「明後日は満月だ。その時に…」
「ええ…」
「…」
二人の唇は重なり合い、月が落とす互いの影はぴったりと一つに溶け合っていた。
その頃。月と星の明かりが射し込む部屋で二つの白い素肌がそっと抱き合っていた。
「もうあの話は届いてるんだろうな。」少年は少女の赤い髪を静かに撫でつつ尋ねた。
「ええ。今頃は届いてるでしょうね。」少女はまんざらでもなさそうにクスクス笑った。
「きっといても立ってもいられないだろうな。」少年は今度は少女の首筋を撫でつけた。
「ええ。いても立ってもいられないでしょうね。あの娘のことですもの…。」
少女は自分の手を少年の手に添え、そっとさする。
「まさか家族総出で来るってことはないだろうな。一人か二人…どっちにしろチャンスだ。」
「そうね。何人もたくさんで来るってことはないわね。チャンスよ。」
少年と少女は互いの肩に腕を回して抱きあった。
「お前の願いがかなうわけだな。」
「ええ。私の長年の夢がかなうのよ。」
そして二人は唇を合わせた。