「ジョオ、落ち着きなさい。お父様がどこにいるかもわからないのに、あなた一人で
助けに行こうだなんて無茶な話だわ。戦争が終わればきっと無事に帰って来るわ、おの人は。」
「そんな、私は、私はとても待つなんて事、そんな悠長なこと、言ってられない!!」
ジョオのわからず屋ぶりにアンソニーが叫んだ。
「ジョオ、落ち着くんだ。無茶な事を言ってはいけないよ。一体、どこへ助けに行こう
って言うんだ?場所がわかってもどうやって助けるんだい?君のために努力してくれる人は
合衆国政府や軍にいるんだ。無理なことをしてはいけない。落ち着いて。きっと君のお父さんは
無事に帰ってこれるさ。」
ベスもジョオに声をかける。
「ジョオ、私だっていても立ってもいられない気持ちよ。私だってできる事ならお父様を助けたい。
でも、そんなことは私はもちろん、ジョオにだってできやしないわ。だから…みんなで無事を…
お父様の無事を待ちましょ。」
メグもエイミーも当然のようにジョオを諌め、止めた。ジョオはその場では踏みとどまらざるを
えなかった。
その夜、ローレンス邸の庭に立つ二つの影を月光がぼんやりと照らしていた。
ジョオとローリーだった。ジョオは手を後ろに組みつつ、ローリーの方を
振り向いて言った。
「それ、本当なのね?」
ローリーはジョオを見つめてうなづいた。
「うん…本当だよ。ジョオのためだもの。」
「嬉しい!」
ジョオはローリーに抱きついた。
「ジ、ジョオ…。」
自分の髪の毛を照れ隠しになでつけつつローリーはささやいた。
「ローリー。あなたならきっとOKしてくれると思ってた…さすが私の友達だわ!」
「う、うん。僕はそう、ジョオの一番の友達になりたいといつも思っているから。」
「本当に嬉しいこと言ってくれるのね…。」
「うん…。ジョオのためだもの。」
二人はいつの間にか、どんどん顔を近づけつつ話していた。
「それじゃローリー。決行日は…」