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ド ク オ _
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僕が物心ついた頃、僕は父に連れられて旅をしていた。
でも、お母さんはいなかった。
僕がその理由を尋ねると、父はいつも言っていた。
おかあさんはお星様になってしまったんだよって。
一番辛いであろう父さんの手前、
僕はそれで納得していたフリをしていたけれど、
本当は僕は知っていたんだ。
僕のおかあさんは、変な宗教に騙されて、
父さんのお金を持って逃げた。
それから父さんは僕を連れて旅に出た。
きっと、もう誰も信じられなくなったんだと思う。
器量が悪く、寡黙で、上がり性、
それでもお金だけたくさん持っていた父は、
元来女運が悪く、よく騙されていたらしい。
寂しそうに空を眺める父の横顔を見て、
僕だけでもこの人を信じようと思った。
父さんの名前はパパス。
僕はトンヌラという名前をつけられそうになって、
結局ドクオと名づけられた。
思えばその瞬間から、僕の運命は決定づけられたのかもしれない。
とにかく僕はドクオと言う。これは僕の物語だ。
僕は今船でサンタローズという町に向かっている。
そこにある小さなあばら家に、僕達は一応住んでいる事になっている。
一応と言ったのは、旅をしている事が多くて、あまり帰らないからだ。
普段は召使いのサンチョがいて、僕達の帰りを待っている。
サンチョは凄くいい人で、父が世を捨てた今も忠誠を誓い、
僕達のために良くしてくれている。
何もない小さなあばら屋で、三人で囲む食卓は暖かくて、
幸せな気持ちになれた。
帰る所がある点で、父は幸せだったのかもしれない。
僕が船を降りた所に、話を戻そうと思う。
空が青くて、凄く綺麗だった。
ボロを身に纏った僕達に似合わない爽やかさ。
僕達とは無縁に、世の中は営みを繰り返し、
僕達はポツンと取り残されていた。
それでも、まだこの時は楽しかった。
見慣れた景色が、そこにあって、
唯一帰る事の出来る場所へ僕達は行く。
怖いモンスターがいても平気だ。
父はとても強い。
2匹で襲いかかってくるつがいのスライムに、
「畜生のくせに!畜生のくせに!」と叫んでは、
鬼神のごとき形相でなぎ倒し、
僕はその強さに圧倒されているだけで、
何も出来ずに、ボーっと見ていた。
これが、孤独を受け入れた男の強さだと思う。
スライムを倒した後、父は溜息をついた。
父の背中が小さく見えた。
そして、無言のまま僕達はサンタローズに着いた。
僕のサンタローズの思い出を語る上で、
サンチョの事に触れずにはいられない。
父さんは忙しくて相手をしてくれなかったが、
その間サンチョが面白い話をたくさんしてくれた。
30歳まで清い体でいれば、魔法使いになれて、
40歳まで清い体でいれば、妖精さんになれるらしい。
その証拠に30歳を越えたサンチョは魔法を使える。
そんなサンチョはもうすぐ妖精さんになれる年だ。
話終わった後、サンチョの顔に陰が見えた。
そっとしてあげようと思って、
僕は一人で冒険に出かけた。
サンタローズで1週間程過ごした後、僕達は隣のアルパカの町へ行く事が決まった。
サンチョを残して行くのは寂しいけれど、僕の心は弾んでいた。
今はもう忘れてしまった小さな恋心が、僕の足を軽くさせた。
身の程は知っているつもりだ。
話せなくてもいい。触れられなくてもいい。
僕なんかにあんな可愛い子、釣り合うはずがない。
ただ見ているだけで、満足だった。
次はそんな幼き日の恋の思い出を、綴ろうと思う。
彼女の名前はビアンカ。
ブロンドの可愛い、少しお転婆な女の子だ。
