「わかりません。自分でもわからないんです。」僕は面接官に向かって言った。
自分の声さえも変な方向から聞こえてきた。
「面接を受けているうちに、もうどうでもいいような気がしてきたんです。」
「どうでもいい?」
「たいした学歴じゃないし、自己PRになることもない」
「でも君はさっきクリエイティブな仕事がしたいと言ったよ」
「言葉のあやです」と僕は言った。
「どんな就活にも旗は必要なんです」
2 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:11
3 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:11
は?
4 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:13
新趣向としてNGワード設定します
「やれやれ」
5 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:13
やれやれ
6 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:13
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□
□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□
□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□
□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□
□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□
□□□□■■■■■□□□□□□□□□□□■■■■■■□□□□□□
□□□□■■■■□■■■□□□■■■■□□■■■■■□□□□□□
□□□■■■■□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■□□□□□
□□□■■■■□□■■■□□□■■■□□□□■■■■■■□□□□
□□□■■■□□■□□□□□□□□□■□□□□■■■■■□□□□
□□□■■■□■□□■■■■□□□□□■□□□■■■■■□□□□
□□■■■■□□□□■□□□□□□□□□□□□□■■■■■□□□
□■■■■□□□□□■■■■□□□□□□□□□□■■■■■□□□
□■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■□□
□■■■□□□□□■■■□□□□■■□□□□□□■■■■■■□□
□■■■□□□□□■□■■■■■□■■□□□□□■■■■■■□□
□■■■■□□□■■□■□□□□□□■■□□□□□■■■■■□□
□■■■■□□■■□□■■■□□□□■■□□□□■■■■■■□□
□■■■■■■■■□□■□□□□□□□■■□■■■■■■■■□□
□■■■■■■■■□□■■■■■□□□■■■■■■■■■■■□□
□■■■■■■■■□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■□□
□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□
□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□
□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□
□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□
□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
7 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:15
女とSEX?
やれ!やれ!
8 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 01:42
9 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/21 02:19
ハードボイルド〜だね
10 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/27 02:40
保守
11 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/27 05:18
「さて」とリクルーターは言った。「時間があまりないんで世間話はこれくらいに
しよう。少しはリラックスした?」
「少し」と僕は言った。
「本題に入ろう」とリクルーターが言った。「さっきも言ったように、俺がここに
きた目的はあんたのとまどいを少しなりとも解きほぐすことにある。だから
わからないことがあったら何なりと質問してみてくれ。答えられることは答える」
それからリクルーターは私に向かって〈さあさあ〉という風に手まねきした。
「何でも訊いてみて」
「支給される給料には満足していますか?」と僕は訊ねた。大体において僕は
即物的な考え方をする人間なのだ。
「良い質問だ」と彼は言った。「頭が切れる。無駄にしゃべらない。俺好みだ」
そう言って彼は煙草の灰を落とした。
「しかし物事には順序というものがある。ある種の物事は話の切り口を間違えると
本来のあり方とは間違った理解のされ方をしてしまうんだ。わかるかな」
「大体」と僕は言った。
「これは桃の毛みたいにデリケートな問題なんだ。ゆっくり検討するに値する」
「想像していいですか?」
「もちろん。想像というのは鳥のように自由で、海のように広い。誰にもそれを
とめることはできない」
「あなたの会社は俗に言うブラックで残業は月150時間を越えている。しかし
手当てが支給されるのはそのうち30時間にすぎないからみんな会社を辞めたい
と思っている。あなたももちろん例外じゃない。しかし会社を辞めてもこんな
会社からでは良い転職ができるはずがない。泥沼を抜け出しても別種の泥沼に
はまりこむだけだ。だからどれだけくだらない仕事でも辞めるわけにはいかない」
「なるほど」リクルーターは静かに目を閉じて言った。「確かに君は頭が切れる」
そう言ったきり彼はその姿勢のまま石像のように動かなくなった。明るい店内で
彼の背中にだけ暗い闇が立ち込めていた。
僕は窓の外に視線を移した。世間にはもう春の陽光が降り注いでいた。僕は静かに
次の会社に思いをめぐらせた。
12 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/27 05:23
桃の毛
14 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/28 02:56
>>11 >「想像していいですか?」
ここまでは非常に春樹っぽいんだけどな。
15 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/28 06:53
ぼぼぼ、僕は、え、え、SEになりたいんだ。
16 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/28 06:59
トヨタで高学歴限定のセミナーのあったごたるですよう。
17 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 01:01
18 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 01:03
「完璧な自己PRなどといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
19 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 01:45
20 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 02:24
「あなたのことを書けばいいのよ。簡単じゃない?」
彼女は白紙のエントリーシートにひどくあきれた様子でそう答えた。
「問題はそう単純じゃないんだ」
タバコに火をつけることのようにこの問題を片付けてしまった彼女に
僕はひどく裏切られた気分になった。
「単純よ。あなたが難しくしているだけ」
「そうじゃない。僕は海の底で魚を食べて生きていきたいだけなんだ」
彼女はそれを聞くと静かに息を吐いた。
「ええ、みんなが本当はそうしたいって思っているわ。でもそれは出来な
いの。だって、みんなが海の底に行ってしまったら地上には誰もいなく
なってしまうでしょ?」
「なら誰も自分のことなんて書けやしない」
「そうね」
「しかし君は簡単だと言った」
「簡単よ。そんなこと考えなければ良いの。カメレオンだって餌をとるた
めに体の色を変えるわ」
「だったらエントリーシートなんてカメレオンが書けば良い」
「だめよ。あなたのエントリーシートだもの。あなたがカメレオンになっ
て書くしかないのよ」
彼女はそう言うとゆっくりと立ち上がり部屋を出ていった。僕はその間
ずっと、カメレオンになった自分を想像していた。
>海の底で魚を食べて生きていきたい
この一言に全てが集約されるわけか
なかなか面白いメッセージではある
22 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 22:04
「悪いけど、今エントリーシートを書いてるんです。あとでかけなおして
くれませんか?」
「エントリーシート?」、UFJのリクはあきれたような声を出した。「締切の1時間前に
エントリーシートを書いているのか?」
「あなたには関係ないことでしょう。何日に何を書こうが僕の勝手だ」、
僕はちょっとむっとして言った。
「それはそうだ」、UFJのリクは表情のない乾いた声で言った。ちょっとした感情の
変化で声のトーンががらりとかわるのだ。「まあいいや。あとでかけなおすから」
「ちょっと待って」、僕はあわてて言った。「UFJ銀行さんだったら、
何度電話をかけてきたって無駄ですよ。こっちは東大生だし、UFJのリクを相手に
している暇なんてないから」
「知ってるから大丈夫だ」
「知ってるって何を」
「だからまだウチに興味がないんでしょう。知ってるよ、そんなこと。だから早く君の
大事なエントリーシートを書いていれば」
「ねえ、あなたはいったい…」と言いかけたところで電話が切れた。すごく唐突な
切れ方だ。
23 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 22:08
(・∀・)ヤレヤレ!
24 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/29 22:26
盛り上がってまいりますタ!
贅沢な話dな
26 :
就職戦線異状名無しさん:04/01/31 09:28
一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートルプール
一杯分ばかりの汗を流し、自分の部屋の床いっぱいに5センチの厚さに就職本
をまきちらした。そしてそれは、そうでもしなければ内定をとれないくらい
悲惨な夏であった。
27 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/01 22:14
「き、君は主にどんな業種を受けているの?」
「金融」
「金融が好きなの?」
「いや、そうじゃなくってさ中小企業の融資をするんだよ」
「でもとにかくそういう仕事をしたいんだね」
「別にしたくはないよ。」
「なんでも良かったんだよ。僕の場合は。不動産だって通信だって
なんだって良かったんだ。たまたま金融だったんだ。気が向いたのが。そ
れだけ」
「わからないな」
「ぼ、僕は本が好きだから出版社をうけるわけだよね。それなの
に気味は金融は好きじゃないというし」
28 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/01 22:57
>>突撃隊?だっけ なつかしい
29 :
就職戦線異状名無しさん :04/02/01 23:39
やれやれ
30 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/02 00:27
学生食堂の一角に据えられたテレビの中で、
ハンサムな顔立ちの若手議員があらゆるマスコミュニケーションに
囲まれて、ハンサムな汗をかいていた。
だけれど、僕はその光景にほとんど興味を抱かなかった。
なぜなら、僕は既卒だからだ。
僕の部屋には卒業証明書が数多く堆積しているし、インクの切れた
ボールペンも散在している。両面シールだってたくさんある。
でも何も収益を生み出さない。
どうして、そのような無意味なものを若手議員が追いかけているのか知る由もなかった。
それでも僕は学生食堂でコーヒーを飲み干すと、卒業証明書を補充するため事務所に向かった。
31 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/04 14:48
「あなたは本当に働く気があるの?」
彼女が真剣な目で僕を見ていた。
「どうだろう、よく分からないな。正直なところ、僕にはさしあたって働かなければならない理由が無いんだ」
途端に彼女の表情が険しくなった。
「どうして?」
「貯金があるからさ。半年間何もしなくても生活できる」
「半年が過ぎて貯金が無くなったらどうするの?半年後にはあなたは25歳で、第二新卒でもなくなるわ。
それに、一日中パソコンの前で座っているようなあなたに一体何が出来るっていうのよ?」
彼女の言うとおりだった。僕は彼女と目を合わさないようにビールを一口飲んだ。
「やれやれ」
「今度『やれやれ』なんて言ったら殺すわよ」
・・・・・・やれやれ。
>>31 それ、俺の書いた文章じゃないか。
コピペされてるなんて嬉しいな。職はまだ無いけど_l ̄l○
33 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/06 16:24
34 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/07 01:36
>>32 だいぶ前のスレにあった気がするが・・いま何歳?ガンガレ
僕はこのスレが好きだ。
しかし今年はスレが伸びない。なぜなんだろう?
もしかすると、今年はねじまき鳥がねじを巻くのを忘れているのかもしれない。
僕は遠くで眠るねじまき鳥のことを考えながら、このスレをageた。
36 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/10 22:35
オーケー、僕がageよう。
37 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/11 10:05
頼むから静かにしてくれないか。
僕は今ESを書いているんだ。
38 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/11 10:08
39 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/13 22:11
龍しかよんだことないが、春樹面白いの?
40 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/14 00:50
41 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/14 01:04
俺は春樹と誕生日が同じ
ただそれだけ
42 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/15 01:47
4月のある晴れた朝に100%の会社に出会うことについて
43 :
なおん ◆lvMdGD9.0k :04/02/15 02:49
僕は携帯を持ったまま顔をあげ、
電話ボックスのまわりをぐるりと見まわしてみた。
ぼくは今どこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕にはわからなかった。
見当もつかなかった。
いったいここはどこなんだ?
僕の目にうつるのはいずこへともなく歩きすぎていく
無数の人々のリクルート姿だけだった。
僕はどこでもない場所のまん中から人事部長を呼びつづけていた。
就活の森・下 完
44 :
なおん ◆lvMdGD9.0k :04/02/16 01:41
漏れの名文をみろ。
45 :
なおん ◆lvMdGD9.0k :04/02/16 01:49
だれか、批評してくれぽ!
46 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/16 01:52
もうアフォかと
47 :
就職戦線異常名無しさん:04/02/16 01:54
批評も何も、ほぼ原文のままじゃん。
携帯に変えたはいいけど、電話ボックスはそのまま。
無数の人々のリクルート姿、なんじゃそりゃ。
人事部長を呼ぶよりは内定を叫ぶ方がまだマシだ。
48 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/16 01:55
なおんさん・・・・
必 死 で す ね !
「ねえ、なおんって人必死なの?」
50 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/16 22:28
>>43 このスレで二番目にセンスがない。
もう一度チャンスやるから作ってみろ。
51 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/17 01:28
52 :
なおん ◆lvMdGD9.0k :04/02/17 01:45
>47
あのーそれも考えたが、
「内定を叫ぶ」って、日本語になってないから止めた。
>48,49
べつに必死なわけではないぽ。
>50
おし、ちょっと待ってくれ。考えるから、明日あたりに
ウプするぽ。
53 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/17 01:53
「きっと
>>11のことを言ってるんだよ」
羊男はそう言うと、そそくさと去っていった。
その場に残された僕は
>>11のことを考えてみた。
かわいそうな
>>11。
朝の5時過ぎに載せたはずなのにたった5分後に
>>12のレスが返ってきた。
それを見た彼はどんな気持ちになっただろうか。
悲しかったのかもしれない。怒りに打ち震えたかもしれない。
でも僕はそんな彼のことを考えるのをやめた。
なぜなら、それはまるで象が今晩の夕食を考えることくらい無駄なことだからだ。
「象はあなたが思うよりずっと静かに眠るのよ」
・・僕はこんな文章を必死で考えている自分に吐き気がした。
55 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/17 03:57
age
56 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/19 01:03
age1094
>>15 突撃隊か!!
