【東京〜札幌】北海道新幹線94【4時間以内】

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469名無し野電車区
 津軽海峡を跨ぐ青函トンネルは、日本が世界に誇る世界最長のトンネルだ。しかし、開業前の一九八七年、当時の大蔵省主計官は
このトンネルを、戦艦大和の建造、伊勢湾干拓と並べて「昭和の三馬鹿」と酷評した。当時この発言は物議をかもした。しかし、私には、
この発言はさほど過激とは思えない。実は、昭和の三馬鹿どころか世界の三馬鹿に入れてもいいくらいの国際級の歴史的超大馬鹿だ。
こんな無意味な代物はさっさと水没させるのが正解と思っている。
 異論もあろうが、少なくとも戦艦大和と比べて青函トンネルの方が馬鹿である事は間違いない。戦艦大和は航空機優勢の時流に乗り
遅れた大艦巨砲主義の産物とされている。当時の大艦巨砲主義が間違いだった事は、今日では多くの人が知っている。昭和の軍人の
思考能力を右寄りの人でさえ、悪し様に非難する。しかし、我々は結果を知っているから、大艦巨砲主義は間違いだったと言えるのだ。
 当時の航空機は欠点が多く全面的に信頼できなかったので、大艦巨砲主義を支持した海軍首脳を責められない。最近の爆弾は殆ど
命中するが、当時は極めて命中率が低かった。当時の飛行機は夜間飛行が困難で荒天に弱かった。陸上への着陸でさえ難しいが、
揺れる空母の狭い飛行甲板への着陸はより困難だ。さらに空母は一般に戦艦より脆いし、飛行甲板があるので対空火器が少ない。
 更に、肝心な事は日米開戦の時期だ。当時、航空機は目覚しく進歩していた。もし、日米開戦が十年早ければ、海戦は戦艦中心にな
っていた可能性もある。当時は、いつ日米間の戦争が起きてもおかしくなかった。そういう訳で、将来性はあっても不安定な飛行機を主
力とするのをためらった。
470名無し野電車区:2008/12/01(月) 13:42:34 ID:JjbBy7Ni0
 そういう訳で、旧日本海軍が航空機優先に切り換える事に二の足を踏んだのは必ずしも愚かではない。米英にしても航空機優先に
なったのは太平洋戦争突入後だ。だから、大鑑巨砲主義に対する日本と米英の意識のずれはせいぜい四年だ。
 それに対して巨大トンネルや巨大橋の無意味さについては、欧米人は何十年も前から気付いている。瀬戸大橋完成時の海外の評価
は、技術力を評価するどころか、無駄な投資をこきおろしている。青函トンネル建設計画当時は航空機が発達しておらず、現在見られる
ような飛行機による日常的長距離移動は全く思いつきもしなかったのだろう。その点は戦艦大和と状況が似ている。
471名無し野電車区:2008/12/01(月) 13:45:03 ID:JjbBy7Ni0
 青函トンネルを散々けなしたが、一体何が馬鹿なのか具体的に説明する。それは一言で言うと費用対効果だ。トンネル内の土砂の搬出量
と長さの積は、トンネルの長さに比例するのではなく、通常、長さの二乗に比例する。だから、青函トンネルのように極端に長いトンネルは土
砂運搬の効率が極めて悪い。青函トンネルとほぼ同じ規模のユーロトンネルは赤字に苦しんでいる。ヨーロッパの大都市を結ぶ路線でさえ、
経営難に陥っている。函館と青森を結ぶローカル路線が赤字で当然だ。また、トンネルの開通で地元は単なる通過地点となってしまった。
 建設費だけで約六千九百億円、維持補修費、借金の利子を加えると間違いなく兆単位の出費だ。ゼネコンに対するお小遣いあるいは子供
のように長さを競って喜んでいるのだとしても、外国人が費用を負担するのなら私は一切文句を言わない。しかし、そんな金を中国人や韓国
人が出してくれるとでもいうのだろうか。もちろん、そんな筈が無い。その金を負担するのはイギリス人でもアメリカ人でもなく、日本人だ。
 そもそも、今の建設技術があれば、太平洋横断道路というような突飛なものは除いて、常識的に考えうる大抵の建造物は建設可能だ。現在
の世界最高の建造物は五百メートル台だが、千メートルは十分いけるだろう。理論的にはいくらでも高くできる。採算を度外視すれば二、三千
メートル級の構造物の建設だって十分可能だ。しかし、そこまでする必要性がないから造っていないだけだ。もしかしたら、一万メートルだって
可能かもしれない。
