F(ファミコン)B(暴行)I(いい加減にしろ)捜査官の事件報告。
昨夜未明、東京都世田谷区に住むドラクエ3さん(14歳)が、
所有者の羽見魂男(はみ・こんお)容疑者に惨殺された。
ドラクエ3さんは、ハンマーで滅多打ちにされたあげく、電子レンジ
でチンされた。羽見容疑者は、「冒険の書が全部消えたので、腹が
立ってやった。後悔している」と供述している。ファミコン裁判長
は、「容疑者に同情の余地はあるが、電子レンジでチンするという
殺害方法は、極めて残虐かつ悪質である」と判断し、羽見容疑者に
ファミコン禁止3年の刑を言い渡した。
2get
3 :
NAME OVER:02/11/13 15:28 ID:U1QNfUxn
<ロシア刑務所>「殺されると思った」 元受刑者、実態を語る
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021110-00000110-mai-soci 脱走した受刑者に重傷を負わせたとして格闘家4人が特別ふしゅる暴行陵虐致傷
容疑で逮捕された。ロシアの刑務所の元受刑者の男性(20歳代)が9日、毎日
新聞の取材に対し、格闘家が受刑者を制圧する実態を証言した。「道を歩いてい
たら身長2m以上の見知らぬ男に喧嘩を売られ、警察に電話しようと電話ボック
スへ駆け込んだ。格闘家が追って入ってきたので逃げようとしたが、足をつかん
で電話ボックスに引きずり戻され、失神するまで殴られた。殺されるかと思った」
と憤り、事件について「ひ弱なロシア人へのリンチほどひきょうなことはない」
と訴えた。男性は日本在住で、氏名が下品であるため猥褻物陳列罪で死刑判決を
受けて90年代にミサイルのサイロに監禁された。男性は脱走中、ロシア野郎で
あるという理由でプロレス団体に拉致され、屈強なレスラーにピストルで撃たれ、
土下寝させられた。また他の格闘家に高層ビルの窓から外へ突き落とされたり、
バケツをかぶせられて睾丸を潰されたりした。観衆の中で全裸で警察へ引き渡さ
れたこともあった。今は非合法な地下闘技場へ連行され、見世物としてリンチさ
れているという。格闘家による次々の制圧行為には「このまま殺されてしまう」
という恐怖感を常に感じ、「『足腰立たなくなるまでブッ叩くッッ』とののしる
若い格闘家の顔を忘れることができない」と声を詰らせた。
5 :
NAME OVER:02/11/13 17:56 ID:4Lp3R5uX
名すれあげ
不阿弥魂坊
字間違ってたらスマソ
7 :
NAME OVER:02/11/14 20:55 ID:F82EwEzT
age
8 :
NAME OVER:02/11/18 01:28 ID:Tai2gJz/
9 :
NAME OVER:02/11/20 19:25 ID:zfeNuJnn
age
茸王国、亀帝国に対し報復攻撃
茸王国王女・桃姫(28)を拉致した亀帝国に対し、茸王国が報復攻撃を開始した。
茸王国は希少動物密輸、ビル損壊、大量殺人などの罪で死刑囚となっていた双子の兄弟、
真理男(26)、類似(26)を罪の帳消しを条件にテロリストとして亀帝国に潜入させた。
真理男兄弟は亀帝国において住民に対し無差別殺人を繰り返し、死傷者は数千人を超える模様。
茸王国の暴挙に対し更紗国、恐竜国等の同盟国からも非難の声が上がっている。
真理男兄弟は亀帝国元首・苦津波大王(30)の暗殺をも狙っており、
陛下の影武者七人は全員溶岩の海に落とされ無残な焼死体が発見されている。
11 :
小:02/11/24 12:36 ID:???
森up
12 :
NAME OVER:02/12/09 22:37 ID:48ifuIpN
ahahaha
13 :
NAME OVER:02/12/09 23:05 ID:qPYnwVD0
14 :
NAME OVER:02/12/09 23:15 ID:BpTEJelS
1
突然、部屋の掃除をしたくなることがある。それも大掃除だ。
普段は全く気にならないカップ麺の殻やコンビニの袋、くしゃくしゃになったティッシュ、
そんなものに無性に腹が立ってくる。
万年床を片付けるために滅多に開けない押入を空け、ゴミ袋を取り出す。
床に散らばったゴミを、一つ目に留めてはのろのろと袋に放り入れ、
また別のゴミが目に入るとしばらくぼーっとそれを見つめ、またのろのろとそれを拾う。
床の上にある程度のスペースが出きるとそこに腰を下ろし、タバコを吸いながら周囲を見渡す。
吸いながらもまた別のゴミが目に入る。
これだけ散らかっていて、何故今まで気にならなかったのかが不思議でしょうがない。
咥えタバコのままで漫画本を一箇所に重ねる。
まだ一度も開いていない求人情報誌。
ペラペラと2,3ページめくり、溜息を一つつきながらそれをゴミ袋に放り入れる。
15 :
sage:02/12/09 23:16 ID:???
そのうち不思議と興が乗ってくる。
頭にタオルを巻いてテンポのよいBGMを聴きながら掃除をしていると、
自分のかび臭くなった脳細胞がパラパラと音を立ててはがれていくようで気分がいい。
久し振りに窓を開けてみる。この所肌寒くなってきたので閉め切ってばかりいたが、
窓を開けてみると、外気は意外に暖かい事に気付く。風もない。
部屋の中の方が余程寒かったのではないか。日光の力は偉大だな。
間の抜けた自分の考えに苦笑するが、気分は悪くない。
冬眠明けの熊もこういう気分なのだろうか。
窓から世間の息遣いが、鳥のさえずりが、子供の笑い声が、室内に侵入してくる。
しばらく窓辺でぼんやりとしていたが、空腹感が僕の意識をこの部屋へと呼び戻した。
時計は11時過ぎを指している。3時間余り掃除に没頭していた事になる。
午前中にこれほど活動したのはいつ以来だろうか。
正午まで小一時間。もう少し室内の片づけをして、コンビニに弁当でも買いに行くか。
その人間らしいアイディアが気に入って、また活動的な気分になった。
ゴミ袋の山を玄関に積み上げ、古新聞の山と格闘する。
ビニール紐で縛り上げた新聞の束が5つ目になったころ、
プラスティック製のケースのようなものを掘り出した。オレンジ色のファミコンソフトだった。
「マリオブラザース」
溢れるように子供の頃の思い出が蘇る。
弟と一緒にお年玉を出し合った。
従妹達を集めてのゲーム大会。
友達と喧嘩の原因になったのも、これだった。
どれも、暖かく、輝いている、遠い遠い記憶だ。
だが何故これがこの部屋にあるのだろう。
大学に入るために故郷を後にした時、
当時既に時代遅れの代物だったファミコンの本体もソフトも、
全て実家に置いてきた筈だ。あれから一度も帰省していない。
いや、それらも中学を出る頃には近所の中古ショップに売ってしまったかもしれない。
高校の頃には既にスーパーファミコンのソフトがだいぶ出揃っていて、
音も画面もチープなファミコンでなど遊ぶ気にもならなかった。
新しいソフトを買うために、小学校から集めたソフトも、本体も、
全て売ってしまった記憶がある。弟の許可も取らずに。
大学に入って買いなおした?本体もないのに?
そんな馬鹿な事はした覚えがない。
では、この「マリオブラザーズ」は一体誰がここへ?
その時は考えもしなかった。
これがあの恐ろしい事件の幕開けだとは。
今でも時々考えてしまう。
あの時僕がそのソフトを見つけなければ、
皆、「日常」という温かく優しい世界で
何も知らずに生きていく事が出来たのではないかと・・・。
「ちがうよ、俺んじゃあない。」
「マリオブラザース」のカセットを弄りながら、亮一は即答した。
「エミュって知ってるか?う〜ん、知らないか。」
エミュ。どこかで聞き覚えのある単語だ。
オーストラリアだかどこかの、ダチョウみたいな鳥が確かそんな名前だった気がする。
「エミュ、エミュレーターの略なんだけどさ、う〜ん・・どう説明したらいいか・・」
下唇をつまみながら、亮一はしばらく天井を見上げていた。
どうやらダチョウの事ではなかったらしい。
「ゲームはさ、コンピューターのプログラムの一種だよな。
で、まあこのカセットの中の部品にそのプログラムが入っている。
それはなんとなくわかるだろ。」
「うん、なんとなく。」
「工場でカセットの中の部品にプログラムを入れてやる。
それで店で売ってるようなカセットになって、出荷する。
でもさ、そのプログラムを逆に吸い出すことも出来るんだ。」
「カセットの中から・・・吸い出すのか?」
「ああ・・・えっとさ、ゲームをするときにこのカセットをファミコンに差し込むじゃん。
その時にさ、ファミコンの本体でカセットの中のプログラムを覗いて、
そのプログラムどおりにファミコンが動く。で、テレビにそれを映し出す。
ここまでは大丈夫か?」
「うん、なんとなくわかる。」
「OK。じゃあさ、そのプログラムを覗けるってことは、それを書き写したりすることも
出来そうだろ?ファミコン本体と同じようにプログラムを覗けて、かつ書き写す機能を持った
機械があれば。」
「・・・あるの?そんなの。」
「うん、ある。普通のファミコンショップには売ってないけど、結構昔からあるんだ。
それを使うとさ、カセットの中のプログラムをフロッピーディスクに書き写して、
パソコン使っていじる事が出来るんだ。で、パソコンでそのソフトを動かす時に
そのプログラムだけじゃあだめで、ファミコン本体のふりをしてやる、
別のプログラムが必要なんだ。それがエミュレーター。そういったものをそろえてやれば、
パソコンでファミコンのゲームが出来る、まあ大体そんな感じかな。」
ぼくは「はあ」と、溜息のような返事のような間の抜けた声を出した。
「ソフトが一杯溜まってくると、かさばって置き場にも困るよな。
エミュならさ、データだからハードディスクやCD-Rに放り込んどきゃ、かさばらないだろ?
