【フケネタ禁止】学校であった怖い話・晦Part20
http://48game.weblogs.jp/staffblog/ 『学校であった怖い話』の意味
シナリオライター T.I. 2006年7月30日 (日)
『学校であった怖い話』は当時バンプレストで僕の担当だった方と
の雑談から生まれ、即決で決まった。どうしても夏に発売したいと言うので、
話が出てから発売まで1年もない強行スケジュール。
しかも突発的に決まった話だから、あまり予算もない。
そんな中でタイトルは、どうしても『学校であった怖い話』にしたかった。
『学校であった怖い話』にべたなタイトルではあったが、
どうしてもこのタイトルにしたい理由があった。
『学校であった怖い話』に関しては、ネットなどで多くのレビューが紹介されている。
発売前は任天堂のマリオクラブでもお奨めソフトとして
認定されるほどの評判の良さを得たが、雑誌レビューは散々だった。
そして、実際にはあまり売れなかった。オリジナルのSFC版に続いてシナリオを
追加したPS版も発売した。SFC版があまり売れなかったこともあり、
PS版の初期出荷は7000本だった。加えて、レビューも散々だった。
しかし7000本はあっという間に完売し、追加に次ぐ追加で
結局25000本ほどの販売実績を得た。
そして、今では滅多に見かけないソフトとしてプレミア価格が付いている。
「かざまやく」を変換すれば
そのまんま「風間訳」になるので、
そんなおかしな変換ミスでもない。
市場に25000本流れているPSソフトにプレミアが付くことはあまりない。
プレミアが付くということは、絶対数が少ないという理由が一番にあげられるが、
25000本という数は、それほど少ない数ではない。では、なぜプレミアが付くのか?
手放さない人が多いのだ。今のご時世、ゲームは遊べば中古ショップに売るのが
一般的だろう。だから、販売本数が多ければソフトもすぐに値崩れする。
それを考えると『学校であった怖い話』は嬉しいことに、
多くのユーザーが今も手放さずに持っているということになる。
それは、今なおいくつも存在するファンサイトや、初期の散々たる雑誌レビューとは
裏腹にユーザーのレビューにはとても好意的なものが多いことも裏づけ
になっているのではないだろうか。短時間では全貌を見ることの出来ない世界を堪能し、
長い時間に渡りゲームを愛してくれたユーザーが多いことが、証明されたのだ。
『学校であった怖い話』の販売実績のみを見れば、『四八』の開発にゴーサインは出なかったであろう。
ネット上で今なお運営されるファンサイトや好意的なユーザーレビュー、
そしてプレミアのついたPS版の動向、さらには10年以上前のソフトでありながら
今も遊び続けてくれるユーザーがいることなどが、『四八』を制作に踏み切らせた要因になっている。
そしてさらに『四八』の持つ独特な世界観を認めてもらえたことが破格の制作費も実現させた。
何度も言うが、『学校であった怖い話』のファンの声が今回の『四八』という企画を実現させたのである。
根強いファンの声が生んだ作品なのである。だからこそ私も彼らの声に応えたかった。
そのため、当初登場予定のなかった『学校であった怖い話』語り部メンバーたちの登場を決心させた。
彼らを再び私の作り出す恐怖世界の中で動き回らせることは、ファンの方々へのせめてもの恩返しなのである。
話を元に戻すが、『学校であった怖い話』というタイトルに
こだわったのにはわけがある。私の見た限りその件に関して
書かれているレビューは見当たらなかったので、それを書かせて
いただきたい。『学校であった怖い話』というタイトルから、
誰もが学校の怪談、学校にまつわる都市伝説的な恐怖を想像するだろう。
そして、それらがいっぱい詰まったショート・ストーリーの集合体だと思われるだろう。
もちろん、それは間違いない。しかし、よく考えてほしい。
