抜刷●大学院博士課程単位取得●土木作業員

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518就職戦線異状名無しさん
なあ、お前と飲むときはいつも白○屋だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
俺とお前が学部3年の時、飲みに行くのは決まって白木屋だったな。
「俺は、将来教授になってもっとうまいところでおごってやるぜ
お前は勉強しないからたいした職業には就けないだろうしな」 お前はそういって笑ってたっけな。

俺が大学出て商社に入社して初任給30万だったとき、
お前も奨学金とバイトで月30万稼ぐんだって胸を張っていたよな。 」
「研究室の後輩どもにこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」
「指導教官も、優秀な俺に頭上がらないんだぜ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、白○屋だったな。
あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときもやっぱり白○屋だ。
ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。
別に安い店が悪いというわけじゃないが、ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。
油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない。
なあ、別に女が居る店でなくたっていい。

もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物を出す店を
いくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは?

でも、今のお前を見ると、
お前がポケットから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、
俺はどうしても「もっといい店行こうぜ」って言えなくなるんだ。
お前がアカポスにもつけず、博士号も全くとれそうに無いって聞いたよ。
お前が体壊したのも知ってたよ。
新しく入ったバイト先で、一回りも歳の違う、20代の若いフリーターの中に混じって、
使えない粗大ゴミ扱いされて、それでも必死に卑屈になってバイト続けているのもわかってる。
だけど、もういいだろ。
俺は結婚して子供もできた。お前はあの時と考えが全く変わっちゃいない子供のままだ。
十年前と同じ白木屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。
そんなのは、隣の席で浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんだよ