「マンガはこうして生まれた! 北斗の拳(4) 「生きてるだけでいいじゃないか」」
本宮プロから独立したものの、自律神経失調症になるなど「年収一〇〇万円の不遇時代」が約三年続いた後の二十九歳ごろ、
武論尊さんは「いきなり夢の世界に入っちゃった」。
「週刊少年ジャンプ」で前年(昭和五十年)の後半から始まった「ドーベルマン刑事」(作・武論尊、画・平松伸二)が人気沸騰したのだ。
「最初は、たまたま五週間、ページがあいたので、新人の平松クンに書かそうかという話だった」。
平松さんは高校一年のとき、「月例ヤングジャンプ賞」を取った人。
西村繁男・元少年ジャンプ編集長によると、編集部の担当者らが
「進学しないでマンガ家になってもらうよう親の了解を取りにいった」といい、それだけ才能を見込んでいた。
武論尊さんは編集部に五回分の原稿を渡した。
毎回、大量殺人やレイプなどが発生するバイオレンス刑事マンガで、一回目が掲載されると、読者アンケートでトップに。
結局、その後、四年間にわたる長期連載になった。
「六回目以降は考えてないのに締め切りが迫る。編集部とケンカして大変だった」という苦労はあったが、その分、見返りは大きかった。
年収がナント十倍、一〇〇〇万になった。「ジャパニーズドリームですよね」。
有頂天になったし、生活も変わった。
「マンガ家仲間と一緒に、(都内の自宅そばの)駅前からタクシーで『熱海まで行ってくれ』。
着いたら、芸者さんを呼んで、酒飲んで、待たしていたタクシーで帰ってくる。途中の峠で、車を止めて、飲み過ぎてゲロ、はいたりしました。
3回ぐらいはやったかな」
だが、いつまでもいい時期は続かない。
「ドーベルマン刑事」が終わると、スランプに陥った。
「ほかの雑誌もやっていたけど、ダメ。ちょっと何やってもダメで・・・」。
そんなときだった、人生の転機となる「旅」に出かけたのは。
「昭和五十七年(一九八二年)ごろ、ベトナムとカンボジアに行くツアーをみつけて気分転換に申し込んだ。
ボル・ボトが追い出されて一段落していた。アンコールワットまで入れるツアーだった」
「悪魔の化身」とカンボジア人を震え上がらせたボル・ボト氏は一九七五年から三年間、民主カンボジア首相として君臨し、
多数の知識人、技術者、政治犯らを「革命の障害」として虐殺した。
その数は二百万人とも三百万人とも言われる。
「すごいものを見た感があった。畑の中に白骨が山積されている。収容所の跡、大虐殺の跡。中年がいないんだ。
生きているのはおじいちゃんと二十歳前後の若者だけ。ちょっと歩こうとしても、地雷にふれるからと、まっすぐしか歩けない。
オレたちの価値観は通じない。人生観、生きているだけでいい。
マンガ当たんなくても、生きているだけでいいじゃないかって、人間的に元気が出たね」
「北斗の拳」の原作の話が来たとき、このカンボジアの光景が浮かんだ。
*(5)につづく
7 :
愛蔵版名無しさん:04/05/06 16:39 ID:jsLSGjfG
>>4 あ、やっぱりそうなんですか。つーか当たり前か。
自分らで起こした会社と雑誌があるのにいつまでも前の雑誌社に
版権置いておくわけないもんな。
ありがとうー。
8 :
愛蔵版名無しさん:04/05/06 18:02 ID:ZCZfMiQX
北斗スレもとうとう10まで逝きましたか。
寝ずよい人気がある証拠ですな。
また、熱いバトル期待しているぜ!