あそこで描かれる話は、学校以外で起きる話であったり、学校内と言っても
生徒たちが巻き起こす恐怖を語っている話も多いのだ。
ここに疑問を持った人は、このタイトルの意味を考えてほしい。
あのゲームの設定、6人の語り部が集まり1人の生徒が彼らの話す怖い話を聞くという展開。
その様を描いてゲームの一周が終わる。これが、基本スタイルだ。
ゲームのタイトルは、この基本スタイルを意味している。
当たり前のように思われるかもしれないが、これが実はタイトルが持つ本来のテーマなのである。
普通に怪談を聞くはずだったのに、聞いているとどうも様子がおかしい。
実は彼らは聞き手である主人公に恨みを持つ連中が彼を殺すために
仕組んだ企画だった。または、彼らが1人ずつ消えていき、その真相を解き
明かしていく話。さらには校長がらみの人形の話。これらがあるからこそ、
『学校であった怖い話』なのである。言い換えれば『学校の怖い話』ではなく、
『学校で怪談話を聞く集会をやったら遭遇してしまった怖い話』なのである。
全てが統一された世界観の上に成り立つ『四八』と異なり、
『学校であった怖い話』はパラレルワールドの怖さである。
だから、分岐によってキャラクターの環境も特性も変貌していく。
そのため、本当は他にもそれを最大限に活かしたシナリオを予定していた。
1つは小説版で描いた話であり、もう1つは『殺人クラブ』の逆パターンである。
小説版で描いた話は、思い通りに描けたので満足している。もう一つは、
残念ながら世に発表されることはなかった。実は聞き手である坂上修一
が彼らを集め、彼らに復讐していく話である。6人の語り部の話が
終わっても7人目は現れない。帰ろうとすると、坂上が自分が7話目を
話すという。そして、新聞部のロッカーを開けると、そこにはこの怪談話を
持ちかけた日野の死体が…。坂上は、ある事件の復讐を果たすため彼らを
一堂に集めて抹殺しようとしたのである。選択肢によってはあっという間に
復讐を終えてしまうが、語り部たちが新聞部の部室から逃げ出すパターンがあり、
こちらのほうが本筋。これは、『殺人クラブ』と同様のシステム形態をとるが、
主人公はアンプルを探すのではなく逃げ惑う語り部たちを追い詰めて
復讐していく展開を予定していた。一人追い詰めるたびに、復讐するべき
事件のあらましがわかっていくというものだった。
しかし、どちらもゲームにするには刺激が強すぎるということ、
主人公を殺人鬼として扱うのは教育上よろしくないということで却下された。
もしこの2つの話がゲームに盛り込まれていたら、
『学校であった怖い話』のタイトルの持つ真の意味をよりユーザーに
わかってもらえたのではないかと思っている。
さて、『学校であった怖い話』のファンにとって、『四八』は涙を流して
喜べるゲームだと言ったはず。発売までまだ時間はあるが、もう焦らすのも悪かろう。
『四八』は日本全国に100以上のシナリオがばら撒かれているわけだが、
ぜひやっていただきたいのが千葉県のメインシナリオ。
そのタイトルを『学校であった怖い噂』という。とある新聞部員が学校にまつわる
七不思議を題材に壁新聞を作ろうとする話だ。主人公の名前は坂上修一。
長短様々なシナリオ群の中でも恐らく五本指に入るであろう大作だ。
このパートは膨大すぎるため、恐らくマスターアップの限界までシナリオを
弄繰り回すと思う。『四八』の独特なシステムのため、
『学校であった怖い噂』の全パートを見るのにどれくらい時間がかかるかは
一概に言えないが、おそらくこのパートだけでも全てのパターンを見ようと思ったら
十時間以上かかると思われる。さらに、その後に用意された隠しシナリオの
裏の裏まで見ようと思ったら…。
あなたは自分の出身地から始めるのか、それとも千葉県から
始めるのか。それだけでもゲームの展開は変わるのだ。
ぜひ、期待していただきたい。