天空のエスカフローネ Vision7

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384名無しか・・・何もかも皆懐かしい
抽出 ID:OIKanqjA0 (5回)

216 名前:プロジェクトX  イタリアおたくの欧州布教活動[sage] 投稿日:2006/07/06(木) 08:02:04 ID:OIKanqjA0
無駄話
http://web.archive.org/web/20010505144342/http://www.cokage.ne.jp/~rakan/column/muda/muda001.html
《 ラカンの無駄話/第1話 2000.6.28 》 イタリアおたくのド根性
●イタリアおたくの発生
ヨーロッパにも頼もしいオタクたちは大勢いる。なかでもイタリアのオタクたちほど波瀾万丈の歴史(笑)を持っている集団はめずらしい。
というわけで今日はイタリアのオタク事情をちょっとだけ紹介しよう。
ダンガードAというアニメをご存じだろうか。ずっと昔の巨大ロボットアニメである。イタリアのオタクの歴史はこの作品のイタリア語版からはじまる。
今から約20年前、イタリアのTV局でダンガードAの放映が始まった。するとイタリア全土で凄まじいばかりの反響が巻き起こった。
日本アニメに対して免疫のなかったイタリアの子供たちがすっかり夢中になってしまったのだ。
その人気は常識はずれで、最高時の視聴率は実に50%を越えた。
ダンガードAを知らない子供が小学校でいじめにあうといった珍事件まで発生した。

●第1期黄金時代
ひとつ大ヒットが出れば右にならえでマネしだすのはどこの国でも同じ。
イタリアの各放送局はこぞって日本の巨大ロボットアニメの放映権を獲得し、雨後のタケノコのごとく放映作品が増えた。
もっとも多かった時期には十数本の巨大ロボットアニメが同時期に放映されていた。これがイタリアおたくの第一期黄金時代である。

●第1期氷河時代
しかしこのブームも数年で終息する。
ブームが終わった最大の理由は大人社会の猛反発である。
暴力的な日本アニメは子供に悪影響を与えるとして、マスコミや知識人・市民団体・教育関係者はもちろん、議会でも非難された。
袋叩きの状況でTV局も放送を自粛せざる得なくなった。
また、偏向した放映プログラム(どこの局も巨大ロボットものばかり)のために視聴者から飽きられていたのも一因である。
こうしてイタリアおたくにとって第1期氷河時代が始まる。日本アニメの放映はほとんどなくなった。
しかしながら、脳髄に日本アニメを刷り込まれた小中学生たち(の一部)はこのときの体験を決して忘れなかった。
385名無しか・・・何もかも皆懐かしい:2006/07/08(土) 05:03:38 ID:???
217 名前:プロジェクトX  イタリアおたくの欧州布教活動[sage] 投稿日:2006/07/06(木) 08:03:08 ID:OIKanqjA0
●第2期黄金時代
それから約10年後。成長した元小中学生たちはアニメクラブを組織し、
独力で日本アニメの翻訳や字幕入りビデオの作成を活発にするようになっていた。
特に熱心な連中は会社までつくり、日本のアニメ会社から正式ライセンスを取得してイタリア語版の制作・販売を手がける集団まで出現した。
オタクたちの地道な活動が実り、イタリアの各局は再び日本アニメを放映するようになった。
今度は巨大ロボットものが中心ではなく、スポーツ・美少女・ギャグ・少女ものなど各分野が放映されてバランスが取れていた。
たとえばキャンディ・キャンディは女の子層に絶大な人気を得た。
こうしてイタリアでは第2期黄金時代をむかえる。ファン層も広がり、子供だけではなく青年層の視聴者が多くなったのもこの頃である。

●第2期氷河時代
購買力のあるファンが増えると同時に、第二期ブームを終息させる原因となった活動が増えてきた。
過激な暴力表現や性表現を含むアニメの輸入・販売が急増したのである。
一般に海外ではアニメの暴力表現に対する規制は非常に厳しい。
これが映画であれば多少の暴力表現はあってもあまり問題にならないのだが、アニメではそうはいかない。
「アニメは子供向け」という強固な先入観があるためである。
ブームが復活し、放映作品や販売作品が増えるにつれて再び反発も強くなっていく。
ブーム復活後3,4年もすると日本アニメは暴力的でおまけにチャイルド・ポルノという固定観念が形成されてしまった。
市民団体は日本アニメの放映・販売に猛烈な抗議を繰り返すようになり、マスコミと知識人は再びアニメ叩きに精を出すようになった。
最後には議員たちまでバッシングに加わった。
こうして各放送局はまたしても日本アニメの放映を自粛するようになった。
ごく一部の作品を除いてイタリアの放映プログラムから日本アニメは姿を消した。視聴率や作品の販売は好調だったにもかかわらず。
第2期氷河時代の到来である。イタリアおたく達はふたたび地下活動に戻る。
386名無しか・・・何もかも皆懐かしい:2006/07/08(土) 05:04:40 ID:???
この苦難の時代、一部のイタリアのオタクたちはアニメ作品の海外版制作(英語版やフランス語版)の受注に活路を見いだすようになる。
英語版アニメのクレジットを見ると妙にイタリア語の人名が多い作品があるのはこのためである。
また別のおたくグループはファンクラブの強化に走った。同人誌の作成はもちろん、
日本語の共同学習から字幕ビデオの作成・販売、自主放映会の開催、といった地道な布教活動である。

