今回は皆さん忙しい中での力作ですねえ。
ヤコさんも筍さんも勇助さんも凄い。
それでは久しぶりに歴史もので。
「田楽」「USJ」「ピンはね」
ですね。
えぇ、今や大河ドラマもトレンディてなことを言いまして、若者うけを狙ぅておる
ねやそうですが。森内閣のごり押しやとかボロクソに言われながら、それでも前田
利家ちゅう人はやはり凄い人やったんやそうですな、あれも。
加賀百万石ちゅうて、大河ではまだ金沢の「か」の字も出てきてないんですけんども、
やはり与えられるだけの働きがあったんですなぁ。親友の秀吉が偉い、それの仕えてた
信長が偉い、何やかやで大大名になったんでしょうけど、もし、信長が桶狭間で
義元にやられてたとしたら、また大分変わってたかもしれまへんな。
歴史の世界でも、お笑いの世界でも「ヨシモト」ちゅうのは強いもんで、
二万五千の大軍を率いて上洛してきた。まぁ信長てなもんは箸にも棒にも掛からん
やろぐらいに思てたんですやろな。物見遊山みたいなもんで、
義元「信長?知らん?誰や?」
てなもんやったそうで。
信長はちゅうと、内心焦ってた。味方の軍は三千、向こうは二万五千。
野球を9人と1人で戦うようなもんですさかいね。いくらなんでも焦ったと思いますわ。
丹羽長秀「御館様、いかがなさいます!」
柴田勝家「ここは合戦あるのみにござりますれば!」
林秀貞「いやいや、篭城が肝要にござる!」
織田信長「やかまっしゃい、たわけめ!評定はこれまでじゃ!適当に休め!」
てんやわんやもてんやわんやですさかいに、信長もキレとりまして評定を
終わらせます。
信長「さて・・・、どないしょうかしら・・・。こらまぁ奇襲しかないことぐらいは
わしかて分かってるねやが・・・。」
濃「信長様。何をブツクサ申されます?」
信長「おう、濃か。いや、どないしょうかしら、と思て。」
濃「上方弁でしゃべるか、普通に戻すか?」
信長「何を言うとる、そんなんどないでもえぇねんや。ともかく今川がそこまで
来てるねや。」
濃「昨日は策があると申されたではござりませぬか。」
信長「あぁ・・・、あらウソや。」
濃「ウソ!?今更ウソでは皆が困るではございませんか。」
信長「そら、何とか頑張るけど。」
濃「何とかと申しますと?」
信長「奇襲よ。」
濃「本陣をでございますか?で、義元は今いずこに?」
信長「それが分からん。」
濃「分からん!・・・父斉藤道三より譲られし懐刀、抜かねばなりませぬな。」
信長「ちょ、ちょ、待たんかいな!おっとろしい女子やで。最後まで聞かんかいな。
今、間者に調べさせてるさかいに、分からんちゅうてるねや。もうすぐ戻って
くるはずや。」
藤吉郎「御館様!サルめにございます!」
信長「おう、サル!どないした?」
藤吉郎「梁田政綱殿が戻られましてございまする。」
信長「おぅ、待ってたんや!はよ来いちゅうとけ。」
藤吉郎「はい、向こうも今行くちゅうとけ、と。」
信長「えらい言い草や・・・、おう、政綱!」
政綱「御館様!好機にございまする!」
信長「ほう、ちゅうと?」
政綱「今川治部太夫義元の本陣は、田楽狭間にて休息中にございます。」(パチパチパチ)
信長「おぉ!何と!でかした、政綱!あんな狭いところで休憩やなんてアホとちゃうやろか。」
俗に「桶狭間の戦い」と言われとぉりますが、ほんまは田楽狭間ちゅうところに
義元はいてたんやそうですが、何しろ狭い狭間ですさかいに、あんな大軍が
ずーっと蛇みたいに延々と、こぉ一直線に長ぉなっておるんですな。
そうなってると大軍は意味を成さん。伝言ゲームみたいなもんで、遠くに
味方がおっても助けに行けんので五分五分やちゅうんですな。
信長「サル!皆に出陣やと伝えよ!」
政綱「御館様、サルでしたらもう勝手に「出陣や」と叫びながら、皆の下へ。」
