★三題噺やりませんか?★

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678湖亭半弗
今回は皆さん忙しい中での力作ですねえ。
ヤコさんも筍さんも勇助さんも凄い。
それでは久しぶりに歴史もので。
「田楽」「USJ」「ピンはね」
ですね。

えぇ、今や大河ドラマもトレンディてなことを言いまして、若者うけを狙ぅておる
ねやそうですが。森内閣のごり押しやとかボロクソに言われながら、それでも前田
利家ちゅう人はやはり凄い人やったんやそうですな、あれも。
加賀百万石ちゅうて、大河ではまだ金沢の「か」の字も出てきてないんですけんども、
やはり与えられるだけの働きがあったんですなぁ。親友の秀吉が偉い、それの仕えてた
信長が偉い、何やかやで大大名になったんでしょうけど、もし、信長が桶狭間で
義元にやられてたとしたら、また大分変わってたかもしれまへんな。
歴史の世界でも、お笑いの世界でも「ヨシモト」ちゅうのは強いもんで、
二万五千の大軍を率いて上洛してきた。まぁ信長てなもんは箸にも棒にも掛からん
やろぐらいに思てたんですやろな。物見遊山みたいなもんで、
義元「信長?知らん?誰や?」
てなもんやったそうで。
信長はちゅうと、内心焦ってた。味方の軍は三千、向こうは二万五千。
野球を9人と1人で戦うようなもんですさかいね。いくらなんでも焦ったと思いますわ。
679湖亭半弗:02/04/15 03:27
丹羽長秀「御館様、いかがなさいます!」
柴田勝家「ここは合戦あるのみにござりますれば!」
林秀貞「いやいや、篭城が肝要にござる!」
織田信長「やかまっしゃい、たわけめ!評定はこれまでじゃ!適当に休め!」
てんやわんやもてんやわんやですさかいに、信長もキレとりまして評定を
終わらせます。
信長「さて・・・、どないしょうかしら・・・。こらまぁ奇襲しかないことぐらいは
わしかて分かってるねやが・・・。」
濃「信長様。何をブツクサ申されます?」
信長「おう、濃か。いや、どないしょうかしら、と思て。」
濃「上方弁でしゃべるか、普通に戻すか?」
信長「何を言うとる、そんなんどないでもえぇねんや。ともかく今川がそこまで
来てるねや。」
濃「昨日は策があると申されたではござりませぬか。」
信長「あぁ・・・、あらウソや。」
濃「ウソ!?今更ウソでは皆が困るではございませんか。」
信長「そら、何とか頑張るけど。」
濃「何とかと申しますと?」
信長「奇襲よ。」
濃「本陣をでございますか?で、義元は今いずこに?」
信長「それが分からん。」
濃「分からん!・・・父斉藤道三より譲られし懐刀、抜かねばなりませぬな。」
信長「ちょ、ちょ、待たんかいな!おっとろしい女子やで。最後まで聞かんかいな。
今、間者に調べさせてるさかいに、分からんちゅうてるねや。もうすぐ戻って
くるはずや。」
680湖亭半弗:02/04/15 03:28
藤吉郎「御館様!サルめにございます!」
信長「おう、サル!どないした?」
藤吉郎「梁田政綱殿が戻られましてございまする。」
信長「おぅ、待ってたんや!はよ来いちゅうとけ。」
藤吉郎「はい、向こうも今行くちゅうとけ、と。」
信長「えらい言い草や・・・、おう、政綱!」
政綱「御館様!好機にございまする!」
信長「ほう、ちゅうと?」
政綱「今川治部太夫義元の本陣は、田楽狭間にて休息中にございます。」(パチパチパチ)
信長「おぉ!何と!でかした、政綱!あんな狭いところで休憩やなんてアホとちゃうやろか。」
俗に「桶狭間の戦い」と言われとぉりますが、ほんまは田楽狭間ちゅうところに
義元はいてたんやそうですが、何しろ狭い狭間ですさかいに、あんな大軍が
ずーっと蛇みたいに延々と、こぉ一直線に長ぉなっておるんですな。
そうなってると大軍は意味を成さん。伝言ゲームみたいなもんで、遠くに
味方がおっても助けに行けんので五分五分やちゅうんですな。
信長「サル!皆に出陣やと伝えよ!」
