こらくの事件簿
http://d.hatena.ne.jp/ikkiny/200511 2005年11月11日 金曜日
■[仕事]早変わり
この芝居、転換が多い・・・と言うことはどう言うことかというと、スタッフさんが裏で大変と言うこと
である。転換の間に舞台を替えて、小道具を置く。役者の方も自分で出来ることはなるべく自分でやるの
だが、我々噺家はどうしても役者さんのように体が動かない。そこで、志らく兄さんのところの前座さん
が付いてくれる。私に付いてくれるのは立川らく太君だ。そう、前々回の公演の時、私の車を壊し、むち
打ちの首の上にのしかかってきた・・・あのらく太である。あの時あんな事になってしまったが、彼は実
に頼りになる男なのである。私は今回のことで、彼を信頼するようになった。舞台中、冬の着物から夏の
モノに早変わりするシーンがある。舞台裏に私が行って着物を脱いだらもう夏の着物が肩に掛かっている。
帯を締めようとすると目の前のいい位置に帯が来ているのである。彼のお陰で私は早くに舞台に立ててい
たのである。ところがこの日、らく太は休みだった。代わりの前座さんが付いたのだが・・・。
昼の部が始まった。さて、問題の早変わりのシーン。私が着物を脱いだ・・・彼はハンガーから着物を取
ろうとしている・・・早くしろ・・・着物を肩に掛けてもらい帯を受け取る・・・この渡し方ではちゃん
と締められない・・・何をやってんだ・・・もう一度帯を自分で持ち直し、着物を合わせてやっと着替え
ることが出来た。「夜の部ではお前が付くな!誰かに代われ!!」と思わず怒鳴る。いや、普段は温厚な
のだが、それだけ舞台裏ではピリピリしているのだ。お陰でこのシーンの暗転は、普段の倍くらいの時間
が掛かってしまった。昼の部が終わりその前座さんが「申し訳ありませんでした」と言ってきたので、
「怒って悪かった。本番ではそれだけピリピリしてるからね。こういう風に着せて、帯を手渡してね」と
優しく言った・・・つもりだったけど・・・前座さんちょっとひきつってたかな・・・ごめんね。