彼には笑ったw
といいつつ、オレは地図作る会社に就職希望w
スエズ運河の写真でヌくことは出来ないがw
おっと、上げとくよ。
59 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/22 05:13
「手でしてあげようか?」
純文学作品中にエロい描写があるとそこら辺の官能小説よりよっぽど抜けるね
60 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/24 22:22
agemasyou
61 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/24 22:37
宿命的なage
62 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/24 23:43
「見てくれる?これが私なの」
そうやって彼女に白い紙を手渡された。
「これ、エントリーシート?」
そう尋ねると、彼女は小さく首を縦に動かした。
どこかの企業のエントリーシートには、なにも書かれていなかった。
「何も書けることがないの。言葉にできるようなことは何も」
「そうか…」
「何もないのだから、私はこのまま出すわ」
僕は彼女を理解した。
たった一枚の紙にさえ書くものを持たない彼女、
そんな自分をさらけだす強さを持つ彼女なのだ。
僕にはあるのだろうか。こんな紙きれ一枚に綴れるだけのものが。
63 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/25 01:41
>>62 すばらしい
>>63 ありがd!
褒められると思ってなかったから素直に嬉しい
65 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/25 22:31
>>65 ちなみにこれは実話がもとになってるよ
頑張れよ
67 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/27 03:25
「やりたいことができない場合でも?」
目の前にいるだけだった、誰でもない、ただの他人であった男が言う。
その言葉に、僕は居心地を悪さを感じさせられた。
「君は働くことに魅力を感じないのにここにいるの?」
男の目は冷たく、暗く、そしてひどく厭らしいかんじだ。
野生の目じゃない。餌をもらうためだけに生きている動物園の熊…。
そう、何のプライドも持たないで生きているだけ。
そんな黒い生き物の卑しい目をしている。
こんな目を持つ男には言うべきことが決まっている。
「行きたい道はなくとも、欲はありますから」
男の目は僕をとらえ、「それから?」と問いかける。
「金銭的な欲求が。これは生きる意味にも等しい」
「随分な考えだね、やりたいことは別にあっても?」
「生きるだけなら、それで十分です」
男の口から「なるほど」という言葉が漏れる。
つまらぬ場所にとらわれて生きてきた卑しい目を持つ
この男には、こう言ってやるのが一番だ。
この男の歩んできた道を言葉にしてやりさえすれば満足するんだ。
もう何も言わなくていい。男は僕を認めざるえない。
でなければ、自分の歩んできた道を否定することになるのだから…。
「ありがとうございました。面接はこれで終わりです」
僕は礼を返し部屋を出た。こんなのは、いつものことだ。いつもの…。
眠れないからって
こんな時間まで
こんなこと書いちまった…(´д`;)
文章自体は村上春樹的ではないが、刹那的だな・・。
70 :
就職戦線異状名無しさん:04/02/29 23:33
暇だし、あげとこう
71 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/01 00:13
うーん、内容は中々きっついな。
次回作キボン。
>41
俺も一緒だよ。
中谷美紀とも一緒なんだぜ?
だから職くれよ。
>>69 そだなー。春樹っぽくできなかった。
意外と難しいもんだ。
>>71 サンクス。もうすぐ
>>67で書いた
会社の二次面あるから受けたらうPする。
74 :
なおん ◆lvMdGD9.0k :04/03/01 02:00
以外にむずいぽ。
漏れのは、なかなか良くできてるぽ!!
道を歩いていると突然女の子が
76 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/01 02:12
>>73 俺、村上春樹ほとんど読んだこと無かったけど、
今度、機会あったら読んでみるよ。
昔、高校のフランクな古典の先生が、
村上春樹の本貸してくれたな。
普段、そこまで話さなかった先生だけど。
今になって思えば、あの頃はクソマジメっつーか、
性格に面白みが無かったから、
これでも読んで、( ´∀`)マターリしろやって事だったのかな?
77 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/01 02:22
内定式の後だった。
話を終えて帰ろうとする僕に人事が言った。
「ひとこと言わせてもらっていいかな」
「何でしょう」
「自分に同情するな」と彼は言った。「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」
「覚えておきましょう」と僕は言った。そして我々は握手をして別れた。
彼はワーカホリックの世界へ、僕は自分のぬかるみへと戻っていった。
79 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/01 02:33
「それで、ESのことはなんとかなったんだね?」と就活生と呼ばれる青年は言う。
いくぶんあせった、いつものしゃべりかただ。
昼寝をしたら5時間経っていて、もちろん履歴書はまだ書いていないときのような。
でもそれはそぶりみたいなもので、じっさいにはプレエン200社済ませている。いつもと同じように。
僕はうなずく。
「どれくらい?」
もう一度頭の中で数字を確認してから、僕は答える。
「書き終わったのが2社ほど。そのほかにWebで出せるESも少し。
もちろんじゅうぶんとは言えないけど、とりあえずはなんとかなるんじゃないかな」
「まあ悪くない」と就活生と呼ばれる青年は言う。「とりあえずはね」
僕はうなずく。
80 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/01 02:36
脱力系だね?
「まあね」と、その学生は言った。
やれやれ。
半分のオリジナリティーと半分のパクリ。
ただむやみやたらに長文を書けばいいなんて、そんな世界じゃないんだ。
僕はそうつぶやきながらベッドにもぐりこんだ。
北極の白熊が冬眠するように。そっと静かに。
一人の人間が習慣的に長時間2chに入り浸るようになるには
さまざまな理由がある。
理由はさまざまだが、結果はたいてい同じだ。
2004年3月、僕の友人は気のいい2ちゃんねらーだった。
84 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/02 12:04
誰か何か書けよ
僕はだいたいの志望動機を彼に説明した。御社は株価回復の含み益も
出てきたし、問題は何もないと。
「結構」と彼は言った。「まったく、君は評価できるよ。明日にでも、
内定通知を郵送するよ。他社の内定はあるのか、ところで?」
「充分です。余っています」
「好きに選んでいい。遠慮するな」
「ひとつ伺いたいことがあるんですが」と僕は言った。「学閥のことです」
「ああ、あれね」と彼は何でもなさそうに言った。
「あれはいったいどういう組織なんですか?」
86 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/02 15:48
「同じ大学出身者の集まりだよ。そんなこと考えれば分かるだろう。
君だって、同じ大学のOBから飲み会に誘われただろう?」
「いや、そうじゃなくて、どうして卒業してまで同じ大学で固まるんですか?
その理由が知りたんです。ただの好奇心で」
人事はちょっと考えていた。
たぶん僕の好奇心の質について考えていたのだろう。
「つまり護送船団方式みたいなもんだ。その組織に属して忠誠を誓い
昇進したら俺も一緒に連れて行ってくださいと頼む。するとその上司は
同じ大学卒の気安さから俺に汚れ仕事も任せる。俺が引き受ける。
上司はそれをもってさらに上に上がる。俺も一緒に昇進。
便利だろう。世の中には色々なシステムがあるんだ」
「そのようですね」と僕は言った。護送船団方式。
88 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/02 16:32
>>85 ありがとう。面白かった。
ダンスの牧村拓か、懐かしいな。
「そう、煩わしくもあるが便利だ。一人ではできないことも組織の力で
何とかなる。ギブアンドテイクで協力を得られるんだ。会社に入ってから
配属先で手当たり次第に媚を売る必要はないし、安全だ。途中で仲の良く
なった唯一の先輩が会社を辞めるなんてこともない。おまけに会費もない」
「でも東大の学閥に入ることはできないんでしょうね?」
「そりゃ駄目だ。絶対にできないんだ。同窓でしか入れないし、同窓に
なるには高校時代に頑張っておく必要がある。東大の合格と入学と卒業が
必要なんだ。君にはまず無理だ。あきらめろ」
蛇足でした。
それにしても、よくこんな地味な場面でダンスだってわかるねw
91 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/02 16:37
85にピアス
蹴りたい85
いや、蹴らないでくれw
正直、インストールの方が良かった気がする。
なぜ、蹴りたい背中で芥川賞なのか。
そして、海辺の文庫化はまだなのか。
春樹は文庫で集めるなんてどうでもいい決まりを作ってしまったため、
まだ読んでいない。
93 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/02 17:10
>>85 卒論が村上だったからw
カフカは発売日に買って読んだ。
94 :
ダニエル・ピーター ◆h9vWcI2ik. :04/03/02 22:30
95 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 20:59
漏れは1を含めて何個か書いたが
>>85がいままでで一番うまい
96 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 22:14
そこで なおん のリベンジですよ。
97 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 22:25
突然電話が鳴った。
僕はほとんど条件反射のように手を伸ばして電話を取った。
「もしもし」と女が言った。
リクルーターの声だった。
「UFJ銀行の天羽だけど、度々電話して悪いね。
その悪いついでなんだけど、明日、村井君は何か予定あるかな?」
何も予定はないと僕は言った。
僕には―予定というものがないのだ、とにかく。
「じゃあ、明日の昼頃村井君と会いたいんだけどな。」
「それは選考と何か関係があることですか?」
「そういうことになると思うよ。」
とリクルーターは慎重に言葉を選んで言った。
「それから、人事部長も同席することになると思うよ。」
僕はそれを聞いて思わず受話器を落としそうになった。
「とうことは我々は3人で会って話をするということですか?」
「そうなるよね。」とリクルーターは言った。
「そうすることが今の場合には必要なんだよ。電話ではこれ以上
詳しいことは言えないけど。」
「わかりました。それで結構です。」と僕は言った。
「それじゃ、1時にこの前と同じ場所でいいよね?
恵比寿ガーデンプレイスの1Fのコーヒールームで。」
98 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 22:27
ん?これは元ネタ何だ??
99 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 22:42
「みんな就職する」突然男が言った。「誰だっていつかは就職するんだ」
100 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 22:44
>97
オチがないよう
101 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 22:45
「そこにロマンスのようなものは生まれたりするのかしら?」
「ロマンス?」僕はびっくりして言った。「あのね、やはりきみは
何か思い違いをしていると思うな。着慣れないスーツを着て、自分を
取り繕って必死で内定を取ろうとしてる連中にどうしてロマンス
なんかが生まれたりするんだよ?」
102 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 23:33
103 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 23:39
「いい会社だ」と私は言った。
「残業多いし有名企業じゃないから辞退しようと思ってたんだけど」
「内定を受けた方がいい」
「じゃあそうするわ」と彼女は言った。
私はテレビから流れる音にあわせて「日本ブレイク工業社歌」を歌った。
「その唄がすきなの?」
「好きだよ」と私は言った。「高校生のとき卒業文集で日本一ブレイクする
会社を立ち上げると書いて馬鹿にされてこの社名を考えたんだ。僕と同じ
ことを考える人が他にいたなんてね」
彼女は笑った。「日本ブレイク工業というのはなんだか不思議ね」
104 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/03 23:40
うちの会社では全部で200人ほどの新卒を採っています。その他に中途採用(既卒、高卒その他いろいろ)
も100人ちょっといます。とても大きな会社ですから、これは決して多い数字ではありません。
それどころか不足していると表現した方がいいかもしれませんね。
激務で、絶望に満ちて、人々はサー残に追われています。
あまりにも残業が多いのでときどきこれは本当は残業なんかじゃないという気がするくらいです。
でも、もちろんそうではありません。彼らはブラックの前提のもとにここで働いているのだから、
労働基準法も適用されないのです。・
「最後にひとつ」と面接官は座ったまま、僕を見上げていった。
「こういうことを言うのは失礼かとも思うんですが、思い切って
申し上げまして、あなたを見ているとどうも何か釈然としない
ところがあるんですよ。慶応の経営学修士で、サッカーチームの
キャプテンで、感じがよくて、理路整然としている。おっしゃる
こともいちいちもっともだ。きっと他社さんの面接の受けも
よいんでしょうね。でもうまくいえないんですがね、最初に
お目にかかったときから何かが私の胸にひっかかるんです。
うまく呑みこめないものがあるんです。別に個人的にあなたに
からんでいるわけじゃないんですよ。だから怒らないで下さいね。
ただ気になるんです。いったいなにが内定をだすのをためらわせる
のかってね」
「ひとつ個人的に伺いたいことがあるんですが、かまいませんか」
ぼくは言った。
「どうぞ、なんなりと」
「もし企業の社会的地位が平等じゃないとしたら、御社はだいたい
どのへんに位置しているんですか?」
面接官は、冷めたコーヒーをぐいと流し込み、頭を振って、それから
まるで誰かに何かを押し付けるみたいに、時間をかけてゆっくりと
ため息を吐いた。「知りません。でも大丈夫ですよ。少なくとも
あなたが内定をとるであろう企業と同じところじゃあないですから」
108 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/04 21:02
109 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/04 21:05
ネジ鳥じゃね?綿谷のぼるだっけ?
