緑の木々が次々と走り去っていく。窓から吹き込む風が頬と風を撫でまわしていく。
「汽車に乗るのは久しぶりだよね。お互い。」
「そうね。前に住んでいた街からニューコードに移った時以来。」
風でもつれた髪を直しながら、ローリーの言葉にジョオは答えた。
その時、客車の天井を突き抜けるような轟音が聞こえた。
「なんだろう。」 「ええ。…何かしら。」
轟音は音を増し、他の客達もざわつき始めた。 『そこの汽車、止まりなさい!』
突如、空から少女の声が降ってきた。
「あ、あれは何だ!?」 窓から顔を突き出して空を見上げたローリーが叫んだ。
「な、何?」
ジョオもローリーと肩を並べるように窓から顔を出して空を見た。
二人は見た。汽車の上空を謎のMAが飛んでいる! そのMAから再び少女の声で警告が飛んだ。
「そこの汽車!!止まりなさい!!止まらないと言うのなら…考えがあるわ!」
ジョオはローリーの方を振り向いて言った。
「何かやばそうだわ…!どうするの!?」 「どうするって…。」
ローリーも頭を抱えたが、すぐにジョオを見て言った。
「飛び降りよう…そろそろカーブのはずだ。減速するはず。
このまま汽車に残っていてもろくな事がなさそうなのは間違いないから…!」 ジョオはうなづいた。
「そうね。ジョンが飛んだ時のように…。」
二人は倉皇として汽車の連結部へ急ぐ。その間にもMAは不気味な予告を告げていた。
「止まらないのなら…このゲルズゲーを馬鹿にしてるのなら…撃つ!!」
警告だけでないことを証明するかのようにMAゲルズゲーの両手のビーム砲が粒子を放ち始めていた。
その頃、ジョオとローリーは連結部へと出ていた。
「柔らかそうな草原がある…あそこへ飛び降りるんだ、ジョオ!」 「それしかないようね!」 「行くよ!!」
二人が飛んだ瞬間、ゲルズゲーの両手からビームが放たれた!!
ビームが放たれ、客車のど真ん中に当たって見事に両断されて汽車は吹っ飛んだ。
立ち上がったローリーはその惨状を涙を浮かべて見つめた。
「あーあ。僕は『世界の車窓』からと『レールウェイストーリー』が大好きだったのに。」
「あなたが鉄道おたくだったなんて知らなかった…。」