科学忍者隊ガッチャマン 【Part.9】

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426名無しか・・・何もかも皆懐かしい
素晴らしい演出家だった。
決して表舞台に出てくることはなかったが、
紛れもなく日本テレビアニメ界に大きな足跡を残した人だ。
後に海外に渡ってジャパニメーションの端緒となった竜の子プロの代表作
「科学忍者隊ガッチャマン」も、この人無しでは決して成立しなかっただろう。
(絵の具に土を混ぜてリアルな質感を表現した爆発シーンを始めとする
 ガッチャマンのエポックメーキングなアクション描写は、
 当時のアニメ業界にも大きな衝撃と影響を与えた。
 後の宮崎駿の数々のアクション描写は、確実にガッチャマンの洗礼を受けている)

特にガッチャマン終盤の演出担当回では、
子供向けとは思えないシリアスなドラマ展開を
持ち前の卓越した演出能力で抒情たっぷりに描き切ることに成功した。
こういった展開で当時の若い女性ファンをアニメに注目させたことも、
近代アニメ文化の礎となっている。
「ガッチャマン」が今でも根強い人気を保ち続けているのは、
これら作品の軸の部分が、彼の演出家としての「巧さ」に支えられているからだ。
一本の作品中で「監督」「演出(絵コンテ)」「脚本」と中心となる三つの肩書きを
彼が何度も独占したことからも、作品世界の構築に寄与していたことが分かる。

ガッチャマン以外で、その演出家としての腕を垣間見たければ、
「樫の木モック」や「ニルスのふしぎな旅」の演出担当回を鑑賞してみると良い。
単純に演出家として如何に優れた能力を持ち合わせていたか、
これらシリーズの一エピソードからでも充分に窺い知ることができる。
「狼少年ケン」における高畑勲演出回と同様、
(他の演出家担当回と比較すると)ずば抜けた演出クオリティなのだ。
その演出手腕やアニメ界に与えた影響を考えれば、
まさに引き合いに出した高畑勲と双璧と言っても差し支えない。

鳥海永行様。あなたは偉大なアニメ監督であり、優れた演出家でした。
謹んでご冥福をお祈り致します。