110 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/04 21:41
スプートニク。
にんじんを迎えに行った時…だよね?
111 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/04 21:44
にんじん・・・?
やべ、覚えてないぞ、なんだそりゃ。
読み返してみる。
もしゼミの先輩の口ぞえがなければ、彼女はおそらくエントリーシートも
書けず、そして必要な量のSPIの練習と面接官に好意を抱かせる志望動機
を準備することもないまま、この就職活動といういささかユーモアのセン
スを欠いた−もちろん人事部は選考過程の学生を笑わせ楽しませるために
身を粉にして現場の部長や取締役会の顔色を伺いながらサービス残業をし
ているわけではない−荒野に放り出されていたことだろう。あるいは彼女
にとってそれがより好ましいことだったのかもしれないけれど。
113 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/04 23:59
書き込みが増えたのは嬉しいけど
続きなんだか別ものなんだかわかりづらくなってるな。
すまぬ。ルール無視だったか。
106と107は続きもの。
112は別ものだ。
失礼&就活がんがれ!
>105は羊のローカル番組のねーちゃんの台詞じゃなかったかな?
なかなか目のつけどころが(・∀・)イイ!!
こんな良スレがあったのですね。
皆さん、とても上手ですね。
みんなが控え室で一般常識を読んでる中
一人春樹を読む私にもってこいのスレです。
でも、現実にはこんな春樹風な就活は存在しないんだなぁ。
117 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/05 22:53
ES書きの終わったあとで僕が説明会に行く話をすると、彼女は暗い顔をした。
「説明会は会社の中でするのよ」と彼女は赤く燃えている没履歴書をバケツの中の砂に埋めて消しながら言った。
「会社のほんの入口」だよと僕は言った。「人事だって別に問題はないって言ったよ」
「人事が何を考えているかは誰にもわからないわ。ほんの入口と言ったって。やはり会社は危険なところなのよ」
「でもとにかく僕は行ってみるよ。どうしても内定が欲しいしね」
118 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/06 10:39
>>116 捉え方次第だと思われ。
セリフとか言い回しはありえないが
見方を変えれば似たようなことはある。
そういうシーンをみつけたらうPしてくれ。
119 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/07 20:00
オーケー、認めよう。
確かに僕は内定0の社会的に見れば無価値な存在かもしれない。
ただ僕にはそれが心地よかった。
その余韻にひたりながら、行きつけのバーに足を向けた。
121 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/08 07:06
バルバルバルバルバルバルバルバルバルバル
122 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/08 07:06
そいつに触れることは死を意味する!
123 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/08 07:07
これが!
これが!
これが!
124 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/08 07:08
第二新卒だぁーーーー!!
125 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/08 07:08
ドギャーーーーーーーーーン!
126 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/08 14:59
一ヶ月なんて、まったくのところ、あっという間に過ぎてしまう。
この一ヶ月の間いったい何をしていたのか、僕にはまるで思い出せない。
色んな事をやったような気もするし、何もしなかったような気もする。月末になってリクルーターの電話がやってくるまで、一ヶ月が過ぎてしまったことにさえ僕は気づかなかった。
しかし何はともあれ、内定をもらうための朝はやってきた。
僕は朝六時に目覚め、窓のカーテンを開け、それが内定日和であることを一瞬のうちに確認した。
僕は顔を洗い、食事を済ませ、猫に食事を与え、洗濯をし、リクルートスーツを身にまとって家を出た。
128 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/09 01:55
彼女が僕の大学生活の事を訊ね、僕は所属していたサークルやらアルバイトの事、
或いはそれらに嘘を交えて話した。
「楽しかった?」
「悪くなかったね」と僕は言った。
「でもそれだけじゃなく色々と得る物があったみたいね」と彼女が言った。
「色々とやってきたからさ」と僕は言った。
「そしてその大学生活というのは嘘な訳ね」
僕はびっくりして自分の話を思い返してみた。
「どうしてそんなことがわかったのかな?」
「あなたって正直ねえ。そんなのあなたをみればわかるじゃない」
と彼女はあきれたように言った。
。
129 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/09 01:57
「平凡な大学生活だったのよね」
「充実していたと思わせようとはしてるんだけど」
「面接は嘘が通じないと思わなきゃダメよ」
僕は何度か頭を振ってから彼女の顔を見た。
「多分僕の頭が悪いせいだと思うけど、一体君がどうやって嘘を見抜いたのかさえ
理解できないでいる」
「大学生活の中で楽しいこととそうじゃないことがあるでしょ?嘘をついて楽しいことをどんどん言っていても
苦労したことが無ければ、そこにはリアリティーが感じられなくなるわよね。私、そういう話を聞くと
いつもそう思うのよ。今話されているこの話は作られたものなんだって。学生は充実した学生生活の
虚像を見せているだけだって」
「まあ一つの哲学ではあるな」
「でもそれ本当よ。私、経験的にそれを学んだもの」と彼女は言った。
130 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/09 01:58
おもしろいな。
普通に内容もいいぞ。
僕の目の前で、本当に電話のベルが鳴り出したのだ。
僕はすぐに受話器をとった。
「もしもし」
「ねえ内定が出たのよ」とすみれは言った。とてもクールに。とてもリアルに。
「いろいろと大変だったけど、それでもなんとか内定をとった。ホメロスの
『オデッセイ』を50字以内の短縮版にすればそうなるように」
「それはよかった」と僕は言った。ぼくにはまだうまく信じられないのだ。
彼女の声が聞こえることが。それが本当に起こったことが。
「それはよかった?」
~~~~~~~~~~~~~~
とすみれは(たぶん)顔をしかめて言った。
「何よ、それは?わたしがせっかく血のにじむような苦労をして
いろんなものをいっぱい乗り越えて、ここまで−いちいち説明してると
本当にキリがないんだけど−たどり着いたというのに、あなたには
その程度のことしかいえないの?涙が出ちゃうわ。よくなかったら、
私の立場はいったいどうなるのよ?『それはよかった』、信じられない
わね、まったく。そんな心温まる、見事な機知に富んだ台詞は、
グループディスカッションのメンバーの当たり外れに一喜一憂する
リクルートスーツの大学生のためにとっておけば」
このスレを見て、ESの方向性が決まりました。
>>132 それは正しい方向性なのだろうか、はたして。
135 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/09 13:33
と、僕は答えた。
136 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/09 14:45
やれやれ。
137 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/09 14:57
おもしろい、もっとかいてくれー!
>131
>>137 ほめてくれてありがとう。
ぼくは文体模写をしているわけではなく、
原文をいじっているだけなので、
また、よいネタを見つけたら書き込みます。
奇妙な春のはじめだった。
僕は春休みのあいだずっと電話の返事を待ちつづけていた。
旅行にも行けず、帰省もできず、アルバイトも出来なかった。
何日頃に会いに来て欲しいという人事からの電話がいつ来るかもしれなかったからだ。
僕は昼は大学のパソコンルームに行ってリクナビを見たり、ドトールで半日、エントリーシートを書いていた。
誰とも会わなかったし、殆んど誰とも口をきかなかった。
140 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/12 13:31
奇妙な春のはじめだった。
僕は春休みのあいだずっと電話の返事を待ちつづけていた。
旅行にも行けず、帰省もできず、アルバイトも出来なかった。
何日頃に会いに来て欲しいという人事からの電話がいつ来るかもしれなかったからだ。
僕は昼は大学のパソコンルームに行ってリクナビを見たり、ドトールで半日、エントリーシートを書いていた。
誰とも会わなかったし、殆んど誰とも口をきかなかった。
141 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/12 13:40
それから少しして、僕は奇妙な感覚に襲われるようになった。
おきているのか、寝ているのか、厚いのか、寒いのか
ただわからない、ぼんやりした時間が過ぎていくのであった。
しかし、僕にはそれが心地よかった。
「ねえ、ねじまき鳥さん、知ってる?あなたは私の気持ちひとつでこのまま内定を貰えないかもしれないのよ。
私が持っているコネはあなたしか知らないし、私はそれを使ってもいいと思う。そのことをわかってる?
私がこのままこのコネをあなたに使わないでいるなら、あなたはそれで内定を一つも得られないことに
なるのよ。頑張ったって学歴も無いし、あなたが実は優れた人間だなんて誰も思いつかないし。
それにあなたが普通に就活をしても、どこもうかりやしないんじゃないかしら。面接の進んだ会社も無いし、
筆記だって通らないし、まあそのうちESが通った会社が連絡をくれるかもしれないけれど、その頃にはもう
あなたが行きたい会社なんて残っていないし、きっと通るわけがないわよ。」
「確かにそのとおりだね。君の気持ちひとつで僕は就職浪人が決まってしまう。」
「そういうのってどんな気持ちがする?」
143 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/14 02:22
彼は組んでいた両手をゆっくりと離した。そして守っていた沈黙を自ら破り、口を開いた。
それから何か決意した目を僕達に向けた。その目には迷いの色などは全くなかった。
一瞬で全てが終わり、それから僕は驚いて必死に議論の筋を戻そうとした。
彼はサメの話に終始し、僕は諦めの境地に達し彼のほうへ怒りを向けた。
彼は何事も無かったように筆記用具を鞄にしまいこみ、机を離れるとそのまま会場を後にした。
会場を出るとき僕は他の参加者に質問してみた。GDにはいつも暴走するやつがいるのか。
そしてそんな時万に一つでも次の選考に進むことができることがあるものなのかと。
「まず無理でしょう」と溜め息をついた。
「ああいうやつがGDで暴走するのは私が体験した限り今日で三回目だし、大学名を聞いた
時点で予想はつきました。けれど暴走が道連れを狙った自爆テロであるということはありませんでした。
でも凄かったですね。いったいどういう神経をしているんでしょうね。あれじゃどんな議論も台無しに
なってしまうんじゃないかしら。」
「そうだね、本当に捨て鉢は怖いものだ。」と僕は言った。
>いったいどういう神経をしているんでしょうね。あれじゃどんな議論も台無しに
なってしまうんじゃないかしら。
議題に関係ないとはいえサメに関する知識は。あれなら水族館の飼育係くらいなら
通ってしまうんじゃないかしら。
>そうだね、本当に捨て鉢は怖いものだ
そうだね、本当にサメの話をしにきたみたいだった。
面白いと思うほうで読んでください。
145 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/14 23:05
他社内定状況を聞かれたあとでは、もうUFJ銀行のキープ君
扱いから身を守る手だては何ひとつ残されてはいなかった。
リクナビか日経就職ナビで新たな企業にエントリーしてみる
こともためしてはみたのだが、思った通り一日中リクルーターに
拘束されて企業からの返信をチェックすることは出来なかったし、
携帯電話を取り上げられていて非通知設定の電話をとることも
出来なかった。考えてみればあの狡猾なUFJがそんなことを
やすやすと許すわけがない。奴はこれまで高学歴の学生に内定を
振りまいた後でかなり多くの内定辞退者を出し、散々苦汁を
なめさせられてきたのだ。今頃きっと、支店の応接室でにんまりと
ほくそ笑みながら新たに高学歴な学生がエントリーしてくるのを
待っているに違いない。
146 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/14 23:48
>>145 GJ!
