甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト 50ミリ超も5人
東京電力福島第一原発事故で、放射性ヨウ素によって甲状腺に90ミリシーベルト近い
被曝をしていた人がいることが分かった。弘前大学被ばく医療総合研究所の床次眞司教授らが、
事故の約1カ月後に行った住民65人の測定結果を分析した。
被曝した人の約半数が10ミリシーベルト以下だったが、5人が50ミリシーベルトを超えていた。
甲状腺被曝はがんのリスクがあるが、ヨウ素は半減期が短く、事故直後の混乱などで、
きちんとした計測はされておらず、詳しい実態は分かっていなかった。
床次さんらは昨年4月11〜16日、原発のある福島県浜通り地区から福島市に避難してきた48人と、
原発から30キロ圏周辺の浪江町津島地区に残っていた住民17人を対象に、
甲状腺内の放射性ヨウ素の濃度を調べた。この結果、8割近い50人からヨウ素が検出された。
この実測値から、甲状腺の内部被曝線量を計算した。事故直後の3月12日にヨウ素を吸い込み、
被曝したという条件で計算すると、34人は20ミリシーベルト以下で、5人が、
健康影響の予防策をとる国際的な目安の50ミリシーベルトを超えていた。
最高は87ミリシーベルトで、事故後、浪江町に残っていた成人だった。2番目に高かったのは
77ミリシーベルトの成人で、福島市への避難前に同町津島地区に2週間以上滞在していた。
子どもの最高は47ミリシーベルト。詳しい行動は不明だ。
国が昨年3月下旬、いわき市、川俣町、飯舘村の子ども1080人に行った測定では、
35ミリシーベルトが最高値と公表されていた。
http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY201203090004.html