472名無し野電車区:2008/12/01(月) 13:46:26 ID:JjbBy7Ni0
 仮に時速四百キロの蒸気機関車の開発したとすれば、間違いなく世界最速の蒸気機関車であろう。ターボチャージャーを搭載したり、
液化石炭を使ったりするなど現代の最新技術を盛り込んで、金をふんだんに使えば実現可能かも知れない。しかし、列車の最速記録
が五百キロを超えている現在、そんな物を作っても実用的な意味は無い。仮に実現できたとして、それを誉める人がいるだろうか。よほ
ど暇で金を持て余しているとしか思われないだろう。
 ソ連では、本土とサハリンを海底トンネルで結ぶ計画があったが、建設を断念している。日本は世界最大の海底トンネルである青函ト
ンネルを計画通り完成させた。これらを比較して、日本の建設技術がソ連より上だったと無邪気に喜ぶのは間違いだ。ソ連は単に土木
技術が低くて海底トンネルを完成できなかったのかもしれない。しかし、結局、そんな物を造らなくて大正解だった。もし造っていたら、
ロシアの経済状態は今よりもっと悪化していただろう。
 技術自体が目的では困る。「世界最長のトンネルを造れるほど日本の建設技術は優秀だ」などと無邪気に喜ぶのは愚かな事だ。
473名無し野電車区:2008/12/01(月) 13:47:55 ID:JjbBy7Ni0
 現状では建設費を返済していくだけでも極めて困難なのに、それに負けないくらい厄介な問題がある。それは維持補修費だ。準大手
ゼネコンである(株)鴻池組建築技術部の社員教育用資料によると、コンクリート構造物の建設計画から解体までの一生にかかる建設
関連費用のうち、調査費用、用地買収費用などを含めた初期建設費の割合は約二五%程度に過ぎない。残りは維持費、補修費、解
体費などだ。維持補修費が建設費の五、六倍になるのは当たり前で、十倍になる事もある。これほど維持補修費が大きい事は意外に
知られていない。
 青函トンネルの設備機器にかかる維持費は、将来的に年間七〇億円を超えると予想されている。旧都庁舎跡に建てられた東京国際
フォーラムの維持費は年間五〇億円に上る。都庁クラスでも年間数十億円の維持補修費がかかる。それらより遥かに規模の大きい
青函トンネルでは、恐らく、年間の維持補修費は七十億円ではとても足りないだろう。
 私は建築技術者だから、土木の維持補修費について正確には知らないが、一般に土木構造物の方が条件が過酷だから、恐らく維持
補修費は建築物より高くなるだろう。
 建造物の維持補修費は、経過年数や種類や立地条件によって違うが、老朽化した建造物の維持補修費の年間負担額は、初期建設
費の一割程度とも言われている。そうすると青函トンネルの年間維持補修費は約六九〇億円という事になる。年間の維持補修費が一千
億円を超える可能性もある。突飛過ぎると思う人がいるかもしれない。しかし、その程度になっても全然不思議はない。
474名無し野電車区:2008/12/01(月) 13:50:28 ID:rTwzZ60w0
2ちゃんって、自由に書き込めるけど、
自分の書き込みを他人に読んでもらえる保証はどこにもないよね
475名無し野電車区:2008/12/01(月) 14:04:57 ID:JjbBy7Ni0
 そもそも、維持補修費の予測は難しい。なにしろ青函トンネルは世界最大のトンネルだし、これに匹敵する規模のトンネルはユーロトンネル
だけだ。しかし、ユーロトンネルは青函トンネルの後に造られたので、将来の維持補修費予測の参考になりにくい。日本の公共事業は建設費
が当初の予測の三倍に膨れ上がる事が珍しくない。建設費より遥かに予測が困難な維持補修費が当初の予測の十倍を超えたとしても不自
然ではない。そう考えると年間の維持補修費が一千億円に達しても何ら不思議は無い。
 特に青函トンネルは、他の建造物と比べて過酷な条件が多い。なにしろ、長いから、点検や補修は困難を極める。また、海底トンネルは海
水と接する。コンクリートは意外に透水性が高い。もちろん、防水対策は施してあるだろうが、それでも、海水がどうしても染み込んでくるだろう。
鉄筋は塩分に弱い。錆びると膨張し、周辺のコンクリートを圧迫する。列車の通行の合間を縫って、作業をしなければならないのも点検や補
修を困難にする。
 これらの理由から、青函トンネルの年間維持補修費が百億円を超える事はまず間違いないし、しつこいようだが一千億円になったとしても