改変でありながら現在のあなたの苦渋が伝わってきます。
「私たちもうおしまいなのね」と彼女が言った。「四月が終われば
UFJは内定を出さずに去っていくのよ」
「希望を捨てちゃいけない」と私は言った。「知恵をしぼればUFJ
なんかに絶対に負けるものか」
「でも携帯電話は取り上げられているわ」
「原理的思考をするようにつとめるんだ。UFJが他社内定状況を気に
するのなら、内定先をねつ造してしまえばいいんだ」
「たとえば?」
「みずほ」と私は言った。
「どうしてみずほなの?」と彼女は訊ねた。
「わからない、今ふと頭に浮かんだだけなんだ。勘のようなものさ」
148 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/15 00:06
オーケー、僕がageよう。
149 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/15 00:08
オーケー、僕がageよう。
中央三井信託銀行というところから――どうしてさっさと住友
信託銀行と合併しないのだろう?――就職活動の状況について語り
あいたいのだけれど個別説明会に来てもらえまいか、という電話が
かかってきた。いいですよ、と僕は答えた。僕も就職活動については
いろいろ悩んでいたし、ちょうどこちらからどこかの銀行の行員に
OB訪問でもしようと思っていたところだった。
中央三井信託銀行・個別説明会は郊外の研修所で行われていた。
説明会とは名ばかりで、ブースに座らされて出身大学OBと一対一の
面接を受けさせられた。
「結局、君の自己PRって良くも悪くもドーナツ的なんだよね。中身が
ない」
そうだな、僕の自己PRはたぶんドーナツ的で中身がないのだろう。
でも今はもう五月の頭で、もうすぐゴールデンウィークに入ろうと
しているのだ。今頃自己分析が甘いと言われても困る。
151 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/15 00:35
なんか泣けてくる。
あげ
あんたここに内定をもらいに来たんでしょう。どう、図星でしょう。
いやいや返事しなくていいですよ。何も言わなくてもわかるんですよ、
それくらい。あたしはもう二十四年も人事をやっているからね。あんたが
そっちからやってくるのを見ててさ、そいでもうピンときたんだ。ああ、
この学生は内定を欲しがってるんだなあ、内定が欲しくて、わざわざここ
までてくてく歩いてきたんだなあって。どう、すごいでしょう。へへへへ、
なにしろ二十四年もずうっと人事やってるんだもんね。そんなのは遠くから
ちらっと顔見ただけでわかっちゃうんだね。
でもさ、こう言っちゃなんだけど、あんたに内定は出せないね。ええ、
そうですよ、へへへへ、内定は出せませんよ。あんたには出せませんね。
泣いて頼まれたって、金の延べ棒を積まれたって、あんたにぜんぜん内定は
出せませんよ。なんでだろうな、って思うでしょう。なんで自分に内定を
だしてもらえないんだろうなって。何か面接で失敗したかなって。へへへへ、
思うでしょう、ねえ? いえいえ、失敗なんか何もしてませんよ。何もして
ませんよ。ただね、ただただあたしがあんたに内定を出したくないっていう、
ただそれだけのことなの。理屈じゃないの。感じなの。へへへへ、わかった?
僕がJR東海に勤める渡辺昇という男にOB訪問を依頼したのは2月の中ごろの
ことだった。資料請求したら、送られてきた資料のなかに同じ大学の卒業生の
連絡先が同封されていたからだ。これってOB訪問をしろということに違いない。
僕は勘が良いのだ。
春の冷たい雨が降るある日の夕方、僕は待ち合わせ場所の東京駅八重洲北口
にいた。約束の時間の五分前に渡辺昇はやってきた。一度懇談会に参加したので
僕は彼の顔を知っていた。聡明ではあるが特徴のない顔をした男だ。
「やぁ」と渡辺昇は言った。
「こんにちは」と僕は挨拶した。
渡辺昇は僕を東京駅構内にある居酒屋に連れて行った。OB訪問で酒を
振舞われたのは初めてのことだったので、僕はひどく混乱した。おかげでいくら
ビールを飲んでもちっとも酔いが回らなかったし、とても変な気分になった。
それでも僕はちゃんと用意してきた質問をした。僕は機転がきく人間なのだ。
「お仕事は面白いですか」と僕は訊いた。
「仕事? 悪くないね」と彼は答えた。
「どういう仕事をされてるんですか?」
「新幹線を使う旅行商品を作ってるんだ。この前なんか東京駅から京都まで日帰り
する商品を作った」
「うーむ」
「君は何がなにがやりたいの?」と渡辺昇は僕が何か感想を述べようとしたのをさえ
ぎって訊いてきた。やれやれ、せっかちな男だ。
「僕は国鉄を舞台にした映画を撮りたいんですよ」
「ほう」
「ストーリーはこうです」と僕は言った。「ある晴れた日曜日の朝に僕が原宿の竹下
通りを歩いていると、向こうから僕にとって100%の女の子がやってくるんです。
勘違いしてもらいたくないんですが、100%と言ってもあくまで僕にとって100%と
いうことです。だから別に美人じゃなくてもいい」
「ひとつ質問してもいいかな?」と渡辺昇は言った。
「どうぞどうそ」
「その映画は原宿駅が舞台なのかい?」
「そういうことになりますね」と僕は答えた。
「ふーむ」とため息をついてから渡辺昇はビールを飲み干した。「君は勘違いをして
いるな」
僕は渡辺昇が言っていることが理解できなかった。僕が一体何を勘違いしてる
っていうんだ? ここに来る前にちゃんとメンタツを読んだし、自己分析だってやって
きた。採用ホームページに目を通すことも怠らなかった。僕が非難されるいわれは
ひとつとしてないはずだった。
「君はOB訪問する相手を間違ったんだよ。蜂にミツバチやスズメバチがあるように、
JRにも種類があるんだ。JR東海とか、JR東日本とかね。原宿駅はJR東日本の
管轄であってうちの管轄ではない」
それだけ言ってしまうと渡辺昇は伝票を持って席を立った。僕は会計を済ませる
彼の姿を眺めながら彼女のことを考えた。
155 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/16 00:48
age
「なぜageるの?」彼女はまっすぐに目を合わせながら尋ねてきた。
「このスレに注目をひきつけるためさ」僕は、うつむき加減に答えた。
「その行為に意味はあるのかしら?ただ疑問なだけなの。
気を悪くしないでね」
「もちろん、気を悪くなんてしない」
「よかった」彼女は軽く笑ってから言葉を続けた。
「私には、内容のないageほど空虚なものはないように感じられるの。
もちろん、テニスサークルの部長をやっていましたなんて自己PRも
同じくらい空虚であるけど、そこには書類落ちと言う結果が付いてくるわ。
でも、ただのageには損も得もないの。見ている人も、多分やった人も、
言いようのない脱力感に襲われるんじゃないかしら?」
「そうかもしれない」僕は言いながら、全然反対のことを考えていた。
でも書類で落ちる脱力感は、きっと一橋生の彼女には理解できないことも
知っていたので口にはできない。やれやれ。
ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
「東大生だって不採用にできるんだ。
そんなことができる人間はあまりいない」とリクルーターは言った。
私は肯いて同意した。
「履歴書だって破れる」
私は肯いて同意した。
「三年前まではマーチだったんだ」とリクは言った。
「なかなか良い学生だったね。先物に就職してなければ係長まではいっただろうね。
若いし、根性もあったし、学歴の割に発言もまともだった。
しかし先物に行っちゃもうだめだ。就活は新卒でなけりゃやっていけないものな」
男がそこで私の顔を見たので、私は肯いて同意した。
「それ以来俺が面倒みてるんだ。なにしろ俺の従兄弟なもんでね」
「あまり中間的な学歴を持たない家系なのかな?」と私は言った。
「もう一度言ってみろ」とリクが言って、私の目をじっとのぞきこんだ。
「なんでもないよ」と私は言った。
リクはしばらくどうしようかと迷っているようだったが、
やがてあきらめて煙草を床に捨て、靴の底で踏んで消した。
それに対しては私は文句を言わないことにした。
「あんたもっとリラックスしなきゃだめだよ。心を開いて、ゆったりとした気分になるんだ。
リラックスしなきゃ腹を割った話ができないよ」とリクは言った。「まだ肩に余分な力が入ってる」
「煙草を出して吸ってもいいかな?」
「いいよ、もちろん。だってあんたの就活であんたのリク面であんたの煙草じゃない?」
「ときどき、なんだかすごく怖いのよ、先物のことが」と彼女は言った。
「良い面だけを見て、良いことだけを考えるようにするんだ。そうすれば何も怖くない。
悪いことが起きたら、その時点で考えるようにすればいいんだ」と僕は言った。
「でもそううまくいくものかしら?」
「うまくいかなかったら、その時点でまた考えればいいんだ」
彼女はくすくす笑った。「あなたって昔からかわらず変な人ね」と彼女は言った。
「ねえ、ひとつだけ質問していいかな?」と僕はビールのプルリングを取って言った。
「いいわよ」
「スターF証券の前に何社エントリーした?」
彼女は少し迷ってから、指を二本出した。「二社」
「一社は外食で、もう一社は住宅販売だろ?」
「どうしてわかるの?」
「パターンなんだよ」と言って僕はひとくちビールを飲んだ。「僕だって無駄に就職浪人
してるわけじゃない。それくらいのことはわかる」
「負け組っていうわけね?」
「ブラックなんだ」
「あなたは何社くらいエントリーしたの?」
「二十六社」と僕は言った。「このあいだリクナビで確認したんだ。リクナビ経由だけで
二十六社、リクナビ以外で十社くらいはあるかもしれない。ブラック企業はあまりリクナ
ビに登録してないからね」
「どうしてそんなにブラック企業ばかりエントリーするの?」
「低学歴だからさ」と僕は正直に言った。「優良企業にエントリーしても、説明会は満席
なんだ」
我々はそれからしばらく黙って、いっそのこと資格試験を目指すべきか考えた。先物や
ブラック企業に就職するよりも何年か資格のためフリーターになる方がはるかにましだっ
た。新卒ブラックでは転職もままならないのだ。
160 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/20 03:09
オーケー、僕がageよう
日曜のお昼前に、切干大根を煮ているときに、UFJ銀行のリクルーターから電話がかかってきた。
受話器を取ると、疲れ切ったリクルーターの声が聞こえてきた。
「こんにちは。こちらUFJ銀行です。当行といたしましては是非一度お会いしてお話ししたいので、
今度の土曜日に研修所まで来てください」とUFJ銀行のリクルーターは僕の予定も聞かずに言った。
僕はびっくりしてしばらく口がきけなかった。「お話しするって、具体的にどういうことをなさる
のですか?」と僕はやっと尋ねてみた。
「やれやれ、あなたはメンタツを読んだことがないのですか?」とUFJ銀行のリクルーターは呆れた
ように早口で言った。僕に聞こえるように電話口の向こうでペンをこつこつと鳴らしさえした。「メン
タツのなかに都市銀行の採用はリクルーター方式だと書いてあるのを、ひょっとしてあなたはご存じ
ないのですか?」
残念ながらメンタツは一度も読んだことがない。僕は理工系の国立大学の三年生で就職するつもりは
なく、大学院に進学しようと思っている。まわりにもメンタツを読んだことのある人間なんて一人もい
ないと思う。僕が正直にそう言うと、UFJ銀行のリクルーターは腹立たしげに「ふん」と小さく鼻を
鳴らした。メンタツを読んだことがない人間とこれ以上話をしても仕方ないというように。でも電話を
切ろうとはしない。
「あの、ところでいったいどうして僕の電話番号をご存じなのでしょうか?」と僕はおそるおそるUFJ
銀行のリクルーターに質問してみた。ひょっとしたら個人情報が流出しているのかもしれない。そう
じゃないといいなと僕は思った。僕は勧誘電話の類が大嫌いだからだ。
「そういうものは就職課から送られてくるのです」とUFJ銀行のリクルーターは妙にきっぱりとした
口調で言った。「オープン採用を装いつつも、都市銀行は高学歴の学生に対してのみリクルーター採用
を行っているのです。優秀な学生を確保しておかないと私自身が出世できないので、こちらも必死なの
です」
僕は心からUFJ銀行のリクルーターに同情した。「大変ですね。でもだからといってあまりがっかり
しないでください。僕以外の学生は就職を考えているかもしれないのですから」
そうですねとUFJ銀行のリクルーターは答えた。「ところであなたは、ミツビシとミズホのリク
ルーターが動いているかどうかご存じですか?」と少しでも有益な情報を得ようとしてUFJ銀行のリク
ルーター僕に尋ねた。
知らないと僕は言った。だってそんなこと知っているはずがない。僕はシステムデザイン工学の研究
で毎日朝から晩まで忙しいのだ。
「嘘だ、あなたは本当は就職活動をしていてミツビシに内定しているんだ!」と叫んだ。そしてがちゃん
と電話を切った。何がなんだかわけがわからなかったけれど、それ以上ものごとは進展しそうになかった
ので、僕はお昼に温かいご飯と切干大根を食べた。
私は勘の導くままにエントリーシートの他社内定状況欄に「みずほ銀行」と書いて送り、
UFJからの電話を待った。高学歴の私がエントリーシートを出せばUFJは必ず電話して
くるはずだ。そのときにすべて決着はつく。嘘を見破られるか、内定を貰えるかだ。
真夜中の少し前に電話が鳴った。こんな時間に電話をかけてくるのはUFJしかいない。
受話器をとるや否や私が「みずほさんから内定を頂きました」と言うと、リクルーターは
激しく動揺し、「キミ、いまから寿司食いに行こう」と言った。そう、私は勝ったのだ。
その夜、銀座の寿司屋に呼び出されて私はUFJ銀行の人事部長から内々定を言い
渡された。私は嘘をつくのが嫌いな方だが、幸いなことにUFJに対して嘘をついても一切
良心の呵責はなかった。
145は面白い。ウィットに富んでる。
春樹的思考に優れているようにも思えるし、おそらく頭もいいんだろう。
でもね、私が今できるのはそういうことじゃないんだ。
このスレをageる。これが私のできる精一杯のことだ。
いくら心の中で賞賛を送っていても、私には同様の文章を書く時間も無ければ才能も無い。
私は壊れていく洞窟の壁を補強することしかできない人間なんだ。
だからせめて、私はこのスレをageようと思う。
それがたとえ私の自己満足に過ぎないとしてもね。
ひとつのスレが習慣的に下がるようになるには様々な理由がある。
理由は様々だが、結果は大抵同じだ。
このスレも、少し前には一日にいくものレスがついていた。
ほんの少し前には、職人が頑張っていた。
そして2004年3月26日現在、このスレは探すのに大変苦労する位置にいる。
多くのスレがそうであるように、初期のこのスレは賑わっているとまでは
いかなくても同好の士が集まって楽しんでいた。誰もがこのスレに価値を
見出しているわけではないが、一部の人にとっては必要なスレだった。
だから、職人は作品を書いた。そうすることが、より一層このスレの価値を
高めてくれるような気がしたからだ。
もちろんはじめのうちはそれがうまくいった。しかし時がたちコテハンで
大量の作品―それも良質の―を書く人間が登場すると、そこに微妙な
誤差が生じ、微笑の誤差はやがて深い溝となった。
一人のレベルがあまりにも先を行き過ぎていて、その他大勢には
ついていけなくなったのだ。よくあるケースだ。
殊にこのような言葉遊びのスレにおいては、コテハンと言う明らかに
レベルの高い人間が登場すると急激に敷居が高くなる。
しかし少なくとも、駄文を書くことが禁じられるまでにはなっていない
はずだった。いまのうちに、誰かがそれをする必要があったのだ。
だから僕がそれをした。それだけのことだ。
afe
167 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/24 01:06
>>165 /`ヽ ,.-、/
/ `、 ,/ | 頭
,,. ‐'',つ ,/ 'L/ |
,. ‐'"'ヽ," / _,,........,,_ ´ _,,......,,_ | 大
/ (゙,. ) / <, |:::::| ,> <, |:::::| ,|
/. ヽ-r''",ノ / `二二,,,,,,,,,,__ ''''''''''' | 丈
r,! -r''" ノr‐'"´:::/‐|:/ `、::ヒ、‐-、 |
/`--‐'''/ ソ:::::/i::∠.,,レ ゙、|,,ヽ::i、:`:| 夫
/、_,,..-{ i:::::i'.,r''/::::ヽ 'r'"ヾ':|,ヽ:::i
/ i゙ ,'::::i i. i:::::::::l l:::::::::|. i !:::ヽ ?
