20040608大和タイムス
*同和対策事業
*貸付金の滞納37億円
*住宅向け
*25市町村が回収組合
同和対策事業の一環として、県内の市町村が住宅の新築や改修に貸し
付けた資金の滞納額が、約37億円に膨らんでいることが分かった。
奈良市など25市町村は、6月定例議会に回収管理組合の設立案を上
程、共同で徴収活動をスタートさせる。悪質なケースについては法的
手段も検討する。10月の業務開始を目指す。
同和地域を持つ県内の29市町村が、国の要綱に基づいて条例を制定
、この制度を運用してきた。住環境の改善が目的で、新築と改修のほ
か、宅地取得も対象だった。
国の要綱に定められた貸付金の上限は、新築=760万円▽改修=4
80万円▽宅地取得=590万円。管理組合を設立する25市町村で
約9400件の利用があり、貸付金の総額は405億円に上っていた。
約半数が返済を終え、14年度末の未返済残高は約148億8000
万円。このうち、約34億円が滞納状態で、管理組合に参加しない市
町を合わせると約37億円(安堵町除く)になる。
同制度は「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関す
る法律(地対財特法)の失効に伴い、平成13年度末で廃止されたが
、滞納額はその後も増加。
世帯主の高齢化や病気で返済能力を失うケースが多く、故意に返済を
しぶる悪質者もいるという。民間金融機関への返済が滞って物件が競
売にかかったケースもあった。
返済の最長期間は25年(300回払い)で、現在のペースで滞納額
が増えた場合、70億円に達するとの試算もあった。対応も督促状が
中心だった。
このため、桜井市と香芝市を除く8市と17町村が平成14年7月に
回収管理組合の設立準備委員会(委員長・前川正御所市長)を設立し
た。一部事務組合の形をとるため、各議会で議決後、知事に許可申請
する。
設立準備委の事務局は「個々の市町村で対応にばらつきが出ると回収
は余計難しくなる。一律に厳しい姿勢をとることで少しでも滞納額を
減らしたい。悪質なケースについては法的対応を検討する」と話して
いる。