883 :
タッタ:
6:名無し野電車区 :2009/12/11(金) 02:16:20 ID:QZyD88AFP [sage]
こんな夜更けに、闇と風の中に自転車を走らせるのは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには7000系が見えないの。ボロボロのクーラーキセをかぶって、テープ補修をしている・・・」
父 「あれは廃屋だ・・・」
7000 「かわいい坊や、一緒においで。面白い遊びをしよう。海辺にはきれいな潮風が吹いているし、ナトリウムイオンをそこらの海がたくさん用意して待っているよ。」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。7000系がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、ホームの誘導鈴がざわめいているだけだよ。」
7000 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の座席たちがもてなすよ。お前を不快にゆすぶり、唸り、空転するのだ。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに7000系のライトが!」
父 「見えるよ。だが、あれは家の光だよ。」
7000「愛しているよ、坊や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでも乗せてゆく!」
子 「おとうさん、おとうさん!7000系がぼくを乗せる!7000系がぼくをひどい目にあわせる!」
父親はぎょっとして、自転車を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで駅に着いた・・・
腕に抱えられた子はすでに死んでいた。