丹那分断(熱海分断)が妥当なものかどうか検証してみたい。検証にあたっては、
「沼津市」の現状を知ることが必要不可欠である。そこでまず、「沼津市」がどのような
ポジションにあるのか確認してみよう。
(@)地理的条件:駿河湾水系で、箱根・丹那大山塊の西側に位置する人口20万の都市。
(A)経済的交流:沼津市からの通勤流動は下記のとおり。
・静岡市へ(1342人)>東京区部・横浜市へ(計1031人)
・静岡大都市圏へ(5735人)>関東大都市圏へ(1853人)
このように、沼津市は「静岡志向」であり、総務省の定義による「関東大都市圏」も丹那
トンネルを越えた熱海市からである。 ※なお、隣接する富士市からは静岡大都市圏に属する。
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http://www.stat.go.jp/data/chiri/map/c_koku/pdf/map17g25.pdf もっとも、沼津・三島と東京・横浜の移動は通勤・ビジネス・遊興・観光客を中心に一定
数存在するが、 この区間の移動は「新幹線利用」がスタンダードであり、また沼津と(丹那
トンネルおよび県境を越えた)神奈川県西部地区の結びつきはたかが知れていることから、
沼津駅からの在来線の需要は静岡方面が圧倒であるといえよう。
「沼津市」の現状がわかったので、今度は、相模灘に面する「熱海市」について見てみよう。
「熱海市」は、常住する人口こそ限られている(4万程度)が、東京方面からの観光客が
非常に多い場所であり、そのうえ当地の住民の志向を見ても、行政上は静岡県・沼津圏に属するも
のの明らかに東を向いている。肝心の東京方面からの観光客の移動実態を見ても、小田原
・湯河原 ・熱海あたりまでは、新幹線を使う人も一定数存在するが、在来線特急や快速
アクティー、 各駅停車、そして臨時の湘新特快の利用のほうが主流であり、また東京方面
から鉄路にて伊豆へ向かう観光客の大部分は、丹那トンネルを越えず、「東海岸」に向かっている。