政綱「御館様、サルでしたらもう勝手に「出陣や」と叫びながら、皆の下へ。」
信長「かぁー、抜け目ない奴っちゃなぁ。おぅ、濃、湯づけを持て。」
濃「は?」
信長「湯・づ・け!」
濃「USJ?」(パチパチパチ)
信長「どんな耳をしとんねや、お前。出陣前の腹ごしらえや、はよ持って来い!」
681湖亭半弗:02/04/15 03:28
湯づけを持ってこさせまして、サクサクとそれをたいらげます。
そないたいそうなもんやない、ご飯に湯ぅかけただけでっさかいね。
いっぺん家戻ったらやってみなはれ、味気ないもんでっせ、そら。
まぁ出陣前でっさかいに、そんなんでちょうど良かったんでっしゃろが。
信長「濃、敦盛を舞うさかい、お前、鼓せぇ。」
濃「は?出陣前にございますが。」
信長「死ぬかもしれんさかいに舞うねやないか、準備せぇ!」
そら出陣前に舞を舞う言われたら誰かてあわてますわな。
ドタバタで支度を整えて幸若舞いの「敦盛」の舞を舞います。
「人間五十年」の台詞で有名ですけんども、信長この時「敦盛」を
忙しい最中に三べん舞ったちゅうんでっさかいに、よっぽど思い入れが
あったんでっしゃろな。阪神ファンでも六甲おろし三回歌ぉたらしんどなり
ますけんど、人生賭けてやってますので、よぉ舞ったんやと思います。
さぁ、やる事全てやり尽くしたら、信長。あれだけやっても一番で出陣を
いたします。いきなり大将が勝手に出陣するもんで皆慌てて後を追いますが、
途中、雨男でもおったんでっしゃろな。もう雨がじゃんじゃんぶり。
陣笠ちゅう笠をかぶっておりますので、多少は雨がしのげるもんの
雨にぬれて寒い寒い。陣笠ちゅうのは兜の代わりですけども、あら陣中では
鍋にもなるんですな。せやさかい丈夫やけども重い。鉄の塊さして歩いてる
ようなもんで。なかなか信長に追いつけん。
信長、一旦熱田神宮に立ち寄りまして、必勝祈願を致します。そのころになりますというと、
大分味方が追いついてきた。
682湖亭半弗:02/04/15 03:28
信長「えぇか、皆のもの!今から永楽銭を何枚か投げるさかいな。
「総てが表だったら我が軍の勝ち」じゃ。神のご加護を祈れ!」
パァっと永楽銭を投げると、パラパラちゅうて地面に落ちる。
信長「サル、確かめてみぃ。」
藤吉郎「御館様。土砂降りで地面に埋まって見えません。おそらく全部表やと思います。」
信長「おそらく、て何やねん。そんな曖昧なんでは困るがな。」
藤吉郎「とにかく、永楽銭お返しいたします。」
信長「ん?一枚足らんぞ。サル、返せ。ピンはねは許さぬ。」(パチパチパチ)
藤吉郎「あぁ、これはしたり。背中にうっかり入り込んでおりました。」
信長「そんなところにうっかり入らぬ。欲深め。」
丹羽「御館様、あれをごらん下さいませ。白鷺にござる。社殿を越えて・・・、
ほれ、わが軍の旗の先を飛んでいきまする。」
信長「おぉ!これこそ験がえぇわい。」
藤吉郎「あのぉ、糞落としていきよりましたけど。」
信長「また、こいつ!いらぬことを。ウンが付いたと思え。」
藤吉郎「はぁ、運の尽き。」
信長「持って回ってなんちゅう言い草や!」
柴田「御館様、なにやら社殿の奥から「鎧の草摺」の音が聞こえまする。」
信長「おぉ、熱田社の御加護、吉兆じゃ。・・・サル、何か申すなよ。」
藤吉郎「はっ、縁起のえぇこって。」
さぁ、信長軍は奮い立ちます。さぁ、信長軍は田楽狭間裏の「太子が根」ちゅう
小ぃさな丘に陣を張ります。
683湖亭半弗:02/04/15 03:29
嵐が止むのを待っておりますというと、
義元らが勝ったつもりなんでっしゃろな、地元の民百姓からの貢物なんかを
並べまして、酒盛りをやっとぉる。
義元「皆のもの、雨も上がった。酒も肴も馳走も揃うておる。織田ごとき小大名
には勝ったも同然、前祝に大いに騒げ!」
家臣「ははは、愉快にござる、前祝にござる。」
家臣「はぁ、テケツクテケツクスッテンテケツク。」
家臣「どうや、皆、これだけワァと騒いでるねや。皆で、「ん回し」でもしよか?