,' | ,':::::! '. '○:ノ '○:ノ ノi:::::::ム、___
i l !:::::i |::::::::|
! i' 〉 ,'::::::::、 _ l:::::::::|
i_ '' \i::::::::| lヽ、 l l ./::::::::::!
ヽ` |:::::::i:┴i:::`''- 、_ `'''" ,. -'":::::::::::::::|
!_,.. --ァ | `、:::| ''T'r'"´l ``""´!:::::::::::::;i:::::::::|
ヽ:::::/ | `、| '、 ヽ {ヽ、:::ノリ|:::::::::!
168 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/24 01:09
私は勘の導くままにエントリーシートの他社内定状況欄に
「みずほ銀行」と書いて送り、 UFJからの電話を待った。
高学歴の私がエントリーシートを出せばUFJは必ず電話して くるはずだ。
そのときにすべて決着はつく。嘘を見破られるか、内定を貰えるかだ。
真夜中の少し前に電話が鳴った。こんな時間に電話をかけてくるのはUFJしかいない。
受話器をとるや否や私が「みずほさんから内定を頂きました」と言うと、
リクルーターは 激しく動揺し、「キミ、いまから一発抜きに行こう!」と言った。
そう、私は勝ったのだ。 その夜、新宿の平成所学園前に呼び出されて
私はUFJ銀行の人事部長とともにプレイを楽しみながら内々定を言い 渡された。
私は嘘をつくのが嫌いな方だが、幸いなことにUFJに対して嘘をついても一切
良心の呵責はなかった。
169 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/24 01:12
age
>>164-165の努力を無駄にするくらいしょうもないカキコが続いてるなw
しかし、そうでなくては書き込みにくいのもまた事実w
171 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/25 13:03
八時半にエントリーシートを書き終えた頃、
リクナビの企業からの返信には五通ばかり不採用通知がたまっていた。
僕はパソコンの電源を切って一時間も天井を眺めていた。
僕はこの上向き景気の中に内定もなく単位もなく、
電話をかけてくるリクルーターもなく書くべきエントリーシートもなく、
たった一人で放り出されていた。でもそれは悪くない感情だった。
もし就職活動をするのに最も適した場所はどこかと質問されたら
「2004年3月のあのがらんとした部屋のパソコンの前」と答えるしかない。
企業の一つ一つがすべて魅力的に見える場所−−それがすなわち僕にとっての「就活」である。
リクルーター制や大学からの推薦や院進学も悪くない。しかし「それはそれ」である。
エントリーシートを書くにはエントリーシートを書くための、
企業研究をするには企業研究をするための最良の時期が必ずどこかにあるはずだ、という気がするのである。
「彼は先物の内定をもらう二晩前に、彼女の処女をうばった。彼女は泣いた。
彼もなぜか力がぬけてしまったので、自分が馬鹿になったような気がした。彼自身も童貞を失ったのだった。
オーソンは正気だった。正気だからこそ、自分には他に行くことのできる企業がないのはわかっていたし、
一定の限度以内のことならば、喜んで働こうと思っていた。
先物はこのような若者を何千人となく加工処理し、目に見える損傷はほとんど与えずに世に送りかえしている」
就職活動「低学歴の内定取得者たち」(短編集『リクルート・スクール』171訳)
OB訪問をさせてくれるOBをみつけるのに、それから一時間ばかりかかった。
OBは世間には大手出版社だと思われている会社の、訪問販売のセールスマンだった。
「ブラックだけどいいか」とOBは言った。
「黒は**の好きな色であります」と**さんは言った。
OBは笑った。「あんたちょっと変わってるな」
「はい、ときどきそう言われることがあります」
ぼくは扉を開ける。手に持った荷物を置き、椅子の左に立つ。そして彼の言葉を待ってそこに座る。
そこには間違いなく理想的な面接の方法が実践されている。これでいい。
ぼくには適切な自己アピールと適切な志望動機がある。ぼくはその点ではたしかに一つの線で
内定につながっている。ぼくはそれを静かにたぐりよせてゆけばいいのだ。
それからぼくは前を見据え、彼の質問をじっと待つ。ぼくはそれに適切な答えを返す。でも手応えは無い。
ぼくは学歴も無く、とりえも無い。それがもうたぶん最初からすでに、面接の結果を決めていたのだ。
175 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/29 10:20
就活を辞めてから二ヶ月ほどのあいだに、僕はただの一度もこのスーツに袖を通したことがなかった。
久しぶりにスーツを着ると、自分の体が何か異質なものに固く包まれているような気がした。
それは重くこわばっていて、いかにも体にそぐわなかった。
僕は立ち上がってしばらく部屋の中を歩きまわり、鏡の前に行って袖や裾をひっぱって体に馴染ませた。
腕をいっぱいに伸ばし、大きく息をし、体を曲げ、この二ヶ月のあいだに志望動機が変化したのではないことを確かめた。
それからもう一度ソファーに座った。
でもやはり落ち着かなかった。
僕は自分のアパートに帰るとワインの瓶とグラスを出して中谷章宏の
『面接の達人』を読んだ。またまた中谷章宏だ。面接の達人は飽きもせ
ず僕に説教をしている。僕はワインを三杯飲むあいだ中谷章宏につきあ
っていたが、途中でだんだん眠くなってきたのであきらめて本を閉じ、
バスルームに行って歯を磨いた。これで一日が終わった、と僕は思った。
有意義な一日だっただろうか? それほどでもない。まあまあというとこ
ろだ。朝先物企業の筆記試験を受け、昼は外食企業の一次にして最終
の面接を受けてその場で内定を言い渡された。夕方からは住宅販売の
会社説明会に参加したが、説明をしていた社員の顔に覇気はなかった。
まあまあだ。夏休みまで引きずった就職活動の一日はブラック企業の
応酬だった。しかしとにかくこれで一日が終わったと僕は思った。
177 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/31 18:52
_, ,_
( ´_ゝ`)
178 :
就職戦線異状名無しさん:04/03/31 23:06
(,,゚Д゚) 145ガンガレ!
179 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/03 23:57
age
180 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/04 18:03
向日葵のように黄色い服を着た美しい女子大生と二人きりでお茶を飲むのは、
僕の人生において、そうそうあるものではない。例え、それがOB訪問であったとしてもだ。
だから、僕の折角の土曜日の昼下がりが、台無しになったと悲観する必要はない。
「自己分析というのが、よくわからないの。私は私であって、ほかの誰でもない。
そんな至極当然のことを、どう分析して、どう表現するのかなんて、見当もつかないわ。」
抹茶クリームフラペチーノのクリームをすくいとりながら、向日葵のように黄色い服を着た
美しい女子大生は、とてもきれいな声でそう言った。
「結局のところ、自己分析というのは、自分のことを注意深く見つめなおすことなんだよ。」
と、僕は言った。
「歯医者で奥歯に詰め物をしてもらったあと、しばらく綿を噛むときにそうするように。
とても注意深くね。そうすることで、自分がどういう人間であるかが、ぼんやりと
断片的に見えてくる。その断片をつなぎ合わせることで、自分がどういう人間であるか
表現することで、自己PRがうまれる。そして、それから、その自己PRを、分解し、
再構築することで、なぜその業界、業種、会社に就職したいのか、という志望動機を
うみだすんだ。」
しばらく考えた後(あるいは、考えることを放棄したまま頸を傾げていただけかもしれない)
向日葵のように黄色い服を着た美しい女子大生は言った。
「歯医者で綿を噛み締めたことは今まで一度も無いわ。」
「違う。そうじゃない。僕は今、自己分析とは何かについて、君に説明しようとしていたんだ。
だから、歯医者はあくまでも比喩であり、話の本質ではない。」
「あなたの言うことは、哲学的過ぎてよくわからないわ。」
哲学的。ふむ。結局のところ、彼女は学生で、僕は社会人なのだ。
そして、その差は、永遠に(少なくとも、彼女が社会人になるまでは)埋まることはない。
>>180 リクの立場の「僕」ってのは、これまでになかったね。
斬新で(・∀・)イイ!!