部屋狭くなるのやだし、昔のゲームは殆どエミュにしちゃってるんだ。」
「お前の部屋、物多いもんな。パソコンとか。エロ本捨てりゃあ押し入れもっと広くなるぜ。」
「うっさい、お前が言うな。今日はなんだかやけに片付いてるけどな。」
「ああ、部屋の掃除しててそれ、見つけたんだ。」
なるほどね、そう呟きながら亮一はまたそのカセットを弄り始めた。
「まあそういうわけで、『マリオブラザーズ』もエミュでやってるんだ。だから俺んじゃない。」
亮一がいじっているファミコンソフト「マリオブラザース」。
その持ち主は誰かと考えた時、最初に頭に浮かんだのが亮一だった。
21 :
2 (4/4):02/12/13 01:58 ID:9I1Dl7W6
亮一はやけに雑学でパソコンなどにも詳しいが、かなりのゲームオタクだ。
亮一の実家の部屋の一番大きい棚は、中学の頃にはすでにゲームソフトや攻略本で占領されていた。
当時は「オタク」という言葉が使われ始めた頃で、ぼくはよく亮一をゲームオタクだとからかった。
亮一はそう呼ばれるのをとてもいやがった。
ゲームフリークと呼べ、とか、俺なんかはまだまだ大したほうじゃないさ、と言うのが常だった。
それでもぼくからすれば亮一はやはりゲームオタクだった。
二人が故郷を離れた今もそれは変わらない。
ぼくの部屋にあるプレイステーションやそのソフトも、
亮一がこの部屋に持ってきてそのままになっているものだ。
だから「マリオブラザーズ」を見つけたとき、真っ先に亮一の事を考えたのは極自然な事だった。
もう一つ、理由がある。
ここ3,4年でぼくの部屋に入った事のある人間は亮一だけだ。
その間まともに会話を交わした相手も亮一だけだ。
ぼくは世間で言う「社会的ひきこもり」というやつだからだ。
3
もういつからだろう。僕は殆ど部屋から出ない。
外へ出るのは1週間に1度あるかないか。
袋ラーメンの買いだめに近所のスーパーへ。
雑誌や弁当を買いにコンビニへ。
マンガを買いにフランチャイズの古本屋へ。
欲しいものがある時、渋々外へ出る。それも日が暮れてからだ。
昔は飲み会やマージャンで大学の友人やバイト仲間が頻繁に訪れたこの部屋も
今は亮一が遊びに来るだけだ。
「お前んちにあるソフトって、これで全部だっけ。」
僕がゲームソフト入れに使っているプラスティック製の籠を引っ掻き回しながら
亮一が尋ねた。一本一本、ケースのタイトルを確かめ、自分の脇へ積んでいく。
「ああ、全部その中に入ってる。」
「ふ〜ん・・・パラサイト・イブ、自分で買ったの?俺持ってるのに。」
「中古屋で安かったからさ。」
「もったいない。」
亮一の脇に山積されたソフトが今にも倒れそうで気になる。
覗き込んでみると、高い山が一つ、低い山が一つ。
どうやら高い山が亮一から借りたものらしい。
亮一は籠の中のソフトを一つ取り出しては山に積み、結局籠を空にしてしまった。
そして低い方の山を指差し、この中で自分で買ったやつはどれだ、と僕に尋ねた。
亮一の意図する所がいまいちよく解らないまま、
僕は低い山のソフトを手にして一つ一つタイトルを確かめていった。
「・・・全部。うん、全部自分で買ったやつだと思うけど、なんで?」
「ほんとに全部?」
「ああ。」
意外そうな表情を浮かべながら、ああそうと呟き、
亮一はまた下唇に手をやって天井を見上げた。
「これだけゲームソフト持ってればさ、誰かに貸したまま戻ってこない、
誰に貸したのかも覚えてない、そういうソフトってあるよな。
逆にずっと自分ちにあるんだけど、誰に借りたのかわからない、そういうソフトもあるじゃん。」
僕はようやく亮一の意図を理解した。
「俺、亮一以外からゲーム借りた事無いと思うよ。誰かに貸して行方不明ってのも、
ゲームでは無いと思う。CDとかならあるけどさ。」
「忘れてるだけじゃないのかなあ。このプレステ買ったのって、いつ?」
「何言ってんだよ、それ、お前がうちに持って来たプレステだぜ?」
ソフトの山を籠に戻していた亮一が手を止め、僕に視線を戻した。口が開いている。
「へえ?そうだっけ?」
「そうさあ。なんだよ、色々推理してくれたみたいだけど随分間の抜けた探偵だな。」
「はあ・・そっかあ・・いや、俺の部屋にもプレステ何台かダブってあるからさ、
その内の一つなのかな・・・。」
亮一はまだ合点がいかないという顔をしている。
ゲーム機の本体をダブって買う奴はあまりいないだろう。
そう考えるとおかしくなって、僕は吹きだしてしまった。
亮一もばつが悪そうに苦笑いした。
「まあいいじゃん。これの持ち主が誰だろうとさ、そいつもとっくに忘れてるんじゃないかって事さ。
あんまり気にする必要ないんじゃない?俺以外でこの部屋最後に入ったのって、誰?」
「・・う〜ん・・だいぶ前だからな・・・。
古田か・・・それとも前のバイト先の奴らがマージャンしに来たのが最後かな・・。」
古田ね、そう呟いて亮一は少し考えている様子を見せたあと、
「来週の金曜にさ、経営情報学科の同窓会があるらしいんだ。
俺その時古田に聞いてくるよ。あ、それともお前も出るか。」
「ああ、いや・・・いいよ。任せる。」
「そっか・・。うん、じゃあ聞いとくよ。でも気が変わったら一緒に行こうぜ。
大橋さんがお前に会いたがってるみたいだったし、さ。」
亮一はそう言うと意味ありげにニヤっと笑った。
今度は僕が苦笑いする番だった。それは亮一の勘ぐり過ぎだ。
半年程前に古田が電話をくれた時、大橋和美と付き合っているという話を聞いた。
大学を卒業してもちょくちょく会っていたのだが、1年ほど前から付き合い始めたらしい。
古田が電話の話を大橋さんにしたのだろう。それで懐かしくなった。それだけだ。
「まあ、よろしく言っといてくれよ。」
「そっか・・。俺もお前と一緒なら心強いんだけどな・・。
就職してないの、俺だけだしさ。あんまり仲いいやつもいなかったし。」
まあちょっと考えてみてくれよ、そういいながら亮一は立ち上がった。
「あれ、もう帰るのか。」
「ああ、研究室戻る。弁当食べる場所が欲しかっただけだからさ。」
俺んちは食堂かよ、という僕の言葉に亮一は向こうを向いたまま
片手を上げて玄関から出て行った。
27 :
NAME OVER:02/12/13 20:24 ID:v1lPYWu3
ああは言ったが、あいつなりに気を使ってくれているのだろう。
亮一が買ってきた弁当はちゃんと二人分あった。
二人分のゴミをゴミ袋に放り込みながら、大学時代の事が頭に浮かんだ。
同窓会か・・。亮一には申し訳ないが、やはり出たくない。
大学での同級生たちは、皆社会人として立派に戦っているだろう。
戦えず、一人塹壕の中で鬱々と過ごしている自分の姿を彼らの目にさらす事を考えると、
とても惨めな気持ちになる。
一杯になったゴミ袋の口を結び、玄関口へ置く。
少しだけ気分転換をしようと、プレイステーションのスイッチを入れた。
ちょっとした気分転換のつもりだったが思いのほかゲームに熱中してしまい、
空腹を覚えて時計を見ると夜中の1時を指していた。
昼過ぎに弁当を食べてから何も口にしていない。
深夜のつまらないTV番組をながめながら買い置きの袋ラーメンをすすり、
僕は歯も磨かずに布団に潜り込んだ。
4
同窓会当日。朝のニュースショーのオープニングテーマで目が覚めた。
TVのタイマー機能で毎朝決まった時間に電源が入る。
タイマーはもう長い事6時55分にセットされたままなので、今は7時くらいなのだろう。
古田や大橋和美、それに小学校の頃の同級生まで出てくる夢を見ていたようだが、
最後に和美が男の声で「ズームイン! 」と言った所以外、思い出せない。
うつ伏せのまま上体を起こし、布団の側にあったタバコの1本を手に取り火をつけた。
ぼんやりとTVを眺めながらタバコをふかし、ペットボトル入りのお茶を飲む。
少しずつもやが晴れてきた頭で、何故あんな夢を見たのかを考えているうちに、
今日が同窓会の当日だという事を思い出した。
3日前、僕は参加しないと、亮一から同窓会の幹事である和美に伝えてもらった。
自分で電話するべきかとも思ったが、大学の授業に僕がまだ出ていた頃に会って以来、
1度も連絡を取っていない和美にはやはり電話し辛く、結局亮一に頼った。
亮一も一人では行き辛いらしく、
「大橋さんには不参加って言ったけど、当日飛び入りも考えててくれよ」
と結論を引き延ばした。まあ一応な、そう軽く言って無理押しはしなかったが、
亮一の表情は少し寂しそうに見えた。
つまらないコーナーになったのでTVのチャンネルを変える。
別の民放局のニュースショーは星座占いのコーナーだった。
朝から星座占いをやって、今日一番運勢の悪いのはしし座です、
なんてやる悪趣味なコーナーがまだ続いている事に驚く。
これ、一応ニュース番組なんだよな。
そんな事を考えながら窓の外を見た。
空は深い青で見える範囲に雲はない。爽やかな朝ってやつだ。
TVにあなたの運勢は最悪ですと言われ、快晴の空を見上げる、
そんな朝はいつ以来だろう。
布団を畳んで窓を開け、朝の空気を部屋に入れた。
NHKの朝ドラマを見ながら、すこしのび気味の袋ラーメンをすする。
これが健康で文化的な生活、ってやつだよな。
少し活動的な気分になり、溜まっている洗濯を片付けてしまおうという気になった。
洗濯をする時はベランダに出る。
ベランダ、僕の部屋はアパートの1階なので正確には庭と呼ぶべきなのか。
部屋の南側、大きい方の窓を開けて出るアパートの狭い裏庭。
隣の部屋の裏庭との仕切り壁に接して洗濯機は据えてあった。
お気に入りのCDを聞きながら、仕分けした衣類を洗濯機に放り込む。
洗濯機が回っている間、サンダル履きの足のまま、窓際に腰掛けて空を眺めた。
