藤田和日郎 うしおととら【其の伍拾壱】

このエントリーをはてなブックマークに追加
859愛蔵版名無しさん
日本のマンガの歴史
http://plaza.bunka.go.jp/museum/archives/bestofbest/200610/

2003年、スウェーデンの美術館で日本マンガ展が催されたが、その展示のタイトルは
「北斎からドラゴンボールまで」というものだった。
私はこの展示の図録に原稿を依頼されたが、次のことを特に注意を喚起するために記した。
日本のマンガ史を語る場合、とりわけ欧米では、その起源を12世紀の鳥羽僧正「鳥獣戯画」や江戸期の葛飾北斎「北斎漫画」に求めがちである。
たしかに「鳥獣戯画」は日本人のユーモア精神をみごとに示しているが、
「北斎漫画」の<漫画>は、現在用いられている漫画(マンガ)とは、意味が異なっていた。
「北斎漫画」には、ユーモラスな絵も含まれてはいるが、これは<よろずの絵>つまり<さまざまな絵のお手本集>という意味であった。
同じ意味あいで、尾形光琳など当時の画家たちが<漫画>という言葉を用いている。
その後<漫画>は、明治期になってユーモラス(漫)な絵を意味する用語として、改めて意図的に使われるようになったことが、
研究家によって確認されている(ただ、現在の日本のマンガは、ユーモラスな内容に限らないので「日本マンガ学会」など、
<マンガ>とカタカナで記されることが多い)。