愛の若草物語 ベス 【三女目】

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811名無しか・・・何もかも皆懐かしい
俺はマーチ氏の弟子になるべくマーチ邸を訪れた。「いらっしゃいませ。遠いところからようこそ。」
ブラウンの髪を三つ編みにした女の子が俺を出迎えてくれた。彼女がベスという娘だということは
後でわかった。俺は客間に通されてマーチ氏と対面した。マーチ氏が口を開く。
「ここに何を求めにいらっしゃったのですか?」俺はためらうことすらなく答えた。
「正しい、人のあるべき姿を知りたいんです。人はどう生きるべきなのか。どのように人と連帯して
いけばいいのか。」マーチ氏もじっと俺の目を強く見つめて即答する。
「正しい真理です。それを求め、掴むのです。私は人々のために良かれと思うことをやってきた。
積み重ねてきたそれらの今までの行動を私は少しも間違ってるとは思ってはいない。
行動です。行動しながら追い求めるのです。あなたには私の娘達とともにお互い助け合いながら
それを掴んで身に心に命に刻みこむのです!」
その日から俺の行動は始まった。険しい山奥に踏み込んで瞑想し、その翌日には町に出て
マーチ夫人や魅力的な四人の姉妹とともに貧しい人々に施しを与える。
俺はそんな活動を続けながらマーチの四姉妹、特にジョオと親しくなっていった。
彼女はとても活動的でお転婆だが、それだけではなくとても女らしい一面も時折見せるのだ。
その女らしさに俺は…惚れた。だが、彼女は同志であり、おいそれと恋の道を進むわけにはいかない…。
俺は臆病だった。しかし俺はマーチ氏の思想に心酔していた。恋愛よりも友情と言うか…
とにかくジョオとマーチ一家の手助けを少しでもできればという気持ちで精一杯だった。
ある深い雪の日。俺はある聖堂に立ち寄り、そこの邪道の僧どもに論詰した。
「金を取って人に絵を見せるとはそれは正道ではなく邪まではないのか!!」
頭の真ん中を綺麗に剃った河童みたいな坊主はふんぞりかえって無駄な反論をしてくる。
「この隠された2枚の絵は聖なるルーベンスが描かれた由緒ある霊験あらたかな絵である。
お金を持った者は神に祝福した者であり、穢れた貧乏な罪ある者に見せるものではない!!」
俺は坊主の邪論を打ち砕くべく言い放つ。