同窓会に行ってもいいかな、そんな気分になってきた。
洗濯機の音を聞きながら、古田の事、和美の事、他の大学での友人の事を
ぼんやりと思い出し、考えた。
ふと、「マリオブラザース」の事を思い出した。
亮一以外でこの部屋に最後に入ったのは、誰だったろう。
古田だろうか。前バイトしていたマンガ喫茶のやつらだろうか。
31 :
NAME OVER:02/12/15 13:53 ID:rhyxT4Qd
……由美……ではないだろう。大学1年の頃付き合っていた井川由美。
由美はゲームが好きではなかった。
僕が亮一から借りたゲームをしているのを見て、興味を示した事はあった。
だが、いくつものボタンがついたコントローラーの操作に四苦八苦し、
すぐにコントローラーを放り出して、僕に抱きついて甘えてくるのが常だった。
彼女が僕に別れを告げるためにこの部屋を最後に訪れたのは、
確か2年次にあがる直前の春休みだったと思う。
それ以降の1年近く、何人もこの部屋に入っている。
飲み会、ゲーム、マージャン……。
遊びに明け暮れ、授業に出なくなり始めたのもその頃だったか……。
脱水が終了した事を告げる洗濯機の電子音で現実に戻された。
まだいくらか水気を含んだしわくちゃの衣類をかごに取り出し、
Tシャツはハンガーに掛けて、靴下は小物専用のハンガーで物干し竿にぶら下げる。
古田には、亮一が聞いてくれる。自分でも少しは動くべきだよな。
「マリオブラザース」の持ち主探しなど、殆どどうでもよくなっていたのだが、
自分が何もしないのでは亮一に申し訳ないような気がしたので、
久し振りにバイト時代の同僚に電話を掛けてみようという気になった。
これも早起き効果かな、別の衣類を洗濯機に放り込みつつそう思った。
だが、かつての同僚全員に電話を掛けまくるのは気が進まない。
久し振りに電話して、なんで今頃電話してきたのか、
マルチ商法にでも勧誘するつもりか、等と勘ぐられるのはやはりいやだ。
洗濯機の回る音を聞きながらアドレス帳をめくっているうち、
酒井大輔の番号が目にとまった。
バイト先のマンガ喫茶で仲間だった大輔。
1つ年上の僕に何故かやたらとなついていた。合コンやナンパによく誘われた。
よくこの部屋に遊びに来たのも大輔だ。
僕がバイトを辞めてからも時々遊びに誘ってくれた。
もう3年が経つ。大輔も、あの頃とは変わっているだろう。
やはり何故今頃、と思うかもしれない。でも他の奴に電話するよりは幾分気が軽い。
それに他のバイト仲間の番号は当時まだ10桁だった携帯電話のものだ。
バイト先で携帯を持っていなかったのは僕と大輔だけだった。
3年も経てば携帯の番号も変えているだろう。ここはやはり大輔だ。
僕はアドレス帳を何度も確認しながら、大輔の番号をプッシュした。
5
「ふぁ、あい、もしもし。」
すでに午前11時を過ぎ、もう昼に近い時間だが、大輔はまだ寝ていたらしい。
「ああ、ごめん。寝てたんだ。俺、川上です。」
「……え、あれ。あ、浩平さんですか? お久し振りっす。どうしたんすか。
っていうかどうしてたんですか。今何やってるんですか。ああ、もう就職したんすか。」
次第に目が覚めてきたのか、大輔の興奮した声が僕の耳を突いた。
相変わらずだな。苦笑すると同時にほっとして、肩の力がぬけるのが自分でもわかった。
「いや……就職はまだしてないよ。相変わらずだね。」
「ああ、そうっすよね。浩平さん授業出てなかったし。俺もあれから結局留年しちゃって、
いっその事大学辞めてフリーターなっちゃおうか、なんて思ってるんすけどね、
でも不況らしいじゃないすか、今。どうしようかなあ、なんてね。
一緒にやります? フリーター。」
大輔は、僕が久し振りに電話を掛けてきた事に、あまり疑問を持っていないようだ。
本題を切り出すきっかけを失って、僕は大輔の現況報告に相槌を打ってばかりだった。
バイト先のマンガ喫茶が大手フランチャイズチェーンの傘下に入ったという事。
昔のバイト仲間もみんないなくなり、自分が最古参でリーダー格になっている事。
以前つきあっていた彼女と9月に別れたので、
クリスマスを一緒に過ごす相手を大慌てで探しているという事。
冗談混じりの大輔のお喋りを聞いていると、大輔の顔が目の前に浮かんでくるようだった。
知らず知らずの内に口元が緩み、楽しかった頃の記憶が蘇ってきた。
「そうそう、浩平さん、最近佐藤と会いました? 」
その名前を聞くと、口の中に苦瓜を噛んだ時の感覚が広がるような気がした。
「いや、なんで? 」
「ほら、先輩が辞めるちょっと前に佐藤が店に来たことがあったじゃないですか。
先輩の元彼女とつきあう事になっただのなんだって嫌味言いに。」
「ああ……あったね。」
「あいつ散々かっこつけてたけど、先輩が辞めてちょっとした頃にふられちゃったらしいすよ。
ほいで今はまた別の子と付き合ってるんだけど、
その子がなんか変な奴にストーカーされてて、佐藤もそいつに部屋荒らされたって。
そいつだって証拠は無いんすけどね、佐藤は絶対あいつだって。
まあ一番大変なのはサっちゃん、ああ、佐藤の今の彼女なんですけど、
サっちゃんが一番大変なわけじゃないですか。
でもなんか佐藤は『とばっちり食った』みたいにサっちゃんに当たってて。
なんか傍で見ててもすげえ可哀相ですよ、サっちゃん。」
大輔は話しながら興奮して来たのか、段々声が大きくなってきた。
サっちゃんという佐藤の彼女とも親しいだろう。或いは好意を寄せているのか。
憤りが収まらないらしい大輔の話に上の空で相槌をうちながら、
佐藤がバイト先に来た時の事を思い出していた。
僕は大学時代、夏はアウトドア全般、冬はスキー、普段の主な活動は飲み会という、
「ナンパ系」などと揶揄される部類のサークルに入っていた。
僕の入った年の新入生の中に、別の私大に在籍する佐藤もいた。
学年は同じだったが、一浪で大学に入った僕のほうが一つ年上だった。
大学に入ったばかりの新入生には共通の話題が少ない。
相手がどういう嗜好の持ち主かもわからないので、
入試の点数や志望校、高校時代の事などで会話をつなぎ、
お互いに慎重に相手を探りあう、そんな時期がある。
そんな頃、サークルの中で現役生のリーダー格のように振舞っていたのが佐藤だった。
佐藤はサークルの中で積極的に自分の派閥を作ろうとしているように見えた。
現役生だけでグループを作り、常に自分がリーダーであろうとしていた。
だが2ヶ月もたてば、現役や一浪など関係なく、1年生同士打ち解けてくる。
元々先輩顔をするのが嫌いな僕は、年の上下に拘らずに皆と交流した。
出来るだけ多くの友人を持ちたいと思ったからだ。
そんな僕の姿勢は、佐藤にとって鼻につくものだったらしい。
佐藤の僕を見る目にあからさまな敵意と対抗意識が混じるまで、
驚くほど短い時間しかかからなかった。
そんな目を向けられるのが単純に悲しくて、僕も佐藤に積極的に話し掛ける事はなくなった。
大学入学から2年が経とうとしていたある日、
佐藤が僕のバイト先だったマンガ喫茶にやってきた。
僕を訪ねてきた訳ではなく、同じ大学の大輔に会いに来たらしい。
そこに僕がいたので少し驚いたようだったが、
「お前最近サークルさぼってるけど、何やってんだよこんなとこで。」
いつもの高圧的な態度でそう言った。
働いてんだよ見ればわかるだろ、そう言いたいのを我慢している僕に、
佐藤は挑みかかるような調子で言った。
「俺、今度由美と付き合う事になったから。由美も迷惑だからさ、
今更彼氏ヅラして由美に電話してきたりすんなよな。」
「お前、浩平さんに失礼だぞ。第一仕事中だぜ俺たち。」
憤る大輔をよそに、僕はあまりの事に怒りも涌いてこなかった。
よりによって佐藤かよ。
佐藤が由美に悪しからぬ感情を抱いているらしい事は、1年の頃から感じていた。
サークルに入ってすぐに僕と由美が付き合い始めた事も、
僕が佐藤に嫌われる一因だったのかもしれない。
僕の存在にお構いなしにしつこく言い寄ってくる佐藤がやはり鬱陶しかったのか、
由美は僕によく愚痴をこぼしていた。
由美と別れて1年、すっかり傷も癒えたと思っていたが、やはりショックだった。
裏切られたような気分だった。
みっともない事すんなよな、勝ち誇った顔で捨て台詞を残して、佐藤は帰った。
その時の佐藤の目、口元、背中。
すっかり記憶の隅に追いやられていたその情景が、鮮やかに蘇る。
40 :
NAME OVER:02/12/16 00:18 ID:mHPItiF4
「……まあそんなわけなんで、今度また合コンしましょうよ。
ところで浩平さん、今日はどうしたんすか?」
大輔の声で、僕は現実に引き戻された。
何故今日大輔に電話をしたのか、本題を思い出すまでに少し時間がかかった。
僕はようやく用件を告げる事が出来たが、やはり大輔にも心当たりがないらしい。
「ファミコンですよね。スーパーファミコンじゃなくて。
いやあ……今時ファミコンなんか持ってる奴っているんですかね。
浩平さんちにもなかったでしょ、ファミコン。俺じゃないっすよ。
他の奴もどうっすかね……。連絡取れる奴には俺から聞いてみますよ。」
あんまり期待しないで下さいね、そう言う大輔に礼を言って、僕は電話を切った。
電話を切ってからも、しばらくその場でぼんやりとしていた。
そうか……佐藤とはすぐに別れたんだな……。今、由美はどうしているんだろう。
「関係ないか。」わざと口に出してそう言いながら、僕は立ち上がった。
そう、僕にはもう関係ない。
洗濯機は脱水を終えて止まっていた。
41 :
NAME OVER:02/12/16 22:31 ID:K49apR8v
続きは?気になるYO!
