由香はもう帰ってこない。
親には言えない、言っても信じてもらえない。
次第に崩れていく家庭。母は倒れ、父は仕事を辞め酒に溺れる毎日。
しかし、聞こえる。今でも時々、由香の声が。
隣の部屋から聞こえてくる由香の声。
だが、その日だけはいつもと様子が違った。由香の声に混じるのは羨望か絶望か
哲志は意を決してドアを開ける。
待っていたのは馴染んだ由香の部屋ではなく、一面の光の海
意識を失う哲志。目が覚め、頬に床の感触を感じる。
由香の部屋のカーペットでは無い、冷え切った感触。
それはあの校舎の木の床だった。
「まさか…消えたはずじゃ?」
「おにいちゃん!」
「由香!?」
目を上げる。そこには以前と変わらぬ由香の姿があった。あの時、助けられなかった由香の姿が……
「おに…ちゃん、お願い……を…て…!」
再開を喜ぶ暇も無く段々とかすれていく由香の声。それとともに由香の姿も薄く、消え行こうとしている。
「由香!」
慌てて由香に触れようとする哲志、しかしその手は空を切った。
「おにいちゃん…」
由香の姿が完全に消える直前に響く由香の声。
まだだ…まだ由香は消えていない。この校舎に存在として残っている。
そして自分に助けを求めているのだ。
「由香…待ってろ!」
襲い来る亡霊、再び現れる赤い服の少女。
悲恋の兄妹は再開を果たすのか!?
コープスパーティ2 乞うご期待!