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なし:
上申書
狭山市入間川2908
石川一夫 24才
わたくしわほん年の五月一日のことにツいて申し上げます
五月一日わにさの六造といツしよにきんじよの水村しげ
さんのちエやねをなしにあさの8晴ごろからごご4晴
ごろまでしごとをしましたのでこの日わどこエもエでません
でした そしてゆうはんをたべてごご9晴ごろねてしまい
ました
昭和38年5月21日 狭山けいさツしよちようどの
右 石川一夫 (母印)
以上が石川さんの「上申書」です。石川さんが文字に関してもっていたわずかの知識をフル動員して書いたものです。漢字の誤字が多いこと(時を晴れとしたり、造の偏の点がなかったり、昭も誤字だったり)、ひらがなの使い方も「は」とかくべきところを「わ」としたりちいさい「よ」にすべきところをしてなかったり、「つ」は「ツ」だったり、句読点がまったくなかったり、自分の名前も「一雄」と書けずに「一夫」と書いたり、ということなどは、石川さんの字を書く能力の低さを現したものといえます。
問題は、これを見て「なんだかんだいっても、いちお書式も整っているし、文章になっているではないか」と見るのは間違っている、ということです。