6
いつの間にかうたた寝をしてしまったらしい。
昼過ぎにTVを見ながらラーメンを食べた所までは覚えているのだが、
ベランダ側の窓から入ってきた亮一に起こされた時には、
既に日も陰り、もう夕方といって差し支えない時間だった。
「いつもの事だけどさ、お前、不用心すぎ。金目のものが無くなってないか確認してみ。」
テーブルとして使っているコタツの上にコンビニ弁当を広げながら亮一は言った。
「お前豚生姜焼き弁当でいいよな。これ食ったら俺、同窓会行くけど、
どうする。やっぱり行かない? 」
午前中はなんだか気分がよくて、行ってもいいか、という気分だったが、
こうして一度寝てしまうと、なんだかとても億劫に思えた。
頭の中には行きたくない理由しか浮かんでこない。
「そっかあ……。まあ俺も面倒くさいけど、じゃ、行ってきますわ。」
弁当を平らげた亮一は、余りしつこく食い下がる様子も見せず、
ベランダ側の窓から出て行った。
僕の弁当はまだ半分ばかり残っていた。
一人でもくもくと弁当を食べている間、無性に自分が情けなく感じられた。
部屋の中は薄暗くなっていたが、明かりをつけるのもTVをつけるのも面倒で
ただのろのろと箸を動かした。
ゲームに夢中になっていたので、突然電話のベルが鳴った時は本当に驚いた。
僕の部屋の電話が鳴ることは滅多にない。
時計を見るともうすぐ10時。亮一だろうか。恐る恐る受話器を上げた。
「あ、浩平ですかあ。俺でえす。古田、でえす。」
やたらご機嫌な電話の相手は、大学時代の同級生、古田だった。
居酒屋だろうか、どこか賑やかな所から掛けているらしい。
大声で話し掛けてくるのだが、時折混じる歓声や雑音のせいで少し聞きづらい。
「今2次会なんだけどさあ、来いよぉお前。亮一君も和美もいるぜ。」
返事をしようと声を出しかけた時、受話器からがさごそという音がして、
何やら遠くの話し声のようなものが混じった。
「ああ、川上君? お久し振りい。大橋です。元気だったあ? 」
電話の相手が大橋和美に代わった。こちらもどうやら出来上がっているらしい。
「1次会、なんで来んかったん?今駅んとこの『群裂』で飲んでるんだけどねえ、
キヨミちゃんもユッコも待ってるからおいでよ。ほら、早く。ああ、亮一君に代わるねえ」
大橋さんは一方的に話し終え、またがさごそという音。
キヨミちゃん、ユッコとは、誰の事だろう。顔が浮かばない。
「すまんな浩平。まあそういう事になってるんだけどさ。今起きてたか。」
亮一の声も、普段よりややトーンが高いように感じられた。
「ああ、起きてたけどさ。」
「みんなだいぶ出来上がってる。人数も少なくてさ、
まあ仲良かった奴だけ固まって2次会、みたいなノリになって。
先生は別の組に行ったよ。ちょっとだけ顔出してみないか?
たまにはいいと思うぜ、こういうのも。
ま、大人しく飲んでさ、みんなの醜態でも眺めてようぜ。」
46 :
NAME OVER:02/12/17 01:31 ID:/b2Iagt4
なあに醜態ってえ、という大橋さんの抗議の声が亮一の背後から聞こえる。
僕も自然に口元がほころんでくる。そうだな……それも楽しいかもしれない。
僕が思っているほど、みんなはそんなに変わっていないのかも知れない。
一人で僕がうじうじしているだけで、皆はそんなに僕の事を気にしていないのだろう。
「うん、わかった。今から準備するよ。」
気張ってお洒落する必要もないと思うよ、亮一はそう言って電話を切った。
急いでシャワーを浴び、適当な服を着て家を出た。
買い物以外で外出するのは何時以来だろうか。
月が明るい。なんだかいつもよりも、空が高く感じられた。
47 :
NAME OVER:02/12/17 01:43 ID:VYgACyuU
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
ものすご長いねぇ。どういうふうに終わるのか気になる
ここ数日、夜になると少し冷えるようになっているのだが、
「群裂」の前に着いた頃には、僕の体は少し汗ばんでいた。
「浩平、こっち。」
店内に入ってすぐに元気の良い店員に出迎えられ、
おどおどしていた僕を見つけて、亮一の方から声を掛けてくれた。
僕の顔を見ると、懐かしい面々から野太い声、黄色い声が上がった。
遅いよお前、かけつけ3杯、わあすごい久し振りい。
一度に浴びせ掛けられる言葉のどれに返事をしてよいのか解らず、
座敷の端に立って口元だけなんとか笑いの形を作って萎縮している僕を見かねて、
亮一が一人分の席を空けてくれた。
「おう、川上ぃ、久し振りじゃん。ほらかけつけ3杯。一気。」
ほとんど泥酔状態の佐々木が僕の肩をつかみ、酒の入ったグラスを差し出す。
「ダメじゃん、佐々木君。今そういうのアルハラって言うんだよお」
ケタケタ笑いながら女の子がたしなめる。名前が出てこない。
おうアルハラっすか、へらへらと笑いながら佐々木はまたすぐに立ち上がった。
ハラ魔神佐々木、という声が男性陣から上がり、そちらにふらふらと向かう。
「まあ一杯いきますか。」
亮一が別のグラスに注いだビールを差し出す。
アルコールは、いつ以来だろうか。
久し振りでやたら苦く感じられるビールをちびちびと飲みながら、
ようやく座敷のメンバーを見渡すゆとりが出来た。
男は、どれも見覚えのある顔ばかりだ。
女の子は大橋和美を含めて4人。
フルネームが出てこない子が3人。
そのうちの一人は、どうしても誰だったのか思い出せない。
美人、と言って差し支えないだけに、それが少し残念に思えた。
「おっす、久し振り。」僕の肩を叩きながらスーツ姿の古田が隣に座った。
古田の顔も真っ赤になっている。昔から、酔うとすぐに顔が赤くなるタイプだった。
まあ一杯。そう言って半分ほど空いていた僕のグラスにビールを注ぐ。
変におじさん臭いセリフがおかしかった。
顔だけ見るとかなり酔っているようだが、古田のネクタイは乱れていない。
なんだか少し、顔つきが精悍になったように思えた。
簡単に近況報告のような事をしている間、古田は笑っていたが、
すぐに真剣な顔つきになって、少し声を落とした。
「井川さん、亡くなったらしいな。」
古田が言っている事が、すぐには理解出来なかった。
亡くなった? 由美が? 死んだって事か。
そんな馬鹿な。由美は佐藤と付き合って、別れて……。
その後の事なのだろうか。
そうか、やっぱり知らなかったんだな。
状況が飲み込めない僕の様子を見て、ショックで混乱していると思ったらしい。
黙って僕の肩を叩きながら、古田はビールを注ぎ足した。
「俺も詳しくは知らないんだけどさ、交通事故らしい。
2ヶ月くらい前……だったかな。
俺は井川さんと面識ないから、告別式、出てないんだけどさ、
和美はほら、お前や井川さんと同じサークルだったろ。
まあ……早過ぎるよなあ。」
52 :
NAME OVER:02/12/17 19:43 ID:9qla3vSQ
ビールを喉に2回、3回と流し込みながら、考える。
こういう時は、やはり、悲しむのが普通なんだろうか。
不思議と何の感慨も湧いてこない。
「俺が由美と別れた……振られて、4年くらい経つけどさ。
その間、全く連絡取ってないんだ。電話も何も。向こうも迷惑だろうし。
だから今何やってる……、やってたのかも解らない。
すっかり忘れてたんだ、由美の事。今もさ、そんなに悲しくないんだ。
俺、冷たいのかなあ……。」
「いや……。そんなもんかもな、案外。」
古田もグラスの中の酒を飲み干した。
「そうだよな。お前が気にすることないさ。ごめんな変な話して。
まあ知らないかもしれないから、一応伝えとこうと思ってさ。一応。」
さあ飲め飲めと明るい声で言い、古田は僕のグラスにビールを注いだ。
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
8
「こら、何しんみりしちゃってるんらあ。」
突然佐々木が僕と古田の間に割り込み、二人の肩に腕を回してきた。
呂律がおかしくなっている。
「しょうがねえな酔っ払いは。」
古田はそう言いつつも、すこしほっとしたような笑顔をみせた。
僕も釣られて笑った。
「川上ぃ、お前、卒業まだしてないのか。
授業出てないのかよ相変わらず。」
「え、うん……。まあな……。」
僕は誤魔化すように曖昧に笑った。
「そっかあ。相変わらず遊んでるんだろう。
噂で聞いてるぜえ。なんか女泣かせまくってるらしいじゃん。」
……ひきこもりの僕が誰をどうやって泣かせるというのだ。
佐々木は悪い奴ではないのだが、相変わらずの絡み酒だ。
「やっぱりあれか、バイトに夢中になってて授業出てないと。
何お前、今もあのマンガ喫茶でバイトしてるの?
