2002年12月17日(火)「しんぶん赤旗」
国誉グループと行政
−−−−−−癒着の構図(上)
事前に買収した予定地の売却テコに公共事業受注
「解同」(部落解放同盟)系の土木・建設業者、国誉建設(大倉盛治社長、本店・堺市)
とそのグループ会社が阪神高速道路公団の遮音壁の工事を優先的に受注していたことが
明らかになり、同社と同公団幹部合わせて七人が逮捕され二人が起訴されました。年間
二十億円もの工事を長期にわたって独占的に受注できたのは、「解同」の力をかさに着
て特権的な受注を得る企業と、これに積極的に協力する行政の癒着の構図でした。
錬金術の端緒
事件は、同公団が高速道路遮音壁工事の入札で国誉建設など特定の企業が有利になる
ように業者指名で便宜をはかったうえ、入札予定価格の概数などを事前に漏らしたとい
う偽計業務妨害罪の容疑。
同公社側の歴代管理部次長経験者(工事発注・入札の窓口)の三人と、国誉建設グルー
プ側の山本正雄会長(62)、大倉社長(71)ら四人の合わせて七人が逮捕され、13日に同
公団京都建設部長の加藤幹夫容疑者(56)と山本容疑者が起訴されました。
山本会長は、国誉建設、京大建設(辻野純二社長、本店・堺市)、近畿昭建(石原社
長、本店・堺市)のグループ三社の事実上のオーナー。大倉社長は、日本道路公団に勤
めた後、阪神高速道路公団に勤務、大阪第一建設部長を最後に退職し、八四年に国誉建
設に天下り、九七年から社長についています。
国誉建設の創立は一九七五年八月、前年の七四年三月に設立した個人企業、相互建設
工業を改称してのことでした。
相互建設工業の代表は、山本会長の実弟、武司氏(60)。同氏は、「解同」元委員長の
上田卓三元衆院議員が会長をしている中小企業団体、ティグレ(旧中企連)の理事、堺本
部長で、上田卓三東京事務所所長についています。かつては中企連近畿本部の企業対策
室次長にもついていました。
その錬金術は、相互建設工業のときにはじまります。資本金も工事実績もゼロなのに
、設立後わずか一年足らずで堺市の各部にまたがって二十七件三億二千六十五万円もの
公共事業を受注しています。「解同」の力を背景に、あっという間に事業を拡大したの
です。
この不公正な公共事業の発注問題は、七五年十二月の堺市議会で日本共産党市議が追
及。市側は、「一社独占ではございません。指名競争入札を実施した結果です」などと
開き直り、不公正な発注を認めようとはせず、相互建設工業を用語する姿勢に終始しま
した。
狡猾な手口で
相互建設工業をおこす前に、山本兄弟は、堺市深井で山本養豚場を経営し、糞尿たれ
流しによる悪臭の公害対策で府から一千六百六十五万円の補助金を引きだしたうえで、
その養豚場を廃業しています。
国誉建設設立後は、公共事業の予定地を事前に買収し、その売却をテコに公共事業を
受注するという狡猾な手口になります。
八三年七月に工事請負契約の専決処分が出された府立堺上(さかいかみ)高校建設事業
では同市上の地目で「田(田んぼのこと)」ととされた調整区域の土地を八二年二月から
六月にかけて山本武司、正雄両氏が四千二百八十四平方bにわたって買い占めました。
この時、同じく国誉建設グループの一社である堺土建の下川忠好社長も用地の事前買
収に加わり、千三十平方bを買収して「土地ころがし」の一端をになっています。
同用地は、このあと上高校の用地として府が買収する前に正雄容疑者や、武司氏など
が介在して転売し利ざや稼ぎの「土地ころがし」をしたうえ、用地の売却と引き換えに
国誉、堺土建、木谷の三社の共同企業体が同高校の建設工事を落札しています。
(つづく)