新幹線と航空機の顧客獲得競争が過熱している。関西国際空港と九州を低運賃で結ぶ格安航空会社(LCC)や、
米軍岩国基地(山口県岩国市)と羽田空港を結ぶ定期便を開設する全日本空輸に対し、JR西日本は割引切符
で対抗。とはいえ、新幹線は採算度外視の大幅な値下げはできないため、運行本数など利便性の高さとの
“合わせ技”でシェア死守を目指す。陸と空のバトルは、どらちが勝者に…。
今年3月、関空にLCCのピーチ・アビエーションが就航し、福岡線や長崎線などを相次ぎ開設。最安で
片道4千円前後からという破格の低運賃を武器に、それまで航空機を利用していなかった層を含めて多くの利用者を獲得した。
危機感を抱いたJR西は6月、大阪-福岡、長崎間の新幹線などの利用で割引切符を発売。
早期に購入すれば片道5〜7千円安い1万円前後となるため、対象はカード会員向けだけだが、販売は好調に推移していた。
ところが8月、新たに日航系LCCのジェットスター・ジャパンが関空−福岡線を開設。先行するピーチも
依然として利用は好調で、8月までで国内・国際線の利用者は60万人を超え、利用率も79%という高水準をはじき出した。
LCCの好調ぶりに、JR西は8月、当初は9月までだった割引切符の販売を来年2月まで延長することを決めた。
2年前の平成22年では大阪−福岡間で9割近いシェアを誇っていた新幹線だが、JR西は「LCC就航の影響は
少なからずあるでしょう」(担当者)とシェア低下を懸念。割引切符の販売期間延長で顧客離れを防ごうと躍起だ。
JR西にとってライバルはLCCだけではない。全日空は今年12月、米軍岩国基地の軍民共用化に伴い、
羽田−岩国間で定期便を就航させる。運賃は片道約2万7千円(往復)だが、早期購入では最安で8千円から設定している。
JR西はこれに対しても割引切符で対抗。9月から新岩国、徳山、新山口発着で東京・横浜に行く新幹線で、
往復2万7千円からと通常よりも25%前後安い低価格での販売を始めた。全日空の就航前に、新幹線のイメージを利用者により植え付ける作戦だ。
実は、昨年11月からJR西と全日空は因縁の関係にある。全日空は米ボーイングの最新鋭中型旅客機「787」を世界で初めて羽田−広島、岡山線にそれぞれ投入した。
つづく
ttp://sankei.jp.msn.com/smp/west/west_economy/news/121001/wec12100110010000-s.htm