「20代の頃は飲みにも行ったし、パチスロや風俗で遊ぶこともできた。こんなことになるならパーッと使わずに少しでも貯金しておけばよかった」
ちなみに、フリーターになる前は大学生。学業そっちのけでバイトと遊びに明け暮れ、留年を繰り返した後に中退した。
「当時も就職氷河期。自分は地方のFランク大学だったし、いくら就活に励んでも内定が取れない人も多かった。それで就活するのがバカらしく見えて、バイトでもいいと思って働きはじめたんです」
だが、一度フリーターになってしまうと、そこから就職するのは周りが考えている以上に難しい。
「いつまでもフリーターじゃマズいと思い、20代後半から30代前半にかけて真剣に仕事を探した時期がありました。合わせて100社以上に履歴書を送ったけど全滅でした。
バイトを休んでの職探しですから、当然その間の収入は下がります。フリーター期間が原因なのか、ほとんど書類選考で落とされましたね」
一時はバイト先の警備会社の正社員になる話もあったが担当者が異動となり、話自体が立ち消えになってしまった。
「今もわずかな可能性に期待して求人サイトや無料求人誌のチェックはしています。
でも、ほとんどの求人は応募資格の年齢上限が30歳や35歳。僕が応募できそうな求人すら残っていないんです」
富永さんに残された選択肢は、警備員のアルバイトのみ。
再び正社員の話が来ればいいが、「現状では厳しい」と言われたとか。
「こうなったら両親には悪いけど、遺産に期待するしかない。本当は考えたくないけど、
そうでもしないと這い上がれなさそうで……」
警備用の誘導棒を振りすぎて四十肩になったという富永さんの生活は、崖っぷちに立たされている。
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