今度俺遊びに行っちゃおうかなあ。
お前がバイトの子に手出してないかチェックしに。」
「浩平、あの『マリオブラザース』さあ、古田でもないんだって。」
亮一が向こう側から声を掛けてきた。
マリオブラザース? 何あのファミコンの? うわあすげえ懐かしい。
男性陣から次々に声が上がり、佐々木もその話題に加わるために席を立った。
見かねた亮一が助け舟を出してくれたのだろう。
「『スペランカー』ってゲーム、あったよな。」
「あはは、あの膝っくらいの高さから落ちただけで死んじゃうやつ。」
「高橋名人が逮捕されたって話は知ってるか。」
「ああ、あれ、デマだったらしいぜ。何、鹿児島でも流れたのその噂。」
「『ファミコンロッキー』って知らない? 『コロコロコミック』の。」
「ゲーム拳必殺50連打! 俺、あれ真剣に練習したもん。」
皆の話を聞いていて、僕も楽しかった。勤めている会社の話や業界の話。
社会人の、大人の話になると、とても居心地が悪いだろうな。
そう考えて、同窓会に出るのをためらっていたので、余計に楽しい。
いっき。カラテカ。ツインファミコン。懐かしい固有名詞が座敷を飛び交う。
何を言っているのかさっぱりわからないという顔の女子を置き去りにして、
男子は皆、熱に浮かされたような、夢を見るような、そんな目ではしゃいでいる。
本当に楽しそうな皆の顔を見ていて、ふと、じいちゃんの事を思い出した。
祖父がまだ生きていた頃、小学生の僕に、何かというと戦争の話をした。
食べるものも無くて雑草を食べた話。
意地悪な古参兵に殴られた時の話。
砲弾の欠片がじいちゃんの鉄兜を吹き飛ばした話。
大変だったんだぞ、で終わるそれらの話をするとき、
じいちゃんの顔はとても誇らしげで、なんだか自慢されているような気分だった。
戦争って、そんなに楽しいものなのかな。
子供の僕は、常にそんな疑問を感じたものだ。
僕らも年を取れば、やはりじいちゃんのような事を言うのだろうか。
孫がプレイステーション20で遊ぶ横で、
「近頃のゲームは、現実と区別がつかなくてつまらんねえ。
じいちゃんの子供の頃にはファミコンっていうのがあってな……。」
立体ディスプレイに映し出された画像を見ながら溜息をつくのだろうか。
「なあんか随分大人しいねえ」
いつの間にか、大橋さんが隣に座っていた。
「ほら、ビール注いであげるからコップ開けて。ほら早く早く。」
大橋さんの声に急かされるように、僕はビールを飲み干した。
外見はなんだか随分大人びているが、姉御肌の口調は相変わらずだ。
「由美ちゃんの話は、もう聞いた?」
「うん、古田から聞いた。あまり悲しいとかはないけどね。」
「そうか。そうだよねえ。連絡は取ってなかったんだよね。やっぱり。」
大橋さんがグラスを口元に持っていく。中身はウーロン茶だろうか。
口紅がやけに赤く感じられた。
「由美ちゃんも、あれから何人か違う人と付き合ったんだけどね、
あんまり長続きしなかったみたい。川上君とが一番長かったんじゃないかな。
一番最近の彼氏とも、なんだか上手くいってないみたいだったんよ。
でも、その彼が亡くなってすぐに由美ちゃんも交通事故で……。
やっぱりショックだったんかなあ。」
案外由美ちゃんは、浩平君の事が忘れられなかったのかもね。
そう言って大橋さんは笑った。
今の話のどこからそういう結論が出てくるんだろう。苦笑するしかなかった。
「そう、そういえばさあ、今日聞いたよ亮一君に。
なんか窓開けっ放しで寝てたんだって?ダメだよ、最近はほんとに怖いんだから。
こないだあたしんちにも泥棒入ってね、まあ小銭入れが無くなってただけで
大きな被害も無くてすんだけどさ。日本の治安も悪くなってるんだよやっぱり。」
自分の家が空き巣に狙われた事から、日本の治安悪化という結論を導き出したらしい。
「ちょお、何ニヤニヤしてんのお。本当に大変なんだからね。
友達もストーカーされてて、そいつが部屋ん中まで入ったみたいで、
友達がいない時にね。
そのストーカーが彼氏んちまで忍び込んでとかさあ。」
……ちょっと待て。その話にはなんだか聞き覚えがある。
「待って。友達の彼氏ってさ、佐藤、って名前? 」
「え? ううん、違うよ。武井君って言うの。
一時期由美ちゃんと付き合ってた事もあるんだけどね。
何、知り合いの話に似てた?やっぱり結構あるんだねえ、そういうの。
怖いよねえ、ストーカー。」
自分も夜の帰り道で誰かに後をつけられて、走って逃げようとしたら古田だった、
という話をして大橋さんはケタケタ笑った。
ラストオーダーです、という店員の声が耳に入って入る者はいないようだった。
彼が3度目の声を張り上げた時、ようやく誰かが返事をして、
2次会はお開きになった。
3次会へと流れていく者、終電に間に合うように帰ると言う者。
佐々木はふらついて店の看板を倒しながらも、3次会に行くと言い張っている。
それぞれの方向へ人数がばらけて、解散となった。
僕は亮一と帰る事にした。
久し振りのアルコールで体が温かかった。
店に入る前は出ていた月も、雲にでも隠れたのか、今は見えない。
「どうだった。たまにはいいだろ、こういうのも。」
「うん、そうだな。」
悪い気分ではなかった。だが大橋さんから聞いた話、それに由美の事。
それが心のどこかに引っかかっていた。
「そうか……。なんだか、偶然の一致って奴だな。」
昼間、大輔に聞いた話と併せて大橋さんの話を聞かせると、
亮一も少し考えるような顔をした。
「うん。たぶん偶然なんだろうけどさ、なんか気持ち悪い話だよな。」
由美とつきあっていた元彼氏の、今の彼女がストーカーに狙われて、
その元彼の家も荒される。よく似ている。
由美の死を聞かされたショックもあって、変に気になるだけだろうか。
僕は、まだ由美の事を引きずっているのだろうか。
「あのさ、『マリオブラザース』、ちょっと借りていいか。」
唐突に亮一はそう言った。
「なんで? お前持ってるんだろ、その、あれで。」
「エミュね。うん、そうだけどさ。ちょっと動くかどうか、試してみたいんだ。
誰の物かも解らないんだから、又貸しにもならないだろ。」
おかしな理屈だなと笑ったが、別に構わないと僕も思った。
僕の家に寄って「マリオブラザース」を受け取ると、亮一はすぐに帰っていった。
僕より飲んだはずの亮一だが、その足取りはしっかりして見えた。
自分の体が酒臭く感じられたので、シャワーを浴びた。
シャワーを浴びるとアルコールが抜けていくように思えたが、
いつもよりだいぶ早い時間に眠くなり、布団に潜り込んだ。
2日後の朝も、いい天気だった。
同窓会の日に洗濯をしたばかりだが、まだ籠にはだいぶストックが溜まっている。
下着や靴下だけでも片付けよう、そう思って洗濯を始めたのだが、
結局午前中いっぱい洗濯に使った。
洗濯物用の籠の中身はだいぶ減り、それを見ると気分が良かった。
昼過ぎに玄関のチャイムが鳴った。
亮一だろうと思ってドアを開けたが、違った。
一見して宅配便業者とすぐにわかるユニフォームの男。
「川上さんですね。宅急便です。サインお願いします。」
帽子を目深に被ったその男は、事務的な口調で言いながら荷物を僕に手渡した。
印鑑を取りに戻ろうかと迷っていた僕は、慌ててその荷物を受け取った。
64 :
NAME OVER:02/12/17 21:31 ID:fSvpcOa+
左の手の甲に冷たい感触を覚えた瞬間、
僕の体は跳ね上がり、
背筋に鋭い痛みが走った。
視界が一瞬で真っ暗になった。
痛みは、すぐに感じなくなった。
僕は、生まれて初めて、気絶した。
終わりじゃないよね?
またまた続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
そろそろ終焉か?
9
鼻の粘膜が焼けるような感覚を覚え、意識よりもまず嗅覚が戻った。
背中に壁の感触。
白い壁紙に、カーテンを通ってブルーに染まった日光が当たっている。
押入の扉。
僕の、部屋だ。
僕は何故こんな所で寝ているんだろう。
周囲を見渡そうとした途端に何者かにあごを掴まれ、
無理やりまた元の壁の方を向かされた。
「動かないで下さい。声を出さないで下さい。」
かすれ気味の男の声を聞いた瞬間、気絶する前の事を思い出した。
宅配便業者のあの男……。あの男だ。
視界に銀色の光が飛び込んできた。ナイフの刃。
僕を……殺すつもりなのか。
戦慄が体を走り、自分の顔から血の気が引くのが解った。
殺されるのか、僕は。死ぬのか。
男の手で掴まれた頭部から下の、全身の筋肉が、小刻みに震える。
「私に、ROMを渡して下さい。」
男の声からは何の感情も読み取れない。
それが僕の恐怖を増幅した。頭が痺れて、何も考えられない。
「いいですか。あなたは井川由美さんから、ROMを預かりましたね。
あれは、私達の物です。あなたは、それを、私に渡して下さい。
あなたは死にたいですか? ゲームのROMです。
私に渡して下さい。」
由美が僕に何を預けたって言うんだ。
耐えがたい恐怖から逃れるために、僕は叫びだしたい衝動に駆られた。
ゲームのROMだって?
ゲームの……。
……「マリオブラザース」
…「マリオブラザース」の事なのか?
「あなたがROMを持っている。私達は知っています。
ROMはどこにありますか?」
僕のあごをつかむ男の指に力が入る。
男の親指が頬にめりこみ、口を閉じる事も出来ない。
「ここには、ここにはないです。」
「嘘をつくのは駄目です。」
「ほんと、本当です。友達に貸してます。嘘じゃないです。」
男の数秒間の沈黙が、とても長く感じられた。
「……誰に、貸しましたか? 」
亮一。同窓会の夜、亮一に貸した。
この男は、亮一のところへも行く気だろうか。
亮一に何をする気だろうか。
僕はどうなるんだろうか。
「誰に、貸しましたか? あなたは、死にたいですか。 」
ご免、亮一。俺、すごく怖いよ。言ったらお前が危ない目に遭うんだよな。
でも、すごく怖いんだ。殺されるよ俺。死ぬのはいやだ。
死にたくない。怖い、怖いよ。
鼻の奥が熱を帯び、冷却水のように体液が、
目からも、鼻からも、次から次へと流れ出した。
自分の喉から漏れる嗚咽を止めることが出来なかった。
「言ってください。誰に貸しましたか。」
ナイフの切っ先が、僕の目へと向き変え、近づいてくる。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
ナイフの動きが止まった。
男に緊張が走るのを、頬で感じた。
もう一度、チャイムの音。もう一度。
僕のあごを掴む男の指に力が入る。
耳元に男の息を感じた。
「静かにして下さい。声を出してはいけません。」
男が無言で玄関の気配を窺っているのがわかった。
訪ねてきた人物は、留守だと思っただろうか。帰ってしまうのか。
その後僕は、やはり殺されるのだろうか。
もう、チャイムの音がなる様子は無い。
頬にめりこんだ男の指から力が抜けた時、
ベランダ側の窓を叩くコツコツという音が室内に響いた。
73 :
NAME OVER:02/12/19 02:39 ID:l73avp8X
男の体が泳ぎ、僕のあごも僅かに揺さぶられた。
先程とは異質の緊張が、室内に充満した。
また、コツコツとドアが叩かれた。亮一だろうか。
部屋は薄暗い。カーテンが引かれているのだろう。
外からは中が見えないのだろうか。
気付いてくれ。警察を呼んでくれ。
がらがらと窓の空く音がした。
「浩平、寝てんのか。」
亮一の声を聞いたのとほぼ同時に、僕の視界は再び閉ざされた。
続きキター(顔)−!!
サスペンス!亮一あぶなぁ〜い!
10
僕はエミューの背に乗って、大草原を疾走している。
遥か先を見透かしても、丸みを帯びた地平線が目に入るだけだ。
僕は空に舞い上がり、高みから地上を見下ろす。
草原を疾走するエミュー。その背に跨りただ前を見つめている僕。
エミューが羽を広げ、さらに力強く地を蹴る。
ふいに目の前に巨大な建物が現れる。僕は、僕の肩越しにそれを見る。
エミューを励まし、正面玄関の階段を駆け上がる。
僕はこのビルの最上階に行かなければいけない。
ビルの玄関から、マシンガンを手にした兵士達が飛び出してくる。
エミューの背から飛び降りた僕の目に恐怖の色は無い。
僕は、己の背丈ほどもある長剣を背中のホルスターから引き抜いた。
高らかなファンファーレと共に、兵士達は僕に襲いかかる。
誰も僕の体に触れられない。僕は彼らの体をすり抜ける。
疾走する。体が舞う。速く、もっと速く。待っているのだ。
早く助けなければ。僕は何をしなければならないのか理解している。
助けなければ。
助けなければ。
誰を? 僕が助けなければいけないのは。
そう、亮一。亮一だ。
突然世界が歪み暗転する。緊迫感漂う音楽が空間に満ちていく。
亮一を助けなければいけない。……何故…? それは………
はっとした瞬間、僕の意識は覚醒した。
部屋が、いや、僕の体が横たわっている。
あの男は? 亮一は!?
