路面電車を語ろう・3

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269名無し野電車区
寓話「鉄道ヲタク市長とLRT」

地方都市Aには、城下町だったBが古くからの中心街である。街Bには、玄関とも言うべき拠点駅Cがある。
都市Aは、御多分に漏れず、郊外の乱開発によって、街Bは衰退し、シャッター通り化が激しい。
街Bは、商業面では郊外に在る大規模な駐車場併設の大型の商業施設やロードサイド店との競争に敗れ、
さらに多くのオフィスも郊外に移転しまった結果、寂れた。
市役所さえも郊外に移転してしまった。市立病院も。都市Aは典型的な車社会である。
拠点駅Cを起点にバス路線網があるが、モータリゼーションの影響で利用客が減少し、
それに対応してバスの本数もかなり少なくなった。

A市の市長は、長いこと、A市一体を支配していたお殿様の後裔である政治家一家が独占。
今の市長は、親の後を継いだ。鉄道オタクである。
そこで、LRT(路面電車)を愛してやまない鉄道ヲタ市長は、
バスと違いLRT(路面電車)は、人を街に呼び込む強力なシンボルになるはずだから、つまり、
童話花咲かじいさんの様に新規客を自然に増やして街を活性化してくれるはずだから、
拠点駅Cを起点に市役所と市立病院までにLRTと称する路面電車を敷設すれば、必ずや街Bの衰退は防止出来、
街Bはかつての賑わいを取り戻すはず!しかも自動車を減らせて環境にも良い!と考え、
市営の路面電車タイプのLRTを敷設した。
財源は、市民税では全額賄えないので公債を発行し、財源の大半は公債、いわゆる借金である。
市営の路面電車の開業に伴い並行するバス路線は廃止され、路面電車の本数はバスの数倍以上である。

続く
270名無し野電車区:2014/12/30(火) 17:38:53.01 ID:NfhQggu30
>>269の続き

結果は、開業ブームで、物珍しさで満員御礼になったが、短期でブームが去り、閑古鳥が鳴いている悲惨な状況であった。
街Bも相変わらずシャッター街のままであった。いくら本数が増えても、利用客は前のバスと変わらなかった。
そう、童話花咲かじいさんの様な事が起きなかった。寂れた街に単にLRT(路面電車)を敷いても全然活性化されなかった。
A市民の多くは、相も変わらず、郊外の住宅からマイカーで同じ郊外の職場並びにロードサイド店に直行し、
通勤・通学や買い物にLRT(路面電車)を使わなかった。
またインターネット通販の急成長により隣町に大規模な物流拠点が出来た影響もあって、
トラック等の商用車の増加でA市の自動車交通量はかえって増加し、渋滞が増加し、環境負荷物質の量も増加した。
環境が売りのLRTがあっても環境は悪化した。
A市のLRTは税金の無駄使い、無駄な公共事業と多くの市民が認識しだした。

市営LRTの赤字は雪だるま式に膨張し、市の財政を圧迫し、第二の夕張市状態に陥りそうになった。
それでも鉄道ヲタ市長は、財政破綻の元凶である市営LRTを存続させようと固執し、
A市の財政破綻を回避すべく増税と国民健康保険料の値上げと公共サービスのカットを断行した。
これに市民は怒り、市民多数による鉄道ヲタ市長のリコールが起き、鉄道ヲタ市長はクビになった。
市民多数によって選ばれた新市長は、民意により無駄な市営LRTの廃止を決定した。
この市民運動参加者の心中は「たかがチンチン電車を走らせれば街が必ず活性化されるなんで、そんな旨い話なんかある訳ないよ!
しかも車減らせて環境に良い?全然減っていないじゃやん!騙した鉄道バカ殿市長をクビにしろ!」云々につきる。

A市のLRTの廃止直前に、全国から多くの鉄道ヲタが乗り納めと撮影の為にA市街Bに集結。
その中には「LRTを廃止するA市民はDQN!アホ!LRTを廃止するな!」と街中で涙からに叫ぶ鉄道ヲタが少なくなかった。
それを目撃したA市民の心の声は「鉄道汚多キモイ!」と。