原哲夫スレじゃないが、ここらで氏の功績を振り返ってみよう。
●現代アクション
1 スーパーチャレンジャー
2 マッドファイター
3 クラッシュヒーロー
4 鉄のドンキホーテ
11 猛き龍星
12 火焔の掌
●近未来アクション
5 北斗の拳
6 CYBERブルー
●時代モノ
7 花の慶次‐雲のかなたに‐
10 影武者徳川家康
15 SAKON(左近)=戦国風雲録=
●現代ハードボイルド
8 黄龍の耳
9 職業兇手[Zhi Ye Ziong Shou]
14 チェイス‐追跡‐
16 九頭龍(ヒュドラ)〜HELL GRIPPER〜
17 公権力横領捜査官 中坊林太郎
●SF
13 輝石燃ゆる時
18 龍の系譜を継ぐ者 阿弖流為(アテルイ)U世
●集大成として
19 蒼天の拳
こうして見ると、原氏は北斗ヒット後も幅広いジャンルを描いていたよな。
もっとも、これは原氏独りの功績というよりは、彼を陰で支えた担当・堀江氏の功績も大きい訳だが。
蒼天終了後は、真の集大成としての北斗の続編を期待したいね。
い、いたいガニィ〜・・・
北斗最後伝承が有耶無耶だったから続編読みたいね。
俺的には最終回あれで良かったとも思うけどもブロンじっくり練ってまた面白いの読みたい。
北斗の続編はおれも読みたいが、鉄のドンキホーテをリメイクして、モトクロスブームに火をつけることが出来たら最高だと思うぞ。
ブルーの続編も読みたい
15 :
愛蔵版名無しさん:04/05/07 17:21 ID:oXm3iEMR
ケ〜ン!!
来ちゃだめ――
リンていつでも足手まといだな
18 :
愛蔵版名無しさん:04/05/07 21:37 ID:DbF4jvEI
19 :
愛蔵版名無しさん:04/05/07 21:40 ID:lL9VetCj
1.キング編(最高!北斗の拳はこれが全て)
2.ゴラン編(カーネルのキャラは悪くはないが、キング編からすると蛇足に思えた)
3.ジャッカル編(ケンシロウよりも弱いことを自覚しているジャッカルが色々な手段を使うのはそこそこ面白かった)
4.牙一族編(お色気担当のマミヤと最強の助っ人レイの登場で楽しかった)
5.ジャギ編(悪の北斗神拳!ジャギの台詞と卑劣な性格にしびれた)
6.アミバ編(トキの正体はアミバでした・・・というオチに萎えまくる。この頃からストーリーの破綻が酷くなってくる)
7.カサンドラ編(獄長のキャラは良かったが、トキが自分で牢屋から出て来ないからライガ・フウガ兄弟が死亡。萎える。トキの登場シーンも意味不明で萎える)
8.拳王登場編(ケンシロウが意味不明の理由でラオウ並に強くなるのに萎え。ラオウの強さを演出するためにレイが犠牲に・・・)
9.ユダ編(レイの最後を飾るためだけにユダが殺されるように思えてならない。南斗六聖拳という言葉に萎える)
10.サウザー編(命の恩人を覚えていない主人公に萎える。しかもその息子に助けられる主人公・・・これ以上他人に迷惑をかけるならケンシロウもう死ねって感じ!サウザーのキャラは立っていたが、秘孔が効かないことだけに頼っているキャラのように扱われて萎え)
11.ラオウ対トキ編(これだけ予想しやすい展開はないだろう。ストーリー上必要だけどねぇ・・・)
12.リュウガ編(リュウガの行動の理由が意味不明。ストーリーの都合上、トキを無理矢理殺しただけ)
13.南斗最後の将編(ジュウザに死ねと言い切った最低女ユリアを巡って、多くの男達が死んで行くので萎えた。インフレも最高に達し、無想転生という訳の分からない技まで登場。しかも何故かラオウが神扱いされるようになる)
14.天帝編(元斗皇拳といういかにもネタが尽きました的な拳法が登場する。萎え)
15.修羅の国編(ハン・ヒョウ・カイオウのキャラは立っていたが、ケンシロウが回転して暗琉天破を破る荒唐無稽ぶりに萎え萎え。主人公の奥義の連発にも萎えた)
16.伝承編(ラオウに息子がいるという時点で萎え)
17.リンとバット編(リンとバットが結ばれるのでまあ良かったけど、ストーリーはだめぽ)
21 :
愛蔵版名無しさん:04/05/07 22:51 ID:lAuDismH
牙一族編のマミヤのオパーイ(何故かティクビ起ってる)で興奮しました。
22 :
愛蔵版名無しさん:04/05/07 23:20 ID:iaHIHB8o
アニメでレイが死ぬ回の次回予告に
マミヤの全裸シーンあったのに本編に
なかったの萎えた。PTAのクレームのせいかな?
