501 :
名無し歌人:
24 ここから北へと伸び行くは 製紙輸送で賑わいし 岳南鉄道ここにあり 行き交う貨物の夢の跡
25 間近に迫る富士の嶺 さらに近くて仰ぎ見ん 赤い電車に乗り換えて 向かうは吉原繁華街
26 工場地帯の中を行き シャッター並ぶ吉原の 町の様子と似合いたる 人影まばらなこの電車
27 街中抜けて顔を出す さらに近くの富士の山 僕らにだって夢はある 天まで揚げるぜ熱気球
28 比奈の駅に広がりし 岳南鉄道支えたる 貨物ヤードのその眺め もはや役割ここに閉じ
29 通勤需要も薄くなり 残るは学生ばかりなり とことん細る先行きで いつまで持つかこの鉄路
30 新幹線を潜り抜け 留置電車のその横に 終わる線路の儚さよ 引込み線も夢の跡
31 吉原駅に立ち返り 工場並ぶその中を 富士駅向かいしこの電車 ロングシートの313
32 昔は配線付け替えて 団臨通した大石寺 そんな聖地も今は無く 遺産で立派な身延線
33 めっきり減ったコンテナの 作業のヤードも持て余す 駅前広がる廃墟ビル シャッター並ぶよこの駅も
34 富士のお山のお姿も この駅境に遠ざかる 富士川渡りし鉄橋は 明治生まれのレンガ積み
35 鳥の羽音におどろきし 平家のはなしは昔にて 今は汽車ゆく富士川と 歌われし頃の面影か
富士川です