くの字に折れ曲がって眠っていた僕の体に爆発的に血が巡り、床を打った。
「お、なんだ、ようやく起きたのか。」
僕はその声の元へ顔を向けた。
亮一の背中、生きている、亮一の声だった。
「しかしまあそんな所で随分よく寝てたなあ。
すまんもうちょっと待って、ここまでやらせてくれ。
ルーファウス戦だからさ、今。」
いっぺんに全身の筋肉が弛緩して、僕の体はまた床に崩れ落ちそうになった。
「無事だったのか? ……あの、あの男は? 」
「はあ? おい、よっぽど怖い夢でも見たのか。」
僕は部屋を見渡した。
ゲームに夢中の亮一。TVの画面がまばゆい光を放ち、効果音がスピーカーを震わせる。
窓の外はすっかり暗くなっている。
微かにゆれる蛍光灯のコード。
先程まで室内に満ちていた恐怖の影は、今はどこにも見えない。
あまりに日常的な空気に、僕は狼狽した。
「おい、亮一、お前誰も見なかったのか? 誰にも会わなかったのか? 」
僕の震える声に尋常でないものを感じたのか、
亮一はこちらを振り向き、コントローラーを床に置いた。
「……どうしたんだ? 」
どうしたんだじゃないだろ!
理不尽な感情だとは解っていたが、僕はこみ上げてくる怒りを押さえる事が出来なかった。
僕は意識を失う前の体験を、叩きつけるように亮一に話した。
時に時系列が狂い、理路整然とは言いがたい僕の話を、
片方の眉を僅かに上げたまま、亮一は黙って聞いていた。
「殺されると思った。殺されると思ったんだ。」
感情を解放し、ようやく落ち着きを取り戻すと共に、
今亮一に語った出来事が現実にあったのかどうか、
僕は少し自信を失いかけていた。
亮一は一言も発せず、やや伏目がちに何事か考えているようだった。
亮一は、僕がおかしくなったと思うだろうか。
あれは、本当にあった出来事なのだろうか。
全部夢、いや、僕の頭はおかしくなってしまったのか。
80 :
NAME OVER:02/12/20 01:53 ID:vGbcw+0A
「浩平。」
亮一が口を開いた。
「浩平。『マリオブラザース』の話、バイト先の人にも話したんだよな。」
「……うん。大輔にだけだけど……、でも他の奴にも聞いてみるって言ってた…。」
「そうか……。じゃあ、同窓会に出てた奴とは限らないんだな。」
「何の話だ? 」
「お前を襲った男はさあ、なんでお前が『マリオブラザース』を持ってるって知ってたんだ? 」
亮一の言っている事の意味が、すぐには飲み込めなかった。
その意味をようやく理解した時、また僕の体は小刻みに震え始めた。
「どっかから漏れてるんだよな、話。同窓会か、お前のバイト先か。
もしかしたら両方かも。お前の家も知られてるしな。」
亮一は溜息混じりに呟いた。
「俺んとこも時間の問題だな。」
おお続きが。ものすごい事になったねぇ
82 :
NAME OVER:02/12/22 00:12 ID:G6K0tVrP
つまんねえからやめろよオナニー野郎
スレ私物化すんな糞が!
キチガイ ガ アラワレタ
85 :
NAME OVER:02/12/22 01:07 ID:4Qm1mGOl
じゃああんたがネタ振れよ
なんか話したいことあるんだろ?
>>85 話したいことなんてなんもないが
クソみたいな駄文でスレを埋める必要も無いだろ?
やるならホームページでもつくってそこで存分に発表したら?
>>86みたいな駄文でスレを埋める必要も無いわけだろ?
>>87 俺はスレ埋めるために駄文を書いているわけではないのだが。
もともと廃スレだったのを再利用して何が悪い。
それでアンタに何か迷惑か?うざかったら無視しろ。
「話したい事なんて何にも無い」ならわざわざ書き込むな。
このスレの読者にとっては、アンタは大迷惑だ。
>>86 それは他の多くのスレッドにも言えることですが?
ぶっちゃけ、いちゃもんつけたいだけなんだろな
>>90 だったら素直にこのスレDATに落とせよ
それで「クソ小説できたよー」とかいうスレタイでスレッドつくって
そこでオナニーすればいい話。
>>91 「みんなやってるから文句無い」
フーン
無いだろ?
無いってさー
あるだろ_!
あるかな、ストライクス
97 :
NAME OVER:02/12/22 23:54 ID:efdXSdD6
>>92 このスレでやられるのがそんなに気に入らないんだ。へー。
お前このスレの1か?だとしたら1の文章からして大馬鹿。
1じゃないとしたら1以下。
小説のせてるやつはこんな中途半端なところにあげてないで
自信あるならもっとまともなスレッドでやれってこった
冬休みって楽しいな
>>97 このスレに小説のせる意図がわからんのだよ
てかお前作者だろ?
で、続きは?
102 :
97:02/12/22 23:58 ID:???
1です。
ぎゃふん
今日はここなの?
>>100 100ゲトオメ
ではなく、
わざわざ新たにスレ立ててやるほうがどう考えても
迷惑だと思うのだが。
もともとネタスレだし、ネタのひとつだと認識できないの?
冬厨の耳に念仏
じゃあ放置してね(はぁと
>>105 そんなこといってると煽りの方も「まーネタだしもっと煽ってもいっか」って開き直っちゃうヨ
>>100 > このスレに小説のせる意図がわからんのだよ
個人的には、おそらく、スレタイ通り、「ファミコン事件簿」ってことじゃないかと思います。
小説は、「ファミコン事件簿」という物の形態の一つなのではないかと・・・。
----------
小説ということなら、小説関連の板を使うのが無難だとは思うけど、話の重要な部分に
ファミコンのカセットが関わっているようだし、このスレの存在自体が問題ないのなら、
そう躍起になるほどのことでもないのでは?
もし、小説が気に入らないのでしたら、該当する板に誘導すればいいことですし。ファミ
コンに関わっている世代でしたら、煽りあいをするよりも、もっと大人な対応が出来ても良
いのでは?
もし、小説関連の板へ移動するのでしたら、次の板なんていかがでしょうか?
http://book.2ch.net/bun/ 「文化」の「創作文芸」板
http://book.2ch.net/mystery/ 「漫画・小説等」の「ミステリー」板
では、作品の続きを楽しみにしております。
作者の意見待ちだなこりゃ
112 :
82と92に賛成!!:02/12/23 06:00 ID:b2c/n7/A
なんか一人で長い文章書いてオレ頭いいだろっていってるみたいでムカツク!
82のいうとおりだいたいこんな字ばっかりで長いの誰もよまないよね(爆)
絶対放課後まで図書館いるタイプだよ!女のアタシからみても絶対モテナイタイプだネ!キモイ!
アタシのいってる女子校でも、こういうやつ、速攻いじめられるね(爆)
なんかカッコツケてるけどさあ、だいたい2ちゃんねるなんか見てる時点でアウト!
アタシは偶然ここに来たんだけど超キモイ☆絶対ネクラでオタクばっかり!
だからこんなホムペさっさと荒しちゃおう!
82、83、84、86、88、92、93、94、95、96、98、99、100、102、103、107
いっしょにもっとガンバロウネ!
>>112 >アタシは偶然ここに来たんだけど
その割には随分読みこんでますね姉さん(w
一般人が偶然ここに来たとしても、それだけ長文打ってまで批判しやしませんぜ。
イヤなら読まんだけでいいじゃないの。
大体、みんなでイジメよう荒らそうって魂胆がリアル♀っぽくて女々しいし、
字ばっかでイヤってのもバ○丸出しでカッコ悪。やめな。
ネクラでオタクでも誰にも迷惑かけん香具師の方がまだイイっつーの。
で、続きは?
続きキボンヌ
| アワワ…
|Д`;) 3日留守してただけで
|⊂ なんかすごいことになってる…
|
引っ越す必要などない
> このスレに小説のせる意図がわからんのだよ
そんな事を、オマエがわかる必要ないだろ?
理解できないから邪魔すんの?
なんつうか、……ふゆやすみだね。
11
亮一に連れられて、久し振りに近所のファミリーレストランへ出かけた。
このぐらいの時間になるとさすがに親子連れの客は少なく、
やはり大学生くらいの若者が店内の殆どの席を占めている。
2人席はとても狭く感じられた。
料理が運ばれてきて食べ終えるまで、僕も亮一もあまり口を開かなかった。
亮一も、やはり疲れているらしい。
僕にとって、詰問口調の警察官と話をするのは、想像以上に疲れる作業だった。
110番通報を受けてやって来た2人の巡査は、
僕の話を真剣に受け取ったようには見えなかった。
話が進むにつれて2人の目に、疑いのような、蔑みのような色が浮かぶように感じられ、
しどろもどろになる僕の説明の所々で質問を入れる声にも、腹立ちが感じられた。
なんだか自分が犯罪者扱いされているような気分になり、やたらと汗が出た。
周辺のパトロールを一応強化するけど、戸締りには気をつけるんだよ。
期待外れの結論を出された時には、敬語ですらなくなっていた。
「俺が、その男の姿を見ていないってのも、弱いとこだよな…。」
食後のコーヒーを飲みながら、亮一はぽつりと言った。
昼間、僕の部屋の窓は薄いレース地のカーテンだけなのが常なのだが、
今日は何故か厚手のカーテンが引かれている。
亮一もさすがにいきなりカーテンを開いてしまうのはためらわれて、
何度か声をかけてから中に入った。
「お前がパンツ下ろしてたりしたら気まずいじゃん。」
ニコリともせずに亮一は言った。
アホか。僕は無理に笑ってみせて、胸ポケットからタバコを取り出した。
男の姿を見ていない、それが亮一の身を救ったのだろうと思う。
部屋の隅で気絶している僕を見て亮一は、変な格好で寝ているな、位にしか思わなかったらしい。
男は既に立ち去った後だったのか。
あるいは亮一が弁当を食べている時か、暇つぶしにゲームをしている間に部屋から出たのか。
とにかく亮一は男の姿を見ていない。
記憶が途切れる寸前の事を思い出すと寒気がする。
ナイフの刃が放つ光。かすれ気味の男の声。
もし亮一があの男を見ていたとしても、警官に証言する事など出来なかったのではないか。
僕も、やはり殺されていただろうか。
殺される。
自分の死を、あれ程現実味を持って感じた事はない。
今、こうしてここにいる。僕も。亮一も。
窓に面した角席を占領している、
あまりガラの良くない若者達があげた下品な笑い声で、僕の思考は中断された。
コーヒーを啜りながら、亮一は僕を見ていた。
「何を考えてた。」
「いや……。さっきの事をさ、ちょっと。」
僕も自分のオレンジジュースで口を湿らせた。
「おっかないよな。俺がお前の立場だったらさ、あっさり言っちゃったと思うぜ、お前の名前。
言わなかっただけ、お前すごいよ。普通言っちゃうさ、そんな目にあったら。」
やけに明るく亮一は言った。
僕を励ましてくれているのだろう。
少し、後ろめたい気分になった。
「さて……。これからどうするかだよな。お前の部屋は、もう危ないだろ。
俺んとこも似たようなもんだろうし。」
亮一は窓の方へ視線を向けた。僕もつられてそちらを見る。
窓の外の道路は、この時間でもまだ交通量が落ちない。
行き交う車、トラック、バイク。
ヘッドライトの白、テールランプの赤、信号機の青、水銀灯の白。
もう深夜に差し掛かろうかという時間なのだが、
窓の外では様々な光が揺れて、波立ち、飛び交っている。
店内のあちらこちらで明るい笑い声があがる。
これからどうするのか。……わからない。
時々まとまりかける思考の糸は、すぐに窓の外の光と絡み合い、飛んで行く。
現実感がない。先刻の事も。これからの事も。
「2人だけじゃ、駄目だ。誰か、俺達の話を信じてくれる誰かに協力してもらわないと。
それも出来るだけ人数が多いほうがいい。相手が何者かもわからないしな……。」
亮一の声もまた、僕の思考と共に光の渦へ巻き込まれていく。
夜を流れていく、光と音の渦。僕の意識もその流れに巻き込まれている。
体だけがようやく現実という岸にひっかかり、僕が流されていくのを防いでいた。
続きキター!!