人の心に想いを残し、水鳥は今天へ逝く〜!
次回北斗の拳、さらばレイ!時代は勇者の伝説を語り継ぐ!
回想シーンはほとんど不細工だったけど、最期のレイはキレイだった。
>>19 んーだいぶ意見が合わないなあ
特にアミバのところとか
「マンガはこうして生まれた! 北斗の拳(5) 苦し紛れから出た「地上最大の兄弟ゲンカ」」
「北斗の拳」は世紀末の廃虚の街が舞台となっている。
プロローグはこんな書き出しだ。
《世界は核の炎につつまれた!!海は枯れ、地は裂け・・・・・・あらゆる生命体が絶滅したかにみえた・・・・・・。だが・・・人類は死滅していなかった!!》
武論尊さんは言う。
「(大虐殺の跡が生々しい)カンボジアの風土がオレの中にあった。そこで強く生きる。
カンボジア、ベトナムへ行ってなければ、北斗の舞台は出てこなかった」
武論尊さんのところへ話が持ち込まれたのは、最初の原作者に断られた後だった。
「二番目じゃなくて最初に持ってこいよな」と冗談めかして笑うが、
「ま、西村(繁男編集長、当時)さんがオレのところへ行けと言ってくれた。彼なら傷つかないとね」
「北斗の拳」の原型として、原哲夫さんが読み切りで書いていたのは現代の日本が舞台だったが、
担当編集者には「これじゃつまんないと思うよ」と言った。
そして、「核戦争後の何もない世界なら、おもしろいもの書けるゾ」と。
このとき、70年代のカンボジアを舞台とした映画「キリング・フィールド」や、
革ジャン姿の非情な主人公が悪を徹底的にやっつける「マッド・マックス」の世界も頭に浮かんでいた。
一話目を書き上げて、「ひょっとしたらイケルかな」と手ごたえを感じた。
ただ、ノッて書いたせいか、分量が五十枚近い長編になってしまった。
「新連載はどんなに長くても三十枚だった。が、どうしても二つに割れない。そしたら、西村さんが『このままページをやる』と」
北斗神拳の伝承者で主人公のケンシロウ。その彼が、こそ泥の少年バットと美少女リンと出会うところから話は始まる。
続いて、自殺する恋人ユリアとの悲恋。「本来なら伝承者になるはずだった」優しき次兄トキとの再会。
そして最大のクライマックス、「拳王」と称して暴虐の限りを尽くしていたラオウとの対決にストーリーは進む。
ラオウこそ、北斗四兄弟の長兄だった。
弟との対決に敗れたラオウは「見事だ弟よ!」、そして「わが生涯に一片の悔いなし!」と言い、自ら秘孔を突いて命を絶った。
「読者は先を読めなかったと思う。ただ強い主人公がいて拳法を使うのは決まっていたけど、最初から最後までストーリーはなかったんだから。
苦し紛れに作っていった。途中で『そうだ、ケンシロウだから兄ちゃん三人つくろう。一人はデッカイやつ、一人は細身で』とか。
よし、地上最大の兄弟ゲンカだァと。
そこに『北斗』と『南斗』の戦いをくっつけたり。とりあえず面白くしなくっちゃと先を考えずに書いてたから、後でつじつま合わせるのが大変でしたね」
ストーリーづくりに苦心した舞台裏をこのように明かす武論尊さんだが、
「ドラマをちゃんとつくって、泣かせがうまい」と原さんや担当編集者は舌を巻いていた。
その原さんもアクションを描かせれば、豪快かつ精密な絵柄が圧巻だった。
「キャッチボールというかな。(作と画が)お互いにいいライバルで、才能の見せつけあいなんだ。
こっちも負けていられるかって、いい意味の殴り合いだったね」(武論尊さん)。
*(6)につづく