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名無し野電車区:
35 電車はここで乗換える ビッグX終わりの地 京都を出てから長い路 ようやく見える日本海
36 城崎温泉浸かりたる 旅の途中の一休み かつては文豪集まりし イモリの這うる川のそば
37 但馬の牛と蟹食べて 向かうは架線も張れぬ路 時折覗く日本海 岩場を風雪吹き付ける
38 竹野の駅を通り過ぎ 切浜ビーチに駅つくり お客があんまり利用せず 規格倒れもいいところ
39 幾重にわたり入り組んだ 荒波洗う磯浜の 間の集落結びつつ トンネル続く鉄の路
40 沖行く船は蟹漁か はるかに霞見える岩 延々続く海岸の 中に抱かれる香住の地
41 北風すさぶ海岸を 汽車は坂道登ってく 鎧の駅で見下ろせば 白波さえも豆粒か
42 トンネル抜けたら空を飛ぶ 谷をこえたる鉄橋は 遮るものなど何も無く 今にも下に落ちそうだ
43 ここは山陰動脈の 列車を止めてなるものか どんなに風が強くても 運行指令はGoサイン
44 頭の上の線路から いろいろ物が落ちてくる ガラスにボルトに氷柱ゴミ 最後に列車も降ってきた
45 今日も一日工場で こしらえてたよ蟹缶を そのまま事故に巻き込まれ 旅立つ天国冬の空
46 明治の終わりに建てられた アメリカ仕込みのトラス橋 そのあと延々放置され 95歳で引退だ
47 鉄橋出来ても駅は無く 延々歩く鎧駅 迷惑だけはかけていて 住民の声は拾わない
48 47年待ち続け ようやく出来た新駅も 時代の流れに逆らえず 集落ともども過疎ってる
49 桃観峠を汽車越えて 浜坂ここも蟹の町 続く漁師の港町 金太郎飴にさも似たり
50 お次の海岸諸寄は 但馬の国の外れにて まだまだつづく海岸美 蟹のおいしさ名残惜し