「ええ!」今までの沈み、硬かった口調が明るく軽々としたものに一変していた。
「元山にいるみんなを助けるわ!!」 「ジ、ジョオ!!」「ジョオ…」カーリーとギラの歓声が部屋に弾けた。
福岡港。埠頭の側に輸送船の巨体が横たわり、列をなす戦闘車両が次々と
クレーンで積み込まれて、あるいは自走してその内部へと飲みこまれていく。
しかし、ジョオはその作業からはそっぽを向いて空の青と雲の白のストライプを
横切っていく数羽のカモメに目を奪われていた。
「ジョオ…」彼女の情感に手垢をつけることを恐れるかのようにローリーが
おずおずと声をかけた。「飛行機の用意ができたよ。…それにしてもこんな時にソウル
に行くだなんて。」ローリーの言葉をジョオが遮った。
「どうしても行かなくちゃいけないの。私のため…ひいてはみんなのためになるけど。」
ローリーはジョオが手配した兵器の積み込み作業を見つめながら言った。
「こういった装備を飛行機で元山までサクサク運びこめればな…人間とかは
手軽に移動できるけど、戦争の準備は手軽なんかじゃないだ…。」
ローリーの言葉にたいして耳を傾けることもなく、ジョオはくるっと踵を返した。
「ローリー、行くわよ。」
ジョオは北朝鮮に味方しようかと思ったがどうにか踏みとどまった
アスラン「MLRSで付近の歩兵を一掃するんだ」
ジョオ「韓国の釜山から上陸して一挙に半島を北上するのよ。カガリから許可はもらっているわ。」
清津から精鋭部隊を率いて出撃。第一目標はやはり元山だろう。
相手も十分にそのことを承知していて元山に強力な守備隊を置いている。
戦車が今までより弱体化しているのが気になる。 その分、ロケット砲や自走砲を主体にして敵の大部隊を撃破していく。
こっちがMIG29なのに政府軍がMIG19や17、果ては博物館から引っ張り出して
きたようなMIG15まで投入してくるのには敵ながら哀れに思えてくる。
それだけ正日は人望がないのだろう。元山の敵を崩していくのは割りと
骨が折れた。このときが一番苦しかったと言っていい。 元山を占領してしまえば半島を横断して平壌を目指すのみ。
口で言うのは簡単だが狭い山道を列をなして行軍していくのは大変だ。