●第3期黄金時代
1995年頃になると再び状況が変わってくる。ECの放送自由化政策が本格化し、おまけにケーブルTVや衛星放送も普及し、
各TV局の視聴率競争が非常に厳しくなってきたのだ。
各局にとって、低コストで一定の視聴率を確保できる日本アニメはのどから手が出るほどほしい。しかし社会の反発が強くて放映できなかった。
掟破りを最初に実行したのはローカル局だった。イタリアではローカル局の力が強く、キー局に負けないほどの視聴率を誇っている。
しかし、資本力に乏しいローカル局は競争激化のためになりふりかまっていられなくなっていたのだ。
こうしてローカル局はこぞって日本アニメの放映を再開した。こうなると黙っていられないのが衛星放送の各局で、
こちらも日本アニメの放映をはじめた。
放映再開後のアニメの視聴率は好調だった。オタクたちも再び水面下から浮上し、公然と活動しはじめる。第3期黄金時代の開始である。
第3次ブームの特徴はファンの年齢層のさらなる拡大と、オタク同士の国際的な交流が活発化した点である。
日本にいるとあまり実感できないのだが、たとえば海外のアニメ雑誌というのはたいてい多国籍で販売されている。
衛星放送のアニメ番組は少ない場合でも三ヶ国語以上で放映されている。国境をまたがるアニメファンクラブはめずらしくない。
イタリアおたくたちの活躍はめざましかった。迫害と受難を耐え抜いてきたイタリアおたくたちは筋金入りになっていたのだ(笑)。

387名無しか・・・何もかも皆懐かしい:2006/07/08(土) 05:05:34 ID:???
●第3期氷河時代
しかし良い事は長く続かない。第3次ブームもやや意外な形で終息する。
1997年に入るとヨーロッパ各国でアニメ叩きが激しくなっていた。理由は例によって暴力表現とチャイルド・ポルノである。
日本アニメの悪評を高めるのに最大の貢献(?)をしたのはイギリスである。
イギリスのアニメファンはとにかく暴力的かつグロテスクな作品が大好きで、
売上上位作品はその手の過激な作品で占められている(たとえばジェノサイバーやうろつき童子)。
おかげで各国どころかEC単位で日本アニメは問題になってしまう。
おりしも国際的なチャイルド・ポルノ撲滅運動の影響もあって日本アニメ全ダメ論が定着してしまう。
こうしてヨーロッパ各国で日本アニメの放映が次々と中止されていった。ベルギーにいたっては議会の法律で放映が規制された。
1999年初め頃にはヨーロッパ各国でアニメの放映はほとんど絶滅寸前の状況まで追い込まれた。
イタリアもこの影響は免れず、アニメの放映が次々と中止されていった。
もっともイタリアの特異性は、キー局での放映が中止されてもローカル局での放映が依然として続行されていた点である。
こうしてイタリアは第3期氷河時代をむかえた。

●第4期黄金時代?
ところが第3期氷河時代はたった一本のアニメの登場により短期間で終了することになる。
イタリアだけでなく、ヨーロッパ各国でも同時に放映されたこの作品は日本アニメに対する評価を一変させてしまった。
その作品とは天空のエスカフローネである。各国語版の制作が終了したこの作品は、8ヶ月前に衛星放送等でヨーロッパ各国で一斉に放映された。
エスカフローネの放映は、
日本アニメと言えば暴力とチャイルド・ポルノしかないと信じていた年配の視聴者の固定観念を完全にくつがえす事に成功した。
天空のエスカフローネは日本ではさほど評判になった作品ではない。たしかに作品のクオリティは高かったが、大人気とまではいかなかった。
388名無しか・・・何もかも皆懐かしい:2006/07/08(土) 05:06:21 ID:???
ところがヨーロッパでのエスカフローネの反響はまったく驚くばかり。
全ヨーロッパで非オタク層の年配の視聴者にまで受け入れられた日本アニメはエスカフローネがはじめてである。
現金なもので、イタリアでもエスカフローネ放映後は各局がたちまちアニメ放映を再開した。
各アニメ作品のビデオやDVDの販売も再び活発化した。
そして現在、イタリアはアニメの第4期黄金時代になりつつある。

●オタクの魂百まで
イタリアのオタクたちは実にしぶとく、根性のある連中である。
イタリアの国情はアニメの放映が週に20本を超える黄金期もあれば0本の氷河期もあるといったぐあいで極端である。
終始一貫して変わらなかったのはオタクたちだけだ。彼らの活動がなければ今日の状況もなかっただろう。