高橋しんのきみのカケラについて話あうスレ

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290愛蔵版名無しさん
高橋真さんの内なる「権力への怒り」は非常に強いと思う。
時間かけて書いたところでウザがるだけで理解できる香具師が多いとは思えないからわざと説明は省くけど…

その「怒り」は社会の中枢を担う政治家、役人、企業家にも向いているが、名目上の"主権者"の座にあぐらをかく国民(大衆)にもしっかり向いている。
左翼学生のような空しく響くアジテーションはしない。
あくまでエンターテイメントに徹しているはずなのに、隙間から滲みだしてくるものが実に濃く、衝撃的だ。
だんだんその濃度が濃くなってきており、きみカケではついに反権力的な思想をイコロの言葉として吐露させてしまった。
最彼はラブストーリーという刺身のつまに世界の滅亡を持ってきたという点ではずいぶんあざとい話だが、ちせと世界との関係を虚心坦懐に眺めてみると
いきなりぞっとする感覚に襲われた。単にラブストーリーとして、或いはSFとして愉しんでる人を否定はしないし、その方が幸福だと思うが、あとがきを
読んでると、本当はその一歩先を見抜くことを期待してるようにも思える。

ちせやイコロのような立場で働いている人は実は結構います。みんな知らないだけ。

ところで、遡って考えると「いいひと。」で「みんなが幸せになるリストラ」という文言を見た時に、こんな不可能なことを口走るとはバカだなと思ったが、
今になって思うとあれは「みんなが幸せになる」ことを目指すことすら出来ないこの国への痛烈な皮肉だったのかも知れない。 それを解しなかった自分の
ことを今はバカだと思う。
だからドラマでゆーじがああいうキャラにされてしまった時にあのような明らかに過剰な「怒り」を以て、連載を中断した。
彼の積み上げてきた表現全てを思い切り誤解させるキャラは許せなくて当然だろうし、実際に彼は他人(この場合には自分の表現を理解してくれている
ファン)の怒りと悲しみを自分自身の怒りと悲しみとして感じる優しい「いいひと。」なんだろう。
今は高橋真という作家を尊敬し、その作品をもっと読みたいと祈念している。

真に子供のための作品は大人の観賞にも堪えうる

きみカケはそれを地でいく名作だと確信している。