182 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/08 11:22
>向日葵のように黄色い服を着た美しい女子大生
これが少々くどいかな
人事「僕」は斬新でいい。けどやっぱ「僕」ってどちらかというと
周りから認められにくい性格で、それを自分なりに説明しようとする
からさらに不思議がられる人というイメージがあるから人事よりは
やっぱり学生側のほうがしっくりくるなあ
183 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/08 11:28
184 :
180 では、学生側で。:04/04/08 14:54
もうすぐ桜の季節も終わりを告げようとしている中、同級生たちは次々と内定を手にして、
学生でも社会人でもない立場を楽しむ生活に浸っていっていた。
そんななか、僕とみどりは、あいかわらず現実的な就職活動とは縁遠い生活を続けていた。
結局のところ、僕にできることは、スパゲティを上手にアルデンテにしあげることだけで、
彼女にできることは、それをきれいにたいらげてしまうことだけなのかもしれない。
その電話が鳴ったのは、僕たちが昼ごはんに、白ワインとガーリックを多めに使った
ボンゴレビアンコを4人前と、パルメザンチーズをたっぷりふりかけたシーザーサラダと、
帝国ホテルのオニオンスープにクルトンを浮かべたものを二人できれいにたいらげた
(彼女が三人前食べた)直後のことだった。
「もしもし」
電話の男は神経質そうな声で、自分は所謂大手企業の人事の者で、先日の面接の件で
みどりに用件があると言った。
「はい。わかりました。ありがとうございます。
ええ。明後日の14時にS駅の側のN生命ビルですね。はい。、、、はい。
、、、ええ。、、、はい。わかりました。よろしくお願いします。ありがとうございます。
、、、はい、失礼いたします。」
静かに受話器を置いた後、みどりは少し照れくさそうに、それでいて、いかにも、これは別
にたいしたことじゃないのよ、別にただの世間話なのというように僕に(あるいは、彼女自身
にだったのかもしれない)言った。
「こないだ、1年生のときにゼミが一緒だった子に誘われて、説明会にいったの。そこで、
なんだかよくわからない試験を受けて、ユビキタス時代におけるコミュニケーションの
本質とは、とかいう意図も目的も不明確な文章を読まされて、それに関して6人で議論
したりしたのよ。
ほんと、軽い気持ちでいったんだけど、なんだか、今の電話は、内々定とかいうことの
連絡だったみたいで。それで、別にあなたに内緒にしてたとか、そういうわけじゃないの。
ただ、本当に軽い気持ちだったから、こういうことになると思わなくて。」
別に気にしていない。君がやりたいことが見つかったのなら、それはすばらしいことじゃないか、
と僕は正直に感想を述べた。
185 :
180 つづき:04/04/08 14:55
「違うの。やりたいとか、やりたくないとか、そうじゃないの。人は就職するし、それが普通なの。
あなたは、自分は世間と隔絶されて生きたいように生きていける人なのかもしれない。でも、
私は違うの。普通の人間なの。だから、就職するしかないの。わかってくれないかもしれないけど」
わかっている、と言ってあげたかったのだが、そう伝えたところで彼女が笑ってくれるとも
思えなかったので、僕は黙っていた。
みどりは、少し悲しそうに笑ってから、食器とパスタ鍋とフォークを洗い、二つのグラスに氷を
入れると、残っていた白ワインをそこに注いだ。僕とみどりが、何も言わずにグラスをあわせると、
グラスの中の氷は乾いた音をたてた。そして、僕たちは、どちらからともなく抱き合ってキスをした。
結局のところ、みどりは学生でも社会人でもない存在になることで、
世間とうまく付き合っていくことを選んだわけだ。それを責める事は僕にはできない。
そして、僕はパスタを1人前ずつ茹でることの難しさをかみ締める生活に戻った。
時折、リクルートスーツを着て街を歩くみどりの姿を想像して、胸の真ん中に
空洞が空いたように感じる時がある。目を閉じると、その空洞が、だんだん大きくなって、
僕を呑み込んでいくのが見える。
その空洞から逃れるためには、薄くなった就職ジャーナルを書店で手に取り、下げたくも
無い頭をぺこぺこ下げる生活に、進むしかないのはわかっている。みどりや、他の多くの
同級生たち同じように。たとえそれが、別の空洞に飲み込まれることなのだとしても。
186 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/08 16:07
187 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/08 19:15
>>184-185 いいよ〜。こんなにすぐに学生側で帰ってくるとは思わなんだ。
なかなかやりますな。個人的には薄くなった就職ジャーナル
あたりが好きかな
188 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/09 02:42
すごいな。
文筆業の方ですか?
話の構成も言葉の使い方も春樹的ですね。
正直私のレベルだと、納屋を焼くあたりの短編集のひとつに載っていても
気がつかないと思う。
やはり才能というのは、不均一に分布しているようですね。
メシの表現に人一倍気を使うあたりプロだな。
190 :
180 素人です。:04/04/09 14:46
脱字及び、言い回しの重複、漢字の使用の不一致が、
読み返すと結構ありますね。反省。
今週の標語「『書き込む』ボタン、押す前に再確認」
今回は、GD前の控え室です。「僕」は、184-185とは別人です。
***************************************************
自分は東大の院生で、親父は財務省の事務次官なんだと、耳障りな声で囁いてきたのが
ヒラタだった。
僕は、初めてのグループディスカッションに臨むにあたり緊張していたし、(僕だって
緊張ぐらいする)そもそも、広告代理店を受けているのに、広告といえばテレビから流
れてる公害だという程度の認識しかなかったので、とてもドギマギしていた。だから、
ヒラタが最初、僕に話しかけているということが理解できず、驚いたようにヒラタを見
つめるのが精一杯だった。
その僕の反応をみて、ヒラタは、至極当然というように頷きながらこう続けた。
「いや。確かに、みんな驚くんだよ。どうせコネなんじゃないのかなって。でも、実際の
ところ、東大にコネで入れる奴はいないよ。天下の国立大学なんだよ。でも、企業は違
う。コネクションを最大に利用して、内定を勝ち取るべきだと俺は思うんだ。コネも能
力のうちなんだよ。そうだろ。」
良くわからない。と僕は答えた。
「ふぅん。そうか。」
ヒラタは、まったく別の星の生物をみるみたいに、僕のことをながめると、リクルートス
ーツの内ポケットから扇子を取り出し、パタパタとあおいだ。木蓮の香り(だと思う)が
した。しばらくして、ヒラタは扇子をたたみ、また内ポケットにしまいながら、再び僕に
囁きかけてきた。
191 :
180 190の続きです。:04/04/09 14:49
「君が読んでいるのは、日本の小説かい。」
小泉八雲の怪談を、日本の小説と呼ぶべきかどうかについては、議論の分かれるところかも
しれないが、僕は曖昧に頷いた。
「へぇ。」
興味なさそうにヒラタは言い、こう続けた。
「で、正直に言ってくれよ。君も何らかのコネを持ってるんだろ。でなきゃ、D通のGDに残
ってるはずが無いもんな。これまで、3度もの選考をくぐり抜けてきたんだろ。失礼だけ
ど、君はそんなに見栄えがするわけじゃないし、ネクタイも曲がってる。いったいどんな
コネなんだい。」
いったいなんだって、この男は僕に話しかけてきたんだろう。確かに、僕はヒラタの左隣に
座ってはいるが、それは、受付の綺麗なお姉さんにこちらでお待ちください、と言われたか
らであって、僕が望んだわけじゃない。見栄えに関しては言い返す気もしないが、ネクタイ
はトイレで締め直せばすむことだ。
「財務省クン」
と僕は言った。
「僕の先輩が一人この会社で働いていて、面白い会社だから受けてみろと電話をくれたんです。
別に彼も人事だとかリクルーターだとかそういうわけではないし、結局のところ、僕には、
少なくともこの会社に関しては、コネクションと呼べるものは一切無いと言わざるを得ない。
これ以上、コネについて僕に話しかけるのなら、グループディスカッションの間、君の事を
財務省クンと呼ばせてもらうよ。」
僕の左隣の女の子が、小さく笑った。ヒラタは、神経質そうにメガネを押し上げると、まった
く理解しかねるよ、と呟きながら扇子を取り出し、それっきり僕の方は向かなかった。
192 :
180 191の続きです。:04/04/09 14:50
まったく。財務省の高官の息子なら、D通なんて受けずに、国Iを受験するべきであり、僕と小
泉八雲の親密なひと時や、広告はテレビCMだけじゃなくて看板だとか雑誌だとかインターネッ
トだとか多種多様なんだと考える時間や、左隣の女の子と仲良くなる時間なんかを邪魔するべ
きではない。
「木蓮が嫌いになりそうだ。」
首を振りながら、僕は呟いた。左隣の女の子が、また小さく笑い、そしてこう言った。
「こんにちは。安心して、私は平凡な女子大生よ。学習院大なの。あなたは?」
やれやれ。学習院が平凡なら、この世界は狂っている。D通なんて受けずに、家でERのDVDでも
見ながら、アールグレイミルクティでものんでいるべきだったのだ。
非凡な財務省高官の息子と、平凡な学習院のお嬢様と、その他大勢(ひょっとすると、僕以外
のメンバーは皆、平凡な銀行頭取の息子や、一般的な商社海外子会社社長の娘なのかもしれな
いが)による不毛なグループディスカッションで、一体僕は何を話せば良いのだろう。僕は就
職活動を開始してから、初めて後悔した。
193 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/10 01:57
すまない、平凡な女子大生よ。学習院大なの。
のあとに、学習院が平凡なら、この世界は狂っている。
がくるのがわからない。
学習院大学は平凡ではないのですか??
194 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/10 02:05
>>193 2ちゃんに毒されすぎでは?
聞いたことの無い大学に通っている香具師や、そもそも大学に通っていない香具師なんて、街に行けば腐るほどいるぞ。
195 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/10 12:58
オーケー、僕がageよう
196 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/10 14:31
>>194 学歴のことではないと思われ。
財務高官の子→お坊ちゃま
学習院→お嬢様
ってこと。一般にお嬢様ばかりのイメージのお嬢様が自らを平凡と
呼ぶが、「僕」からしたら財務高官の息子も学習院の学生も同じように
非平凡な上流階級の人ってことでは?
197 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/11 00:21
>>193 >>196 の書いている通りです。
学習院=お嬢様(ハイソな人達)って「イメージ」が
一般的なのかと思っていた。一般的でないなら、、、
対策1:192の「木蓮が嫌いになりそうだ。」以下を
無かったことにしてください。
対策2:あなたが関西の人間なら、「学習院」を「芦屋女子」
と読みかえてください。(w
197=180 です。名前を書き忘れた。ダブルですまそ。
> 非凡な財務省高官の息子と、平凡な学習院のお嬢様と、その他大勢・・・
の部分で補足説明になってるよん。
200 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/13 22:06
オーケー、認めよう。
確かに僕は内定0の社会的に見れば無価値な存在かもしれない。
やれやれ。
202 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/13 23:21
「やれやれ、またエントリーシートか、という顔をしてるわ」と彼女は言った。
「そうかい?」と僕は言った。
「そういうのって、わかるのよ。私にも、そして人事にもね」
「そうかもしれない」
実際のところ、僕はたしかにエントリーシートに飽きていた。志望動機、自己PR、学生時代に打ち込んだこと…。こんなものを何百枚と書いたところで、僕という人間は決して伝わりはしないのだ。
「企業はあなた自身には興味がないの。あなたが企業に興味がないのと同じようにね。あなたは企業に待遇の良さを求める、企業はあなたに業務上のメリットを求める。平行線よ」
平行線、と言いながら彼女は手のひらを水平に動かした。
「毒にも薬にもならないような自己PRなんて、マクドナルドのコーヒーみたいなものよ」
「おそらく、君の言っていることの方が正しいんだろうな」
僕は溜息をついて、マクドナルドのコーヒー的自己PRを書き始めた。書くべき内容はすでに完璧に頭の中に入っている。逆立ちで象に乗りながらだって書けるくらいだ。
不思議なことに、何十枚とエントリーシートを書いていると僕という人間が結局はこのA4の紙一枚にしかすぎないのではないかと思えてくる。
志望動機、自己PR、学生時代に打ち込んだこと…。僕という人間はそれらのありきたりな質問の中に埋没し、そしてありきたりなエントリーシートができあがる。やれやれ、これじゃマクドナルドのレシートの方がまだましだ。
>>202 かなり上手いと思う。ていうかいままで見たなかで最良。
age
204 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/14 01:05
「毒にも薬にもならないような自己PRなんて、マクドナルドのコーヒーみたいなものよ」
良い!