本当におかしくないのだ。インチキくさいと思ったら自分で調べてみると良い。今の時代はインターネットという便利なものがある。あるいは、
教えてくれるかどうか保障はできないが、役所や新聞社に聞いてみるという方法もある。この手の数字は素人でも比較的調べやすい。工学的
知識は必要ないし、手抜き工事のデータと違って、業者としては通常は隠す必要がない。公表された数字は比較的信頼性が高い。
476名無し野電車区:2008/12/01(月) 14:06:56 ID:JjbBy7Ni0
 一九九八年四月四日に新関門海峡トンネルで漏水事故が発生した。そのため、乗客が新幹線の車両に長時間閉じ込められる事になった。
この事故は朝日新聞が大きく報道したくらいで、あまり注目されなかったが、極めて重大な意味がある。一九九八年四月十四日のNHKのク
ローズアップ現代では、新関門海峡トンネル事故の経緯が詳細に放送された。それによると、この事故は極めて幸運な要素が偶然幾つも重
なったために、大事故にならなかったそうだ。一人の犠牲者も出なかったのは奇跡的だった。
 また、去年は山陽新幹線トンネルをはじめとして日本各地でコンクリートの崩落が大きな話題となった。北海道のトンネルでも事故が相次い
だ。何故、コンクリートが一斉に崩壊し始めたのかという疑問を持つ人は多いだろう。実は以前から、そのような事故は頻繁に発生していた。
たまたま、落下したコンクリート片が新幹線車両に命中したから注目され始めただけだ。
 海底トンネルは海水に晒されるため、トンネル内には常に海水が染み出しており、ポンプを止めるとたちまち水没してしまう。浸水事故を防ぐ
ため、トンネル内の僅かな破損も見逃せない。しかし、海底トンネル内で異常を見つけるのは大変難しく、破損した個所を補修するには列車を
止めなければならないという厄介な問題がある。特に青函トンネルや東京湾アクアラインのような巨大な海底トンネルは危険性が高い。東京湾
アクアラインについては、浸水に対して手の打ちようがないという事が、以前から専門家によって指摘されていた。
 全長が五十三キロメートルもある青函トンネルの中央付近で事故が起きようものなら一大事だ。長さがあるだけに現場に辿り着くのは困難だ。
 単に長さだけで比べると、青函トンネルは一番危ないトンネルと言える。更に、海底トンネルという海水が染み込みやすい条件を考えるとさらに
厄介だ。このように青函トンネルは、事故に対する危険度が高い。
477名無し野電車区:2008/12/01(月) 14:08:32 ID:JjbBy7Ni0
 青函トンネルの膨大な額の赤字を解消する起死回生の策として、北海道新幹線の開通をあげる人がいる。考えうる解決策としてはその程度
しかない。しかし、これにも大きな疑問がある。
 乗客の住んでいる場所と駅や飛行場のアクセスにもよるだろうが、北海道から東京まで行くのにわざわざ新幹線を使う人がどれだけいるだろ
うか。どう考えたって飛行機の方が早く到着する。また、青函トンネルの維持補修費を千歳空港の整備などに使えば、航空料金はもっと安くな
るだろう。仮に千歳発着の国内線利用者が全て、青函トンネル利用者になったとしても、新幹線の建設費、トンネル建設費六千九百億円と最低
でも年間数十億円する事は間違いない維持補修費、それに借金の利子を返すことは困難だ。新幹線が開通しても、赤字が解消する可能性は
極めて低い。
 そもそも、千歳空港の利用者が全て新幹線の利用者になってしまったら千歳空港は寂れてしまう。青函トンネルを活かすには効果があるかも
しれないが、旅客自体は限られているのだから、北海道内で客の奪い合いをしても北海道全体としては何の得もない。超高速輸送機関は鉄道
か飛行機のどちらに集中的に資金を配分して、資源の分散を避けた方が得策だ。千歳空港は国際空港でもあり、絶対になくす訳にはいかない。
「もったいない」と考えて、青函トンネルを存続させたら、維持補修費の余分な負担をしなければならなくなる。無駄な金を使い続けて累積赤字を
増やすより、ポンプを止めて水没させた方が良いのではないか。やはり、青函トンネルを放棄して、維持補修にかかっていた費用を千歳空港に
注ぎ込むべきだ。いずれ、青函トンネルは放棄せざるを得ないのだから、早めに放棄するのが賢明だ。