・「アニソン」がいま世界で注目されている。アニソン歌手のユニット「JAM Project」は、昨年
海外10都市で公演し、各地で数千人が詰めかけた。今月には東京・日本武道館に満員の約8千人を集めた。
12日の武道館。聴衆の男女比は7対3で、20、30代が中心だった。服装は黒いTシャツにジーンズなどで
雰囲気はハードロックのコンサートと変わらない。開演から総立ちで跳びはね、「もっと、もっと!」と
声を合わせる。
力強い声で聴衆を熱狂させるのは、リーダーの影山ヒロノブさん(48)ら6人。
JAMは「ジャパン・アニメーションソング・メーカーズ」の略だ。「電撃戦隊チェンジマン」や「ドラゴンボールZ」
「聖闘士星矢」の主題歌を歌ってきた影山さんらを中心に、00年に結成した。
昨年の世界ツアーでは、アジアだけでなくブラジル、米国、メキシコ、フランス、スペインなど各国で熱狂的な
支持を得た。アニメやマンガ、トクサツ(特撮)で日本文化に関心を持った世界の若者にとって、番組で流れる
アニソンこそが「日本の歌」だった。
影山さんは、この日がデビュー32年目で初めての武道館単独公演だった。「武道館なんて想像もしなかった。
感動してます」と率直に語った。
「日本のアニメや特撮は、主人公が苦しんだり悩んだりし、仲間に助けられて、最後に勝利をつかむ。海外の
ファンはそのストーリーに共感しているらしいです」
浮沈に満ちた生き様は、ヒーロー物語と重なる。
ロックバンド「レイジー」でデビュー。解散後はソロ活動に移ったが「鳴かず飛ばずだった」。
85年に打診されたのが「チェンジマン」の主題歌だった。
「自分を必要としてくれたことがうれしくて、無我夢中だった」。それから20年以上、アニソンを歌ってきた。
JAMで仲間が集まった。
舞台から、影山さんはファンに呼びかけた。
「音楽をやめないで、続けてきてよかった。アニソンは世の中の人を元気づけるためにある。そんな気持ちを
忘れないでいてほしい」。大歓声が館内に反響した。(一部略)
http://www.asahi.com/culture/update/0617/TKY200906170060.html