「ん」が付くごとに田楽食わすちゅうて、田楽狭間だけに。」
家臣「噺が変わってまうがな、やめとけやめとけ。」

信長「好機じゃ!皆のもの、突撃じゃあ!」
さぁ、呆けてるところに信長の奇襲が始まったもんですさかいに、一同はもう
滅茶苦茶でございます。
家臣「ん?わしの兜これ?」
家臣「何を言うておる。それは杯じゃ!」
家臣「これ!物干し竿で戦ってはならぬ。」
684湖亭半弗:02/04/15 03:29
服部小平太「今川義元、お命頂戴!」
義元「うぬぬ、アイタタタ。本気でやるなよ。」
服部「何を言うておるか、ほれ毛利、首をとらぬか。」
毛利新介「何を言う、一番槍のそなたがとらぬか。」
服部「わしは一番槍の巧妙にて十分じゃ。はよぉ。」
毛利「いや、やはりお主が。」
服部「おぬしに譲るちゅうに。」
毛利「頑固な奴じゃな。」
義元「人の首で争うな、おぬしら!聴いてるわしはどうなる?」
服部「ほな、あんた、どっちにあげたい?」
義元「どっちも嫌じゃ!」
毛利「えぇい、面倒じゃ!」
毛利新介が首級をあげますというと、今川軍は総崩れとなりまして、
散り散りになって逃げ失せてしまいます。
信長「皆のもの、よぅやった!勝どきをあげよ!」
そこへ、1人の若武者が首を抱えてやって参ります。その男の名は
何を隠そう前田利家と申します。同朋衆の十阿弥を切って信長にとがめられて
出奔しておりましたが、この戦で功を上げ帰参願いに参ったちゅうわけで。
利家「御館様、この功をお認め下さいませ!」
信長「犬か・・・、首をいくつかあげたか。」
利家「ははっ。」
685湖亭半弗:02/04/15 03:30
信長「えぇか、皆のもの。今回の一番手柄は梁田政綱じゃ。これからは
一番槍やとか首をいくつあげたとかでは判断せんぞ。その戦の勝ち負けに
一番貢献した奴が一番手柄じゃ。そう心得ぃ!」
一同「ははっ!」
信長「出直しやな、利家。また頑張れ。」
利家「そ、それはいくら何でも・・・お、御館様!!」
利家の言うことも聞かんと信長、さっさと行ってしまいよった。
藤吉郎「犬千代よ、そうふてくされんなて。」
利家「サルよ、わしゃ御館に嫌われた。」
藤吉郎「すねるなちゅうとんねん。また斉藤との戦や何かで手柄立てりゃ
えぇがな。」
利家「いや、もうわしゃ怒った!わしゃ、一人立ちする!仕官口を探す!」
藤吉郎「イノシシやなぁ、犬のくせに。」
利家「お前はサルのように知恵が回るが、わしは槍働きしかない。首あげて
手柄にならなんだら、わしゃ用なしじゃ。ピンで流浪するから、まつをよろしく。」
藤吉郎「やめとけ、ピンで生きるんはやめとけ。」
利家「とめるな、サル。」
藤吉郎「ピン(一)はあかん、禄(六)にありつけん。」

ドンドン