北朝鮮のミサイル発射を原因とする日本政府の制裁措置により、
北朝鮮の貨客船「万景峰号」が入港禁止となって7年あまりが経過した。
行き来が途絶えるまでの約10年間、万景峰号で新潟から北朝鮮へ
人道支援米を送る活動に携わっていた人がいる。キリスト教系団体
「新潟NGO人道支援連絡会」の事務局長、川村邦彦さん(77)だ。
「万景峰号には功も罪もあった。でも、あの船は日本と北朝鮮をつなぐ唯一の橋だった」と振り返る。
川村さんは1936年に長野県で生まれた。戦後の食糧難時代に育ち盛りを迎え、
米の代わりにオカラを食べて飢えをしのいだ。「空腹のつらさは痛いほど知っている」。その経験から、
90年代に北朝鮮を襲った飢饉(ききん)に心を痛めた。
97年、肥料会社を定年退職すると、「北朝鮮の人々に食糧支援をしよう」と一念発起。
会社員時代の人脈を頼りに米や米粉を集め、赤十字を通して万景峰号に載せて送り届ける活動を始めた。
ちょうどそのころ、政府が北朝鮮による拉致問題を正式に発表した。川村さんの活動を知り、
自宅近くに街宣車で乗り付け、「北朝鮮に帰れ」などとシュプレヒコールを上げる団体もあった。
恐怖を感じたが、使命感から2006年7月の万景峰号の入港禁止まで活動を続けた。
支援物資の横流しを疑う声が上がるたびに、万景峰号で北朝鮮に渡った。
支援先の保育園などを訪ね歩き、状況を確認して帰国後に報告会を開いた。
時には、できない依頼を受けることもあった。万景峰号で北朝鮮に向かう際、
「(故・金正日(キムジョンイル))総書記の誕生日のために、高価な物を
(支援米と一緒に)運んでくれないか」と関係者からささやかれたが、川村さんは応じなかった。
「北朝鮮政府が国家の思惑で万景峰号を利用していたのは事実」と川村さんは言う。
「だが、それでも、国と国をつなぐ船があるから、市民レベルの交流が生まれる。
飢えに苦しむ北朝鮮の人々に罪はない。(入港禁止によって)唯一の交流の機会が失われてしまった」と残念がる。
川村さんは、入港禁止以降、一度も北朝鮮を訪れたことはないという。
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20131007ddlk15040004000c.html
★経済的価値ない?新幹線停車数減少を懸念する県
2015年春開業予定の北陸新幹線の運行体系が新潟県内に波紋を広げている。
JR東日本とJR西日本が2日に示した4種類の体系のうち2種類が、県内の「上越妙高」「糸魚川」両駅と関係ない
タイプだったためだ。他県より停車数が少なくなるとの懸念も出始めており、県や沿線の自治体は情報収集や対応に追われている。
「レールがあるのに新潟県に(車両が)入らずに帰ってしまうのは遺憾だ。本県に経済的な価値がないとして減らしたのではないか」
4日の県議会建設公安委員会で上越市選出の小山芳元委員(社民)は、このような不安を口にして県の考えをただした。
両社の発表によると、北陸新幹線では、現在の長野新幹線区間(東京―長野間)を運転する「長野新幹線型」と、
富山―金沢間の「シャトル型」が走ることになり、いずれも県内に入らずに折り返す形になる。
本県の2駅に止まる可能性があるのは、少ない停車駅で東京―金沢間を運行する「速達型」と、停車駅の多い「停車型」の2種類だけだ。
県はこれまで、新幹線の運行設定に影響力を持つ国に対し、沿線各県で少なくとも一つの駅に停車する仕組みにすることなどを
要求してきただけに、「知事の想定したスタイルと違う」(自民の柄沢正三委員)状況になっている。
>>2へ続く
(2013年10月5日12時47分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131005-OYT1T00467.htm http://www.yomiuri.co.jp/photo/20131005-161081-1-L.jpg