大繁スレ2〜久保の悪巧み〜

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751くぼきん純子
8月1日水曜日、ラーメン店「D繁」の店主K保は、その日の仕込みを行いながら、時
折パソコンに向かっていた。この日は、日テレ「ホンの昼めし前」で大田区のラーメン
店ベスト5が紹介されるのだった。彼には、勝算があった。
〜〜
3日前の日曜の昼、電話が鳴った。「D繁さんご存知だと思うんですが、日テレのホン
の昼めし前で…」という言葉に、K保は我が耳を疑った。O崎に妨害されることなく、
テレビに出れるのだ。スタッフの「ちょうど近くまで来てるので、休憩時間中に撮影さ
せてください」の言葉に彼はすぐ了承した。たっぷり1時間は撮影しただろうか、彼は
満面の笑みで自分のラーメンを賞賛し、薀蓄を語った。スタッフは「順位は当日のお楽
しみということで…」と、教えてはくれなかった。
〜〜
普段書いているファンスレだけでなく、アンチスレにも書きこむK保。「今度は"30秒"
じゃないよ。だってあんなにカメラ回したんだもん」と、自作自演も構わず書いた。

いよいよ放送が始まった。この4人が、今まで俺を見下してきたこの4人が、俺様の前
にひざまずき、行列の一番最後に並ぶのだ。わくわくしながら、画面に食い入るK保。

5位は醤屋。なんだO崎の組織票でも5位が精一杯かと、彼の想像力はたくましくキー
ボードに向かわせる。「キャハハ、O崎5位が精一杯!」

4位は蒲田二郎。まあ、そんな店どうでもいいや。K保は上機嫌だった。今度、二郎に
行ってバイト店員に「まあ、4位の味だね」とでも言ってやろう。

3位はこうや。この店が矢口渡で一番の有名店なのは今日までだと、K保は確信した。
D繁はまだ出ていない。「D繁>こうや」なのだ。

2位がインディアン。ここまで来てK保の心臓は高鳴った。大田区一の有名店を押しの
け、D繁が大田区のトップに立つのだ。これで、貧乏脱出に応募した過去なんかおさら
ばだ。一気にI神本にも掲載だ。でも、Tらさんサーチには掲載させてやらないんだ。
あんなラヲタどもはもうたくさんだ、地元の客で毎日満員。まさにD繁が大繁盛だ。

1位の紹介が始まった。「クセになる味」「新しいが街道沿いの名店」とナレーション
が続く。やはりうちが1位なんだなぁと、K保が勝利の余韻に浸っていると、続く音声
が、彼をうちのめした。

「金太郎!」