僕が淡い想いを寄せるビアンカは宿屋の娘で、アルパカへ来た時、僕達はいつもそこへ泊まる。
最初に彼女を見た時の僕は、緊張して、父の後ろに隠れてしまった。
女の子と話すのが苦手で、上がり性な所は父譲りだと思う。
また嫌われちゃったな、気持ち悪いと思われたなって、そんな事いつもの事なのに、溜息をついた。
本当に、そのまま嫌われてくれれば良かった。
あろうことか、彼女は僕に話しかけてきた。
この僕に。
それは神が与えた試練だと思った。
いつか消える希望なら、最初から持たない方がいい。
いつもそう自分に言い聞かせていた。
でも、幼かった僕はまだ希望を捨てきれず、浮かれてしまった。
どうせ傷つくのは目に見えているのに。その時僕に初めての友達が出来た。
涙が出るほど嬉しかった。神に感謝した。
僕達のデートコースはアルパカの町を、何をするわけでもなく見て回る。
人生最初で最後の、夢のような時間だった。
時折ビアンカはあくびをしていたけれど、僕のために必死で話をしてくれて、凄く申し訳無い気分になった。
やっぱり僕はサンチョのように、魔法使いになって妖精さんになって、清いまま天に召されるしかないなと、そんな事を考えていた時、
ビアンカのあげた大声で、ぼくはふと我にかえった。
猫がいじめられている。
正義感の強いビアンカは、それを止めに入った。僕は逃げ出したかった。いつもなら逃げ出す。
でも、その時は逃げなかった。
男を見せてやるんだって、物凄く不毛で馬鹿な事を考えて、飛び出して行った。
「や、やめろよぅ。」
なんて情けない声だ。でも、相手は1歩下がった。僕の勇気に怖れをなしたんだ。
いや、気持ち悪い奴と思って退いてるだけか。
後はもう何がなんだか無我夢中で覚えていない。
生まれて初めて一生懸命になった。諦めない事は素晴らしいと思った。
初めて少しだけ運命に逆らってみたくなった。
レヌール城のお化けを倒して、猫を助けて、ビアンカにかっこいい所を見せたい。
でも、何故かビアンカの顔は引きつっていた。
何があったか、詳しく覚えてはいない。
それほど希望というのは恐ろしい物だ。勇気で前が見えなかった。
現実が、何も。
ただ男を見せたいとしか考えていなかった。
僕はレヌール城のお化けを倒し、無事に猫をいじめっこの手から取り戻した。
それなのに、ビアンカは僕を避けるようになった。
その時初めて現実を知って、泣いた。猫を抱きしめて。
一人でこっそり泣いた。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、その猫は僕に身を摺り寄せ、にゃあと鳴いた。
こんな僕でも見捨てないでいてくれる奴がいる。
僕はその猫にプックルと名づけた。そして出発の日まで、プックルと二人で過ごし、部屋から1歩も外へ出なかった。
出発の日、ご主人から言われ、渋々僕達を見送りに来たビアンカは、赤いリボンをくれた。
笑顔で、ありがとうって微笑んで、ビアンカに背を向け、歩み出した。
こぼれ落ちた涙をビアンカのリボンで拭って、
短い足でとことこ歩く可愛いプックルを抱きしめ、その小さな頭にリボンをつけてあげた。
僕は独りじゃない。まだ父さんやプックルがいる。
強く生きよう
サンタローズの村に戻った僕は、まだ沈んでいた。
そんな僕の心を見透かしたように、サンチョは自分のほろ苦い思い出を話してくれる。
話し終わる度に溜息をついて宙を見つめるサンチョ。いたたまれなくなったのか、
少し気が晴れたのか、僕はまた外に出た。出なければ良かったと、後になって凄く後悔している。
簡潔に何があったのかを話すと、町で自暴自棄になって悪戯をしていた妖精さんを追いかけて、
