福島原発で活躍する国産ロボット(
ttp://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20120831/236218/ph005.jpg Quinceは、CBRNE災害の際に消防隊員などに代わって現場に入り、被災状況の調査をすることを目的に
開発されたロボットだ。CBRNE災害とは、C=化学(Chemical)、B=生物(Biological)、R=放射性物質(Ra
diological)、N=核(Nuclear)、E=爆発物(Explosive)のことで、地下鉄サリン事件のようなテロ災害現場で
の調査活動を想定し開発されたマシンなのである。
Quinceの生みの親である小柳さんは、開口一番、こう口にした。
「CBRNE災害対応ロボットにとって福島原発の事故現場ほどの実験場はなく、ここでの経験が今後、多くの災
害現場で生かせるロボットを生み出し、世界の追従を許さぬほどの技術水準を手にできるはずです。こうい
うことを口にするのはケシカランと言われるでしょうが」
2011年3月11日、東日本大震災の当日、小柳さんは米テキサス州にある災害実験場で4台のQuinceの最終
試験を行っていた。その米国で大震災の発生を知り、「我々のQuinceの出番だ」と急遽帰国。
小柳チームは14日朝には仙台に着いたが、行政からは災害用ロボットの出動の要請は得られぬまま。なら
ば自分たちでと、被災現場へと向かった。津波が襲来した後でどこが道路かも分からず、気づくと仙台空港の
滑走路内にいたこともあった。
すでに、福島第1原発では原子力プラントの水素爆発が次々に起こっていたが、この日、東京電力の技術開
発研究所(横浜市鶴見区)からの電話を受ける。「レスキューロボットの派遣は可能でしょうか?」という問い合わ
せだった。「日本にどんな災害対応ロボットがあるかも把握していないという印象でした」(小柳さん)。そこで小
柳さんは、「日本で対応できるのは、我々のロボットだけです。派遣はすぐにでも可能です」と回答する。この
やりとりが、後の福島第1原発へのQuinceの派遣につながったのである。(続く)
ttp://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20120831/236218/