【女】男は結婚するべきではない part172【発狂】

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60就職戦線異状名無しさん
若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺(ろうや)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。
メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「女達は、人を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を殺したのか。」
「はい、はじめは女達の親を。それから、自身の世嗣(よつぎ)を。それから、妹を。それから、妹の子を。それから、人妻を。それから、付きあっていた男を。」
「おどろいた。女達は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。
このごろは、小学生の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、税金ひと掴み差し出すことを命じて居ります。
命令を拒めば痴漢裁判にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」
 聞いて、メロスは激怒した。「呆(あき)れた女達だ。生かして置けぬ。」