僕は妖精さんの村へ辿り着き、色々あって綺麗な宝石を貰った。
出来ればこの記憶はなかった事にしたい。
このままこうやって大人になっていくのが、辛くなった。
唯一の救いは、帰りに僕に話しかけてきた魔法使いのお兄さんが、
色々辛いかもしれないけど頑張れよって励ましてくれた事。
あの人はどこか僕に似ていると思った。
僕はあのお兄さんのような立派な魔法使いになって、
サンチョのように人に迷惑をかけない立派な妖精さんになるんだと、僕は心に誓った。
いつしか沈んでいた気分は晴れて、僕は少しだけ大人になった。
なんか魔法音痴の父がホイミを覚えた。
どうやら嬉しいらしく、戦闘後には必ず唱えていた。
旅をつづけたらMpが無くなって唱えられないらしく
「宿屋に戻ろうか?」って聞いてきたが
「早くヘンリーを助けよう!」とつい怒鳴ってしまった。
さらに「僕も回復出来るから大丈夫さ!」とも言ってしまった。
そしたら「・・・そうだな」と一言。
そんな父が先日亡くなった。
数年後本棚を整理してたら日記が出てきて、何書いてたのかなあと中身を見たら
ホイミの練習法が載っていた・・・涙が止まらなかった。
小さい頃に奴隷としてさらわれて、余儀なく十年に及ぶ奴隷生活をする破目になった。
故に僕に学歴は無い。
僕の父親が殺された原因であり、僕らが奴隷となる原因でもあった
ヘンリー王子に何とか読み書きだけは教わった。
だが彼は奴隷生活から抜け出し、自分が王族に復帰する目処が立つと、
僕の母親探しを手伝うなどと言っていたにもかかわらず、さっさと僕の元を離れていった。
僕が彼の事を友達だと思っていたのは、長い奴隷時代の歪んだ願望が生んだ幻想だったらしい。
とにかくヘンリー(あえて呼び捨てにしよう)と別れてから仲間はモンスターしかいなくなった。
モンスター使いなどと名乗っているが、ようは無職だ。
僕だって、いい加減落ち着きたい。安定した生活の為に就職したい。
しかし前述したように僕には全く学歴がない。専門の技術もない。
特技と言えば岩や砂袋を運ぶ事くらいだ。そんな僕の相手なんて誰もしてくれない。
ドラゴンキッズのコドランにいたっては、僕よりレベルが低いくせに僕より賢い始末。
僕はモンスターより頭が働かないらしい...
彼らは所詮畜生だ。でも彼ら以下の僕にいったいどのような道が残されているのだろう?
今考えると奴隷生活も悪くなかったのかも知れない。
少なくともあそこでは最低限だが食べ物の心配も無かった。
言われたままに働けば良かった。先の心配もいらなかった。
しかし逃げ出してしまった以上、もう後戻りはできない。戻れば死ぬより辛い仕打ちを受けるだろう...
まあ古い付き合いだし、仕方ないて言われればそれまでかも知れないけどさあ。
事あるごとにまっ昼間から会いに来るのはやめて欲しいんだよね。
まあ俺にも落ち度はあるよ。
前にさ、宝箱の中にメッセージ書いてあいつにイタズラしたんだ。
「いつまでも友達だぜ!」みたいなメモいれて。
でもさ、裏には「嘘だバカ!」て書いてあったわけだ。
まあブラックジョークだよ。
そしたらあいつ気づかなくてさあ。戻ってきたらあいつ
「君こそ僕の唯一の友達だ!」みたいなこと涙目で言ってて・・・
「あちゃー」とか思ったよ、その時は。
嫁さんも最近じゃ「出入り禁止にしたら」とか言ってくるようになったし。
でも裏口知ってるからいつでも入ってきちゃうんだよなあ。
遠まわしな表現だとあいつ分かってくれないみたいだし、きちんと言うべきかもね。
とりあえず、結婚式呼んでない時点で察して欲しいんだよね。
うちがルドマン家と取引なかったら、
あいつの結婚式もキャンセルしてたし。
ていうか本当に結婚できたのあいつ?
えっ?嫁さんは今行方不明?