でも、いまいち場面がよくわからない漏れは文盲か・・・
なんでこのスレを覗いたのかは分からんが、なかなか面白いではないか。
脅迫者が来る前のコマでは
「実は亮一は…」
とか終わりを想像したんだけど全然違った、まだまだ続くのね。
>126
>場面がよくわからない
夢と現実がごっちゃになってるところからか?
サスペンスとかファンタジーにはありがちなので、もう一度読み直すとよい。
だからのせるなっちゅうの
書いてるヤシは何がやりたいのか説明しる!
いや、引っ越すとその板開くのが面倒だから
ここで書いてくれ。おれレゲと家ゲしか見てないし。
128は嫌だったらもっとほかの楽しいスレ見てこいよ。
そうすればそんな些細な事忘れちゃうよ。
それとも128は「このスレで」「もっとオモシロイ何か」がしたいの?
だったら何か書いてみなよ。
ていうか、こないだからいちゃもんつけてる奴って
>>1だろ?
そうか・・1のネタだって捨てたモンじゃないから、
もっと書いて「ネタで」勝負してもらいたいね。
・・・今の所、長文のほうが気になるけどね。
2ちゃんの何がおもしろいかって言えば、
「良レスが駄レスを駆逐していくところ」だと思う。
1のネタがおもしろければ長文書いてるヤツもいなくなるんじゃないの?
「つまんないからヤメロ」って言うだけじゃ誰もついてこないぞ。
長文を嫌がってる人はなぜ仕切りますか?
あげ
134 :
NAME OVER:02/12/25 01:33 ID:oZrp+8dC
擁護発言してるやつら=作者
ヒマだね
135 :
NAME OVER:02/12/25 05:09 ID:O1zNWVci
>>134 全部が全部そうとはいえないが127・129・131は作者だろうな。
| ワア…
|Д`;) ツイニ自演疑惑マデ…
|⊂
|
/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そろそろ母と主治医と家臣が来る頃だな・・・
\___ ._______________
.∨ ._____
ΛΛ ||:::::::::::||
( )―||:::::::::::||―――
/ つ二二lニl ._____________
| ̄ ̄|__)―ΛΛ――― ./
`ー┬‐''. ( ) < 長年の経験ってやつですか
┴. | ヽ \_____________
.し___)〜
ゴメンナサイ。
しばらく様子見させて下さい(´・ω・`)
冬厨のせいで荒れてしまった
それでは思う壺ではないか、、、
>>135 129、131はおれだけど作者じゃないよ。
なんで食いついてきたんだろ?
こんなの完全無視な発言じゃん。
図星を突いたつもりかもしれんが、
当たってりゃちっとはあせるかもしれないけど
はずすとマヌケだな。
141 :
140:02/12/25 22:16 ID:???
ていうか図星って「つく」ものか?
>>141 よく知らないけど、言いたい事はよくわかる
144 :
140:02/12/27 09:16 ID:???
>>142 うん。放置する。ここにはもう書かない。
みんなごめんね。
DQ3発売のときは女学生が犠牲になったんだっけ。
アケオメコトヨロ
実は続きを待っている・・・
148 :
山崎渉:03/01/10 04:04 ID:???
(^^)
149 :
山崎渉:03/01/10 16:27 ID:???
(^^)
12
「なあ、浩平」
思いの外近い所からの声にぎょっとして、僕は思わず身を引いた。
いつからそうしていたのか、亮一はテーブルの上に身を乗り出していた。
「気持ちはわかるけどさ、気をしっかり持って、冷静にいこうぜ。
パニックになったってしょうがないだろ。考えるんだよ。
警察はたぶん真剣には動かないと思う。
まあ、あの話だけで証拠も無しに信用してくれってのも厳しいさ。
でもな、お前の話からすると、その男ってのは今日の事だけで
諦めてくれるとは思えない。また来るよ、絶対。
俺のところにもくるかもしれない。
今日は俺もお前も無事だったけどさ、次はどうだかわからないよな。
警察を当てに出来ないんだからさ、
俺達協力して自分の身を守らなきゃいけないんだよ。
だから2人で出来る事はなんなのか、とにかくそれを考えるんだ。
わかるだろ? お前も協力して、一緒に考えてくれよ。」
子供に諭すようにゆっくりと、いつもよりも低い声でそれだけ言うと、
亮一はシートへ深くかけ直し、体を背凭れに沈み込ませた。
巻き込んでしまって申し訳ないと思う気持ちと、
自分の問題なのに亮一頼りの己の不甲斐なさ、
余りに情けない自分への腹立ちで、思わず涙が滲んできた。
「はは、やっべ、なんだか今日は涙腺関係が狂っちゃってるみたいだ。」
ことさら明るい声で、僕は言った。
突然の涙に自分でも驚き、
このような場所で目に涙を貯めている自分が情けなく、恥ずかしく思われて、
そうでもしないと自分の感情に歯止めをかけられないように思えた。
「ああ、ごめんな。情けないよな。
なんかすっかり巻き込んじゃってんのに、俺、何もしてないな。」
「いいさそんな事。」
亮一は窓に目をやりながら、気楽な口振りでそう言った。
「雨降るかもしれないな……。傘どうすっかな。
それより今日の事、もういっぺん話してみてくれないか。
それとさ、バイトの後輩の話と、同窓会での話。
もう一度整理してみようぜ。」
亮一に促されぽつりぽつりと話し始める。
先ほどの巡査への説明も含めると、この話をするのはこれで3回目だった。
話しているうちに、少し落ち着いてくるのが自分でも解った。
今日あった事なのだが、なんだか随分と昔の出来事のように感じられた。
こうして落ち着いてみて初めて、
あの男は妙な事を言っていた事に気がついた。
――井川由美さんから、ROMを預かりましたね――
そのROMとは「マリオブラザース」のROMカセットの事だろうと、
当然のように考えたのだが、あれはいつの間にか部屋にあったものだ。
預かった? 由美から? どういう事だろうか。
「それは俺も気になってて、ちょっと考えたんだけどな。
お前さ、井川さんと付き合ってる時、合鍵渡してたんじゃないの。」
「……うん、一応。」
「それ、返してもらった? 」
亮一が何を言いたいのか、解ったような気がした。
由美に渡した合鍵は、僕の手には戻らなかった。
取り返す機会もなかったし、返せという気力も湧かなかった。
電話で由美から別れを告げられたのは、
二人でディズニーランドへ行った翌日だった。
その少し前にあった学部の飲み会の夜、先輩と関係を持った。
本当は昨日、その話をしようと思ったのだけど、言い出せなかった。
その先輩と付き合う事にする。
泣き声と共に受話器から聞こえるその話は、
どこか遠い世界の話のように思えて、
なんだか自分の体が浮いているような、逆さに吊り下げられているような、
不思議な感覚の中にいた事を覚えている。
ごめんね、ごめんね。
電話が切れる間際までそう言っていた由美の声の残滓が、
今でも耳の奥に漂っているような気がする。
「誰かが忘れていった訳でも、借り物でもなかったんだよ、
『マリオブラザース』。
井川さんが合鍵使ってお前の部屋に入った。
部屋の中散らかってる。新聞も捨てずに溜まってる。
この新聞の山の下ならすぐには見つからない。
ここなら安全だろう。そう考えて隠した。それもごく最近。
こんなとこじゃないか。」
あれから由美が僕の部屋に入ったと言うのか?
それも、ひきこもりの僕が部屋にいない時に……。
「由美はファミコンしないぜ。ゲームには興味なかった。」
「そのROMが井川さんの物だとは言ってないさ。
むしろ、何かあってそれを手に入れたんだけど、
その持ち主に取り返されるとまずいから隠そうとした。
そう考える方が自然だと思う。」
「……盗んだ、って言いたいのか? 」
「そこまで言ってない。でも、その可能性もある。
今回お前を襲った奴からかもしれないしな。
そう考えると説明がつくこともあるぜ。
大橋さん、泥棒に入られたんだろ。
それから大橋さんの友達に、その彼氏。」
「友達と彼氏の方はストーカーだ。」
「一緒さ。どちらも自分の部屋に忍び込まれてるんだろ。
それにそうだ、ストーカーって言えばさ、お前のバイトの後輩の話。」
「…………」
「そっちだってやっぱり部屋に入られてる。
……なあ、井川さんの周りの人間ばかり、不自然だろ?
もしかしたら……。」
亮一は何かを言いかけたが、まさかな、と呟きながら
自分のカップと僕のグラスを手に取って立ち上がり、
飲み物のお代わりを注ぎにドリンクコーナーへ向かった。
窓の外の光は、数は減っているのだが、
その一つ一つが先刻よりも輝きを増して見える。
窓ガラスに小さな水滴が数粒、見ている内にも更に大きな粒が現れ、
すぐに無数の雨粒がぱたぱたと窓を叩き始めた。
亮一は何を言おうとしたのか。
余りに恐ろしい考えが浮かびそうになり、慌てて首を振る。
「まさかな。」
僕も知らぬ間にそう呟いていた。
つまんね
ちんこ痒くなってきたw
誰か掻いて
俺はスレッドの最後の書き込みに命をかける男。
今日もこのスレがdat落ちするということで足を運んだ。
もう、このスレッドには何も書かれることはないだろう。
ヤター続きキタよー!
こっそり保守
保守するなよ。
俺の書き込みが最後だと綺麗じゃねーか。
うるせー馬鹿
モア!
こっそり
まだかな
長文うざいんだよ。氏ね!
うるせー馬鹿
13
突然鳴り響いた電子音のメロディーに鼓膜を打たれ、少し驚いた。
亮一の携帯電話から発せられるその音色は、一昔前のゲーム機を思い起こさせた。
自分の知らぬ間に、世間の技術も進んでいるらしい。
夜も更け、空席の目立つようになった店内に、「スパイ大作戦」のテーマ曲が響き、
何人かがこちらへ視線を投げてくるのがわかる。
その視線に非難の色が混じっているように感じられ、どうしていいのかわからないまま、
僕はとりあえず亮一の携帯電話を手に取った。が、勝手に出る訳にもいかない。
一度も携帯電話を持ったことの無い僕には、電話に出ずに音を止める方法も、
液晶ディスプレイに表示された”非通知”という言葉が何を意味しているのかもわからなかった。
電子音の出ているらしい部分を指で押さえながらおろおろしている所へ、
飲み物を手にした亮一が戻ってきた。
「あ、亮一、お前の携帯……」
それまで大音量で鳴り響いていた着信音が、ふいに途切れた。
「……切れちゃった」
「うん? うん、まあいいさ……って、非通知かよ。こんな時間に誰だろう。
まあ、大事な用事なら、また掛けてくるだろ」
特に気にしていないようにそう言い、亮一は腰を下ろした。
「そういえばさ亮一、お前に貸したマリオブラザース、あれどうしたの」
この災難の中心にあるのがあのソフトだ。鈍い僕にも、それはわかる。
「ああ、ここにあるよ」
亮一はジャンパーのポケットから、あのオレンジ色のソフトを取り出すと、無造作にテーブルの上に置いた。
「お前、今日それずっと持ってたの? 」
「うん? そうだよ」
「先刻の、警察来てるときも? 」
「うん。別に出す必要もないみたいだったし黙ってた。
これ返そうと思って、今日お前んち寄ったんだけどね」
先ほどの事情聴取の際、警察官の持つ威圧的な雰囲気への畏れからか、
僕は聞かれていない事までべらべら喋っていた。
そのくせ重要なポイントを幾つか話し忘れ、要領を得ない説明になっていたと思う。
僕は少々呆れつつも、亮一の肝の太さに変な感動を覚えた。
「お前、確か『マリオブラザース』もエミュでやってるって言ってたよな。
借りる時さ、動くかどうか確かめたいからって言ってたけど、
本当は何か考えがあったんだろ? 」
「うん。まあ、特に確信があった訳じゃないけどさ」
大した事でもないという口振りで、亮一はあっさり認めた。
「で、何か解ったのか? なんていうか、その、秘密、みたいなもんとかさ」
「うん……」
亮一は曖昧な返事を返し、眠そうに見える表情で窓の外へ視線を向けている。
雨は本降りになっている。こんなどしゃ降りはいつ以来だろう。どこか近くで傘を買えるだろうか。
僕は黙って亮一の返事を待った。
亮一は窓の方を見たまま、時折軽く溜息を漏らし、
下唇をつまんだり撫でたりしている。
「何も……、うん、特に何も変わった所は無かったように思うんだよなあ。
普通に遊べたし。
一応、中のデータ吸い出して見たんだけど、元から俺が持ってる奴と比べても、
データのサイズにそんなに差はなかった。
もしゲームの部分以外に隠しのデータがあるんなら、随分サイズが違ってくる筈だし。
まあ、ソース自体を見た訳じゃないからなんとも言えないけど、
多分普通の『マリオブラザース』だと思うんだよ……」
独り言のような亮一の口振りは、まだ何か納得出来ないことがある、と言いたそうだった。
「でもなあ……うん……。何にも無いと思ったから今日お前に返しに来たんだけどさ。
何にもなければ、そいつもわざわざお前んとこに取り返しに来たりしないよなあ。
逆アセンブラ使ってソース見るべきだったかな。でも俺にわかるのはCくらいだし……。
でもゲーム本体の他にそんなデータ入ってたら、やっぱサイズでわかるだろうしなあ……。」
Cというのは、コンピューターのプログラムに使うC言語の事だろうか。
情報処理概論Tの授業を途中で出なくなって以来パソコンと言えばインターネットばかりの僕では、
どうやら亮一の役に立てそうに無い。
授業でコンピューターのディスプレイに「hello world !」という文字を表示させた事だけは覚えているのだが、
それをどうやったのかも思い出せない。
亮一の考えを邪魔しないように、僕も黙って疑問に思っていた事を考えた。
たかがファミコンソフトの事で、何故こんな危険な思いをしなきゃいけないんだろう。
あの「マリオブラザース」は何故僕の部屋にあったんだろう。本当に由美が隠したのか?
由美だとしても、そんな物をどこからどうやって手に入れたというんだろう。
僕を襲ったあの男はいったい何者だったんだろう。あの時、僕を殺すつもりだったんだろうか。
……あの男は、「私達」と言っていた。
――あれは、私達の物です――
――私達は知っています――
あの男には、他にも仲間がいる、という事だろうか。
あんな恐ろしい男が集団で僕を付け狙う。想像するだけで手先の感覚が無くなってくるのがわかる。
「お前を襲った奴」
亮一に声を掛けられ、思わずびくりとした。考えている事が読まれたようで驚いた。
「お前を襲った奴、どんな奴だった」
亮一は相変わらずどしゃ降りの闇に目を向けたまま、重ねて尋ねてきた。
「宅急便の人の格好……ああ、それは当たり前か。
うん……さっきも言ったけど、顔はよく見えなかったよ。
帽子深く被ってたし。部屋の中では顎掴まれて、壁の方向かされたし」
「身長は? 高かった? 」
「どうだろう……。俺玄関に立ってたからその分差し引いても……。
うーん、ごめん、はっきりわからない」
「そうか……」
おどおどしているばかりで全く役立たずの僕を、亮一はどう思っているだろうか。
なんだかまた情けない気分になり、亮一の顔を伺った僕は、
少し血の気が引いたように見える亮一の表情に違和感を覚えた。
「浩平、あそこ、道の向かいの銀行のとこ。ちょっと見てみ」
少しかすれ気味の亮一の声に促され、恐る恐るそちらに目を凝らした。
不吉な予感に、微かにまた体が震え始めるのを自覚していた。
大粒の雨によって幾重にも張り巡らされた暗い膜の向こう側、
点滅信号の黄色い光に時折照らし出される白い壁、
夜の闇と黄色い光の境目に、その黒い影は佇んでいた。
この雨の中、傘も差さずに。
「30分くらい前に気がついたんだけどさ、それからずっとあそこにいるんだよ。
変だよな……。こんな夜中に、しかもどしゃ降りだし。あそこ濡れるだろう。
……なあ、浩平。とりあえず朝まではここにいた方がいいと思う。
ここなら人目もあるし、とりあえずは大丈夫だと思うからさ。
これから先どうするか、ここで考えなきゃいけないみたいだな」
努めて冷静さを保とうとしているように見える亮一の声も、僅かに震えていた。
あの影が、今にもこの雨の膜とガラス窓をすり抜けて来るような気がして、
僕はそちらを見続ける事が出来なかった。
文学板・創作文芸いきなヨ
久々に続きキター!
保守
183 :
山崎渉:03/01/27 21:24 ID:???
(*^^*)
保守
小説の作者でつがここでいつまでも書いてるのもアレなんでコソーリと創作板にうつりまつ。
できあがり次第どこかにまとめるので期待しといてくださいでつ。
待ってるよ!
187 :
NAME OVER:03/01/31 18:49 ID:GKGc0T+w
1
188 :
NAME OVER:03/02/01 02:40 ID:CAYfXbbX
楽しみにまってるYO!
廃墟認定!!
>>185 別の板に移ったの?それともまだできていないだけ?
移ったらこのスレに連絡してほすぃ
191 :
NAME OVER:03/02/13 23:56 ID:iKw3wFVJ
はやくはやく〜
一気に読んでしまった。正直、面白い。
続き待ってます。
193 :
NAME OVER:03/02/15 16:26 ID:KV3da6aH
逃げたのか?
195 :
NAME OVER:03/02/18 12:59 ID:TkNYMTov
お^^い
続きよみたい
ひょっとして他の板に移動した?
反応が厨だったからだろうな。当然だろ。
でも、何処に移動したかぐらいは書いといてホスィ
199 :
NAME OVER:03/02/26 19:21 ID:eUXRRp1A
それだと意味が無いだろ、
200 :
NAME OVER:03/02/27 13:53 ID:C/jt7Ld+
┏━━┓ 三戦板赤子三人衆が200番制圧! ┏━━┓
┃ ┃ 御旗楯無、御照覧あれ! ┃掠疾┃
┃ 毘.. ┃ ┃如如┃
┃ ┃ (⌒ll⌒) ┃火風┃
┣━━┛ __. (__,||,__),,《,M,》シミ彡 ┃不徐┃
┃ γ´__〉 ||<ゝ(`∞´)ノ> ミ... ┃動如┃
┃ 〈 〈 ゚Д゚)') (\(´∀` (彡ゝ ミ. ┃如林┃
┃ く,へノ⊃.lノ \_/)∪/(と)'"'ミヘ. ┃山侵┃
┃ ノ l=∞l\ //≡〈 ヘノ / ┣━━┛
ん、_/」=lつ/ 〈/ニ/凵 \__ノ. ┃
(_/ /__ノ )_). ┃
ミ。,,,__ ,,,,、。彡 _,,,(,,,_ ┃
〃ノルハヾ 〃ハハ、ヾ 〃ルレ'ハゞ
!c ´ー`) (´∀`,bノ リc,,`∀´>
(__つy)つ と(yと___) ⊂ィ'奇ヾつ
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茶筅 鍋丸 奇妙丸
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いつ何時、誰の挑戦でもうける!
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フジ(関東)で毎週月曜16:30〜放送中!!
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と〜けたこおりのな〜かに〜♪恐竜がい〜たら〜たまのりし〜こ〜みたいね〜♪
最近、寝る前にいつも思う
明日がこなければいい。
もし明日、目が覚めなければ
明日起きる全ての嫌なことから逃れることが出来るのに
明日、自分がいなくなったらどうなるだろう?
誰かが困るだろうか?
誰かが悲しむだろうか?
僕が生まれてきて何かがかわったんだろうか?
僕が生きている必要はあるんだろうか?
age