206 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/14 07:23
ちょっと面白い
207 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/14 17:48
場面がシンプルで良い!けど贅沢を言えば、
「僕は溜息をついて、マクドナルドのコーヒー的自己PRを書き始めた。」
の後に「ジャンク・フード。」があっても良いかな?とオモタ
208 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/15 00:07
面接官はなぜか僕にまったく質問をしてこない。
僕の横に座っている一橋の学生にニコニコしながら聞くだけだ。
学生時代にアジアへ一人旅をした話のどこが面白いのか、僕には分からない。
あるいは分かりたくないのかもしれない。
一橋はまるでどんぐりみたいな顔をしている。
僕はこの一橋生に対して微かに苛立っていた。
そしてそれは微かではあるが確実に。
「意志と意義のある大学生活をしてきたので私(わたくし)の顔つきは
この3年間でがらりと変わってきたのです。」と一橋生は自信たっぷりに面接官に言った。
その瞬間僕の中で何かが変わった。一橋生の言葉は僕を変えた。
まるでオセロが白から黒へと変わるように。
「君を壊したい」と僕は言った。
「圧倒的な意志と意義を持って強固に抹殺したい。」と僕は言った。
すると横に座っていた一橋生は初めて僕の顔を見た。初めて僕を見た。
「やれやれ」とどんぐりに似た男は言った。
209 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/15 00:12
面接会場にはどんづまりの空気が流れていた。
他にいた日本大学と青山学院大学の学生は顔をひきつらせている。
しかし彼らの瞳の奥にあるアクシデントを楽しみたいという期待感を
僕は見逃さなかった。
「君はなにか勘違いをしているようだね」とどんぐりに似た男は言った。
「私と君との間には溝がある。しかもとても深い溝だ。例えるなら
男と女の関係くらい底が知れないと言ってもいい」とどんぐりに似た男は言った。
「まぁ、落ち着きなさい」と丸めがねをかけた面接官は言った。
少しだけうんざりした顔で僕を見ている。
ここには何かがあるように見えて、実は何もないことに僕は気づいてしまった。
僕はここから出ることにする。
幸の薄そうな明大生とまゆ毛の太い青学生がこっちを見ている。
凝視している。アクシデントをもっと起こせと言われてるような気さえしてくる。
舌打ちをして僕は席を立った。 出口まで最短距離で行く。
「よう。逃げるのかい?」とどんぐりに似た男は言った。
「お前こそ勘違いしてるんじゃないのか。 逃げるんじゃなくて、気づいたから出て行く。
あんたの言う意志と意義でね」と振り返らずに僕は言う。
ドアを開けて、そして閉める。
あきれ顔の面接官を簡単に想像することができた。 おわり
おもちろいけど春樹ぽくない
212 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/15 21:18
時期的にそろそろ、内定通知の瞬間を読みたいな。
それも、キー局か新聞社あたりの大穴。
ちょっと考えてみたものの、ネタが出てこなかた。
213 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/16 20:53
夕方の6時34分に携帯電話が鳴った時、僕は夕食のスパゲティーを茹でていた。
「はい」
相手は僕の名前を確認し、自分は朝日新聞の人事の者だと名乗った。
「わかりました。それで、朝日新聞が僕になんの用なんですか?」
「おいおい、ずいぶんじゃないか。君は採用試験を受けた、私はその結果を連絡するために電話をかけた。わかるだろう」
「そうですね」と僕は言った。
新聞を取っていない、記事にもならない僕のような平凡な学生に朝日新聞が電話をかけてくる用事なんて、たしかに一つしかない。
「それで、僕はどうなったんでしょう?」
鍋をかき回し、スパゲティーの茹で具合を確かめながら僕は言った。最適な茹で上がりまであと2分といったところか。
人事は早速だが、と前置きしてから言った。
「早速だが、君は採用となった。おめでとう」
「ありがとうございます」
「あまり嬉しそうじゃないね?」
「そんなことはありません。申し訳ないですけれど、用件がそれだけなら電話を切ってもいいですか? 今ちょっと手が離せないんです」
人事はたっぷり10秒ほど沈黙した。おそらく、僕の手が離せないという事情について考えていたのだろう。
「今君が何をしているのか聞いてもいいかな?」
「スパゲティーを茹でているんです。多分、あと1分足らずで茹で上がるでしょう。
あなたにもわかると思いますが、スパゲティーというのは茹で加減が命なんです。
ペペロンチーノにするつもりなら、アルデンテより少し前に引き上げなきゃいけない」
「スパゲティーだって? そんなのどうだっていいじゃないか。この電話は君の一生を左右するかもしれないんだぞ」
人事はもう一度スパゲティーだって?と呟いた。何事も二回繰り返すのがこの人事の癖なのだ。
「ええ。にんにくは弱火でじっくりと炒めて、唐辛子は焦げる前に取り出す。苦味が出ますからね。
正統派のペペロンチーノならあとは麺を入れて塩コショウを振るだけですが、僕はここにベーコンを入れます。
そうすると味に深みが出る。ベーコンは薄すぎても厚すぎてもいけない」
「わかった、わかったよ。とにかく、君は内定だ。それにしても、何だか腹が減ってきたな」
「まともな人間なら夕食の時間ですからね」
人事は電話の向こうでまともな人間、と言った。
「君のおかげで、今夜の夕食に悩まなくてすむよ。とにかく、おめでとう」
「ありがとうございます」と僕は言った。
僕は電話を切ると、スパゲティーをフライパンへ移し、軽く炒めて皿に盛った。
ハイネケン・ビールとスパゲティー・ペペロンチーノの夕食を食べ終え、食器を片づける。スパゲティーは少々茹ですぎだったが、まだ許容範囲内だ。
内定だって?
>213-214
こんなところで才能無駄使いせんでも
まさに職人だな
音楽ネタとかはさんだらさらにいいかも
うーん このすれ面白いな
落ちないように誰か一日一回はあげてね
218 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/17 22:53
オーケー、僕がageよう。
219 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/17 22:56
オーケー、僕がageよう。
220 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/18 00:26
一週間で一度だけ学校に行く水曜日は、いつも決まって青空だった。
洗濯の出来ない日に晴天であるということは、ESを出した後に
もっと良いフレーズを思いつくのと同じくらい無意味なことであった。
僕にとって多少なりとも大事である事柄について、いつも僕の手を
離れてからでしか幸運は舞い降りてこないのだ。
「わかるわ。私もいつも、カップ焼きそばのソースを最初に入れてしまうの。
お湯を捨ててからつかうべきなのに、最初に入れてしまうからお湯と
一緒に流れ出てしまうの。ソースの袋には『お湯を捨ててからかけて下さい』
と大きく書くべきじゃないかしら?アメリカだと、1億はとれるわね」
いつか、僕が思うところについて述べたとき、彼女はそう返事をした。
君の考えていることと僕の言いたいことは違うと思う、と僕は穏やかに
抗議をした。
「そうかもしれないわね。でも、そんなものよ。たかだか20分の
面接で、面接官はあなたのことを分かるの。そして不合格とサインするの。
あなたは魅力的な人なのに、面接官は違うことを『分かって』しまうの。
そうじゃない?」と彼女は言った。
僕はなんと答えていいかわからず、ただもそもそと口を動かした。
221 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/18 01:48
>>220 状況がよくつかめないな。
適当に推敲せずにいきおいだけで書いてしまった感じ?
>>220 うおおおこれいい!!!!
ミドリっぽい!
夕飯のオカズを買うため星くず商店街に来ていた。
人口3万人の小さな商店街に似合わないロマンチックなネーミングだ。
季節はいつのまにか初夏になっていた。 午後から入道雲が積乱雲に
変わり、空はどんよりとしている。 今にも雨が降りそうだ。 Tシャツが汗でじっとりと濡れている。
星くず商店街に来るときはたいてい駒田精肉店にも寄っていく。
一つ100円のメンチカツがとても美味しい。
松坂牛なんて使わなくてもこんなに美味しく作れるなんてちょっと感心する。
「メンチ、ふたつ。」とピースサインで僕は言う。
「いつも、どうもね。」と笑わずに駒田店主は言う
客商売なのに無愛想すぎるこの店主が、僕は嫌いではない。
駒田精肉店を出て、歩き始める。
20mほど先を行くと角っこにタバコ屋さんがある
そのタバコ屋の自販機の下に猫が一匹座っている。
まだらな模様の入ったどこにでもいるノラ猫だ。
雨がポツポツ降ってきた。 僕は気にしない。
タバコ屋の前まで来て、ケータイが鳴った。
正確に言うとジーンズの後ろポケットで振動していた。
非通知なので迷わずに出る。
ネコがこっちを見ている。
「はい、もしもし。」
「あ、えーと○×商事の採用担当の村岡です。こんにちわ。」
「あ、こんにちわ。坂です。」 声を聞いた瞬間、僕は一次面接のときからいた頭の薄いメガネの人を思い浮かべていた。
「えーとね、先日やった最終面接の結果、ウチは坂君に内定を出すことにしました。」
「え?本当ですか!?」 と僕は言った。
「うん、今年は君ひとり内定だよ。」
「そうですか!嬉しいです!。」嬉しさが伝わるように僕は言う。
「君も知ってのとおり、ウチは社員40人の小さな会社だ。最終面接を受けた5人の中で坂君の人柄が良かったと
社長の水口が言っていたよ。 あ、もちろん私もね。」 とってつけたようなフォローを入れてくる
「ありがとうございます」
「うん。でもまだ就活してるだろうし、いきなり返事をくれとは言わないよ。 2週間ほどしたら連絡くれないか?」
「はい、分かりました。失礼します。」と僕は言った。
村岡さんが先に切るのを待って終話ボタンを押す。
ケータイが雨で濡れている。
ネコがまだこっちを見ている。
自販機の下でまだらなネコが僕を見ている。
そのとき、僕はふと思った。
この僕はこのネコと一緒なんじゃないだろうか。
誰も聞いたことのない企業から内定をもらい、心の中でガッツポーズをする僕と、
普段誰にも相手にされず、たまに近所のオバチャンから余りものの煮魚をもらい喜ぶネコは似ていると思う。
これから先、僕は40年働く。たぶん。 その後20年の老後生活を送る。
そして、死ぬ。 死んだあと僕はこんなネコみたいに
生まれ変わる気がする。
「僕はネコだ。」声にだして言ってみる。
「僕はネコだ!」もう少し強く言ってみる。
するとまだらなネコはめんどくさそうに、僕から離れていこうとする。
お前なんかと一緒にするな、冗談じゃないと言わんばかりのタイミングである。
いつのまにか、ザーザー降りになっている。
傘を持っていないので、濡れながら帰ることにする。
1K、月6万2000円でモルタル製の3階建てアパートへ帰る。
遠くを歩く、まだらネコも濡れていた。 おわり
ここにいる奴らは俺が知っている中で一番まともだよ。
228 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/20 19:07
空気には終わりかけた春の匂いが混じり、遠くの音がいやにきれいに聞こえた。
「君に必要なのはおそらく自己分析と企業研究なんだ。ぼくはそう思う」
「自己分析と企業研究」と、すみれは言って、不採用通知を見つめた。
「時間はこうしてどんどん過ぎ去っていく。自己分析?自己分析の話なんかしないで。自慢じゃ
ないけどわたしは学生生活で大した事なんてしてないのよ。こうして就活を始めてしまったのに
今更自己分析を重ねて方向を変えることができるっての?
こんな風に不採用の通知を重ねる以外に無いじゃない」
「君が経験から得た事については、なんとも言えない」とぼくは言った。
「それはどこかの隅っこに隠れているだけかもしれない。遠くに旅に出て、帰ってくるのを
忘れているのかもしれない。でも自己分析から自分を発見するという事はあくまでそういうものだよ。
それはなにもないところから突然発見できるようなものではない。過去の積み重ねなんだ」
彼女は不採用通知からぼくの顔に視線を戻した。
「わたしの過去からでも見つけられるの?」
彼女はしばらくの間自身の学生生活を思い返しているようだった。
「ところでわたしの過去から、あなたが見つけられる強みってある?」
「ない」とぼくは言った。
口先だけで(本当にそう思っていたとしても)なかなかそう上手くいくことが無いという事も
ある意味で就職活動の真実なのだ。
229 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/20 20:18
「村上春樹的就職活動」僕は声に出して読み上げてみた。
その声で初めて僕を認識したというように彼女は一瞬振り返ったが、
すぐにまた指を動かし始めた。彼女は、なにやら小説を書いているようだ。
「ねぇ、君、ここは就職課で、そのパソコンは企業の情報を調べるための
ものなんだ。それは知っているかい?」僕は80℃のお湯で沸かしたコーヒーを
飲むときと同じくらいのスピードで彼女に問いかけた。
「文化的雪かき」
「え?」
「これは、文化的雪かきと言うのよ」彼女は繰り返した。問いへの答えらしい。
「私も、こんなものを書いている暇があるならESでも書いて持ち駒を
増やした方がいいのは分かっているの。太陽は東から昇るっていうのと
同じくらい当然の真実として。最初はそんなに焦っていなかったけど、
周りで内定出た人が増え始めて、私みたいに内定なしがマイノリティに
なるとものすごーく焦りだしたの。でも、そういうエネルギーは、就職には
向かないの。部屋の片づけをしたり、徹夜して眉毛を整えたり、そういう
方向に向かってしまうのよ。もし今が冬なら半径1キロくらい雪かきを
したんでしょうけど、25度も気温があるから文化的雪かきで我慢してるの」
「文化的雪かき」僕はその言葉を繰り返し、その場を後にした。
230 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/20 20:28
>>229 春の熊のようにかわいいな。
「エントリーシートを書くことだって、文化的雪かきのようなものだと僕は思った」
って一文を最後に入れたい。
231 :
就職戦線異状名無ぬるぽ:04/04/21 09:53
「良い会社なんだけど、そういうところ偏狭なの」と緑は言った。
「たとえば私が白以外のシャツをつけると落としたりね。
偏狭だと思わない、そういうの?」
「うーん、でもそういうのは好みの問題だから」と僕は言った。
僕としてはそういう会社が緑を最終面接によんだこと自体が驚きだったが、
それは口に出さないことにした。
「あなたの方は何してたの?」
「何もないよ。ずっと同じだよ」それから僕は約束どおり学歴詐称して
ァィヮィバンクにエントリーしてみたことを思いだした。
僕はまわりに聞こえないように小声で緑にそのことを話した。
緑は顔を輝かせて指をぱちんと鳴らした。「どうだった?上手く行った?」
「途中でなんだか恥ずかしくなって説明会に行くのはやめちゃったよ」
「ひよっちゃったの?」
「まあね」
「駄目ねえ」と緑は横目で僕を見ながら言った。
「ひよったりしちゃ駄目よ。すごくひどい仕打ちしていいから。
ね、どうせ学歴フィルターかけてるんだからいいんじゃない。
そうだ、今度2chで晒してあげるわよ。【とにかく】ァィヮィバンク【エントリー】、
【学歴フィルター】ァィヮィバンク【早計?マーチ?】、とかそういうの。それで1000を目指すの」
232 :
酔っ払いの会社員:04/04/22 02:26
「なるほど、
『A4のエントリーシートなんかで自分をわかるわけがない。』
というのは、僕でもわかる。」
と向かいに座ったOBは蝋人形のように無表情に言った。
「だから、僕は就職活動なんかに興味をもてないんです。」
と力を振り絞ってつぶやいた。
やれやれという顔でOBは話しだした
「A4のエントリーシートがもし、1枚じゃなくて100枚だったら君が伝わるわるのか?