…うーん。気持ちは分かるかも。
カジノ。カジノ。カジノ。今日僕はまたカジノで不正を働き、
牢獄に繋がれた。これで2度目だ。一度目は掛け金のごまかし。今回は
店員のケツを触ったとかなんとか、そういう言い分だった。
要は僕をカジノから叩き出したかったのだろう。
しこたま殴られたので、全身が熱い。今回はついでに仲間も一緒に投獄された。
前回僕だけをぶち込んだ時、置いていかれたと思った僕の仲間達が
街の周辺をうろうろしたため、苦情がきたらしいのだ。
狭い牢獄の中で、僕と腐った死体、そしてドロヌーバが並んで横たわっていた。
今回はどれくらいで出られるだろう。
すこしだけ泣いた後、僕は考えるのを止めて目をつむった。
仲間である腐った死体の臭いは相変わらず酷かったが、僕の着ているどれいの服も、
最近似たような臭いを発していることに今気がついた。
「父さん・・・」
僕はつぶやいた。つぶやいてもどうにもならないことは知ってたけど。
そんな事言われたら、僕は誰を恨んだらいいんですか。
僕は宙を見て、呟いた。シャンデリアが綺麗だ。
予測もしてたし、慣れてもいたけど、やっぱり辛い。
ルドマンさんは申し訳なさそうに、何度も頭を下げた。
ついには土下座までし、彼の禿げた頭は地に擦り付けられた。
きっと頭なんて下げた事がないような偉い人なのに、
そこまで頭を下げるというのは、相当僕の事が嫌なんだなと思った。
ルドマンさんの娘であるフローラさんと僕は結婚する事になっていた。
ルドマンさんは少し危険な所にある二つの指輪を持ってきた者に、
娘のフローラを嫁にやるとお触れを出して、指輪を持ってきたのは僕だったからだ。
僕は必死で頑張った。ルドマンさんも僕を認めてくれた。
しかし、フローラさんが僕との結婚を泣いて嫌がったため、
こうしてルドマンさんは頭を下げている。
報奨金を倍額支払って、おまけに船を一隻くれるという好条件を出して、
土下座しながら私の不義を許してくれと懇願している。
悲しくても、僕にはもう流す涙すらない。
何も要りませんから頭を上げて下さいとだけ言って、僕は屋敷から去った。
外の風は冷たく僕に吹き付け、安物のマントは揺れた。
自分が小さく見えた。暖かい町の灯に照らされ、惨めな気持ちになる。
宿に戻った僕は、祝福の声を上げようとする仲間より早く
自虐的な笑みを浮かべ、あっさり結果を報告した。
「断られちゃった。」
その言葉は一瞬で辺りの雰囲気を凍らせ、皆の顔から微笑みが消えた。
スラリンもドラ吉も、冷めた目でこちらを見ている。
断られた事よりも、腫れ物を触るような仲間達の態度が辛くて、
その日は普段飲まない酒を飲んだ。
優しい幼馴染みが義理とはいえ付き合ってくれたのが大きい、
もはやフローラさんの事なんか忘れ去って、
優しい幼馴染と懐かしい思い出話に夢中になった。
何故か僕は上機嫌だった。
思えば自信のない僕の背中を押してくれたのは彼女で、
彼女のおかげで指輪を手にする事が出来たし、
結局フローラさんには断られたけど、他の多くの褒美は手にする事が出来た。
ずっと傍にいてくれたらいいなんて、
酒のせいもあって、僕はそんなどうしょうもない事を考えた。
ただ義理で酒に付き合って貰っただけかもしれないのに。
そして僕は運命の一言を繰り出した。
プックル。一生僕の傍にいてくれないか。
結婚しよう!
ドクオです。
石像の中の人やってます。
今は知らないオッサンの家の庭に転がってます。
もうかれこれ8年になるでしょうか。
おや?向こうからサンチョと子どもたちがやってきました。
助けに来てくれたんだね!う、うれしい・・・
サンチョ「ぼっちゃん!助けに来ましたよ」
おお、本当に助かるんだ。夢みたいだ。
タバサ「え?これがお父さん、なの?・・・キモいです」
レックス「嘘でしょ?お父さんがこんなブサイクなはずないよ」
あれ?
レックス「ねえ、サンチョ、人違いだよ。なんか臭いし」
タバサ「ストロスの杖がもったいないです」
そんな!
サンチョ「う〜ん・・・・・・」
僕だよサンチョ!よく見てよ!
サンチョ「(うわ、キモっ)こりゃ人違いですね。ええ、そうですとも」
レックス「そうだよね。こんな気持ち悪い人がお父さんのはずないもんね」
タバサ「あ〜もう耐えられません。ルーラ!ルーラ!ルーラ!ルーラ!」
'A` うそーん