1部
で、天の川は巨大な拡大鏡のような形をしている。これを上から見ると丸い形をした渦の
ようだが、われわれは普段、それをいわば横から見ているので、多くの星が凄い密度で固
まっているように見えるのだ。
天の川はいて座の近くで黄道と交わっているー―直角ではなく、60度だ。ところで、天
体望遠鏡で二つの惑星が交差して見えるとき、これを合(コンジャクション)と呼ぶ。2012年
12月21日、太陽は天の川とコンジャコションする。しかもこのとき地球から太陽を見ると、そ
の延長線上には銀河中心が位置しているのである。この中心にはブラックホールがあると
いわれているが、ともかくこれがマヤの大周期が終わるときの天体は位置なのだ。
251 :
,:2008/06/03(火) 17:37:01
13バクトゥンの周期の終わりにこれが起こることをマヤ人は知っていたのか?彼らの信じがた
い暦と計算技術を見る限り、大いにありうることだ、とジェンキンズは考えている。
コットレルによれば、マヤ人自身が与えた日付はカトゥン13、アハウ(至)であり、これは2012年
12月21日かもしれないし、あるいは単にアハウで終わる13」周期の7200日目を意味
するのかもしれない。これは256年ごとに起こり、それならば2048年ということに
なる。
コットレルに言わせれば、マヤ人は今のわれわれよりも遥かに件名であったので、多分、2012
年に関しても正しいだろうという。
だが私自身は懐疑的だ。わたしはマヤ人がわれわれよりも遥かに賢明だったというコットレルやアル
グエリエスの意見に与することはできない。車輪やアーチすら発明できなかった彼らの知性は、ヴ
ィジョンや融通性が欠けていると思うからだ。
天文学に関しても、彼らは金星を「双子」と呼んでいる。つまり、明けの明星と宵の明星
が同じものであることを知らなかったわけだ。さらに、大量殺戮――あの人身供儀の模様
――を許容する傾向は、ナチス強制収容所と同じ倫理観のゆがみだと本能的に感じるのだ。
神々は本当に、自分の祭壇に血を流すことを求めたのか?進化をつかさどる力は最終的に
この殺人者たちにうんざりし、これ以上の非道を重ねることのないように、かれらを滅ぼ
してしまったのではないだろうか。
252 :
,:2008/06/03(火) 19:02:25
だがマヤ人の消滅に関するコットレル自身の見解は論理的だ。つまり、彼らは自分たちの予言通り、
紀元627年から衰滅に向かい始めたが、それは太陽からの放射線によって先天異常や流
産が激増したからだという。
バレンケの首長バカルの墓の蓋に、後ろにもたれかかって足を開いている女が描かれている(デ
ニケンとシャトランは、ともにこれを宇宙飛行士の姿だと誤解している)。彼女のもとには2人の死
産児がおり、彼女の妊娠力を復活させるために太陽神が彼女を舌でなめている。
マヤ人がほかのアメリカ先住民よりもはなはだしくその影響を受けた理由は不明だ。だがコットレルは
彼等が自分たちの衰滅を予言していたということを確信をもって語っている。
ジェンキンズによれば、メソアメリカ天文学は、不動の銀河中心、宇宙の運転の中心である天の軸を
求める物語だった。多くの未開民族にとって、その第一候補は北極、そして北極星だった
(それはしばしば「釘の星」「天の釘」)と呼ばれる。それが宇宙軸を留めているからだ)。
だが北極星がその位置を変え、不動ではないことを知ったオルメカの天文学者は困惑したに違
いない。それゆえにラ・ベンダと白いピラミッドは放棄されたのだろう。
最終的に、彼らはそれを銀河中心に求めたようだ。だがこれはそれ自体が当惑させる謎だ。
われわれは天の川を「縁に沿って」見ているので、それに中心が存在するなどということ
はどう頑張ってもわからない。だが、マヤの神官には多くの「シャーマン」、魔法医がいたことを
忘れてはならない。彼らは、「宇宙飛翔」、すなわち体外離脱体験によって宇宙の秘密を学
ぶ訓練を受けていたのだ。これはわれわれの思考の出発点とすべき重要な点である。