信長「かぁー、抜け目ない奴っちゃなぁ。おぅ、濃、湯づけを持て。」
濃「は?」
信長「湯・づ・け!」
濃「USJ?」(パチパチパチ)
信長「どんな耳をしとんねや、お前。出陣前の腹ごしらえや、はよ持って来い!」
湯づけを持ってこさせまして、サクサクとそれをたいらげます。
そないたいそうなもんやない、ご飯に湯ぅかけただけでっさかいね。
いっぺん家戻ったらやってみなはれ、味気ないもんでっせ、そら。
まぁ出陣前でっさかいに、そんなんでちょうど良かったんでっしゃろが。
信長「濃、敦盛を舞うさかい、お前、鼓せぇ。」
濃「は?出陣前にございますが。」
信長「死ぬかもしれんさかいに舞うねやないか、準備せぇ!」
そら出陣前に舞を舞う言われたら誰かてあわてますわな。
ドタバタで支度を整えて幸若舞いの「敦盛」の舞を舞います。
「人間五十年」の台詞で有名ですけんども、信長この時「敦盛」を
忙しい最中に三べん舞ったちゅうんでっさかいに、よっぽど思い入れが
あったんでっしゃろな。阪神ファンでも六甲おろし三回歌ぉたらしんどなり
ますけんど、人生賭けてやってますので、よぉ舞ったんやと思います。
さぁ、やる事全てやり尽くしたら、信長。あれだけやっても一番で出陣を
いたします。いきなり大将が勝手に出陣するもんで皆慌てて後を追いますが、
途中、雨男でもおったんでっしゃろな。もう雨がじゃんじゃんぶり。
陣笠ちゅう笠をかぶっておりますので、多少は雨がしのげるもんの
雨にぬれて寒い寒い。陣笠ちゅうのは兜の代わりですけども、あら陣中では
鍋にもなるんですな。せやさかい丈夫やけども重い。鉄の塊さして歩いてる
ようなもんで。なかなか信長に追いつけん。
信長、一旦熱田神宮に立ち寄りまして、必勝祈願を致します。そのころになりますというと、
大分味方が追いついてきた。
信長「えぇか、皆のもの!今から永楽銭を何枚か投げるさかいな。
「総てが表だったら我が軍の勝ち」じゃ。神のご加護を祈れ!」
パァっと永楽銭を投げると、パラパラちゅうて地面に落ちる。
信長「サル、確かめてみぃ。」
藤吉郎「御館様。土砂降りで地面に埋まって見えません。おそらく全部表やと思います。」
信長「おそらく、て何やねん。そんな曖昧なんでは困るがな。」
藤吉郎「とにかく、永楽銭お返しいたします。」
信長「ん?一枚足らんぞ。サル、返せ。ピンはねは許さぬ。」(パチパチパチ)
藤吉郎「あぁ、これはしたり。背中にうっかり入り込んでおりました。」
信長「そんなところにうっかり入らぬ。欲深め。」
丹羽「御館様、あれをごらん下さいませ。白鷺にござる。社殿を越えて・・・、
ほれ、わが軍の旗の先を飛んでいきまする。」
信長「おぉ!これこそ験がえぇわい。」
藤吉郎「あのぉ、糞落としていきよりましたけど。」
信長「また、こいつ!いらぬことを。ウンが付いたと思え。」
藤吉郎「はぁ、運の尽き。」
信長「持って回ってなんちゅう言い草や!」
柴田「御館様、なにやら社殿の奥から「鎧の草摺」の音が聞こえまする。」
信長「おぉ、熱田社の御加護、吉兆じゃ。・・・サル、何か申すなよ。」
藤吉郎「はっ、縁起のえぇこって。」
さぁ、信長軍は奮い立ちます。さぁ、信長軍は田楽狭間裏の「太子が根」ちゅう
小ぃさな丘に陣を張ります。
嵐が止むのを待っておりますというと、
義元らが勝ったつもりなんでっしゃろな、地元の民百姓からの貢物なんかを
並べまして、酒盛りをやっとぉる。
義元「皆のもの、雨も上がった。酒も肴も馳走も揃うておる。織田ごとき小大名
には勝ったも同然、前祝に大いに騒げ!」
家臣「ははは、愉快にござる、前祝にござる。」
家臣「はぁ、テケツクテケツクスッテンテケツク。」
家臣「どうや、皆、これだけワァと騒いでるねや。皆で、「ん回し」でもしよか?
