新店、つけめん純へ。
つけめんを売りにしているということで昨今のつけめんブームに
乗っかり、かなり気合の入ったものを食べさせてくれるだろうと期待して店へ向かう。
高田馬場という場所、すぐそばにはべんてんもある。
かなりのリサーチ、および味の研究を重ねた強者が乗り込んできたなとイメージを膨らます。
店内に入り、雑然とした雰囲気に少し気を落とす。メニューはつけめん。
味噌つけめん。肉ナスつけめん。五目つけめんなど。屋台そば、塩ラーメンといった汁そばもある。
狙いの分からない品書きに少々、困惑す。
店主は中年の男性、店員はアジア系の女性が二人。
つけめんを注文。店主は中華鍋を振るいだし一向に面を鍋に投入する気配はない。
グループの先客がいるが表情がなぜか暗い。無言で立ち上がりそそくさと会計を済ませかえっていく。
いやな予感。麺はまだ鍋に放られず。
朱色の蕎麦湯入れに店主が寸胴からスープを注ぎはじめる。無色透明なのが気になる・・・・・
どうやらスープ割り用のもののようだ。
A
それにしても先ほどからカウンターに座った私の椅子に何度も衝撃が走る。
アジア系店員が私の後ろを通る度に足のつま先を当てているのだ。
これだけぶつかってて何も気づかないのか・・・・・
さすがにイライラしてくる。ふと目線を左斜め前にやるとプラ製の味噌桶があり
その上に吸殻が入った灰皿が置いてある。気づけばカウンターの端にはタバコとライターが。
店主用だろう。味噌桶の上に灰皿って・・・・・
気づけば入店して10分以上経つ。まだ麺は鍋に放られず。
パラパラと新しい客が入店してくる。ビールを頼む客。
ここで親父の声が店内を駆け抜ける。
「つまみの盛りかた、教えてやる」
店員へのつまみ盛り付け教室が始まってしまった。もはや、駄目な店判定システムが私の頭の中で
フル回転に作動しはじめた。味についてはこの時点であきらめていた。
しかし、もしかするともしかすることもあるやもしれぬとグッとイラ立ちを抑える。
とりあえずメニューについて考察を始めイラ立ちをごまかそうと思えば
何やら、これは、つ○めん大王と類似性があるなとマイナスの方向に向かってしまう。いかん、いかん。
そういえば気づくと入店して15分、ようやく麺が投入される。ここからは早かった。
4分ほどして私の前につけ汁と麺が並んだ。
B
どす黒い醤油色のつけ汁には、メンマ、ねぎ、薄いチャーシューのみ。
スーパーで売っている安売りのつけ麺を彷彿とさせるビジュアル。
結論から言って味はそのビジュアル、イメージのままでした。
生醤油臭さ満天のつけ汁はしょっぱく何の工夫も感じられない。出汁は薄い鶏ガラベースで生姜が香る。
メンマは業務用、チャーシューはパサパサで臭みが強く筋もありきつい。
麺はよく締まっておらず、ぐにゃぐにゃした食感だが調理法さえよければなかなかの麺になると思う。
しょっ辛い醤油に麺をつけすする行為を何度か繰り返す。
このときの私の表情は食を楽しんでいる様相ではなかっただろう。もはや生きるために喉に食べものを通す
重病患者のようだったかもしれない。結局半分ほどでギブアップし箸を置く。まだ腹は減っている。
一応、スープ割りの容器があるのでやってみようと思いスープを注ぐ。
やはり非常に薄いスープだった。
私は無言で席を立ち、伝票の上に代金を置きそそくさとお店に別れを告げた。
開店と同時にカウントダウンは始まったとみてよいだろう。さようなら。