ふしぎな島のフローネ3

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359名無しか・・・何もかも皆懐かしい
あれはあたしが5歳の冬だっけ。
あの頃、あたしはお父さんから毎朝10キロのランニングを命令されていた。
吐く息も冷たく耳がもげそうな、そんな2月の朝だったっけ。

道の途中の三叉路の箇所があった。
何時もお父さんにいわれていたのは真ん中の道だった。
しかし、そこは運悪く工事中で、でっかい穴が掘られていて行けなかった。
右は遠回りの道で、一番左は近道だった。
寒い朝だ。こんなときは近道を選びたいのが人情だ。
そしてあたしは近道を通って行った。

しかしその近道の終点に人影があった。
お父さんだった。
その形相の険しさに思わずたじろぐくらいだった。
お父さんはあたしを睨むと、ものも言わずにいきなりあたしを殴りつけた。
何度も何度も蹴りつけられて、あたしは血まみれになった。
その時お父さんは鬼に見えた。
そして鬼は言った。

「フローネよ。何故近道を選んだ。」
「遠回りの道を選んでこそ成長がある。」
「今後は無人島に於いても、人生に於いても、迷ったときは遠回りの道を行けぇい。」
「もしも近道を行きたいと思ってみい。その時はこの父の子ではないと思えぃ。」