「ん」が付くごとに田楽食わすちゅうて、田楽狭間だけに。」
家臣「噺が変わってまうがな、やめとけやめとけ。」
信長「好機じゃ!皆のもの、突撃じゃあ!」
さぁ、呆けてるところに信長の奇襲が始まったもんですさかいに、一同はもう
滅茶苦茶でございます。
家臣「ん?わしの兜これ?」
家臣「何を言うておる。それは杯じゃ!」
家臣「これ!物干し竿で戦ってはならぬ。」
服部小平太「今川義元、お命頂戴!」
義元「うぬぬ、アイタタタ。本気でやるなよ。」
服部「何を言うておるか、ほれ毛利、首をとらぬか。」
毛利新介「何を言う、一番槍のそなたがとらぬか。」
服部「わしは一番槍の巧妙にて十分じゃ。はよぉ。」
毛利「いや、やはりお主が。」
服部「おぬしに譲るちゅうに。」
毛利「頑固な奴じゃな。」
義元「人の首で争うな、おぬしら!聴いてるわしはどうなる?」
服部「ほな、あんた、どっちにあげたい?」
義元「どっちも嫌じゃ!」
毛利「えぇい、面倒じゃ!」
毛利新介が首級をあげますというと、今川軍は総崩れとなりまして、
散り散りになって逃げ失せてしまいます。
信長「皆のもの、よぅやった!勝どきをあげよ!」
そこへ、1人の若武者が首を抱えてやって参ります。その男の名は
何を隠そう前田利家と申します。同朋衆の十阿弥を切って信長にとがめられて
出奔しておりましたが、この戦で功を上げ帰参願いに参ったちゅうわけで。
利家「御館様、この功をお認め下さいませ!」
信長「犬か・・・、首をいくつかあげたか。」
利家「ははっ。」
信長「えぇか、皆のもの。今回の一番手柄は梁田政綱じゃ。これからは
一番槍やとか首をいくつあげたとかでは判断せんぞ。その戦の勝ち負けに
一番貢献した奴が一番手柄じゃ。そう心得ぃ!」
一同「ははっ!」
信長「出直しやな、利家。また頑張れ。」
利家「そ、それはいくら何でも・・・お、御館様!!」
利家の言うことも聞かんと信長、さっさと行ってしまいよった。
藤吉郎「犬千代よ、そうふてくされんなて。」
利家「サルよ、わしゃ御館に嫌われた。」
藤吉郎「すねるなちゅうとんねん。また斉藤との戦や何かで手柄立てりゃ
えぇがな。」
利家「いや、もうわしゃ怒った!わしゃ、一人立ちする!仕官口を探す!」
藤吉郎「イノシシやなぁ、犬のくせに。」
利家「お前はサルのように知恵が回るが、わしは槍働きしかない。首あげて
手柄にならなんだら、わしゃ用なしじゃ。ピンで流浪するから、まつをよろしく。」
藤吉郎「やめとけ、ピンで生きるんはやめとけ。」
利家「とめるな、サル。」
藤吉郎「ピン(一)はあかん、禄(六)にありつけん。」
ドンドン