作画監督:杉野昭夫、演出:出崎統の『宝島』(78年)。TVアニメ史上に残る傑作である。
『旧ルパン三世』『母をたずねて三千里』『未来少年コナン』『ガンバの冒険』
『アルプスの少女ハイジ』と並ぶ日本のTVアニメーションの最高峰に位置するこの作品は、
羽田健太郎のテーマ・ソングがまた実に素晴らしかった。ゆったりとうねる眼前に広がる
広大な海、これから大冒険に旅立とうとする高揚した心、そんなものがすべてこのオープニングの
「宝島」から感じ取ることができた。またエンディングの「小さな船乗り」もまた美しい曲で、
ほっとするような曲想とほのかに漂う哀愁が魅力的。町田よしとの声量のあるヴォーカルもあいまって、
数あるTVアニメーションの中でもオープニング、エンディングの主題歌のクォリティが最も高いのは
この『宝島』だ。TVアニメ主題歌の最高傑作を作り上げたこの羽田には大きな期待が集まったが、
『機動戦士ガンダム』の主題歌が今度はオープニング、エンディング共にあまりにひどい曲だったのは
残念だった。1stガンダムがあれだけの傑作になり、TVアニメ史上で最高の人気作品となったのに、
羽田の主題歌は振り返られることもなくなっている。
文・佐野邦彦
『ソフト・ロック in JAPAN(2001・音楽之友社)』P.177より
※原文のまま。佐野さん、頭、大丈夫?