どれだけ時間をかけてもいいといったら、僕の会社の偉そうな連中に君は伝わるのか?
残念だけど答えはノーだ。愛し合って結婚した二人だって一生わかりあえないままで死んでいくんだ。
自分の伴侶がどうしてペペロンチーノを嫌いかってことすら理解できずにね」
普段文章なんて書いたこともないが、参加してみる。
やっぱりいきなりうまくはいかないね。
そして内定まだでないのに内定の話を書いてみるオレ orz
*******************************************************************************
内定?内定だって、この僕が。
僕は携帯電話をポケットにしまい「な・い・て・い」とつぶやいてみたが
それは自分の声のようではなく、一層非現実感をつのらせるだけだった。
太陽が西から昇ったってこんな非現実的な感じはしないだろう。
確かに僕は就活をしていた。
成績だって悪くないし自分で言うのもなんだが品行方正な青年だ。
内定の一つや二つ取ってもおかしくないだろう。
でも僕は自分が働くということが何だか信じられなかった。
やれやれ。こんなにも訳の分からない気持ちになるならなんで就活なんてしたのだろう。
それからしばらくの間、僕はハイネケンを空けながら就職するということについてじっくり考えてみた。
いくら考えても実感がわかないので諦めて寝ることにし、部屋の明かりを消す。
ベッドに入ってもう一度「な・い・て・い」とつぶやいてみると、
それはさっきよりも幾分親密な響きを持っていた。
内定のない就職活動は、アンチョビのないマルゲリータみたいなものだ。
235 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/22 15:24
>>233 それはまた、なんと言っていいか…w
いい感じに願望がにじみ出てて味があるよw
236 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/22 23:13
一次面接を通ったからといって、二次面接を通るとは限らない。それが就活だ。
倍率は下がる。面接を受ける人数は減り、面接官の人数は逆に増えていく。
しかしだからといって僕の自己PRが中身のないものだということに変わりはない。
リーダーシップ、協調性、独創性、そして個性。そのような相反する素質をもつ学生とは何だろう?
僕にはわからない。僕には、それがほとんど神経障害をきたしたもののように思えるのだけれど、人事はそれを求めている。
上手に嘘をつける人間と、だまされたふりをする人間。
結局はその2種類の人間達によって、社会は運営されていくのだ。
どちらにもなれないのなら、斜に構えて悟ったような顔をするか、ドロップアウトするしかない。
2004年4月、僕はそんな風にして21歳の春を終えようとしていた。
「考えが甘いのよ」
直子は不機嫌そうにそう言った。
僕はどう答えていいのか分からずに、どこかの木から聴こえてくる
ねじまき鳥の声に耳を澄ました。ギイイイイイイイイイイイ。
内定が出ないと言うことに予感はあった。だが、何社か受ければ通る
んじゃないかと言う油断は確かにあった。つまり僕は就職についてあ
まり深く考えていなかったのかも知れない。
「あなたが働かないと、やっていけないのよ」
喉元に石がつまっているようにうまく声が出なかった。調子がいいピッ
チャーにあった時に叩きのめされる貧弱打線プロ野球チームみたいだ。
「ねえ、リンカーンだって、何度も選挙に落ちたんだぜ」
何とかそう言った。
「それが一体、何だって言うのよ」
「要するにどんな偉人にだって・・・失敗はつきものなんだ。ましてや
僕だよ。もっと失敗するに決まってるじゃないか」
ねじまき鳥は鳴き続けている。さっきより声が大きくなったみたいだ。
ギイイイイイイイイイイイ。
直子はため息を吐く。
「ねえ、あなたってつくづく駄目な男ね」
僕は首を振る。駄目なんかじゃない。ただ、少しだけ、うまくいかない事
が重なっているだけだ。<そう、ただ運が悪いだけなんだ>
ねじまき鳥はねじを巻き続けている。やがて長い時間が経過する。そこに
あいかわらず直子はいる。内定は今だないのかも知れない。ここを追い出
されて樹海の彷徨う日も近いのかも知れない。しかし、確かに、僕は、隣
で眠っている直子の寝息を感じているのだ。それでかまわないじゃないか
。
どんなことがあっても就職に負けてはいけない。
羊男はどこに行ってしまったのか。辺りは真っ暗で何も見えない。
僕はただ先が見えない闇の中を歩き続けている。やがて憂鬱にな
ってくる。手首が痙攣し、このままでいいのだろうかと言う気が
してくる。
微風が頬をよぎった。
ふう、やれやれゴールは近いのだろうか。明かりが見える。内定と
言う名の明かりがようやく。
光に導かれ、僕は温かな空気に包まれる。
「カフカ君、ようやく、内定が取れたようだね」
そこには羊男がいた。彼はにやりと笑い、僕の肩に手を置く。わず
かにストロベリーの香りがする。
「君はもう悩む必要なんてないんだよ」
「良かった」
「ただし、ブラック企業だけどね」
「え??」
やがてドアが目の前に立ちはだかる。そこを開けると、さらに長い
闇が続いていくのが見える。
「嫌だ。入りたくない」
「入らずにはいられないんだよ。なぜなら後ろは樹海なのだから」
OFF・・・・・・・・・・・・・・・やれやれ、もうどうすること
もできないんだな・・・・・・・・・・・・・・ON・・・いやブラ
ックでだって、うまくやれるはずさ・・・・・・・・・・・・・・
OFF・・・なぐさめにもならないね・・・・・・・・・・・・・・
僕はドアの前に立ち止まる。他に道がないかと模索する。
僕は就職先に電話をかけ、どうしても御社に入りたいんです。アピ
ールすることならいくらでもあります、取ってください、お願いし
ます、何だってします、と言った。
就職先は長い間電話の向こうで黙っていた。まるで昨日買ったばか
りのカツラが酸性雨に溶けてしまって、どうしようもなくなってし
まったみたいな。そんな、困っているような沈黙が続いた。僕はそ
の間、他の就職先をリクナビで探していた。
それからやがて就職先が口を開いた。「君、今どこにいるの?」と
就職先は静かな声で言った。
僕はどこにいるのだ?
僕は携帯を持ったままクリックし、リクナビから2ちゃんねるにジ
ャンプしてみた。
・・・・・・・・・
僕はどこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕には分からなかった
。見当もつかなかった。いったいここはどこなんだ?僕の目に映る
のはいずこへともなく荒らしすぎていく無数の書き込みだけだった
。僕はどこでもない場所のまん中から内定を呼び続けていた。
オドルンダ、オドッテオドッテオドリマクルシカナイ
思考がこだまする。羊男はさらに僕に問いかける。
「君はFランクなんだろう?とにかく踊るしかないじゃないか。
高校時代に戻ろうったって無理な話さ。君は社会の音楽に合わせ
て踊るしかないんだよ」
「ここはどこなんだ?」
「ここは現実だよ。目を離したい気持ちも分かるけれど、内定を
もらえないのはFランクも関係してると思うよ」
「僕はただエレベーターに入って、面接室に行こうとしてただけ
なのに」
「何を言ってるんだ?君には受ける資格なんてなかったんだよ」
「そんな・・・」
羊男は笑う。
「はは。冗談だよ。学歴なんて関係ない、きっとね。できる奴は
できるものさ。さあドアは開かれた。面接に行ってきなよ、思う
存分、君オリジナルのダンスを披露してくるんだ」
「ありがとう、鼠」
「その言葉を口にしちゃいけない。それはもう失われてしまった
ものだから。ジェイによろしくな。もう一緒に酒は飲めないけど
、内定がもらえるまで頑張ってな」
「ああ・・」
エレベーターは開いた。その先に面接官がいる。僕は後ろを振り返
る。そこには何の変哲もないエレベーターがあるだけだ。
さあ踊ろう。いくら落ちても、オドルンダ、自分のステップで。
241 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/25 23:59
みんな上手いあげ
242 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/26 00:12
>>240 オンドゥルルラギッタンディスカー
かとおもた
243 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/28 00:51
オーケー、僕がageよう
244 :
就職戦線異状名無しさん:04/04/30 02:59
オーケー、僕がageよう
245 :
就職戦線異状名無しさん:04/05/01 12:07
age
246 :
就職戦線異状名無しさん:04/05/01 12:52
「自己分析をすればするほど、その行為を通して浮き彫りになる
“自分”と言う存在の希薄さに、真夏の炎天下の中着ぐるみの中に入って
小学生の相手をするくらいにめまいを感じるの。こんな気持ち分かる?」
「それは、程度の差こそあれ誰もが感じることだよ」僕は即座に答えた。
「そんな簡単に言わないで。あなたは、それでも何かしら誇れることが
あって、内定をもらって優雅なゴールデンウィークを過ごすわけでしょう?
“誰もが感じる”だなんて、なんの慰めにもならないわ」
彼女は、普段からは考えられないほどに険しい顔をしている。
もしかすると、最初からただ僕とケンカをしたいだけなのかもしれない。
「僕が人に誇れることがあるとしたら、スパゲティの茹で時間に最新の
注意を払い、ミートソースも挽肉から自分で作り、それでも50円で
立派な昼飯を食べることが出来るということくらいだよ。でも、それは
店で食べたら立派な値段をとられるだろうから、僕はスパゲティを
食べるたびに数百円は得をしている。僕はいままでにそうした食事を
129回はしてきたし、家庭を持ってみんなの分も作ると今後1000食は
作るかもしれない。百万近い利益を生み出すことが出来る」
「それを、人事の前でアピールしたわけじゃないでしょう?」
「いや、これについて話したよ。ロスを省く姿勢と、茹で時間に妥協しない
忍耐力が評価されたんだと思う。別にイラクに行って人質にならなくても、
介護施設に行っておじいちゃんのおしめを替えてあげなくても、
20数年の人生で何かしらのことはやってるはずだよ」
彼女は、小さくイラクとつぶやいた。僕はその輝きだした瞳を見て余計な
ことを口走ったと気づき、明日のイラク行の便に空席がないことを祈った。
247 :
就職戦線異状名無しさん:04/05/01 16:23
248 :
就職戦線異状名無しさん:04/05/02 19:10
リクと会った翌日から僕は早速エントリーシートを作る作業にとりかかった。
自己PR欄は広すぎもせず狭すぎもしなかった。つまり僕の想像力や認識能力を
凌駕するほど広すぎはせず、かといって全貌を把握できるほど狭くはないということだ。
おちないからやーめた。
>>248 ただageるんじゃなく、何か書こうとするその心意気や良し!
250 :
就職戦線異状名無しさん:04/05/03 22:38
「あなたは何しているの?」
「営業をしてる。地方でね。」
「出張中なのね。」
「そう。」
「仕事は楽しい?」
「うん。営業は好きなんだ。」
「私も好きよ。」
僕は手元にあったESに目を通し、営業志望の彼女を一般職に向かわせる術を考えた。
「ねえ・・・・・・、うちの会社の平均的な地方営業は先月に200時間の残業をした。」
「そう?」
「そして希望に満ち溢れた新入社員も営業は、本社も含めてこの1ヶ月で1割が離職してしまった。
それでも営業が好き?」
彼女はリクルートスーツの襟を直し、コーヒーを一口飲んでから感心したようにしばらく僕の顔を眺めた。
「あなたって正直すぎるわよね。営業ってそんなに大変なものなの?」
251 :
就職戦線異状名無しさん:04/05/03 22:40
最近春樹何もしてないみたいだな。
カフカの文庫本いつでるんだ。
ageage
253 :
就職戦線異状名無しさん:
>>251 この前に「世界のすべての七月」っていう翻訳本が出たよ。
ティム・オブライエンのやつ。